第3回施策検証・評価システム検討部会 概要

更新日:2017年4月3日

大阪府男女共同参画審議会 第3回施策検証・評価システム検討部会 概要

開催日時:平成19年10月24日(水)  16時30分から18時30分
場   所:大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)5階 大会議室2
出席委員
部会長徳矢 典子 弁護士
     木戸口公一 医療法人厚生会副理事長、同大阪西クリニック院長
     竹中恵美子 大阪市立大学名誉教授
     田間 泰子 大阪府立大学人間社会学部教授、女性学研究センター主任研究員
     畑  律江 毎日新聞社編集局地域面・夕刊特集版編集長
     山縣 文治 大阪市立大学大学院生活科学研究科教授
会議概要
1 開 会
2 議 事(注:文中〇印は委員、●印は事務局によるもの。)
・大阪府の男女共同参画施策の検証・評価システムのあり方について


【事務局より資料説明】

【主な発言等】(※プラン「施策の基本的方向」の柱の5番、4番、6番、7番の順に審議。)
<5 高齢者や障害者等だれもが生きがいを持って安心して暮らせる環境の整備>
○この「5」は、高齢者、障害者、地域防災など、複数の行政計画と重なっている分野で
ある。評価の際には男女共同参画の視点で施策が実施されているかどうかを見ることが
大事である。また、ここでは関連指標に障害のある女性や高齢女性についてのものがなく、
府民意識調査でも府民が求めているものを明らかにする項目がないので検討が必要である。
さらに、「男女のニーズの違いに配慮した防災・復興対策の推進」など、プラン改訂時に
追加された施策については特に丁寧にフォローする必要があるのではないかと思う。
○外部評価の材料の関連指標だが、単に「年齢階級別人口の性別比率」だけでなく、75
歳以上の後期高齢期、それから独居の高齢者に女性が多いという点に着目した指標が必要
である。
●年次報告のP81に「性別・世帯の家族類型別65歳以上世帯人員」というデータを掲
載しているが、今ご指摘の「後期高齢期」に着目したもう少しきめ細かなデータは、実際
の評価の際に示せるようにしたい。
○今の意見に関連して、女性の場合、年金がほとんど無いといった経済的な問題が重なる
ケースがあることから、可能であれば、所得に着目したデータもあったほうがよい。
●どういうデータがあるか確認し、そうしたデータを揃える方向で検討する。
○この「5」で所得問題が出てこないというのは、恐らく現行プランが福祉や環境のイメ
ージで語られていて、住宅基盤や経済基盤といった生活の基本部分を示す枠組みがないか
らではないかと思う。生活の基本に関わる指標をどこかにまとめるか、個別に入れ、足し
たらそれが見えてくる形にするのか決めておいたほうがよい。
○生活の基本という意味では、福祉も含めたいろいろな人権問題に関する相談や情報提供、
苦情持込ができるような窓口が設置されているかという項目もあってもいいように思う。
「5」の部分に入れると分野が限定されてしまうので、もう少し総合的な部分で見ていく
のも一つである。
●府庁には全般にわたる苦情相談窓口もあれば、男女共同参画の分野では条例の具体化策
として施策についての苦情処理制度がある。その他各人権分野や福祉の分野でも、相談、
あるいは施策の改善を申し立てるところと形態は様々であるが、いろいろな窓口がある。
○そうした個々の窓口で受けた相談を男女共同参画の視点で捉えるようなことはできてい
るのか。
●その点は今回の検証・評価にも深く関わる部分であるが、ある部局の相談窓口で具体の
案件が出た場合に、男女共同参画の視点での認識ができるかが大きな課題である。そのこ
とに留意しつつ、各相談等の窓口を男女共同参画の視点からどう関連づけていくかについ
てはまた検討していく。
○障害者雇用率の男女差を見てみるというのも一つである。
○障害者というと身体障害の枠組みで語られることが多いが、知的障害、精神障害など
様々な障害に留意した施策が実施されているかという視点も大事である。
○高齢者の介護の問題は取り上げられているが、障害者の支援における男女共同参画の問
題はどこに入れたらいいのか迷うところである。障害「児」の養育の場合は子育ての分野
に入るのかもしれないが、特に母親が一人で大変な状況にあると聞く。
○障害児・者を身のまわりで支えているのは誰か、どういうことが大変かなど現状を把握
し、実際に女性が全て担っているのであれば、意識改革も必要であろうし、そうした現状
を施策に反映していくことが大事である。
○その際、そういったことは女性がやるものだという意識に基づいて女性が行っていると
いう現状があるのであれば、その部分を府が後押ししてはならないわけで、そうした女性
の負担を少しでも減らしつつ、男性も含めいろいろな人が分担できるようにという視点で
施策を行っていくことが必要である。
○高齢女性の所得が低い理由として、女性の断続的な働き方により年金そのものが低くな
っていることがある。今の高齢者の問題は若い頃の働き方とも関わることから、高齢者計
画でもそうした視点での若年層への啓発が重要である。
○暫定版だが、手元にある高齢者虐待防止法に基づく国の調査結果を見ると、施設で従事
者から虐待を受けているのは、明らかに女性が多い。更に在宅ではもう少し女性が多くな
る。福祉サービスの現場でもやはり女性が被害を受けているという深刻な現実がある。
法律も出来たので、この辺のデータも入れられるのではないか。
○高齢者にも“恥ずかしさ”というものがある。特に裸になる排泄と入浴の部分で、誰が
どのように介護をするかというような、介護者と被介護者の性の関係も、本来は環境整備
として考えていく必要がある。
○「誰もが安心して暮らせる環境の整備」にはいろいろ記載されているが、肝心の、高齢
者や障害者が“生きがい”を持てているかどうかという視点が抜けているように思う。
○高齢者や障害者が社会参画できるような仕掛けづくりをしているかも自己評価の際に聞
いてはどうか。
○「誰もが安心して暮らせる環境の整備」で「ひったくり認知件数の推移」だけが出てい
るが、もう少し他の関連指標も考えてはどうか。

<4 総合的な子育て環境整備>
○この「4」も、他の行政計画と重なっている部分である。男女共同参画の視点で施策が
実施されているかを見ていくことが大事である。
○「社会全体で子育てをする環境の整備」の関連指標は保育所に関連するものが多いが、
もう少し「地域」のことも考慮に入れて、例えば「つどいの広場事業」など、在宅での子
育てを支援するという観点での指標を入れてもいいのではないか。というのは、3歳まで
の子どもの8割位が保育所に行っておらず、しかも在宅で子育てをしている母親の育児不
安が働いている母親よりも高いというデータがある。そういう母親の育児不安が減ってい
るかどうかといったことも見ていければ全体のバランスがよくなると思う。
○「仕事と家庭の両立支援」で、今決定的に不足しているのは病児・病後児保育である。
その実施率や利用率も関連指標に入れてはどうか。
○今年度から次世代育成支援対策交付金により生後4か月までの全戸訪問を行う「こんに
ちは赤ちゃん事業」が創設された。この事業の実施状況を指標に加えてはどうか。
○これは高齢者の“生きがい”とも関係するが、地域全体での子育て支援として、世代を
超えた連携があるかどうかを見てみてはどうか。
○数字だけでは分からない部分があるのが育休を取得している人の割合である。男性の
取得率で、取りたくても「取らない」男性、取りたくても「取れない」男性、「取りたく
ない」男性が、同じように「取らない」という数字になってしまう。男女共同参画の意識
の変化を本当に見ようと思えば、数字だけでなく、その背景を見ていくことが重要である。
そういう点で意識調査の際、もう一工夫すると実態と対策が見えてくるように思う。
○在宅で乳幼児を育児している人たちへの働きかけ、サポートという部分は、量が少ない
という問題はあるものの、健康福祉部がカバーしており、最近は妊娠時期からの不安解消
というところまで進んできている。ただ施策としては非常に少なく、むしろ民間、NPO
法人の活動がどんどん出てきている状況である。こうした活動をしっかり把握して情報提
供できる体制づくりを行っていくということも必要ではないかと思う。
○外部評価の材料で「ファミリー・サポート・センター、地域子育て支援センター事業実施
率」が出ているが、実施率だけでなく中味を見ていくことが大事である。
○プレネイタル・ビジット(出産前小児保健指導)の実施状況を見てみるのも一つである。
○この間も自宅前で女児が刺されるという事件があったが、私が以前住んでいたところで
も、刃物を振り回すという事件があり、母親が仕事を辞めて送り迎えをしたり、子どもが
心配で公園にも出せないというような状況になった。「社会全体で子育てをする環境の整
備」のあたりに、「防犯」に関しての点検事項があればと思う。また、働いている親のこ
とも念頭に置きつつ、地域での子育てを考えるべきである。
○府外の話だが、地域の老人会の人たちが散歩を登下校の時間に合わせてやろうという活
動をされている。安全な街づくりは行政だけでは難しく、住民の力を借りなければやって
いけない。こういう取組に関する情報提供を行っていくのも行政の役割である。
○先ほどのだれもが安心して暮らせる環境整備のところに、「安全・安心なまちづくりの
推進」という項目があり、そこに「子どもの安全まちづくりモデル事業」や「『こども
110番』運動の推進」というのがある。(現在施策が)全くないというわけでもなさそ
うなので、どこに入れるべきかを検討したほうがよい。

<6 女性に対する暴力の根絶>
○ DVについては今年法改正があり保護命令制度が拡充されたりしたところであるが、
女性に対する暴力の根絶に向けた基盤整備ということであれば暴力を振るう側に対する
対策も必要だと思うがどうか。
●それについては、これまで国が試験的に加害者更生プログラムを実施したり、大阪府も
NPOと連携して調査を行ったりしたところであるが、国の報告書にもあるように、加害
者に対する更生教育は非常に難しく、効果的な取組ができていないのが実情である。府と
しては国の動向を視野に入れつつ連携を図っていきたい。
○基盤整備にかかる関連指標がない。府民意識調査から読み取れる府民が求めているもの
として、被害女性のための相談所や保護施設の整備が挙がっているので、これら施設の
整備状況が指標として必要である。
●今回の法改正で、市町村におけるDV計画策定や配偶者暴力相談支援センター業務の実
施が、努力義務ではあるが盛り込まれたので、そうした状況も指標にできるのではないか
と考えている。
○ここまで見た限りでは、施策の柱ごとに参照する指標が充実しているものもあればそう
でないものもある。検証・評価する段階でもう少し指標や自己評価の特記事項を加えたほ
うがよい。暴力は人権侵害であるということを考えると、自己評価の特記事項として人権
の啓発や推進に関するものも大事な事項ではないかと思う。
○暴力根絶のためには幼少時からの教育が大事である。例えば、保育士さんなんかでも、
男の子が多少乱暴なことをしても、“男の子だからいい”となるが、女の子だったら
“女のくせに何してるの”となったりする。また、性においても、コンドームを付けずに
セックスするのは一種の“バイオレンス”だと思うが、高校生、大学生の間で、男の子が
付けたがらないから頼めないという女の子が結構多い。暴力の根絶に向けた基盤整備とし
ての教育は、性教育も含めて最も大事な部分である。そうした教育の実績が数字としても
分かればと思う。
○資料の一番左の「具体的な指標等」に大阪府総合労働事務所の「職場におけるセクシュ
アル・ハラスメント相談状況」があるが、これは一般企業等を対象とした窓口か。府庁や
学校からの相談にも対応しているのか。
●相談者がどこに所属するかで門前払いをすることはない。中には公務員からの相談も
あるかもしれない。
○例えば、府庁内部で(こうした問題に対する)相談窓口というのは周知されているのか。
●どこまで徹底されているかは別として、周知はされている。
○一般企業における対策の進み具合だけでなく、まず足元を正す意味で、大阪府庁内部に
ついてチェックが必要ではないかと思う。
○各部局で、防止マニュアルの配布や研修の実施など、セクシュアル・ハラスメントを
防止する対策がとられているか確認してはどうか。
○基盤整備など対策の推進対象として、NPOや市町村が挙げられているが、例えばセク
ハラが一番起こっているのは企業であるので、そうした文言を入れられないか。企業に
対する指導も行政の役割ではないかと思う。
●これも項目の立て方の問題だが、セクシュアル・ハラスメント防止に向けた企業に対す
る働きかけは前回の部会で取り上げた労働分野に入っている。

<7 女性の生涯にわたる身体的・精神的な健康の確保>
○この分野も非常に多岐にわたる事業が行われているが、(プラン改訂時に入れた)中高
年男性の自殺などに見られる男性の問題も含め、男女共同参画という視点で施策が行われ
ているかを見ていくことが大事である。
○この分野では府民が求めているものを読み取れるような設問が府民意識調査になく、関
連指標も子宮がんや乳がんといった「女性の健康に関する受診者数等」位しか出ていない。
例えば、男性も考慮に入れた「がん」のデータや、「肺がん」に関連して男女の喫煙率
などのデータを取り上げてはどうか。
○男女共通で見られる「がん」が「肺がん」であり、女性の「乳がん」に対するものとし
ては、男性の「前立腺がん」がある。そうした受診率などを入れると男女双方を意識した
資料になるのではないかと思う。
○「健康日本21」や「健やか親子21」などの指標で男女共同参画に関係するような
指標を取り上げるのも一つである。
○医療や健康という面では日本はとても進んでおり安心だと思われてきたが、最近公立
病院でも産婦人科や小児科がなくなるなど、街中で医療を受けられないということが起こ
ってきている。例えば、女性専門外来がどれ位あるかや、地域の病院での科の欠落に関す
るような指標も検討してはどうかと思う。
○(4月から医療法改正により)助産所が連携医療機関を定めていないと開業できなくな
ったが、(その医療機関が確保できず廃業に追い込まれる助産所が出て)自分でお産の
施設を選べなくなる事態になるのではという記事があった。妊婦・子どもの医療体制を
チェックし、府民が安心できるよう情報と体制を整備する必要がある。
○大阪府には先進的に「OGCS」という産婦人科相互援助システムがある。健康福祉部
を介して、産婦人科医会ないし「OGCS」にデータを提供してもらうなどすれば、現状
や問題点が見えてくるように思う。
○「産みたいけど産めない」ということがあるが、産婦人科になかなか行けないとか、
費用が高いからなど、なぜそう思っているのか府民のニーズを把握し、それをまた施策に
結びつけていくということも大事である。
○いいことばかりではなく、試行錯誤しながら男女共同参画に向っている、今の時代の
お産に関する悩みや、お産の安全が保障されていないといった現実を表す指標を示すこと
も大事である。
○施策としても重要である、不妊治療に関するデータも入れてはどうか。
○人工妊娠中絶に関しては、数の変化は分かるが、「評価」となると中絶に対する価値観
もからみ難しい。
○年齢別にその背景を分析すると、40代以降の中絶では、男性がセックスしたいという
だけで避妊もせずにする、女性はしたくないのにさせられるといったことがあり、10代
ではもう少し違った男女の関係があるなど、男女共同参画の問題が見えてくる。
○例えば若者に対して避妊の知識がどの程度普及しているか、その普及のためにどんな
工夫をしているかといったようなことが併せて分かれば評価もできるのではないかと思う。
○来年から事業者を主体としたメタボリックシンドローム予防のための特定健診、特定
保健指導が始まるが、これは被扶養者も対象となる。被扶養者が全て女性というわけでは
ないが、従来の働いている男性を中心とした定期的な健康診断という考え方からすれば
画期的なことである。それに企業がいかに積極的に取り組んでいくかも大事なことであり、
(評価の際)指標として入れていってはどうかと思う。
○全体を通してだが、「大阪府子ども条例」が制定されたので、その中に男女共同参画の
視点から見ることのできるものがあれば入れていく必要がある。また、それが既に入って
いる場合は、「子ども条例」という言葉を使って評価をして欲しい。もう1点は、今回
NPOという言葉がよく出てくるが、NPO活動そのものを良い、悪いと評価するのでは
なく、NPO活動を支援する、NPOが活動しやすい環境をつくるという観点で評価を
お願いしたい。


3 閉 会

配布資料:男女共同参画施策の検証・評価の基準(視点)について(案) 

このページの作成所属
府民文化部 男女参画・府民協働課 男女共同参画グループ

ここまで本文です。


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