第9回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料1

更新日:2016年8月17日

大阪府広域自治制度に関する研究会
第8回会合 (H20.4.28) 論点整理

1 国・道州・市町村の役割分担について

(1)事務区分の概念

≫ 国の地方に対する関与を極力小さくするという観点から、国の事務を「国の専管事務」と「法定受託事務」、
 地方の事務を「全国共通事務A及びB」と「地域振興事務」に区分することはできないか。
  • 抽象的に事務の区分を設けたとしても、国が法律で区分を自由に変更できるようなら、
    地方の自主・自立的な行政運営は制約される。
    それぞれの事務区分について実態的なメルクマールを作り、
    さらに事務区分を変更するための立法手続(新たな事務を区分するための立法手続)について、
    地方の意思が反映されるような仕組みが要る。
  • 全国共通事務に区分されたものでも、実際の法律の規律密度は分野によってかなり違いが出てくる可能性がある。
    全国共通事務をA とB に分けるのではなく、基本的には法律の規律密度を極力下げることを目指すほかないのではないか。
  • 国の専管事務は限定列挙しておいて、これを国の立法行政の専管と位置づける。
    それ以外は地域振興事務であって、国は立法もできないということを原則とし、地方の立法と行政に委ねる。
    法定受託事務と全国共通事務はその中間に位置し、決定に関しては例外的な対応となる
    (=一定のロジックが必要)。
≫ 法定受託事務という区分は必要か
  • 法定受託事務を残すなら、全国共通事務のA とB を分ける必要はない。
    A とB の違いは国の介入の程度の差であるが、道州制の議論の前提として、
    内政については地方が一貫して担うという原則を変えてはならない。
  • 全国共通事務において、統治機関としての国の関与(注)を認めると、
    法的拘束力のある基準や手続を国に決められてしまう。
    国の関与をどの程度まで抑えるかで事務の整理を行った方がよいのではないか。
    その意味で法定受託事務をなくすことはできないか。
⇒ 国のあり方と法定受託事務の区分について、再度検討する。
(注) 国の関与、国の法律による規律を考える場合の「国」には、
(1)単に中央レベルの統治機関としての国と、
(2)国権の最高機関としての国があって、
その両方を考えなくてはならないことが議論を複雑にしているのとの指摘があった。
下記の全国共通事務の執行基準や執行手続を「国会」が定めるとする場合は、主に(2)を想定している。
≫ 全国共通事務の執行基準、執行手続をどのように定めるのか
  • (1)地方のレベルで協議会を作り、広域的な共通条例を制定する。
    道州間の横の連携で同じ内容の条例を作って対応していく。
    (2)国会の立法に委ねる、の2つの選択肢がある。
    後者の場合、国と地方の協議の場を設けることはあり得る。但し、憲法上の議論が残る可能性。
  • EU 指令に基づいて各国が政策の共通化を図るようなイメージで、道州間で共通条例の制定ができるのではないか。
    そのための手続を骨格法で定めておくことも考えられる。
  • 全国共通事務にすべきか否かという判断を行うときは、国会での立法手続を予め決めておく方がよい。
    全国共通事務については、国会が立法してよい部分といけない部分を決めておくことが望ましい。
    全国道州の協議会と国会の対話の場があって、
    そこで同意できたもののみについて全国共通事務として立法化するといった条件も必要ではないか。
⇒ 全国共通事務を国の法律で規律すべきか、道州間の横の連携で決めるのかは今後も検討。
≫ 外交や通商であっても、必ずしも国の専管事務と位置づけられないのではないか。
  • 外交や通商の一部も道州の事務と考えていくことができる。

(2)道州と市町村の役割分担

≫ 市町村にも全国共通事務があって、それは国の法律で決めるのか、それとも市町村の役割は道州の立法で決めるのか
  • 市町村の役割を道州立法(条例)で決めるというのは、却って(市町村の)自治に反する形になるのではないか。
  • 事務区分をするのは中央レベルの統治機関としての国ではなく、中央と地方を含めた国権の最高機関として、
    国会が行うべきであるが、具体的な手続きを考えると非常に複雑になってしまう。
  • わが国の市町村は国際的に考えて、企画立案能力・事務処理能力ともに非常に優れている。
    道州制導入の基本的な考え方として、市町村ができる事務は全て市町村が担うということがなければならない。
  • 道州の位置づけは、市町村中心主義的な考えからいえば、現在の府県のような中二階の存在ではなく、
    もっと国に近い、地方的な行政はほとんど行わない、市町村にとって軽い存在をイメージすべき。
  • 市町村に対する関与という考え方よりも、市町村間の調整や道州間の調整をどのようにするのか、
    その際に広域でどのような組織を形成するのかが基本的な論点となる。
⇒ 市町村ができることはすべて市町村が担う、道州はできるだけ市町村に対する関与は行わないことを基本に、
 道州と市町村の関係については再整理する。

(3)道州導入によって想定されるメリット

≫ 河川管理、産業振興、社会保障の3分野を想定。特に社会保障について、
  • 生活保護、雇用施策、国民健康保険の3つの柱を例に挙げてもらっているが、
    この3つの柱を如何に取り払うことができるか、
    道州制の導入によってどのような総合政策が可能となるかが最大のポイントである。
  • ナショナルミニマムの確保を国の責務と考えているが、この3つの政策の枠を超えた総合行政を目指すなかで、
    国が基準を決定しているようでは、その妨げになるのではないか。
  • 単純に国家保障のみを考えるのではなく、自助努力や地域での相互扶助など、
    行政以外の地域資源を含めた「社会」保障という観点から、どのような取り組みができるのか考えてみる必要がある。

このページの作成所属
政策企画部 企画室連携課 連携グループ

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