人権学習シリーズ わたしを生きる 自分のセクシュアリティを考えよう/1.趣旨とルールの説明とお守り作り

更新日:2016年2月15日

「自分のセクシュアリティを考えよう」(めやす90分)

ねらい

・自分のセクシュアリティについて考える。
・ セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)が日常おかれている状況について考える。
・ カミングアウトやアウティングの問題について考える。
・ セクシュアリティの問題は、セクシュアル・マイノリティだけの問題ではなく、性別を持って生きるすべての人たちに関わる問題だということを考える。

実践の前に

セクシュアル・マイノリティの人権を考えるときに、みんなが自分のセクシュアリティを考えることはとても重要です。例えば、セクシュアル・マイノリティの支援団体であるQWRC(Queer and Women's Resource Center)は、中高生向け人権教材DVD『もしも友達がLGBTだったら?』の先生用資料のなかで、以下のように、すべての人が自分のセクシュアリティについて考える重要性を解説しています。
 「別にゲイとか差別してないよ、私はフツーだけどね。」「みんな違ってみんないい、個人の自由じゃん。」「他人のことはカンケーない、知りたくない。」そういう多様性を理解したかのような発言をよく聞きます。しかし、1人ひとりの違いは、自分の性のあり方が固有であることを知ってから、初めて実感できることです。“フツー”ってなに?」
「普通なんてないんだ」と気づくことです。自分の性に向き合い、独自のあり方を発見することは、他人の多様性を認め、相手の立場を想像し、思いやることにつながります。

用語解説

セクシュアリティ:人間の性に関わるすべてのことがらをあらわす言葉です。いろんな側面がありますが、この教材では、「4つの指標」を使って、4側面に分類して考えていきます。
LGBT:レズビアン(女性同性愛者:Lesbian)・ゲイ(男性同性愛者:Gay)・バイセクシュアル(誰かを好きになるときに、性別が第1要件にならない人:Bisexual)・トランスジェンダー(生まれたときの性別とは異なる性別を生きる(生きたい)人:Transgender)の頭文字を並べたもの。セクシュアル・マイノリティの意味で使われることも、多くあります。

ワークショップ実施前のファシリテーター自身の準備

4つの指標のところで、ファシリテーター自身を例として出します。ただし、ファシリテーターだからといって、望まないカミングアウトを強要されるものではありません。ファシリテーター自身の安全を尊重しつつ、なにを提供するか考えておきましょう。

キーワード

4つの指標、同調圧力、マイノリティの不可視化、カミングアウト、アウティング

準備物

○名刺大カード 1人2枚、○ワークシート1から3 1人1枚、○補足資料 1人1組、○クリップボード 1人1枚、○筆記用具、○タイマー、○ホワイトボードと専用マーカー(黒板も可)

プログラムの流れ

  1. 趣旨とルールの説明とお守り作り(10分):学習の趣旨とルール説明、お守り作りをする。
  2. みんなに共通するものは?(15分):共通点探しをし、「同調圧力」「マイノリティの不可視化」について考える。
  3. 4つの指標(15分):自分のセクシュアリティを考え、セクシュアリティについて説明する。
  4. わたしはゲイじゃない(30分):カミングアウトやアウティングの問題について考える。
  5. クールダウン ごほうびと分かち合い(20分):自分へのごほうびカードを作り、感想を分かち合う。

1.趣旨とルールの説明とお守り作り

詳細な手順

ポイント

(10分)
趣旨とルール説明7分、お守り作り3分
※ 会場の設営については、イスのみで半円型にするとよい。6ページを参照。

趣旨とルール説明

★今日は、自分自身のセクシュアリティについて考える参加体験型学習(ワークショップ)をします。ワークショップ(以下、ワーク)というのは、講師が答えを持っているのではなく、参加者のみなさんがやりとりしながら、考えを深めていく学び方です。今日の学習内容はとても繊細な事柄なので、安全に配慮しつつ、進めたいと思います。
安全にワークを進めるために、次の3つのルールを設定します。

●「守秘・参加・安全(「不参加」・「うそ」アリ)」と板書する。

1 「 守秘」このワークで得た知識は持ち帰ってください。でも個人情報はこの場所に置いて帰ってください。
2 「 参加」このワークは自分自身のセクシュアリティについて考えるワークです。しっかり考えて、ワークに積極的に参加してください。
3 「 安全(「不参加」・「うそ」アリ)」。今日扱うセクシュアリティは、いろんな意味で、とても繊細な事柄です。ここに居るのがしんどくなったら、ちょっと立って、部屋の後方に行ったり、部屋から出て行ったりしてもOKです。また、今日のワークでは、ご自身のセクシュアリティを語る必要が無いように配慮していますが、それで不安を感じたりしたときは、別のセクシュアリティである振りをして自分の身を守ることなどは、すべてOKです。自分の安全とこの場の安全を守るように心がけてください。

そのため、今回のワークでは、特に、「不参加」と「うそ」をアリ、とします。もし、しんどいと思ったら、「パスします」と言って発言をパスしたり、席を外したり、してください。また、そのような行動を取って目立つのを避けるために、自分に関わることや意見を偽いつわって発言すること、つまり「うそ」も、アリとします。









•「うそ」という言葉に違和感を唱える人がいる場合は「安全に注意を向けていただくために、ちょっと刺激的な言葉を使いました。抵抗がある方は、心の中で「方便」とか「ちょっとした作り話」といったご自身に抵抗のない言葉に置き換えてください。」などの補足をするとよい。

お守り作り

★自分の安全を守るための方法は、いろいろあります。トイレ・給湯室に行く。深呼吸をする。心の中で10数える。パスをする。こうやって、わたしの話をふんふんと聞いているだけでもいいのですが、いざ行動しようとすると、頭の中が真っ白になることもあります。安全のために行動しないといけないときって危険なときですから。そのため、自分の安全を守る行動をするための準備を1つしましょう。

●話をしながら、名刺大のカードを1人1枚配付する。

★配ったカードに今説明したような、自分の安全を守るために自分ができそうなことを、1つ、あるいは、2つ、3つ書いて、このワークの間、持っていてください。
これをお守りとして、なにか嫌な感じがしたときは、自分を守る行動をとってください。

•参加者には記入時間の区切りを伝えず、みんなの作業を見て記入時間を切る。手が止まっている人には、更に具体的な安全策をいくつか提示する。

 

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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