宅地建物取引業者さん、きちんと重要事項説明を行っていますか?

更新日:2024年2月8日

 近年増加している取引苦情の中でも、特に重要事項説明に関するものが最も多く、違反事例の中には、重要事項説明そのものを行っていないというような違反だけでなく、重要事項説明書に記載すべき内容が一部漏れていたり、記載内容が不十分といった、書類上の不備による違反もあります。府が宅地建物取引業者さんに事情を聴くと、「うっかりしていた」とか「チェックミス」などと弁明される場合もあります。しかし、たとえ「うっかり」や「チェックミス」であったとしても、重要事項説明書に記載不備があれば宅地建物取引業法違反とみなさざるを得ません。もう少し注意して重要事項説明書をチェックしていれば…と悔やまれる宅地建物取引業者さんもおられますが、違反をしてから悔やんでも遅いのです。宅地建物取引業法違反をしないよう、日ごろから注意していただくことが大切です。 (処分事例はこちらを参照ください。)

 以下に、取引苦情で多く見られる、重要事項説明書の記載不備の例などを紹介しますので、宅地建物取引業者さんにおかれましては、日ごろ使用されている重要事項説明書の様式を改めて確認していただいたり、社員教育を徹底していただくなど、取引トラブルの未然防止を図っていただければ幸いです。

重要事項説明書の記載不備の事例【売買編】

(1) 代金又は交換差金以外に授受される金銭の額及び授受の目的(第七号関係)

事例: 固定資産税等精算金の額を「実費」「日割精算」と記載しただけで、具体的な額を記載していない。

 ポイント 「実費」「日割精算」といった記載では不十分です。重要事項説明の時点で額が確定していない場合は、例えば「約○○円」、「○○円(概算)」などのように、目安となる額を記載してください。

(2) 契約の解除に関する事項(第八号関係)

事例1: 売買契約書に規定されている、引渡し前の滅失等による解除について記載していない。

 ポイント 契約の解除に関する事項はすべて重要事項説明書に記載する必要があります。契約の解除の内容としては、手付解除、違約解除、ローン解除、引渡し前の滅失等による解除、特約で定められている解除条項等がありますが、解除条項の一部の記載漏れがよく見られます。

事例2: 手付解除について、売買契約書では手付解除の期限が規定されている一方、重要事項説明書では「相手方が契約の履行に着手するまで」と記載されており、内容が異なる。

 ポイント 重要事項説明書と売買契約書で内容が異なるということは、重要事項説明書または売買契約書のどちらかが誤っていることになります。重要事項説明書を作成する際は売買契約書の内容と不一致をきたさないよう確認してください。なお、売主が業者の場合、買主に不利となるような手付解除期限を設けることは、宅地建物取引業法第39条に抵触するおそれがありますので、ご注意ください。

(3) 金銭の貸借のあっせんの内容(第十二号関係)

事例: 金融機関名を「当社指定金融機関」としか記載していない。

 ポイント 金融機関名が「当社指定金融機関」という記載だけだったり、融資額や金利、返済方法などが記載されていない場合は、記載不備となります。具体的なあっせんを予定している金融機関が複数ある場合には、それらすべてについて記載してください。

(4) 宅地建物取引士の記名

事例: 媒介業者の宅地建物取引士の記名はあるが、売主業者の宅地建物取引士の記名がない。

 ポイント 取引に媒介、売主、販売代理として関わったすべての業者の宅地建物取引士が記名する必要があります。媒介業者の宅地建物取引士が記名しているからといって、売主業者の宅地建物取引士の記名が不要というわけではありません。

(5) 区分所有建物(マンション)の共用部分に関する規約の定め等(第六号関係)

事例: マンション管理規約があるにもかかわらず、重要事項説明書にその内容が記載されておらず、説明も受けていない。このため、入居後、管理規約をめぐり管理組合や他の入居者とトラブルになってしまった。

 ポイント 管理規約は、区分所有建物の管理及びその使用について区分所有者相互間で取り決めたルールであり、その効力は区分所有者全員だけでなく譲受人(買主)にも及びます。買主が入居後、管理規約をめぐりトラブルにならないよう、重要事項説明において管理規約についてもきちんと説明してください。なお、重要事項説明書への記載に代えて管理規約を別添しても構いませんが、その内容を説明しなければならないことに変わりありません。

※35条以外の「重要な事項」について

 宅地建物取引業法第35条で説明が義務付けられている以外の事項でも、買主の契約の判断に影響を及ぼすような取引条件(例はこちらを参照ください。)物件の瑕疵(例はこちらを参照ください。)などについては、第47条による「重要な事項」に該当し、説明義務がありますので、口頭で説明するだけでなく、重要事項説明書に記載してください。重要事項説明書に記載することにより、後日、「言った」「言わない」のトラブルを防止することもできます。

 重要事項説明書の記載不備の事例【賃貸編】

(1) 登記された権利の種類及び内容(第一号関係)

事例1: 「抵当権設定有」と記載しただけで、その内容について記載していない。

 ポイント 債権額、債権者、債務者等、抵当権の内容を記載する必要があります。重要事項説明書への記載に代えて、登記簿謄本を添付することも可能です。ただし、その場合は、「別添登記簿謄本参照」などと重要事項説明書に記載するとともに、登記簿謄本を重要事項説明書と一体的に交付する必要があります。

事例2: 「別添登記簿謄本参照」と記載しているが、重要事項説明書に登記簿謄本を添付していない。

 ポイント 重要事項説明書に添付しているはずの登記簿謄本を添付していなければ、重要事項説明書の記載不備とみなされます。

(2) 借賃以外に授受される金銭の額及び授受の目的(第七号関係)

事例1: 鍵交換代やハウスクリーニング代について記載していない。

 ポイント 借主が鍵交換代やハウスクリーニング代を負担することが、貸主の契約条件である場合には、それらの具体的な額を重要事項説明書に記載してください。

事例2: 申込金や預り金について記載していない。

 ポイント 契約に先立ち、いわゆる「申込金」や「預り金」を借主から受領する場合は、それらの具体的な額を重要事項説明書に記載してください。なお、契約成立前にキャンセルになった場合、当該「申込金」「預り金」は借主に返還しなければなりませんので、ご注意ください。

(3) 契約の解除に関する事項(第八号関係)

事例: 賃貸借契約書に、借主が家賃を滞納した場合の契約の解除について規定されているが、そのことが記載されていない。

 ポイント 契約書に規定されている契約の解除に関する条項は、すべて重要事項説明書に記載する必要があります。

※35条以外の「重要な事項」について

 宅地建物取引業法第35条で説明が義務付けられている以外の事項でも、借主の契約の判断に影響を及ぼすような取引条件(例はこちらを参照ください。)物件の瑕疵(例はこちらを参照ください。)などについては、第47条による「重要な事項」に該当し、説明義務がありますので、口頭で説明するだけでなく、重要事項説明書に記載してください。重要事項説明書に記載することにより、後日、「言った」「言わない」のトラブルを防止することもできます。

 大丈夫?!市販の重要事項説明書 市販されている重要事項説明書の中には、法定の説明事項が大幅に欠けているなど、極めて不備なものが多々見受けられます。このような記載不備の重要事項説明書を使用したために、重要事項説明書の記載不備として行政指導・処分を受けた宅地建物取引業者さんも少なくありません。府が業者さんに重要事項説明書の記載不備を指摘すると、「市販されている書式だから安心していた」と驚かれることもありますが、市販の書式だからこそ、内容が法定要件をきちんと満たしているかどうか自らチェックする必要があるのです。市販されている重要事項説明書の書式を使用される場合は事前に内容をよく確認していただき、もし法定要件を満たしていなければ、その書式は使用しないか、あるいは、法定要件を満たすよう加筆修正等を行ってから使用してください。

  


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このページの作成所属
都市整備部 住宅建築局建築指導室建築振興課 宅建業指導グループ

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