第14回 大阪府広域自治制度に関する研究会開催結果 概要

更新日:2016年8月17日

  • 日時:平成20年12月1日(月曜日)午後6時から午後7時
  • 場所:大阪府公館
  • 出席委員:
    (座長)新川達郎 同志社大学大学院総合政策科学研究科長
     山下 淳 関西学院大学法学部教授
     中井英雄 近畿大学大学院経済学研究科長
     玉岡雅之 神戸大学大学院経済学研究科准教授

1 開 会

● 挨拶

(企画室参事)

  • 昨年8月に発足をいただいた当研究会も、本日が最後の会合となる予定。お忙しいなか、ひとかたならぬ御支援と御協力をいただいたことに改めて感謝申し上げる。
  • 先日、大阪府では「大阪発“地方分権改革”ビジョン」の素案を公表した。これは地方分権改革の意義と、今後、大阪府としてどのような取り組みを進めていくのかその戦略を、府民に分かりやすくアピールするために取りまとめたもの。そのなかで、大阪府の目指す将来像のひとつとして、平成30 年には関西州を実現するということが示されている。
  • また、日々の政局の動きに目立たないが、政府・与党では道州制基本法の制定に向けた検討を急ぐとの動きも出ている。
  • こうした動きに沿って、今後、大阪府として関西州の具体的な姿を検討していくことも考えられるが、その際、この最終報告を是非理論的な支柱にしたいと考えている。
  • さて本日は、いよいよ「最終報告」の取りまとめをいただく予定。前回の会合でいただいたご意見・ご指摘、さらには意見公募や庁内から寄せられた意見なども踏まえ、前回お示しをした案にさらに加筆修正したものを用意させていただいた。なお至らぬところもあると存じ上げるので、ご意見やご指摘をいただきながら成案としていただきたい。
  • それでは、座長の新川先生に議事を引き継ぎたい。よろしくお願い申し上げる。

2 議 事

● 最終報告(案)について

(事務局)

⇒ 最終報告(案)および同ポイント、同付属資料、最終報告(案)に対する主な意見と研究会としての考え方について説明。

(座長)

  • それではご自由に議論いただきたい。

(中井委員)

  • 事務局からの説明にあったが、付属資料に鳥取県のデータが追加されている。この理由は?

(事務局)

  • 新しい高速道路が間もなく開通するため、鳥取県から大阪府までの到達時間が非常に短縮される。また、以前から鳥取県の農産物の取引先として大阪府の占める割合が高いため、鳥取県は関西との関係をより密接にしたいという考えを持っている。これらに加え、鳥取県は近畿ブロック知事会議に加入、あわせて関西広域機構にも加入をした。
  • 今、関西広域連合の発足に向けて、その組織をどうするか検討中である。鳥取県に関しては当初からの参画は困難かもしれないが、参画に向けて積極的に検討するという回答を得ている。そういった経緯から、関西2府8県のデータとしてお示しをした。
  • ただ、道州制を想定したときに鳥取県が、関西のブロックに入るという判断をした訳ではない。

(中井委員)

  • 関西経済連合会では、近畿2府7県3政令市で産業・経済の活性化に向けた取組みがなされてきたが、そういう所に鳥取県が参画するという認識でいいのか。

(事務局)

  • そういう理解になる。

(山下委員)

  • 鳥取県に加えて徳島県も関西広域連合に参画するとしても、道州制が具体化してきた時に、鳥取県や徳島県がどこのブロックに入るかは別の話だと思う。

(座長)

  • 福井県や三重県もどのブロックに属することになるかは微妙である。

(事務局)

  • 関西広域連合の設立に向けた基本的な考え方を本年7月に取りまとめているが、福井県と三重県は関西広域連合の加入について、回答を保留している。その理由は、関西以外の他の圏域との繋がりも強いためということであった。

(山下委員)

  • 国土形成計画での福井県と三重県の扱いはどうなっていたか。

(座長)

  • 福井県は北陸地方、三重県は中部地方に属している。
  • 三重県は鈴鹿山脈を基点に西と東で分割するほうがいいと思う。人の繋がりが全然違う感じがする。

(中井委員)

  • 福井県も嶺南地方と嶺北地方に分けられている。

(座長)

  • 福井県は京都府や滋賀県との結びつきの方が強い。

(事務局)

  • 福井県の市外通話で一番多い通話先は大阪府だと聞いたこともある。

(座長)

  • 大阪府から福井県までのアクセスは、在来線特急や高速道路があるため、非常に早くなった。まさに、経済圏・生活圏の広域化と言えよう。

(山下委員)

  • 鳥取県や徳島県、福井県や三重県は産業的な側面から見れば、今後どのように大阪圏と繋がるかが大きなポイントとなる。

(事務局)

  • 徳島県道州制等研究会がまとめた「‘真の地方分権時代’における‘県のあり方’に関わる研究報告書」では、徳島県にとって中四国のブロックに属する方がいいのか、或いは四国がいいのか、はたまた関西がいいのかが検討されている。また、どこのブロックに属することになったとしても、その中で徳島県が地域の発展にどのように貢献できるかがその報告書には記されている。この報告書からは、大阪府・関西に対して、目が向けられているという風に感じたが、中四国・四国・関西の3つのうち、どのブロックに属するかの判断は留保されている。
  • 徳島県の場合は、どちらにしてもこの3つのブロックの重なる地域となるため、一種の政治的な駆け引きとして3つの選択肢を示しているものとも思われる。

(山下委員)

  • 選択肢があるというのは、自己決定ができるという点で望ましい形である。

(座長)

  • 市町村を分割する話はできないが、都道府県を分割するという考え方はあるのかもしれない。例えば、鳥取県では、東側は大阪圏、西側の米子市などは岡山経済圏に近いため、西側は中国ブロックに属するという形になるかもしれない。

(山下委員)

  • 道路・鉄道を考えると、鳥取県の西側は岡山経済圏にあると言える。
  • 福井県・京都府・兵庫県・鳥取県の日本海側の連携についても考えていかねばならない。道州制を想定した場合、道州の中での大都市圏と周辺都市の関係もあれば、日本海に面した広域的なブロックのような連携も考えられることから、従来の国・都道府県・市町村といった硬い枠組みではない多層の枠組みを柔軟に作っていく必要があるのではないか。その方が、道州制がうまく機能するというイメージを私は持っている。国・道州・市町村という硬い枠組みは必要だろうが、それだけではない、色々な連携機能、仕組みは必要だろう。

(座長)

  • 山下委員がおっしゃったように、日本海側とか太平洋側とか、或いは中山間地域などの特性にあった、国・道州・市町村という枠組みではない中間階層的な仕組みを考える必要がある。また、こういうところが調整機能を果たすことは非常に大切である。

(山下委員)

  • そういう中間階層的な仕組みをうまく作れないと、基礎自治体への比重が大きくなりすぎる。基礎自治体の比重が大きくなりすぎると、道州の市町村に対する関与が大きくなるかもしれない。そうなれば、結局のところ、道州制により空間的なスケールは変えることになるが、中身としては従来型のガバナンスの再生産になってしまう。それは避けなければならない。

(座長)

  • 特に気になるのは、人口密度が希薄で面積の広い自治体である。このような小規模自治体は今後取り残され、自治体運営が成り立たなくなる可能性がある。そうすると、市町村自治が成り立たない状況となるが、それでもその地域に住み続ける人たちに対しては、中間階層的な仕組みの中で対応していくことも考えておかねばならない。

(中井委員)

  • 他府県についてもこれから、我々と同じような研究会を発足し、報告書を作成することになると思うが、今の段階で大体どれくらいの都道府県で、道州制に関する報告書をまとめているのだろうか。

(事務局)

  • 正確な数字ではないが、2から3割程度ではないだろうか。関西では、滋賀県が前知事の時代に道州制に関する報告書をまとめている。導入には消極的な意見であったが・・・。京都府は、位置付けは若手職員の研究会という形であったが、かなり誠実で綿密な検討をされていた。大きなところでは、愛知県・神奈川県が報告書を出している。
  • 大分県は、経済界、労働界などを含めて非常に多くの参加者を集め、道州制で想定されるメリットやデメリットを報告書に纏めようとしている。また、大分県の場合は、地元のメディアにしても地方の交通会社にしても県単位の組織が多いため、そういう方面からは不安の声が強いというか、デメリットを指摘する声があがっている。例えば、県単位の地方紙となっている大分合同新聞の関係者からも否定的な意見が出ている。
  • 秋田県は、今の知事が道州制に熱心な方であるため、研究は続けている。

(中井委員)

  • この研究会の最終報告が世に出れば、他府県でも同じような報告書を出し始める可能性がある。大阪府だけが道州制について検討するのではなく、他府県も同じように考えることが重要である。

(山下委員)

  • 道州制の話が具体化するまで時間が掛かるため、一度研究会を立ち上げて報告書を出せば調査・研究は終わりということではいけない。大阪府も現時点での考えを示したに過ぎないため、何年かすればもう少し踏み込んだ議論をしなければいけない。

(座長)

  • 関西の中心である大阪府が報告書をまとめる意味は大きい。次のステップとしては、大阪府が道州制の議論を進めていく上で、他府県や政令市の調整をいかに行うかである。

(中井委員)

  • 今回取りまとめる報告書は、他府県から批判を受けても構わないと思う。この報告書のいい所や悪い部分を参考に、また諸外国の事例などを含めて他府県が道州制について更に議論を深めてくれれば、それだけで報告書をまとめた意味はあると思う。

(玉岡委員)

  • 大阪府が道州制に関する報告書を出すことに大きな意味がある。これにより近隣の府県が影響され、議論が深まることに期待したい。
  • また、道州制の一番の魅力は、道州が地域の実情に応じて自由な施策を展開できることにあると思う。また、必要があれば、色々なレベルの自治体や人が集まって話し合いができる。いわゆる協議の場を設けることによって、制度の微調整が容易に図られる。このような仕組みを報告書の中で示すことができたのは、非常に大きいことであると思う。

(山下委員)

  • これまで道州制の議論を行ってきた訳だが、事務配分とか政府間関係の話などは道州制に限った話しではなく、今の国と地方のあり方においても言えることである。仮に、道州制が実現できなくとも、これまで議論してきたようなことを基本に、政府間のあり方を考えていけばいいだろう。
  • また、それぞれの自治体がビジョン・戦略をしっかり打ち出さねばならない。道州制について、大阪府としてどのように考えるかを明確に示すことは重要なことである。また、大阪府の意見について批判もあるだろうが、批判をするということはそれぞれの自治体が道州制について明確な考えを持っているということの裏返しにもなるため、お互いがビジョンを持って道州制について議論することは非常に重要である。それぞれの自治体が考えを出し合わなければ、生産的な議論には繋がらない。
  • 叶うなら、各府県が連携して道州制について検討するような組織が出来ればいいと思うが、それぞれの思惑等もあり、なかなか纏まらないというのが実際のところだろう。故に、関西経済連合会などに音頭をとってもらうなど、第三者的な機関に各府県の考えをヒアリングしてもらい、その上で分析してもらうということも必要ではないだろうか。各府県によって道州制導入に関して温度差があるが、そういうものを整理・分析する必要もあるだろう。それを、各府県にフィードバックすればいい。

(中井委員)

  • 私は、関西の各府県が道州制に関する報告書を出すべきだと思う。

(山下委員)

  • 道州制に対する考え方は各府県でそれぞれ違いがあると思うが、現行の都道府県制でいいと思うのか、はたまた広域的な連携でいいものなのか、その考えを明確にまとめてもらわないと議論ができない。今後は関西の各府県が戦略を持った上で、道州制について活発な議論が行われるよう期待したい。

(座長)

  • 各委員から様々な意見が出されたが、本日お示しをしたものを我々の研究会の最終報告とさせていただきたいと思う。

(各委員)

  • 異議なし。

●本日をもって、会合は終了。

このページの作成所属
政策企画部 企画室連携課 連携グループ

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