第5回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料3

更新日:2016年8月17日

道州制導入に係る主な課題(論点)

1 住民自治の確保

  •  相当広域な区域をもつ道州は、政策決定の主体が住民から見えにくく、また、国に近い存在となるため、道州の運営を住民がどのようにコントロールできるか不透明である。したがって、住民自治の点からみて、憲法が謳う地方自治の本旨に即した地方公共団体であるかどうか疑問である。

〔自民党道州制調査会 道州制推進小委員会 兵庫県知事提出資料(H19.3.14))

  • 道州制は、単に現行の都道府県の区域を拡大するのではなく、国・広域自治体・基礎自治体の役割分担を体系的に見直し、現在、国が担っている事務を広域自治体である道州に、都道府県が担っている事務を基礎自治体である市町村にという形で、住民により近い行政主体が担うことによって、地域における政策形成過程への住民の参加を拡大させる方向で検討がなされるべきものと考えている。

〔大阪府議会 総務常任委員会 企画室課長答弁(H19.10.10)〕

 〔論点〕

○ 現在の都道府県域をはるかに越える広域自治体を想定することは、住民自治の観点から問題があるのか。
  • 面積が広大になること自身が、直ちに住民自治を損なうことにはならないのではないか。
○ 国から地方への権限移譲、広域自治体から基礎自治体への権限移譲を進めることにより、
行政に関する決定の場をより住民に近づけるという側面があるのではないか。
○ 道州制の導入に伴い、住民自治を確保するため従前とは異なる制度・方策を検討する必要があるか。
  • 旧府県を区域とした地域協議会や支庁の設置
  • 直接民主制的な手段の拡充・強化
  • 議会の構成、選出方法等の検討 など

  • 各地域の実情を反映した行政を進めるならば、現在の府県単位で「支庁」を置かざるを得ない。この場合、支庁の長を任命制にすると、住民自治の観点から問題があり、逆に公選とすると、道州−支庁−市町村という実質三層制の地方自治制度となってしまう。

〔自民党道州制調査会 道州制推進小委員会 兵庫県知事提出資料(H19.3.14))

〔論点〕

○ 道州内分権を徹底するためには、旧府県や旧の国を単位とした地方機関を設置し、
同時にその地方機関に民主的なコントロールが及ぶ仕組みを設ける必要があるのではないか。
  • 道州の役割を広域的な行政課題への対応に純化していくなら、
    必ずしも地方機関の設置を要することにはならないのではないか。

2 国のあり方

  • 役割分担の明確化に当たっては、事務の管理執行を担っている「地方支分部局」の廃止は当然のこと、企画立案を担っている「中央省庁」そのものの解体再編を含めた中央政府の見直しを伴うものでなければならない。

〔全国知事会「道州制に関する基本的考え方」(H19.1.18))

  • 国の役割が限定され、国から道州への抜本的な権限移譲が行われることに伴い、政府機関の再編整理や国会の機能の見直しについての検討も必要となるが、そこまで踏み込んだ議論が行われるのか疑問である。

〔自民党道州制調査会 道州制推進小委員会 兵庫県知事提出資料(H19.3.14))

〔論点〕

○ 国と地方の役割分担を明確化し、国の役割を純化・重点化した場合、それに伴い立法府のあり方、
中央省庁の解体再編、地方支分部局の廃止を含めた国の組織・機構のあり方をどうするのかが、
具体的に示されねばならないのではないか。
  • まずは国の役割、特に内政においてなお国が果すべき役割を明確にすることが必要になるのではないか。
○ 地方が担う事務について、国法に大綱的・原則的な定めを行う、全国一律の基準を設けるなど、
国が一定の役割を果す場合、国の意思形成に地方の意見を反映するための仕組・組織が検討されるべきではないか。
  • 国と地方代表による常設の協議機関の設置や参議院改革も検討されるべきではないか。
○ 中央官庁は、国本来の事務として引き続き業務を担うものや、地方が担う事務の枠組・大綱を定める
企画立案機能を担うものを除き、解体されるべきではないか。
  • 地方が担うとされている事務において、なお国が担うべき企画立案機能とはどのようなものか。
○ 国の地方支分部局は、国本来の事務として引き続き業務を担うもの以外は廃止されることになるのではないか。
○ 国の役割を純化・重点化するということは、その意思形成を担う国会のあり方(構成、機能、選挙制度など)
も大きな見直しを必要とするのではないか。
○ 都道府県の廃止、中央省庁の解体再編や国の地方支分部局の廃止に伴い、
道州への移籍を中心に公務員の異動が生じると考えてよいか。
  • 道州の公務員は道州毎に採用・配属を行うと考えるべきか。
    道州間で一律採用し、専門性や経験に応じて道州を渡り歩く制度を検討すべきとの意見もあるが、どのように考えるべきか。

3 道州内での一極集中

  • (道州制の課題として)
    􀁸 各地域のアイデンティティが消失し、九州全体が画一化する。
    􀁸 道州内の過度の一極集中により、地域間格差が拡大する。
    􀁸 TV局、新聞社、地域金融機関、交通など県単位で事業を展開している企業が、再編統合の動きにさらされる。

〔第12 回道州制ビジョン懇談会 芦塚日出美氏提出資料(H19.11.28))

  • 「道州制が導入されれば、本県の場合、地域を代表する議院の数を試算しますと、例えば関西州では数人になってしまいます。それから北陸州でも十数人に減るというようなことになりますと、福井の県民益をどこで主張するのかということがあり得ると思います。(中略)さらに、道州みずからの税収だけで財政需要を賄おうとすれば、道州間の格差だけではなく、州都への一極集中による道州内の格差まで生じるのではないかと思います。」

〔福井県議会 平成19 年6月定例会 西川知事答弁(H19.6.26))

〔論点〕

○ 道州制の導入は、州都への一極集中をもたらすと考えるべきか。
  • 道州内の均衡ある発展を目指すよりは、むしろ各地域がそれぞれの個性と特徴を活かし、自らの意思と責任で豊かさを追求するということが基本となるのではないか。
  • 各地域が個性的な街づくりを促進することで、道州内の一極集中を抑止することができるのではないか。
○ 関西においては、特徴ある3つの都市が連たん・重なり合いつつ中枢機能を担っているが、
道州制下においては各都市が個性を活かし、適切な役割分担を行うことが適当ではないか。
  • 港湾機能、経済機能、研究機能、政治機能など都市ごとに機能を分かち合うような戦略が必要ではないか。
○ 過疎地域への対応においても、少子高齢化が進む条件下では、
中核となる地方都市を中心とした振興や集積(コンパクトシティ)も検討せざるを得ないのではないか。

このページの作成所属
政策企画部 企画室連携課 連携グループ

ここまで本文です。


ホーム > 府政運営・市町村 > 政策 > 地域主権の推進 > 第5回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料3