障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 要望書(1)

更新日:2023年10月30日

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要望受理日令和5年7月27日(木曜日)
団体名障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題障害児者の教育・福祉・医療等の拡充を求める要望書

要望書


2023年7月27日

大阪府知事 吉村 洋文 殿


障害児者の教育・福祉・医療等の拡充を求める要望書

障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 

 

<新型コロナウイルス対策・感染症予防>

1.府立支援学校において、子どもと教職員のいのちと健康を守りながら教育活動をすすめるために、以下の対策を講じてください。
(1)教職員が児童生徒の感染源にならないように、教職員の検査体制を整えるとともにワクチン接種体制を復活・拡充してください。
(2)消毒および医療的ケアや給食指導などに必要な消耗品・物品は、大阪府が一括購入し各学校に配布してください。また、各学校の実態に基づき必要となる消耗品・物品購入に必要な予算を確保し、各学校に配当してください。
(3)教育行政をすすめる際には、「府立高等学校」と「府立支援学校」を「府立学校」として一括りにするのではなく、府立支援学校にむけた必要な措置を迅速に講じてください。

2.学校現場での新型コロナウイルス感染症等の拡大など、緊急時の体制整備と日頃からの条件整備を行ってください。
(1)緊急時に教職員自身の安全を確保しつつ、子どもたちの実態に即した適切な支援が行えるようマスク・消毒液の配付、スペースの確保等、緊急時の人的配置・物的措置が適切に行われるよう、日頃から準備してください。
(2)障害のある子どもたちの命・くらしの安全が、緊急時においても保障されるように、学校の条件整備、保健所や医療体制の整備、生活を支える障害者施策の充実を常日頃から行ってください。

3.障害福祉事業所において新型コロナウイルス感染症への対応がしっかりと行えるよう必要な措置を講じてください。
(1)5類移行後も、感染拡大防止の観点から検査の重要性は変わらないことから、現行の障害事業所の検査費用助成措置を継続するとともに、事業所の利用の有無にかかわらず希望する障害のある人に検査が行き届くようにしてください。グループホーム職員及び利用者の抗原検査キットをグループホーム備品として常備できるようにしてください。また障害を持った陽性の利用者は入院できるよう積極的に対応してください。障害があるために抗原検査キットを用いて自分で検査ができない人に対して、かかりつけ医で検査が無料で受けられるようにしてください。
(2)感染や重症化のリスクが高い障害者に対して、希望に応じて無料でワクチン接種が受けられるようにしてください。ワクチン接種については、わかりやすく簡単な方法での予約も含め、十分な合理的配慮の提供のもとに実施してください。
(3)ワクチン接種を推奨する際には、当該ワクチンの配合成分の表示を義務付けるよう国に働きかけてください。
(4)各自での判断が求められている「濃厚接触者」の範囲や療養期間等について、障害者・家族や事業所が科学的な知見に基づき適切なアドバイスを受けることができるよう、保健所の相談機能を強化するとともに市町村と協力して相談窓口を各地に設置してください。
(5)コロナ禍での保健・医療のひっ迫を引き起こした教訓の上に立ち、保健所の整備・拡充を図るとともに医療体制の充実を図ってください。
(6)感染症に罹患した障害者が在宅療養を余儀なくされた際、ヘルパー等の必要な支援を継続利用できるよう、特別な支援体制を大阪府と市町村の責任で早急に整えてください。
(7)新型コロナウイルス感染症対策に係る事業所のかかり増し経費は、既存の助成では到底まかなえない規模となっています。かかり増し経費の実態を把握するとともに、その結果に基づき従来の助成対象及び額を拡充するよう国に要請するとともに大阪府として対策を講じてください。
(8)新型コロナウイルス感染症の対応に起因する障害福祉事業所の休業に対する報酬補填措置を講じてください。
(9)「雇用調整助成金」「緊急包括支援事業補助金」「生産活動活性化事業補助金」の継続・再実施を国に強く求めるとともに、多くの事業所が申請・活用しやすい仕組み・基準となるよう改善してください。作業工賃の減収への補填を大阪府として検討・実施してください。
(10)検査・医療の実施にあたって、障害児者が排除されないよう受け入れ機関の整備を進めてください。入院やホテル等での療養が必要な場合、家族の負担とならないような措置を講じてください。また、自宅待機や緊急避難等が必要な場合、障害児者支援が適切に行えるよう福祉サービスの提供に関わる特別措置を講じてください。
(11)感染予防のために不可欠な物資が障害福祉事業所や障害児者・家族、医療機関に充分に供給されるよう、特段の措置を講じてください。
(12)新型コロナウイルス等の感染症にヘルパーや施設職員が罹患した場合、さらに深刻な人材不足が発生して利用者の健康と生活が崩壊します。しっかりした身分保障を整えヘルパーの増員を図ってください。また利用者には、代行ヘルパー・施設職員を派遣するなどの仕組みを作ってください。

4.障害当事者・家族に対する新型コロナ感染症拡大に対する対応策を講じてください。障害児者・家族に対して情報提供を行う際、正確でわかりやすいものとなるよう配慮を行ってください。

<教育>

5.府立支援学校の現在の「過大・過密」「教室不足」を解消し、今後さらに増加する児童生徒に対する教育条件を整え、豊かな障害児教育を保障するために、支援学校建設や施設設備の改善、教職員の増員など、必要な予算の確保をすすめてください。
(1)府内各地域に、小・中・高等部のある知的障害支援学校を、保護者・関係者の意見を十分に取り入れ、緊急に設置してください。
(2)特別支援学校設置基準における校舎面積基準、学級編成基準の不適合の解消、教室不足の解消をできる限り早期に行うことを定めた新校整備計画をただちに策定してください。
(3)知的障害支援学校の適正規模150から200人(1992年度学教審答申)を踏まえ、各学校の施設に見合った在籍者数となるよう、知的障害支援学校の増設をすすめてください。とりわけ、在籍者数が300人を超える学校については、早急に解消してください。
(4)文部科学省教室不足調査(2021年)において、「授業の実施に支障が生じており、今後整備する必要がある教室」にあげた528教室を解消するため、支援学校建設を基本に整備してください。
(5)府立支援学校の通学区域割については、保護者・関係者の意見を十分に取り入れ、福祉圏域、生活圏域(放課後等デイサービスの利用を含む)を守ってすすめてください。また、増加する児童生徒数に対して、通学区域割りの安易な変更等の対応をおこなうのではなく、父母・教職員、関係者との合意を前提とした計画的な教育条件整備を実施してください。
(6)児童生徒の将来推計については、市別・学校別・学部別のデータなど詳細な情報を公開してください。
(7)学校施設の耐震化や校舎の老朽化対策のための大規模改修、児童生徒数の増加に合わせた教室の確保など、府立支援学校の教育条件整備を行ってください。
(8)泉南地域・北河内地域に、肢体障害のある子どもが安心して学べる小・中・高等部のある府立支援学校を建設してください。
(9)交野支援学校四條畷校を小・中・高等部のある本校として整備してください。また、スプリンクラーの設置はもとより、空調設備の充実、給食の自校調理、直営バスの配置をおこなってください。
(10)文部科学省に対し、実効性ある「特別支援学校設置基準」となるよう見直しを求め、国庫補助率を引き上げるなど、教育の充実にかかる予算措置を講じるよう国に要望してください。
(11)「特別支援学校設置基準」を既存校にも適用し、基準を満たしていない学校については直ちに基準を満たすように改善するための予算措置を講じてください。
(12)同一敷地内に2つの支援学校が設置されている場合において、高等支援学校の入学試験の日に支援学校を休校にしないなど、児童生徒の教育環境に影響が及ばないようにしてください。
(13)児童生徒の人権が守られるよう、各学校に十分な更衣室を設置してください。
(14)トイレを子どもの実態に合わせて改善・整備し、老朽箇所の改修を計画的に行ってください。
(15)冷暖房を適切に使用できるよう、すべての府立支援学校に必要な光熱水費予算を配当してください。
(16)教育活動に支障が生じないよう、必要な教職員の旅費予算を確保してください。
(17)府立支援学校の特別支援教育コーディネーターが地域の保護者や学校からの相談要請に応えられるように、大阪府教育委員会として、独自で加配するなど、相談支援体制を拡充してください。また、学校教育審議会答申で示された「支援学校のセンター的機能の発揮」に見合う十分な教職員の配置を府立支援学校におこなってください。
(18)大阪わかば高校敷地内への生野支援学校の新築移転計画について、限られた敷地に6階建て校舎、スクールバス20台、「超大規模校」となる450人を想定しています。大規模災害がおこったときなどの避難等を想定したとき、安全・安心な学校という観点で重大な懸念があります。「超大規模校」ではなく、適正規模の学校を各地域に整備してください。
(19)旧西淀川高等学校校舎を活用した新校整備においては、児童の実態に応じた小学部棟を新設(教室、トイレ、階段、特別教室など)してください。
(20)今後の知的障害支援学校の増設においては、必ず小学部棟を新設してください。
(21)府立支援学校の在籍者数増の対策として、学校教育審議会答申で示された「高校と支援学校の併設」の具体化ではなく、支援学校の抜本的増設をおこなってください。
(22)この間、小学部児童、中学部生徒が急増するもとで、年々教職員の配置が手薄になっています。各学校の実態に見合った大阪府独自の教職員加配を行い、充実した指導を行えるようにしてください。

6.安全・安心で適正な、通学時間・通学距離を保障してください。
(1)スクールバスの民間委託化方針を撤回し、直営でのスクールバス運行を行ってください。
(2)適正規模の府立支援学校を各地域に建設するとともに、スクールバスの増車等の対策を緊急に講じ、自宅から40分以内で通学できるようにしてください。なお、早急に60分を超える乗車時間を解消してください。当面暫定的な措置として、通学時間が60分を超えるコースのバスにはトイレを設置してください。
(3)医療的ケアを必要とする児童生徒が安全に通学できるようにしてください。
(4)スクールバスを小型にして、自宅の近くから乗降できるように送迎ルートを改善してください。
(5)小型スクールバスの添乗員は、乗車する子どもの実態に合わせ、必要なコースは2名配置してください。

7.より豊かで安全な学校給食を、子どもたちに保障してください。
(1)府立支援学校における学校給食調理業務の民間委託化はやめてください。
(2)民間委託化された各府立支援学校の学校給食を自校直営方式に戻してください。当面、契約更新時に混乱が生じることのないよう、調理従事者資格要件や経験年数の大幅な引下げをおこなった仕様書を元に戻してください。また、安全で充実した給食が実施できるよう人的対応などの具体的な手立てを講じてください。
(3)文部科学省「学校給食衛生管理の基準」にもとづいて、厨房の施設設備を抜本的に整備してください。

8.医療的ケアの必要な子どもたちの、教育保障を充実してください。
(1)医療的ケアの必要な子どもたちが在籍する学校をはじめ、必要とされる府立支援学校においては、府独自に看護師を配置してください。医療的ケアが必要な児童生徒が希望する場合、知的障がい支援学校に入学できるようにしてください。
(2)府立支援学校の看護師については、正規の学校職員として独自に定数枠を設けて配置してください。当面、引き続き臨時技師(看護師)の賃金等の待遇改善を継続するとともに、その内容を早急に拡充してください。
(3)泊を伴う行事への看護師の付き添い予算を増額してください。また、医師の付き添い措置を予算化してください。
(4)医療的ケア通学支援事業においては、児童生徒の通学保障・通学途上での安全面、保護者の負担の軽減、看護師の確保など、制度が確かなものとなるよう予算措置を講じ、大阪府が責任をもって実施してください。とりわけ、大阪府として必要な看護師を確保してください。

9.旧大阪市立特別支援学校12校については、「市立特別支援学校の児童生徒の教育が後退しないよう進めてまいりたい」(2015年6月30日要求大集会実行委員会対府交渉)という回答に基づいた条件整備をおこなってください。そしてすべての府立支援学校に広げてください。また、「教育条件を低下させない」として強行した「府移管」の検証を責任をもっておこなってください。
(1)中央聴覚支援学校、大阪北視覚支援学校の「早期教育」及び寄宿舎教育を継続・発展させてください。
(2)中央聴覚支援学校寄宿舎の改修・増築を行ってください。
(3)光陽支援学校病弱部門(通学籍)を継続、発展させてください。
(4)肢体不自由校において、実態に見合った教員(「実習助手」を含む)の配置をおこなってください。
(5)歯科衛生士による歯磨き指導・フッ化物塗布の事業や、保健師、助産師による性教育の無料派遣を復活させ、すべての府立支援学校に広げてください。
(6)学校図書館の整備費用、点字教科書等の購入費用など、学校予算を大幅に増額してください。

10.府立支援学校の通学区域割の変更によって、福祉サービス(ショートステイの送迎等)の利用が制約されている実態を改善するよう、必要な措置を講じてください。

11.手話言語条例の制定を踏まえ、聾学校(聴覚支援学校)の教育環境の拡充を図ってください。
(1)障がい児教育の特殊性、専門性を踏まえて、同一校勤務の年限を理由とした強制的で機械的・画一的な人事異動を行わないでください。
(2)聾学校(聴覚支援学校)においては、「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例」に基づき、手話が言語としてあたりまえに機能する環境を整備してください。聴覚障害(ろう)児対応だけではなく、聴覚障害者(ろう)の保護者の対応はもちろん聴覚障害(ろう)者の教職員のために、手話通訳者(手話通訳士または大阪府登録手話通訳者)を配置してください。
(3)聾学校(聴覚支援学校)のスポーツ(クラブ)活動に、デフリンピアンやデフアスリートおよびデフスポーツ関係者や大阪スポーツ賞・大阪府知事表彰受賞者を指導者として招くなど、聞こえない子どもがロールモデルと接する機会を保障してください。

12.厚労省・文科省の「難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト報告」に則り、聴覚支援学校での早期教育相談を充実させるため人員を措置してください。

13.後期中等教育を拡充してください。
(1)支援学校高等部卒業後の一般就労者の実態を明らかにしてください。また、入学者選抜制の高等支援学校の進路の実態を明らかにしてください。進路支援・移行支援・定着支援などの教育課題を明らかにしてください。
(2)高等学校で学ぶ障害のある生徒の教育保障をすすめてください。
 ア)府立高等学校に在籍する発達障害をはじめとするすべての障害のある生徒の実態把握をおこない、適切な教育課程や教材の準備、専門性をもった教職員の確保や定数措置、施設・設備などの条件整備をすすめ、教育環境を改善する等、必要な施策を講じてください。
 イ)すべての府立高校にエレベーターの設置など、障害のある生徒が安全・安心に高校生活が送れるよう施設設備を充実してください。
 ウ)府立高等学校に在籍する障害のある生徒の支援のための、支援員や専門家の巡回相談などを導入するとともに、通級指導教室を増やしてください。
 エ)府立高等学校で実施されている通級指導について、対象者数・障害の状況・教員の配置・教育課程・単位認定・施設設備・合理的配慮等、状況を明らかにしてください。
(3)早期からの現場実習や一般就労に偏重した高等部教育を改め、卒後の生活の充実と働きつづける力につながる青年期にふさわしい教育を充実してください。
(4)「知的障害のある生徒の受け入れ」にあたっては、本人の学習権と発達権を保障するために専門性を持った教職員の配置と教育条件の整備を行ってください。
(5)高等支援学校の進路選択にあたっては、本人の学びを通した意思決定を最大限尊重した進路支援を行ってください。一般就労に固執した進路指導や「100パーセント一般就労をめざす」教育目標を改め、本人・家族の理解と納得にもとづく支援を行ってください。
(6)支援学校高等部と高等学校を安易に併置するのではなく、支援学校を建設してください。
(7)高等支援学校の選抜試験も、他の府立高校と同様に追試験を受けることができるようにしてください。

14.大阪府立支援学校高等部にも、希望すればだれでも進学できる専攻科を設置してください。
(1)府立支援学校を新設する際には、高等部に専攻科のある支援学校を整備してください。国に対して、高等部に専攻科の設置が進むように教育環境の整備や教育年限の延長を行うよう働きかけてください。
(2)福祉型専攻科や卒後の障害福祉サービスを活用した学びの場の実態を府教委として把握し、専攻科の設置を含めた高等部卒業後の移行期の支援教育の意義や生涯学習のあり方、働きつづけるための定着支援のあり方について研究してください。また、「福祉型専攻科事業合同説明会」や「おおさか学びの場交流会」のチラシを配布することによって高等支援学校の生徒・家族にも情報を公表し、進路選択の自由を保障してください。
(3)大阪府ホームページ(学校卒業後等の「学びの場」公表について)掲載の「学びの場」が年々増加し、支援学校等卒業後の進路選択の一つとして一定認知されてきつつあります。一方、一部の支援学校・高等支援学校や小中学校では大阪府が「学びの場」公表に至った経過や意味を理解せず、卒後の「学びの場」ではなく単なる一般の障害福祉サービス事業としてしか情報提供をしない学校があります。大阪府並びに大阪府教育委員会として「平成30年度 文部科学省委託事業『障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究』報告書」(平成31年3月 大阪府福祉部障がい福祉室自立支援課)の趣旨を踏まえ、府民への情報提供や国への提案を積極的に行ってください。
 ア)大阪府並びに大阪府教育委員会として上記「報告書」の趣旨並びに「学びの場」公表の意義を踏まえ、「学びの場」ホームページの存在を特に学校教育関係者や障害福祉関係者に周知徹底してください。
 イ)府内中学校支援学級卒業生の約8割が進学するといわれる府内高等学校の進路担当教員並びに支援を必要とするすべての障害のある生徒・保護者にも進路情報として卒後の「学びの場」や取り組みを情報提供してください。

15.小・中学校支援学級の在籍者が大幅に増加し、障害も重度化・多様化している実態を踏まえ、次の施策を実施してください。
(1)障害の重度化・多様化をふまえ、学校教育法第81条・学校教育法施行規則第137条の定めにもとづき、障害種別の学級を設置するとともに、実態に応じた教員の加配を含め、支援学級担任者を大幅に増員してください。また、各市町村の独自措置としておこなわれている加配措置(介助員制度等)に見合った大幅な教職員増をおこなってください。
 ア)学級編制基準が同じ複式学級同様、2学年で学級を設置するよう文部科学省に要望してください。
 イ)支援学級の編制基準の改善を文部科学省に要望するとともに、府独自でも改善し、1学級の定数を大幅に引き下げてください。
 ウ)在籍者が一人でも障害種別で支援学級を分級することを府の基準にし、それに基づき設置計画を立てるよう市町村教育委員会を指導してください。
 エ)在籍する児童・生徒の実態に応じて、運営や指導の困難さを抱える学級、あるいは学校に教員を加配してください。
 オ)同一種別で在籍予定者が9名の場合は、2学級設置することを府の基準にし、それに基づき設置計画を立てるよう市町村教育委員会を指導してください。もしくは、年度途中の児童・生徒の増加に対して、新設・増学級をおこない、必要に応じた教員配置をおこなってください。
(2)施設・設備の基準を設け、その改善・充実をはかってください。特に、肢体不自由児が在籍する全ての学校にエレベーターを設置するよう、市町村教育委員会に働きかけてください。
(3)障害児教育・特別支援教育の専門性や継続性を尊重してください。
 ア)教員採用選考に支援学級採用枠を設けてください。
 イ)希望する場合は支援学級担任として転勤できるよう市町村教育委員会に働きかけてください。
 ウ)支援学級担任の継続年数を延ばすことができるよう、市町村教育委員会を指導してください。また、継続して担任する事の大切さについて、各学校長が研修できる機会を持ってください。
 エ)支援学級担任の講師率を把握するとともに、できる限り正規の職員が担任することが望ましいことを各学校長が研修できる機会を持ってください。
 オ)代替教員をプールする等、病気休暇や産・育休、年度途中の退職などによる支援学級担当教員の欠員不補充をなくしてください。
(4)学校教育法施行令が一部改正されましたが、子どもたちに保障されるべき教育課程や教育条件が変わったわけではありません。支援学校・支援学級・通級指導教室・通常の学級、どこで学んでいても、その子に必要な教育課程・教育条件を保障してください。
(5)就学に際して、「一度入学したら、小学校は6年間、中学校は3年間は同じ学校で」と言われますが、法令通り、転学に関しては、「学びの場」を固定なものとせず、「発達の程度、適応の状況等を勘案しながら、柔軟」にできることを保護者・教職員に周知するとともに、そのための方策を検討してください。
(6)支援学級在籍者を含めると、35人、40人の定数を超える通常学級をなくすよう、弾力的運用だけでなく、教員を加配してください。
(7)政令指定都市を含め、医療的なケアや医療的な見守りを必要とする子どもたちのいる学校に看護師を配置してください。支援学校のように、泊を伴う行事にいつも子どもと関わっている看護師が付き添いできるようにしてください。医師の付き添い措置を予算化してください。
(8)中学校の支援学級について、特別な教育ニーズを持つ生徒たちの実態に見合ったきめ細かな教育が受けられるように学校全体で取り組んでいけるようにしてください。

16. 昨年4月27日に文科省が発出した「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」により、保護者・教職員に不安と混乱が広がっています。
(1)今回の通知について、府教委としての見解を明らかにしてください。
(2)授業時間数に関係なく、必要な子どもは支援学級に在籍できることを市町村教育委員会、並びに支援学級保護者に周知してください。
(3)今回の通知について、子ども、保護者が不安をいだいたり不利益を被ることがないよう、また、現場に負担を押しつけることのないよう、市町村に働きかけてください。
(4)今回の通知を受け、支援学級から通常の学級に在籍を変更した子どもについて、支援学級での指導が必要とされる場合には、すみやかに支援学級に在籍できるようにしてください。

17.すべての子どもたちの成長・発達が保障されるよう、支援学校・学級の増設、20人以下学級の実現など十分な条件整備を行ってください。
(1)今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止のための対応でも明らかなように、小中学校・支援学校ともに学級編制基準を改善し、少人数学級にすることが必要です。小中学校の通常学級を20人以下の学級にするとともに、特別支援教育支援員の増員など、通常学級に学んでいる障害児やLD、ADHD等の子どもたちへの教育保障と条件整備をおこなってください。
(2)通級指導教室を全ての小中学校及びすべての特別支援学校に設置してください。発達障害に起因する不登校の児童生徒が居場所として通級指導教室に通えるよう柔軟な対応を行ってください。
(3)コーディネーターを専任配置し、学校全体で特別支援教育を進めていくことができる基盤を作ってください。
(4)地域に根ざした「適正規模・適正配置」の支援学校を増設してください。地域のセンター的役割を果たすために必要な人員配置をおこなってください。
(5)チャレンジテスト、学力調査等、競争をあおるような教育をやめ、これまで通常の学級で学ぶことができていた障害のある子どもたちが、通常の学級から排除されている状況を改めてください。
(6)支援学級を、支援学級在籍者や特別な支援の必要な児童・生徒が、居場所(「落ち着きを取り戻すための空間」小学校施設整備指針)として常時活用できるようにしてください。
(7)全ての教職員が発達障害についての理解を深め、一人ひとりの子どもの特別なニーズを理解し、子どもたちが自分に必要な環境で教育を受ける事ができるようにしてください。

18.「発達保障ならびに教育保障」の観点にたった適切な就学支援をおこなうために、府および市町村に就学支援委員会を設置し、民主的に運営してください。市町村が行う発達相談・教育相談に、費用の補助を行ってください。

19.地域の学校で学ぶ聴覚障害児が増加していますが、適切な教育環境の整備が図られているかについて各市町村の状況を把握してください。手話言語条例制定を踏まえた大阪府の聴覚障害児教育の基本的な考え方について教えてください。

<放課後保障>

20.家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクトを大阪府においても促進し、家族と府立学校や各市町村の学校と事業所との連携が図れるようにしてください。
(1)子どもの支援に関して、保護者や事業所が希望した場合、スムーズに懇談ができるように学校への働きかけを行ってください。
(2)送迎を円滑に行えるように、下校時間や行事について細やかに情報交換が行えるようにしてください。災害による緊急時に備えるためにも事業所への情報のメール配信を市町村立の各校でも行えるようにしてください。
(3)先生との懇談や学校と事業所間での連絡の取り方(メール配信等)、情報共有等の対応にばらつきがあります。各校と連携がスムーズに図れるようにしてください。

21.放課後等デイサービスについて、現場の声を聴く機会を設け、実態を踏まえて下記の要望を国に要望してください。また、府としてできることも行ってください。
(1)加算で成り立つ制度ではなく、基本報酬や処遇改善費を増額して、職員の雇用を守り、事業所の運営を守れるよう国に働き掛けてください。
(2)子どもの急な欠席の場合、収入が減りますが、職員配置は必要なため財政に影響します。「欠席時対応加算」の増額を図るよう国に働き掛けてください。
(3)「個別サポート加算1」に関しては、指標の判定についても市町村でばらつきがあります。市町村に対して、子どもの状況を把握し、適切に判定するよう働きかけてください。
(4)「個別サポート加算2」については、要保護児童へのきめ細やかな支援を行っている事業所が加算取得しやすいような仕組みを検討するよう国に要望してください。現行の「保護者の同意を得る」などの条件では、実態に見合った活用には至りません。家族への支援にきめ細やかな配慮や連携が必要であることを踏まえて、報酬請求の要件と報酬単価を見直すように要望してください。
(5)「専門的加配加算」については、児童発達支援で認められている「保育士」や「5年以上働いた児童指導員」を放課後等デイサービスにおいても専門職と認めるよう国に働き掛けてください。
(6)「送迎用バス置き去り防止を支援する安全装置」の設置については、設置後破損した場合や車の廃車時、送迎車の追加購入時の対応など、事業所からは不安の声が上がっています。今後の見通しなどを教えてください。

<障害者総合支援法>

22.障害福祉現場では慢性的な働き手不足が続いており、事業継続が困難になっている事業所も増えています。大阪府として福祉人材確保に向けた総合的な計画を立てて実行してください。

23.グループホーム制度を拡充してください。
(1)国が提案している、本人が希望する一人暮らし等に向けた支援については、「通過型グループホーム」の新設ありきではなく、現行のグループホームでの一人暮らし等に向けた支援の機能強化や現行制度の拡充を検討するよう国に働きかけてください。
(2)日割り報酬をやめて月額報酬にするとともに、基本報酬を引き上げるよう国に求めてください。グループホームは週末の帰省や病気等で利用者がいない事も多い反面、職員の配置は必要です。グループホームは、殆どが小規模で運営への影響も大きいので、早急に改善をお願いします。
(3)重度化・高齢化(対応)を進めると言いつつも、加算ばかりで基本報酬は2015年報酬から上がっていません。加算が対象にならないのに濃厚な支援を必要とする人も多くいます。しっかりと基本報酬を上げていくよう国に働きかけてください。
(4)重度化・高齢化に積極的に対応しているグループホームへ、大阪府の単独の補助金(重度加算等)を検討してください。
(5)高齢化・重度化に伴い、平日・休日問わずホームでの日中支援が必要です。「日中支援加算」については、平日に通所事業所を休んで支援した日だけしか加算がつきませんし3日目からの請求です。祝日・休日等、グループホームで行った全ての日中支援が加算対象となるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(6)2021年報酬改定において、夜間支援加算の「巡回型」が新たにできましたが、深夜に複数の共同生活住居を小刻みに巡回するという非常に厳しい労働条件の制度となっています。夜間に複数の職員をしっかり配置できる制度にするよう国に働きかけてください。また、夜間1対1の支援が必要な人への夜間支援加算を新たにもうけるよう国に働きかけてください。
(7)「日中サービス支援型グループホーム」について、重度の利用者を支援するには夜間支援の報酬が少ないこと、軽度の人も利用出来るよう区分1、区分2の人も利用出来るようにするなどの改善を国に働きかけてください。また、「日中サービス支援型グループホーム」だけでなく、「介護サービス包括型」においても、高齢化・重症化に対応できるよう報酬制度の充実・見直しを国に働きかけてください。
(8)グループホームで暮らす障害者の通院・入院への支援が行えるようにしてください。グループホーム入居者の通院介助については「月2回が限度」ですが、高齢になって複数の病院に通院が必要な人も増えていますので、通院回数と時間を増やしてください。また、通院介助は慢性疾患の定期通院のみになっているので、緊急の通院には利用出来ない制度となっています。ホームの職員が通院支援する場合にも使える「通院等緊急対応時加算」を作って、緊急時の対応ができるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(9)グループホーム内での個別でのヘルパー利用については、利用者への専門的な支援とともに、複数の支援を入れることで、支援の客観性が保たれる利点があります。また、利用者の個別の課題にも対応できる支援です。現在の特例の経過措置ではなく、必要な人にはサービス提供を継続できるように制度を恒久化してください。
(10)「民泊問題」や「消防法改正」以降、大阪府下でも、マンション等を利用したグループホームの追い出しの動きが表面化しています。本来「グループホームは住まいの場」であり、マンション等でも安心してグループホームを利用した暮らしを続けていけるよう、大阪府として何らかの対策を講じてください。
(11)大阪府としてグループホーム職員確保のための特別な対策を講じてください。
(12)グループホーム開設のための土地購入・建設補助、大幅改修費への大阪府独自の補助を行ってください。また、開設にあたって、地域の了解を事業者にゆだねるだけでなく、もよりの市町村も積極的に地域への理解を広げるよう指導してください。

24.障害児者の入所施設の整備・拡充を図ってください。
(1)基本報酬の引き上げを国に求めてください。また、夜間の体制が厚くできるよう、加齢や重度化の実態に合わせて補助を行ってください。
(2)入所施設の整備・建設をおこなってください。医療的ケアを必要とする障害者を受けとめるくらしの場を大阪府の責任で整備してください。また、それに対応できる看護師配置を行うための補助制度を創設してください。
(3)欠番
(4)重度化・高齢化に対応した設備改善を行うためのへの補助制度を創設してください。
(5)入所施設で暮らす障害者が通院・入院した際に必要な支援が行えるよう、職員配置の拡充を国に求めるとともに、大阪府として独自の補助制度を創設してください。
(6)児童施設の超過齢者も含めた施設入所希望の待機者数を明らかにしてください。大阪府内の施設入所を断られたために短期入所施設の長期利用を余儀なくされている人や、他府県の入所施設利用を余儀なくされた人の実態を明らかにしてください。待機者の解消に見合った入所施設の整備計画を立てるとともに、次期障害福祉計画では入所施設定員の削減目標を盛り込まないようにしてください。待機者解消のためには、あと何か所の施設(30人規模ぐらい)が必要か教えてください。
(7)欠番
(8)「地域における障がい者等の支援体制の再構築に向けた提言」(令和5年3月大阪府障がい者自立支援協議会)に基づき、重度化・高齢化に対応した設備改善への補助を実施してください。また、自宅やグループホームでの暮らしが難しい重度の知的障害や強度行動障害のある人に対応できる入所施設を整備してください。

25.居宅介護事業を整備・拡充してください。
(1)ヘルパー不足が深刻です。ヘルパー事業所の閉鎖・事業縮小が起こり、ヘルパーを必要としている人に十分に支援ができていません。ヘルパー事業所を探し契約に至るまでに相当の時間を要しています(相談事業所も同様に相当の時間を要しています)。早急にヘルパー事業所などの社会資源が充足する手立てをとってください。大阪府として実態把握に務めるとともに不足状態を解消し、ヘルパーが安心して働き続けられる報酬単価となるよう国に強く働きかけてください。
(2)ヘルパーとして提供できる活動内容を制限しないでください。
 ア)居宅内だけに限らず、入院時、通勤・通学、育児や家族支援を含め、利用を認めてください。また通院介助時に院内介助を制限することは絶対にしないでください。
 イ)障害者が入院した際、買い物や洗濯など生活上の支援や普段から慣れた者しか行なえない介護は、(医師の求めにより)福祉制度のヘルパーが行なえるようにしてください。また、退院間近の慣らしの外出や自宅への一時帰宅に、福祉制度のヘルパーが利用できるようにしてください。その際は重度訪問介護の利用者に限定せず、必要な人に必要な支援が提供できるようにしてください。
(3)緊急時における支給量の迅速な変更について、障害当事者の骨折などの緊急時の支給量変更・決定は、相談支援事業所任せにせず関係機関の共有と連携を図り、ケースワーカーとしての専門性を身に着けた職員の迅速なアウトリーチ対応などにより状況把握を行い、敏速に対応してください。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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