大阪府広域自治制度に関する研究会 第4回会合 資料5

更新日:2016年8月17日

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道州制下における大都市制度に関する主な提言、主張

指定都市市長会「道州制を見据えた新たな大都市制度の在り方についての提言」
(平成18年1月)

○現行の大都市制度(指定都市制度)の問題点

  • 指定都市が地方自治法や個別に基づき、特例として行っている事務について、十分な財源措置がなされていない。
  • 一般の市町村と同一の制度を適用されており、都市圏の中枢都市としての固有の行政需要に円滑・効果的に対応できない。
    (指定都市への事務配分が、各行政分野において関連する事務を一体的に配分するものとなっておらず、また道府県による様々な関与が残されている。)
  • 同じ指定都市でも、それぞれの都市圏における役割や産業構造、人口構成等に差異があるにも関わらず、全国一律の画一的な事務配分がなされている。
  • 道府県との間で「二重行政」が生じている。(道府県が、その域内全体を対象に実施している事務が、行政能力を有する指定都市が同様の事務を実施しているに関わらず、指定都市の市域に及んでいる。)

○大都市制度の対象とすべき都市

  • 同じ大都市でも、それぞれの都市圏における役割等に差異があるため、制度化にあたっては弾力的な制度にすべき。

○大都市と道州の役割分担

  • 都市基盤の整備・管理など大都市特有の行政需要への対応を含め、すべて一般的・網羅的に指定都市の事務とし、かつ、当該事務については道州の関与を一切設けない。
  • 道州の事務は、広域自治体として担わなければならない広域事務及び連絡調整事務に限定。
  • 府県から指定都市に移譲されるべき事務の例
    (1) 府県営住宅の設置・管理
    (2) 都市計画に係る全ての許可・監督・決定
    (3) 府県立高等学校の設置・運営
    (4) 一級河川・二級河川の管理
    (5) 府県立公園の管理(大規模なものを除く)
    (6) 医療計画の策定
    (7) 旅券発給申請の受理・交付
    (8) 職業訓練・能力開発
    (9) 土地収用委員会・労働委員会の設置・運営
    (10) 交通規制、風俗営業、街頭犯罪などに係る警察
  • そのほか商店街の活性化や中小企業振興など、現在、府県と指定都市が重複して実施している事務も、指定都市に一元化する。

○大都市と道州との関係

  • 高度な行政能力を有している指定都市は、原則として道州の補完を必要とせず、指定都市の事務に関する道州の関与は設けない。
  • 道州と指定都市の事務の重複を回避するため、指定都市の区域内で道州が本来担うべき事務(広域事務、連絡調整事務など)以外の事務を実施することを禁止するなどの仕組みを設ける。
  • 道州に対し指定都市の意向を反映させるため、道州に対する意見提出権の付与や道州議会に指定都市代表の参画を求める。

○大都市の税財源のあり方

  • 道州制の導入に伴う税財政制度の大幅な再編についての議論は避け、現在の府県が実施する事務事業のうち、本来、指定都市が実施すべきものについて特例税制(税源移譲)を検討。
  • 基幹的な税目で、都市的な税目(消費流通課税、法人課税)であり、また複数税目による移譲を提案。

○大都市内の行政主体、分権

(言及なし)

○大都市の区域を越える課題への対応

  • 大都市圏域における広域的な行政課題については、すべて広域自治体が対応すべきとするのではなく、大都市を中心とした基礎自治体間の連携による対応が検討されるべき。

○「大都市州」の設置

  • 大都市が一般の道州から独立する「大都市州」の設置については、広域的な課題に対応するための道州と大都市州の連携システムの可能性や、「いかなる制度によれば住民主導・住民本位の自主的かつ総合的な行政運営が可能となるか」という観点から、さらに検討すべき。

東京都自治制度懇談会「議論のまとめ」
(平成18年11月)

○現行の大都市制度(指定都市制度)の問題点

  • 大都市経営の意義、範囲及び主体の考え方について、明確な規定がない。
  • 指定都市制度は、人口要件、基礎自治体と広域自治体の役割分担や関与等を定めているに過ぎない。
  • 都区制度は、大都市における行政の一体性・統一性の確保といった観点から、都と区の役割分担の原則を定めているだけ。
    *「大都市経営」:大都市の安全性、機能性及び快適性を維持向上させるために、その地域の行政課題を総合的・一体的に解決することによって、集積のメリットを効果的に発揮し、集積のデメリットを効率的に解消していくこと

○大都市制度の対象とすべき都市

  • 大都市経営が必要な範囲である高度集積連たん区域
  • 首都圏に道州制を導入する場合、総合的・一体的な大都市経営はどこがどのように行うことが望ましいか、今後、要検討。
    (首都圏は、ひとつの生活圏・経済圏のなかに、4つの指定都市と、東京圏において大都市経営が必要な範囲が連たんしているという特殊性がある。)

○大都市と道州の役割分担

  • 首都圏の広域的課題を適時効率的・効果的に解決することが、道州に期待される役割。
    (道州内の指定都市との役割分担については記述なし)

○大都市と道州との関係

(記述は、道州と基礎自治体の2層制が前提)

○大都市の税財源のあり方

  • 大都市には、基幹的な交通ネットワークや物流拠点等の都市基盤整備など、人や企業が集中・集積し経済活動を行うことで生ずる膨大な大都市需要があることから、法人に対し応分の負担を求める必要がある。
  • 固定資産税は、資産保有と大都市経営による行政サービスとの間の受益関係に着目し、応益原則に基づき課税されるものであるから、大都市経営の財源とすることが適当。
  • 広域自治体が大都市経営を行う場合は、固定資産税や市町村民税法人分などについて、基礎自治体と課税標準を共有し、役割分担や事務配分に応じて税率を決めることなどが必要。

○大都市内の行政主体、分権

(現行の都区制について)

  • 大都市経営の分野については、市町村優先の原則によらず、都が大都市経営に一義的に取り組むべき。
  • 大都市経営に必要な事務、広域自治体として都が行わなければならない事務以外は、できるだけ区へ移管。
  • 特別区の再編統合の利害得失を検討すべき。
  • 高度集積連たん区域が特別区全体の区域を越えて周辺にまで拡大している現状を踏まえ、都区制度の適用区域の拡大を検討することも必要。

○大都市の区域を越える課題への対応

  • 大都市経営が必要な範囲である高度集積連たん区域
  • 首都圏に道州制を導入する場合、総合的・一体的な大都市経営はどこがどのように行うことが望ましいか、今後、要検討。(再掲)

○「大都市州」の設置

  • 道州を東京都やその一部の区域に限定すると、ひとつの生活圏・経済圏を分断することになり、広域的な課題の解決ができず、道州制導入の意味がない。
  • 一部の区域を切り取って国の直轄地域とするようなことは、地方自治を否定する行為であり、容認できない。(再掲)

名古屋市総務局「道州制を見据えた『新たな大都市制度』に関する調査研究報告書」
(平成19年2月)

○現行の大都市制度(指定都市制度)の問題点

  • 一般の市町村と同一の制度を適用
  • 地方自治制度のなかで大都市の位置づけや役割が不明確
  • 特例的・部分的で一体性・総合性を欠いた事務配分
  • 府県との役割が非常に曖昧なため生じている二重行政・二重監督の弊害

○大都市制度の対象とすべき都市

  • 名古屋市のように規模能力が高く、それぞれの圏域の中枢都市としての役割を担っている大都市については、特別の措置を講じ、道州との関係をより独立性の高いものとすべき。
  • 大都市と道州との二重行政や二重監督の弊害を避けるため、地方自治制度における大都市の要件や果たすべき役割等を法律に明記し、法律の理念に即して具体の事務を配分すべき。

○大都市と道州の役割分担

  • 大都市の区域内においては、道州の補完を要しない。
  • 真に道州が担わなければならない広域事務及び連絡調整事務以外は全て大都市の事務とし、そのための事務権限を包括的に(特例的・部分的ではなく)移譲すべき。
  • 大都市と道州との二重行政や二重監督の弊害を避けるため、地方自治制度における大都市の要件や果たすべき役割等を法律に明記し、法律の理念に即して具体の事務を配分すべき。(再掲)

○大都市の税財源のあり方

  • 現行の市町村税制は都市的税目に乏しく、大都市特有の財政需要に見合う税収が確保できない仕組みとなっている。都市税源である法人所得課税や消費流通課税などの配分割合を拡充することが必要。
  • 大都市に対する画一的な市町村税制の適用を改め、大都市の役割分担に見合った自主財源を、地方税を中心に保障する制度を創設すべき。

○大都市内の行政主体、分権

  • 今後の課題

○大都市の区域を越える課題への対応

  • 名古屋市を含め、大都市の中でもとりわけ規模能力及び中枢機能の高い大都市にあっては、法制化または道州との協議により、実質的に一体性を形成している都市圏に対する広域調整機能を付与し、他の市町村との水平連携により、大都市問題を主体的・総合的に解決を図ることのできる仕組みを創設すべき。

○「大都市州」の設置

  • 道州制が導入された場合の「新たな大都市制度」のイメージとして4パターンを例示。
    (但し、現行制度において、府県に近い権限と財源をもつ「スーパー指定都市」を実現することが前提)
    (1)スーパー指定都市:現行の指定都市制度を維持しつつ、大都市特例を強化
    (2)新特別市:法律で特別市(但し、道州の区域に包含される)に指定、道州との役割分担を明確化
    (3)グランド名古屋:(2)に加え、都市圏に対する広域調整機能を付与
    (4)尾張名古屋州(都市州):旧尾張国を対象に、道州から独立した都市州を創設

大阪市 大都市制度研究会
「新たな大都市制度のあり方に関する報告」(平成15年8月)
「新たな大都市制度のあり方に関する報告2」(平成18年3月)

○現行の大都市制度(指定都市制度)の問題点

  • あくまでも特例としての制度であり、大都市の事務・権限は包括的・特例的なものとなっていない。
  • 全国画一的な制度であり、大都市の多様性に対応し、各都市がその特性を十分に発揮することが難しい。
  • 一般市町村と同じ税制が適用され、都市の経済活動を反映する法人所得課税や消費流通課税等の配分が少ない仕組みとなっている。また、府県に代わって多くの事務を行っているにも関わらず、これに対する税制上の措置が不足している。
  • 法令上、役割分担が明確ではない分野や、施設の設置・運営などにおいて府県との間に類似や重複が見られる。
  • 都市内分権の推進とその方策の検討

○大都市制度の対象とすべき都市

  • 今後とも指定都市が増加していくものと予想されることから、各都市の多様性に対応し、その特性を発揮できる制度を整備しておく必要。

○大都市と道州の役割分担

  • 大都市が、「真に広域的処理を要する事務」を除いたすべての事務を、一体的・総合的に処理すべき。
  • 「真に広域的処理を要する事務」のメルクマール
    (1) 広域的に定める必要のある基本計画、基本方針、規制基準の策定等
    (2) 基幹的・骨格的な社会資本の整備・管理等
    (3) 広域的な事業活動を行う法人等に対する指導監督、規制等
    (4) 個人に対する資格の付与等
    (5) 警察に関する事務
  • 大都市は道州に包括される基礎的自治体(2層制)。
  • 道州は大都市の区域においては、広域的な事及び指定都市から委託された事務のみを行う。
  • 指定都市は、それ以外の事務・権限のすべてを担い、道州が定めた広域的な計画・基準や広域的な調整の下で、市域内の行政を一元的に実施する。
  • 性質上、道州と市町村の双方が実施主体となる適格性を有する事務や、双方とも必然的に取り組むべき事務については、圏域の実情に応じて、道州と市町村が自主的に役割分担を決める。

○大都市と道州との関係

  • 道州が区域内の市町村に係る重要な意思決定を行う際には、市町村の意見が反映されるような新たな仕組みを導入すべき。
    (例:指定都市が都市圏を代表して、道州の意思決定に参画)

○大都市の税財源のあり方

  • 道州制の下での新たな役割に見合った自主財源を確保できる税財政制度とする。
  • 具体的な方策として、
    (1) 指定都市が市域内の地方税を一括して徴収し、道州の業務・権能に基づく財政需要に応じ、その一部を道州へ配分する。
    (2) 個別の税目の再配分、税率の変更を行う。
    などが考えられる。

○大都市内の行政主体、分権

  • 区役所を地域の総合行政機関として、一定の権限移譲や予算編成・執行の裁量権を付与することを検討。
  • 地域行政機関の政策形成に住民が参画できる仕組みの検討。
  • 但し、地域での意思決定が市全体の方針に反する場合、大都市の一体性が損なわれる恐れがあるため、制度導入には慎重な検討が必要。
  • 全国画一的な制度にはせず、各都市が実情に応じた手法を選択できるようにすべき。

○大都市の区域を越える課題への対応

  • 市町村の区域を越える事務についても、「基礎自治体優先の原則」に基づき、すべてを道州の事務とせず、可能な限り市町村間の連携に委ねるべき

○「大都市州」の設置

  • 「特別市制」は、広域自治体から独立することにより、現行制度以上に、広域的な行政課題についての調整が困難になる。
  • 「大阪州」(関西経済同友会 平成14年2月)は、実質的に役割分担の異なる大阪府と大阪市の垂直合併であり、基礎自治体の充実・強化という地方分権の考え方に逆行する。また、大阪市域外選出の議員が、市域内の意思決定を行うことになり、住民自治の観点から問題。

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政策企画部 企画室連携課 連携グループ

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