第3回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料2

更新日:2016年8月17日

道州制における税財政制度に係る論点

1.道州制における役割分担の基本的な考え方

  • 国と地方の役割分担を抜本的に見直し、現在国が担っている事務については、外交、防衛、司法など、国が本来果すべき役割に重点化し、内政に関する事務は、基本的に地方が一貫して担うこととする。
  • その際、都道府県が担ってきた事務については可能な限り市町村に移管することによって、住民や地域に身近な行政サービスについては市町村が担い、道州は市町村の区域を越える広域的な事務や高度な技術や専門性が必要な事務を担う。
  • 内政に関する事務について、道州に決定権を付与するため、国の法令の内容を基本的事項にとどめ、広範な条例制定権を確立しなければならない。

(全国知事会「道州制に関する基本的考え方」)

〔論点〕

○国の役割は外交や防衛など、国が本来果すべき役割に純化し、内政に関する事務は原則として地方が担うべきであるが、内政について、国が一切関与しないことを考えられるか。

  • 内政についてなお、国が担うべき役割とは何か。
  • 地方の役割とされた事務・事業において、国の関与(国法による規定)が認められる範囲はどこまでか。

○地方の役割とされたものについては、近接性の原理や補完性の原理の下、可能な限り市町村が担うことを基本にすべきであるが、道州と市町村の具体的な役割分担をどのように定めるのか。

  • 道州・市町村の役割分担においても、国法で規定すべきか。それとも、各道州が個々に定めるべきか。
    ⇒国・道州・市町村の役割分担は、国家全体の権限配分の問題であり、税財源の配分の基礎となるべきものであるから、国法に規定すべき。
    ⇒国の役割を限定的なものとする見地から、必ずしも国法に規定することを要しない。
    (地方の役割のうち州の役割とするものについて、州と州内の市町村が協議のうえ定め、それ以外の事項については市町村の役割とする。)
  • 市町村の役割とされた事項について、道州の条例による規定(道州の関与)が認められる範囲はどこまでか。

○ 小規模市町村への補完をどのように行うのか

  • 市町村間の水平的な補完で行うのか、これまでの都道府県同様、道州が引き続き行うのか。
  • 市町村の規模・能力の拡充を前提に、高度な技術や専門性が求められるもの、行政対象が散在しているものなどに重点化すべきなのではないか。

2.税財政制度の基本的考え方

(1)税源移譲

  • 地方が担う役割に見合った地方税収を確保するため、税体系を抜本的に再構築し、地方の課税自主権を強化する必要がある。
  • 現行の国税と地方税の税目や課税自主権のあり方を含めた抜本的な見直しを行い、可能な限り偏在性が少なく、安定性を備えた地方税体系を構築しなければならない。

(全国知事会「道州制に関する基本的考え方」)

  • 道州が地域の特性に応じ、自己決定と自己責任のもとで政策展開できるよう、国と地方の役割分担に応じた、自主性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならない。
  • 地方の役割に見合った地方税収を確保するとともに、自立性が高く偏在性の少ない地方税体系を構築するため、国と地方の税源配分を抜本的に見直し、国から地方への大幅な税源移譲を行う。

(全国知事会 道州制特別委員会 税財政制度PT中間とりまとめ案)

〔論点〕

○地方の自主的・自立的な行政運営を可能とするよう、地方税を中心に、地方が担う役割に見合った安定的な財源を確保する必要がある。このため、政策誘導を目的とした補助金は原則廃止するとともに、現行の国と地方の税源配分を抜本的に見直し、国から地方への大幅な税源移譲を行う必要があるが、地方の税源は如何にあるべきか。

《道州の税源》
・道州が、圏域を単位とする主要な社会資本の形成や広域的な見地からの環境保全、地域経済政策や雇用政策に軸足を置くことから、道州の税源については不特定多数が広く負担し、地域的な偏在性の少ない消費税を中心とすべきか、それとも、応益性のより明白な法人2税のような税を中心とすべきか。
・道州の担う地域経済政策の目的が雇用の確保にあると考えた場合、応益性の観点から道州は個人の所得課税を中心にすべきではないか。
《市町村の税源》
・市町村が、住民に身近なサービスを総合的に担うことから、市町村の税源については安定性を重んじ、景気の変動にあまり左右されない消費税を中心とすべきか、それとも応益性を重視して、住民税や固定資産税のような資産課税を中心とすべきか。
《国の税源》
・国は外交、防衛、司法など国本来が果すべき役割を担うこととなるが、これらの行政需要は景気の変動と整合するものではないので、国も消費税のような安定した税源を必要とすることになるのではないか。
・標準的な行政サービスは標準的な納税によって享受できるとの観点から、累進的な課税による財源は国へ配分され、国家的な見地から使われるべきではないか。
・日本国を単位とする単一市場の形成によって、企業の利益(便益)が支えられているとすると、企業(法人)課税を中心に国の財源を考えるべきではないか。

○地方の課税自主権の強化は必要であるが、一定の課題や限界があるのではないか。

・地方の課税自主権強化は、どのような条件下で認められるのか。
 ⇒全国の円滑な物流を妨げるような地方税の導入は、好ましくないのではないか。
 ⇒仮に南関東州のみ高い消費税率を導入したとすると、日本の3割近くを占める消費市場に影響を与えることとなり、国の経済政策とも齟齬を来たすのではないか。
 ⇒地方自治体間の税負担の格差はどこまで認められるのか。

(2)財政調整

  • まずは現行の地方交付税を地方固有の財源として明確に法的に位置づけ、その総額や配分方法については、国と地方において決定する仕組みの導入を検討しなければならない。
  • 全てを国と地方の垂直的な財政調整で賄っている現行方式に加え、国からの関与や依存度を縮小するという観点から、一部について、道州間で主体的に財政調整を行う水平的な調整の仕組みを併用することも検討しなければならない。

(全国知事会「道州制に関する基本的考え方」)

  • 国から地方への税源移譲に当たっては、税源の偏在是正が不可分であり、道州制においても、道州間の歳入を一定程度均等化するための財政調整が不可欠。
  • このため、道州間の人口、人口規模、面積の違いなどを考慮した新たな財政調整システムを構築する。
  • 但し、国の地方に対する義務付けや関与を廃止(大幅に縮小)することや、国から地方への大幅な税源移譲を行うことから、財政面における国の関与は大幅に縮小することになる。

(全国知事会 道州制特別委員会 税財政制度PT中間とりまとめ案)

〔論点〕

○地方が自己決定と自己責任の下、その役割を果すことができるよう自立性の高い税財政制度を構築することが必要であり、財源については地方税を中心に、安定した偏在性の少ないものとなるよう制度設計をすべきである。

○その上で、なお財源配分に偏在性が残り、道州(市町村)によってはその最低限の役割を果すのに支障をきたす部分については、財政調整制度で補う必要があるのではないか。

○財政調整制度を設ける場合、国の一方的な意思決定や政策誘導的な交付を排除できるよう、地方の自主性・自立性に基づくものでなければならないが、その具体的なあり方をどのようにすべきか。

《財政調整制度のあり方》
・そもそも道州制の目的が経済的に自立した圏域を全国に形成するということであれば、道州間の財政調整制度を必要としないシステムを目指すべきではないのか。
・財政調整制度の前提となる「全国どの地域においても道州(市町村)が担うべき最低限の役割」をどのように定めるのか?
・それが徒に肥大することになれば、各道州の自立的な経済発展への努力(インセンティヴ)を損なうのではないか。
・受益と負担の関係がひとつの区域で完結しない要素(例:森林のCO2吸収機能や水源保全機能など)について、財政調整のなかでどのように考えるか。
《調整財源のあり方》
・調整財源を国税を中心に求めるのか、特定の区域に偏在する税収に求めるのか。
・徴税機能を道州に一元化し、国庫には道州から一定額を納付するという制度を想定すれば、全く新しいシステムを考えられるのではないか。
《市町村間の財政調整のあり方》
・道州内の市町村間の財政調整については全国で統一して行うのか、それとも、各道州が独自に行うのか。
・各道州が独自に行うとして、調整には道州が関与するのか、市町村間の協議に委ねるのか。
《財政調整における意思決定のあり方》
・財政調整における意思決定は誰がどのような形で行うのか
 ⇒(1)国 (2)自治体間 (3)いずれにも属さない第三者機関 (4)それらの組合せ

道州制導入の経済効果に係る論点

1.定性的な効果

○従来の都道府県の区域が道州の下でひとつの圏域になることにより、重複していた投資を解消し、より効率的な資源配分が可能になる。

  • 複数の府県をひとつにすることにより重複した投資を避け、選択と集中を図ることができる。
    また、選択と集中により確保した資源を、これまで振り分けることができなかった高度で専門的な分野に投資することにより、より質の高い行政サービスが可能になる。
    (例:公設試験研究機関、高度医療機関、職業訓練施設など)
  • 社会資本整備や企業誘致などにおいて過当競争を避け、より効率的な資源配分や施策の実施が可能となる。
    (例:空港、港湾、クラスター形成など)
  • 多様な地域がひとつの行政主体に含まれることで、地域間の連携や役割分担がより円滑に図られる。
    (例:産業廃棄物・一般廃棄物の処理、自然を活用した保健事業、2地域居住やUターン居住を通じた地域づくりなど)
  • 府県統合による行財政改革効果
    (例:人件費などの縮減)

 2.定量的な効果

○道州制の導入の定量的なメリットを推定することは可能か?

このページの作成所属
政策企画部 企画室連携課 連携グループ

ここまで本文です。


ホーム > 府政運営・市町村 > 政策 > 地域主権の推進 > 第3回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料2