ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会 要望書

更新日:2023年10月16日

要望受理日令和5年8月22日(火曜日)
団体名ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題要望書

要望書

 

2023年8月22日


大阪府知事 吉村 洋文 様

ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会

要望書

1.本年3月31日に公表された「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会報告書」に対する見解を述べられた上で、以下の点について、お答えください。
(1)大阪府が「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」第5条の地方公共団体の責務として現在実施している、ハンセン病回復者と家族の福祉の増進を図るための施策と予算について明示してください。
(2)国は厚生労働省、法務省、文部科学省の三省協議を実施し、ハンセン病問題の啓発と教育について協議を続けています。大阪府としても、大阪府健康医療部、府民文化部人権局、教育庁の各部署が連携し、ハンセン病回復者と家族に対する偏見差別の解消及び家族関係の回復に向けた施策や地域においてハンセン病回復者が安心して地域で生活できるよう検討・実施するためのハンセン病対策協議会(仮称)をハンセン病回復者と家族、国賠訴訟弁護団や有識者、ハンセン病回復者支援センターも入れて設置されるよう求めます。さらに、高齢・障害・人権・保健・医療などの部局の担当者に対するハンセン病問題研修を実施してください。市町村に対してもハンセン病問題研修会を職員に対して実施するように働きかけてください。
(3)国が今年度実施を予定している「ハンセン病問題に係る住民意識調査」について、大阪府としてはどのように実施を考えているかお示しください。
(4)ハンセン病回復者支援センターの相談支援体制の充実を図ってください。
(5)大阪府としての謝罪と名誉回復の取り組みについて
 1)知事にハンセン病療養所に出向き、入所者と面談し実態を知っていただくとともに、納骨堂にお参りし、謝罪と哀悼の意を表してください。また、外島保養院の跡地で開催される追悼式典や「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」の式典にも出席してください。
 2)いちょうの会と知事との面談を実現してください。


2.社会復帰・社会内生活支援
(1)ハンセン病療養所入所者の里帰り支援、親族とのつながり支援
 ハンセン病療養所入所者の平均年齢は88歳であり、重度の障害を抱えている方も多く、介護度は増しています。看護師の同行が必要な場合も多く、里帰り支援予算増が必要です。いちょうの会の仲間も再入所した人もいて、里帰りした時の交流を実施しています。また、親族が療養所に訪問し、家族と面談することの支援も家族の高齢化によって必要になっています。里帰り支援の幅を広げていただきますようお願いします。
(2)退所者の里帰り支援の必要性をずっと要望していますが、強制隔離により故郷との縁が切れてしまった退所者が故郷に帰るという「里帰り」も里帰り事業として認めていただきますよう、よろしくお願いします。
(3)市町村におけるハンセン病回復者と家族の相談支援体制の充実をはかってください。
 今年度は6月20日にいちょうの会宮良共同代表が、市町村の窓口担当者対象の学習会でハンセン病恢復者と家族のおかれている現状をお話しましたし、9月5日には国立療養所邑久光明園に見学と交流に行かれる予定だと聞いており、高く評価しております。ハンセン病家族補償金制度の周知や必要書類取得の費用免除など、取り組みを一層強化してください。

3.差別と偏見解消のための啓発活動の充実
(1)2023年度、大阪府の啓発冊子『ハンセン病問題を理解するために』を発行してください。コロナ禍、発行が毎年されておらず、冊子がない状態です。早急に発行してください。
(2)大阪府教育庁としては、本年3月の『ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会 報告書』を踏まえ、どのように今後のハンセン病問題学習を学校教育現場で実施しようとされているのかを明らかにしてください。大阪府教育センター主催の「出会いから学ぶ人権学習」では毎年、いちょうの会会員が講師を務めていますが、年々受講者数が減っています。ハンセン病問題の研修計画を示してください。特に、中学校に配布されている「ハンセン病の向こう側」の活用状況を調査し、報告してください。
(3)歴史資料の保存・活用
 1)外島保養院の歴史をのこす会は、2014年に発足しました。国立ハンセン病療養所邑久光明園、同入所者自治会、ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会、市民が共同代表となり活動しています。外島保養院跡地にある慰霊碑設置場所に、二府十県で運営していた外島保養院なので、他府県と連携し、大阪府が主管となって外島保養院の説明および謝罪と追悼の意を示すプレートを設置してください。
 2)2022年度の国のハンセン病対策促進事業で制作された「外島保養院から邑久光明園へ 私たちは忘れない 伝えたい」のDVDを市町村に配布し、啓発活動に活用するよう、働きかけてください。
 3)「白鳥寮」「柴島健康相談所」の跡地に説明板を設置し、「らい予防法」の下、どのような役割を果たしてきたのかがわかるようにしてください。
 4)大阪市立弘済院附属病院の前身である大阪慈恵病院は、創設以来ずっと窮民保護、行旅病人、ハンセン病患者の一時救護にあたってきたとあり、現在の大阪府立生野工業高等学校の敷地に「大阪慈恵病院跡」の石碑が建っています。しかし、高等学校の統合が図られる予定であり、高等学校がなくなります。「大阪慈恵病院跡」の石碑はこの地に残されますようお願いします。
 5)ハンセン病問題関連資料の収蔵・保存・閲覧コーナーの設置について
 「リバティおおさか」に収蔵されていたハンセン病問題関連の資料は、大阪公立大学に引き継がれることになりました。大阪公立大学のどこに連絡すれば、閲覧したり、活用することができるのかをお教えください。
 6)大阪府に保管している歴史的資料及びそれを電子データ化したものについて、一部は大阪府ホームページで公開されているが、その後活用方策を検討されたかどうかを明らかにしてください。今後も関連資料の取り扱いについては、当事者であるいちょうの会と協議の上すすめてください。

4.地域で暮らすハンセン病回復者と家族への支援について
(1)医療について
 1)大阪急性期・総合医療センターにおけるハンセン病回復者専門外来を継続してください。
 2)大阪府内の医療機関、また、大阪府医師会、大阪府病院協会、大阪府保険医協会等に呼びかけ、ハンセン病問題研修を実施してください。
 3)各種健康保険の給付を受けた後の自己負担分の助成を実施してください。
(2)介護について
 1)介護保険課、障害福祉課と連携し、介護支援専門員や障害者に対する相談業務を担当している職員、高齢者福祉施設等の職員に対するハンセン病問題研修を実施してください。
 2)要介護度の認定に際し、ハンセン病後遺症である「末梢神経麻痺」について生活のしづらさ、外傷、火傷予防の必要性を理解し、調査項目に反映されるよう、国に要望してください。外傷、火傷、足底穿孔症治療のための訪問看護導入やフットケアが速やかに導入できるよう国に要望してください。
 3)介護保険料の自己負担分の助成をしてください。
(3)住まいについて
 1)2002年5月に公営住宅への優先入居制度を創設してからの入居者等の実績について明らかにしてください。また、当該市町村相談窓口とつなぐ支援を実施してください。
 2)ハンセン病家族への公営住宅優先入居についてもハンセン病回復者と同様に実施してください。
 3)賃貸住宅に住んでいるハンセン病回復者と家族への住宅費の助成をしてください。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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