大阪府中小企業家同友会 要望書

更新日:2023年10月16日

要望受理日令和5年9月5日(火曜日)
団体名大阪府中小企業家同友会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題2024年度(令和6年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

2024年度(令和6年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

2023年9月5日


大阪府知事 殿

大阪府中小企業家同友会

2024年度(令和6年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

2024年度(令和6年度)の重点要望提言
(A)大阪府中小企業振興基本条例に関する要望と提言
 大阪府職員による中小企業訪問調査を制度化し、中小企業の実態把握に努めてください。(要望提言項目3参照)
(B)中小企業が活躍しやすい環境をつくるための要望と提言
 新型コロナウイルス感染症に伴う融資支援について、返済猶予の延長や罰則のつかない方策を提案するなど、臨機応変な対応を図るよう国に要望してください。(要望提言項目5参照)
(C)持続可能な大阪をつくるための要望と提言
 大阪・関西万博の開催に際して、万博会場だけの賑わいにとどめず、大阪全域に活性化が及ぶことを含め、中小企業の振興や府内各地域の観光紹介など大阪独自の対策を検討してください。(要望提言項目7参照)
 「脱炭素化施策」について、大阪府の取り組みについて周知を図り、中小企業が取り組みやすい環境整備を実施してください。(要望提言項目9参照)
 災害発生を前提とした具体的な対応策を推進してください。(要望提言項目13参照)
(D)未来の大阪を担う若い世代が活躍できる社会づくりへの要望と提言
 高校新卒者の就職後の定着率を向上させるため、学校関係者、中小企業経営者、行政関係職員による意見交換と施策検討の場を設け、充実させてください。(要望提言項目16参照)

大阪経済の現状認識と中小企業に対する考え方、本要望提言について 
 世界経済は、混迷を深めつつ複雑に展開しています。2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が開始され、戦争終息の見通しがつかないまま、深刻化の様相を呈しています。諸物価やエネルギー価格の高騰、地球温暖化と異常気象による自然災害の頻発、通貨の不安定化等によって、世界経済は混迷し、複雑化しつつあります。
 一方、日本経済と大阪の地域経済も、世界経済の影響を受けて、低迷を余儀なくされています。地域経済を牽引する中小企業は、3年に及ぶコロナ禍もあり、休・廃業問題、原油・資源高の価格転嫁問題、賃上げや消費税に係るインボイス制度への対応など、厳しい現実に直面しています。諸物価の高騰や貧困・格差の拡大など、経済低迷の影響は府民生活に重くのしかかっています。ちなみに、大阪同友会実施した景況調査(2023年4月から6月、回答622社)によれば、前年同期比で、好転189社(30.4%)に対し、横ばい239社(38.4%)、悪化182社(29.3%)となっています。
 厳しい経済環境の中、中小企業は、製造業や建設業、小売・卸売業、各種のサービス業など多様な事業を営み、雇用や納税などで国や地域の経済を牽引し、地域社会の主役として枢要な役割を発揮しています。大阪府中小企業家同友会は、企業づくり、地域づくり、同友会づくりを通じて、中小企業の社会的存在意義を高め、その社会的地位向上をめざしています。
 このたび、中小企業者の現場の声を集約して、これらの声が大阪府政のあらゆる場面に生かされることを祈念して、2024年大阪府への要望と提言をまとめました。ご検討、ご賢察のほど、よろしくお願いします。

1.大阪府中小企業振興基本条例に関する要望と提言

 要望提言項目1:「中小企業の日」の意義を府民に広報し、「中小企業の日」及び「中小企業魅力発信月間」に関連して大阪府独自の取り組みを実施してください
 2019年6月、政府が制定した「中小企業の日」(7月20日)、「中小企業魅力発信月間」(7月)を受けて、大阪府中小企業家同友会は、2019年、2021年、2022年に、「中小企業の日」を企画、開催してきました。(ちなみに、2020年は、コロナウイルスの感染拡大により中止。)
 2023年は、7月12日(水曜日)、大阪市中央公会堂で、企業展とフォーラムを軸とする「中小企業の日」企画に取り組みました。企業展には、大阪府・大阪市を含む行政機関や地域福祉団体など9団体と91社の中小企業が参加し、フォーラムは地域づくりをテーマに議論しました。参加者は、610名でした。
 この取り組みに、大阪府と大阪市から賛同いただき、大阪同友会との共催が昨年に続き本年も実現することができました。このことは、「中小企業の日」が地方公共団体と中小企業団体が共同・連携して取り組むことにより、中小企業の役割とその存在意義を広く府民や市民に広報・告知する上で大きな力となりました。この点について感謝するとともに、引き続き、「中小企業の日」の取り組みにご支援と積極的な参画を期待するものです。
(1)中小企業の存在意義や魅力等についてさらに広く社会にアピールするため、「中小企業の日」の広報・告知について、府民、大阪府議会、中小・小規模企業を含む経済団体、基礎自治体、教育機関、金融機関等に対して、府政だより、諸チラシ、ホームページなど大阪府のあらゆる広報媒体を通じて周知啓発にご努力ください。
(2)特に、大阪府との関わりの強い大阪公立大学や大阪府立高校などに対しては、関係部局や教育庁などを通じて、中小企業の存在意義と社会的役割についての特別講義や「中小企業の日」企画への参加など、大阪府としての独自の取組みを検討・具体化してください。

 要望提言項目2:部局横断的・総合的施策の実現のため、「中小企業担当副知事」の位置づけを検討してください
 大阪府中小企業家同友会は、これまで数年にわたって「中小企業担当副知事」の位置づけを要望してきました。大阪府の行政は、府民の暮らしを守り、地域経済の振興を図るため、さまざまな分野・領域において施策展開していますが、「中小企業担当副知事の位置づけ」によって、中小企業を軸として部局横断的かつ総合的に施策が企画・具体化・進捗管理されることを期待しているものです。ちなみに、米国中小企業庁(Small Business Administration。SBA)は、あらゆる法律が中小企業を軸に立案されているかチェックしています。
 予算の作成と執行、各種施策の企画・立案・実施、中小企業に係る情報の収集・伝達・発信等において、中小企業の振興を軸に検討がなされるよう、現行3副知事体制の下で、「中小企業担当副知事」の役割を位置づけることを提案します。大阪府議会各会派との調整のもと、副知事の役割に係る大阪府条例の改正等について検討してください。

 要望提言項目3:大阪府職員による中小企業訪問調査を制度化し、中小企業の実態把握に努めてください。
 中小企業の実態等については、これまで大阪産業経済リサーチ&デザインセンター等大阪府の関係団体によって調査活動が行われてきたことは理解するところです。ただ、中小企業関連の予算作成や施策の企画立案等に関わっている大阪府商工労働部の職員が、直接中小企業の現場を訪ねてその実態を見聞するとともに、中小企業が直面している課題を具体的に把握することが重要と考えます。
 ちなみに、大阪同友会としても、会員企業の経営実態を調査・把握するため、これまで会員と事務局は、中小企業への会社訪問と経営実態の調査を実施してきました。大阪府職員が企業訪問を実施される場合には、会員企業の紹介などご協力させていただきます。
上記を踏まえて、以下の諸点についてご検討ください。
(1)大阪府職員(商工労働部など)は、数年ごとに人事異動が行われていますが、その際、新たに異動した職員の方々が実務を進める中で、経営実態をヒアリング(聞き取り)することが重要と考えます。人事異動の際の職員研修の一環として中小企業訪問を位置づけて実施することを検討してください。
 ※大阪同友会では、府下6ブロックごとに会員企業の訪問調査にご協力いたします。
(2)企業訪問によって得られた情報等を生かして、具体的な施策や予算に反映した事例があれば、府民や中小企業団体にご報告してください。

2.中小企業が活躍しやすい環境をつくるための要望と提言

 要望提言項目4:中小企業の事業承継の妨げとなっている金融機関の連帯保証制度の早急な見直しを国及び大阪信用保証協会に検討するように強く要望してください
 後継者に事業を引き継ぐ場合、債務をすべて後継者が連帯保証をしなければならないのが現実です。連帯保証を外すためには多くのハードルがあるのが実状であり、現段階では一応のコンセンサスはあるものの、外せているのは半分以下です。後継者問題での連帯保証制度による弊害に加えて、昨今では、例えば100%保証協会の保証がついているにもかかわらず、金融機関(信用金庫、地銀など)が経営者個人に連帯保証を求めることなど、問題があります。
(1)経営者による個人保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、現行金融庁による「経営者保証に関するガイドライン」は止むを得ず経営者保証を求める場合の例外規定としてください。事業承継においても同様の取扱いとし、二重徴求は原則禁止とすること。(『中小企業憲章』(2010年6月、閣議決定)には「金融供与にあたっては、中小企業の知的資産をはじめ、事業力や経営者の資質を重視し、不動産担保や保証人への依存を減らす」と明記されており、経営者保証に依存しない金融制度の確立は、近代的な融資制度として、円滑な創業や事業承継、事業の拡大を進め、地域経済の振興を図るうえで不可欠です。中小企業憲章の精神に基づき、保証協会などを通じ金融機関を指導・啓発してください。
 また、コロナの特別融資に際して各金融機関が、保証協会の100%保証融資であるにもかかわらず、個人保証を求めるという、何が何でも個人保証を取るという姿勢は改めるよう指導してください。
(2)経営者保証が避けられない事業者に対しては、経営者保証に依存しない融資の3原則である、1)法人と経営者との明確な区分・分離、2)財務基盤の強化、3)適時適切な情報開示に向けて、どのように事業の磨き上げに取り組んでいけばよいかを、中小企業家に働きかけていく「伴走支援型」の「育てる金融」の考え方が不可欠です。保証協会等を通じ、各金融機関を指導してください
(3)DX(デジタル化)の時代に入りつつある中で、金融の場面でも、インターネットによる申し込みで、AIによる審査が行われる時代になりつつあります。一部の金融機関では既に始められていると聞きますが、この場合定量評価のみで、定性評価の入る余地がないのではないかと危惧いたします。社長はどのような考え方をしているか、社員は生き生きとして働いているかなど、定性評価の部分をどう的確に評価するのかが課題です。融資項目の設問の中に、定性評価に関する部分をどう盛り込んでいくのか、金融庁などと相談しながら未来像を作ってください。

 要望提言項目5:新型コロナウイルス感染症に伴う融資支援について、信用保証協会の100%保証の借入返済に対し、返済猶予の延長や罰則のつかない方策を提案するなど臨機応変な対応を図るよう国に要望してください
 新型コロナウイルス感染拡大により多くの中小企業が操業不能や縮小に陥り売り上げが大きく落ち込む中で、信用保証協会による実質無利息、100%保証協会の保証付きという融資で多 くの中小企業が生き延びることが出来たことは、非常にありがたく、大いに感謝しているところです。
 あれから3年余りが経過し、返済の時期が迫っていますが、景況がそれほど急激に回復してこない中、またすべてのモノの値段だけが高騰する中で、返済に窮する企業が増えているのも事実です。返済期限の延期を希望する事業者の声もでています。そこで、バブル崩壊の時行われたような、リスケジュールを行っても罰点がつかないという方策を金融機関ともども考えてください。

 要望提言項目6:法人事業税における外形標準課税の適用範囲拡大は、絶対にしないよう継続して国に要望してください
 これまで、中小企業関係の法制4団体や同友会の強い要望により外形標準課税適用範囲拡大は見送られています。税の大原則である「公平性」から応能負担の原則の考え方から、大企業と中小企業に外形上一律の税率を課すことは、負担の公平性の確保にならないと考えます。外形標準課税には税制負担の形式的な公平性確保という一面はあるものの、昨今のコロナ禍により企業体力が低下している中小企業も多く、担税力のない中小企業への課税強化となることや、人件費の削減や社宅等の福利厚生への抑制により、「雇用と投資」が見送られ、結果、経済活力を削ぐ恐れがあります。
 現在、大阪府の法人の一部に適用されている法人事業税の外形標準課税を、資本金一億円以下の中小企業への適用拡大はおこなわないよう、引き続き全国知事会等での提言を含め国に対して行ってください。

3.持続可能な大阪をつくるための要望と提言

 要望提言項目7:大阪・関西万博の開催に際して、万博会場だけの賑わいにとどめず、大阪全域に活性化が及ぶことをめざし、中小企業の振興や府内各地域の観光紹介など大阪独自の対応を検討してください 
 2025大阪・関西万博が一過性で終わらず、これを契機に地域経済や生活の活性化に寄与したイベントとして大阪発展のさらなるきっかけにするため、地域の経済、雇用を担う地元中小企業の関与を促進することが不可欠であると考えます。ついては、以下の諸点についてご検討ください。
(1)先行して各基礎自治体が開催した万博関連イベントはいずれも想定以上の市民が集いました。万博会場だけの賑わいにとどめず、府内各自治体に万博サテライト会場を設け、メイン会場と連動したイベントを企画することで、大阪全域に活性化を波及することが叶うと考えます。府民や自治体、中小企業者がどのような期待を持っているのかを調査・集約し2025年に向けた広域な機運醸成に反映させてください。
(2)万博会場への出展を希望するも資金面や情報の制約により叶わない中小企業は多々あります。上記のサテライト会場を各自治体ベースで設置することと連動させることで、EXPO70当時とは全く異なる「オール大阪」を実感できるイベントを示せると考えます。大阪府及び各市町村が積極的に中小企業・小規模企業者、府民の参画を呼びかけ、参加方法やメリットをわかりやすく説明する体制を整えてください。
(3)兵庫県では県内各地の物産や観光を映像で紹介し、万博開催後もにらんだ地域振興を目指すと報じられています。既に関連事業受注者登録システムの稼働や各パビリオン出展公募などが始まった現段階は、いかに多くの人の関心を高めるかにパラダイムの転換を図るタイミングであり、大きな投資を伴わずに今からでも企画可能な施策を展開すべきと考えます。会場の活気を府内全域に伝播させるツールとしてVR(バーチャルリアリティー)の活用による情報の拡散と連動を検討ください。
(4)中小企業家同友会は、全国で約4万7千社の中小企業経営者の会員を擁しています。全国の会員にも、大阪での地元開催の万博としてVP、HP、紙面、講演等、あらゆる媒体・機会を通してPRを開始しました。中小企業魅力発信月間のイベントは大阪府・大阪市との共催、並びに(公)2025年日本国際博覧会協会の後援で大きな成果をあげております。この連携を踏まえて、行政、協会、当会との横断的な告知活動により大阪の機運醸成を図ることを検討ください。
 具体的な連携PRの1例として、来年、中小企業家同友会全国協議会(中同協)主催の女性経営者全国交流会(女全交in大阪)に全国から千名を超える中小企業経営者が大阪に集います。本年度開催の福岡会場でPRしましたが、全都道府県の代表的な経営者が関わるステークホルダーの質量は、相応の効果が期待できます。VRによるバーチャル告知を展開すると同時に実施会場での訴求シーンを設けます。「公式キャラクターミャクミャク」に登場いただいて全国発信を促すことが効果的と考えます。

 要望提言項目8:統合型リゾート構想(IR整備計画)について、大阪府としての取り組み、具体的な対策をお聞かせください。
 統合型リゾート構想(IR整備計画)が具体化しつつあります。2022年3月、大阪府議会及び大阪市議会において、IR整備計画が議決されました。これを受けて、2023年4月、日本政府はこの整備計画を認定しました。一方、「カジノの整備について住民投票を求める会」による反対署名20万筆余が集められました。
 シンガポールやマカオなどの先行都市の事例、日本の他都市での取組み状況(横浜市、和歌山県、長崎県等)を踏まえると、IR整備計画の具体化にともなう課題も顕在化しつつあると考えます。
 中小企業経営者の立場、「国民や地域とともに」(同友会理念)の視点から、以下の諸点について、大阪府としての取り組みと対応策等お聞かせください。
(1)統合型リゾート整備計画について、計画の概要、整備の現状と課題、今後の見通し等、具体的に説明してください。
(2)統合型リゾート整備による地域経済及び自治体財政への影響と効果、府下中小企業にとってのメリット等について明らかにしてください。
(3)最も危惧されるギャンブル依存症対策について、現時点での具体的対応策を明らかにしてください。
(4)大阪市臨海部の埋め立て地(舞洲)に構想されている統合型リゾート整備計画について、地震や台風を想定した総合的な防災対策を明らかにしてください。

 要望提言項目9:「脱炭素化施策」について、大阪府の取り組みについて周知を図り、中小企業が取り組みやすい環境整備を実施してください
 大阪府では、多くの脱炭素化施策が展開されていますが、より活用されるためには、ホームページで公開するだけでなく、府下信用金庫、商工会議所・商工会等とも連携し、広くPRすることが必要と考えます。また「府が提供する支援スキームに関する情報提供が進めば脱炭素化の取り組みが広がる可能性がある(大阪シティ信用金庫2023.4.27)」と分析しているように、情報提供力の強化も課題です。全国的には「カーボンニュートラルの事業方針上の優先度」は高まっていると指摘され(2023年版中小企業白書)、脱炭素化に向け自社で取り組む必要性について、中小企業の回答率は「必要あり:43.2%」「取り組みの実践:32.9%」と高いことが伺えます。
 一方、「業務負担の増加」(57.5%)、「対応コストの負担が重い」(49.7%)、「対応できる人材やノウハウが不足している」(48.0%)、「規制やルールがわかりづらい」(32.3%)という課題が取り組みの壁になっており、これらの課題解決のための支援策が求められます。
(1)「Osaka SDGsビジョン」でも示されているカーボンニュートラルの考え方を「横串」にして、あらゆる施策にその考え方を反映させてください。
(2)「おおさかスマートエネルギーセンター」の中に相談窓口が開設されていますが、ほとんどの相談が咲洲庁舎での対応になっており、府内から向かうには距離感があります。情報提供力を強化するため、例えば、マイドームおおさかに拠点を置き、オンライン相談をはじめ、府下北部地域、中部地域、東部地域、南部地域等に相談窓口を分散設置し、それぞれがワンストップで相談できるよう検討してください。
(3)EA21などEMS認証を取得する(及び取得している)中小企業に対し、審査料や更新料などのEMS認証の取得及び継続に必要な費用について、府の補助金創設などの支援策を検討してください。
(4)吹田市や茨木市、摂津市等でEA21認証取得の初期費用に関する補助金を実施していますが、大阪府としての補助金制度(初期費用から1回目の更新審査くらいまで)や環境担当社員を配置した場合の助成金制度、環境経営に取り組む中小企業の事業税減免措置等を検討してください。
(5)府の入札加点になるEA21を周知徹底され、かつ業種を問わない内容にすることを検討してください。

 要望提言項目10:国及び関係団体に対しエネルギー料金をこれ以上値上げしないよう継続して要望してください
 2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻によって、石油や天然ガスを含めたエネルギー価格が上昇し、物価や原材料などの高騰と不安定化が進んでいます。電力料金だけでなく、ガス料金を含めて、エネルギー問題は、府民生活と中小企業の経営に重くのしかかっています。
 また地球温暖化による異常気象が頻発し、自然災害が甚大化しており、気候変動の原因となっている二酸化炭素の排出削減は、まったなしの状況に直面しています。
 このような社会状況を踏まえ、エネルギー問題に係る諸点についてご検討ください。
(1)電力料金だけでなく、ガス料金を含めたエネルギー問題の改善に向けて、関西電力、大阪ガスを含めて、国及び関係団体に働きかけてください。
(2)気候変動問題の抜本的な解決に向けて、脱炭素化、再生可能オネルギーの普及・拡大などを強力に推進してください。また、中小企業の実情を踏まえて中小企業への支援を継続してください。

 要望提言項目11:大阪府が重要施策と位置付けている貧困問題と就業支援を解決するため、中小企業家同友会と大阪府の関係課との意見交換や懇談の場を設けてください。
 貧困問題と就業支援問題は深く結びついています。コロナ禍で母子世帯(シングルマザー)の貧困化が大きな社会問題になりました。地域の貧困と就業支援の問題解決には地域の中小企業が担う役割も大きく、その主体者として協働的に解決に向けての活動を進めることが必要と考えています。大阪府でもさまざまな取り組みをそれぞれの関係課において進められていることを承知しておりまが、貧困問題と就業支援の問題の一層の解決を推進するために、大阪府の関係課と中小企業家同友会との意見交換や懇談の場を、大阪府の各地域ごとに設けてください。

 要望提言項目12:大阪府の保育対策において、「病児保育」への対策の充実を検討してください
 働きながら子育てをするために保育所があります。現在は国などの対策により待機児童が解消されつつありますが、子供が病気になった時には預けることができず、また子どもが体調を崩すと園から連絡を受け、仕事を休み対応しないといけないのが現状です。現行の対策として「病児保育の制度」がありますが、大阪府下においては、病児対応型の施設が106か所しかなく、さらに「訪問型」の対応事業者が5社のみでしかも利用者が少ないのが現状です。これは、近くに病児保育対応施設が少なく、また保育園が積極的に利用促進を促しておらず、さらに利用料金が高いことが考えられます。上記を踏まえ、以下の諸点についてご検討ください。
(1)病児対応型の施設を増やしてください。
(2)園から普及促進するよう指導してください。
(3)利用料金の助成を検討してください。
(4)病児保育対象施設には、助成及び対象者に処遇改善加算などの優遇措置の導入を検討してください。

 要望提言項目13:持続可能な地域づくりに向け、災害対策を検討してください
 (1)災害発生を前提とした具体的な対応策を推進してください

 2023年6月の集中豪雨では大和川の氾濫が危惧されるなど、未だかつてない規模の天候異変は毎年の現象となっています。南海トラフ地震発生メカニズムも周知された昨今、もはや災害は起こり得るものと考えての事前対策が必要不可欠と考えます。防災から減災への意識転換が進む中、被害を最小限にとどめるためにも社会全体で取り組むべき課題を明確にし、以下の諸点についてご検討ください。
1)地域の特性やリスクに応じた減災施策には、ハザードマップに基づいた避難経路の確保、物資の備蓄などの事前準備と情報の共有化が不可欠です。学校や職場、地域などで定期的に防災訓練や講演会などを実施し、防災意識や知識、スキルを高める持続的な活動を促進してください。
2)防災ボランティアの育成や活動支援には、事前登録制度や保険制度などの整備が有効と考えます。こうした制度への財政支援を検討ください。

 要望提言項目14:持続可能な地域づくりに向け、災害対策を検討してください
 (2)企業、諸団体の事業継続計画(BCP)策定の普及に関わってください

 事前準備や訓練の継続的実施には、BCP策定が前提となるものの、日常業務が優先され普及が進みません。2021年4月から介護事業所はBCP策定が義務化されましたが、府内の実態を公表した上で、推進に努めて下さい。また、介護事業のみならず府内全事業所のBCP準備状況の把握に努め、普及を促す告知や催しへの積極的な関与※を進めてください。
 ※2019年、大阪同友会が東大阪市危機管理室、兵庫県立大学院と連携して主催したBCP推進研修会では、企業側が必要性を唱え参加を促し、市側が地域のハザードマップを示し、大学が広範囲な事例を紹介することで参加者の30%がBCP計画敷設に至りました。

 要望提言項目15:持続可能な地域づくりに向け、災害対策を検討してください
 (3)減災の観点からも空家対策を進めてください
 昨今、大阪府下の商店街は、休廃業によるいわゆるシャッター事業所や空き家が増加しています。これらは、災害時に大きな障害なることが想定されています。大阪府は平成25年住宅・土地統計調査に基づき68万戸ある空家の削減を目指し、「空き家総合戦略・大阪」を策定されましたが、ホームページ等での公開は2016年12月から更新されておりません。3か年計画の進捗状況を公表し、結果を踏まえた新たな施策を提示してください。
 また、「大阪版・空き家バンク」などの情報提供サービスの実効性を高めるため、空き家に関するワンストップでの相談窓口を設置する事で、空き家の所有者や利用者に対して実態に即したアドバイスや支援を行うことも検討ください。

4.未来の大阪を担う若い世代が活躍できる社会づくりへの要望と提言

 要望提言項目16:高校新卒者の就職後の定着率を向上させるため、継続的な産官学の意見交換、施策考案の場を設け、基盤整備や制度の充実を図ってください
 次世代の中小企業の重要な担い手である高校新卒者の就職定着率が低下し続けています。将来の労働人口減少が確実視されている中、中小企業の存続に関わる重要課題と捉え、大阪同友会では、受け手側の立場から高校生に仕事の紹介や意義を直接伝える場を長年設けてきました。しかし、現状は芳しい成果には繋がっていません。送り手側と受け手側双方の体制整備や価値観の共有があってこそ持続化可能な試みだとの認識に至っています。
 本年度(2023年度)は基盤整備から再構築する意味でも、先ずは学校関係者と中小企業経営者、関係行政の職員が一同に会し、立場から現況や想いを話し合う場を設けました。
 この社会問題への解決には、関わる大人たち(学校関係者、企業経営者、関係行政の職員)が現業を通した意見を継続的に共有し合う基盤づくりが必要だと考えます。今後も引き続き大阪府職員の参加を検討してください。

 要望提言項目17:大阪府内の中小企業等の人材確保と若手従業員の定着及び経済的負担を軽減するため、従業員の奨学金返済を行う中小企業等に対する支援制度、を創設・実施してください
 大阪同友会では本年5月19日に大阪府育英会に代理返還制度の勉強会を実施しました。勉強会後、この制度に賛同した数社が代理返還制度への申し込みをしました。
 一方、企業側とすれば代理返還のための費用は実質人件費増につながってしまうため、経営への負担が大きくこの制度を実施することへの懸念の声も聞かれています。それでもわれわれ中小企業家としては、これからの大阪さらには日本社会の未来を担う若者をしっかりと雇用し、地域に良い人材を残していきたいと考えています。そういった人材を積極的に受け入れて、地域社会と共に発展、貢献していこうという企業を支援するために、隣の京都府や兵庫県が実施しているように補助金・助成金の制度を創設して実施してください。

5.各業界からの要望と提言

 要望提言項目18:保育士登録において、旧姓使用に対し府独自の対策を検討してください
 雇用における男女雇用の機会均等が世界的に進む中、各種国家資格について、旧姓使用についても拡大を求める声がみられ、税理士や教員へ適用が見られますが、保育や介護の業界では、登録する場合、旧姓が認められていません。現行法では旧姓を併記の場合のみ認められている状況で、SDGs目標5「ジェンダーの平等の実現」からも、時流にあっているとは言い難いものです。それぞれの心情に寄り添った取り組みを実施し、保育や介護業界の働きやすい環境づくりが急務です。府として特例を設けるなど、検討をしてください。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

ここまで本文です。


ホーム > 令和5年度の団体広聴一覧 > 大阪府中小企業家同友会 要望書