部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 要望書(3)

更新日:2023年4月10日

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要望書

4.ジェンダー平等教育

1.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】女性に対する差別的な構造が浮き彫りになり、結果女性の自死が増えている。働き方・暮らし方の根底にある、幼少の頃から長年にわたり形成された固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)等を性別に関わらずなくしていくとりくみを大阪府として具体的にすすめること。
2.【ジェンダー平等教育の推進】女性差別撤廃条約の基本理念をふまえ、国の「第5次男女共同参画基本計画」「大阪府男女共同参画推進条例」「おおさか男女共同参画プラン」(2021-2025)の重点目標の具体的取組にある「子どもの頃からの教育及び意識啓発の推進」をすすめること。そのために大阪府ジェンダー平等教育基本方針を策定すること。「小・中学校及び府立学校における男女平等教育指導事例集」(03年7月)に記載した「男女平等教育の推進についての基本的な考え方」の周知徹底を、大阪府すべての学校園においておこなうよう指導すること。
3.【隠れたカリキュラムの点検】各種名簿の混合化や並び方、基準服などの実態把握と、就学前の幼稚園等も含め各学校園での「隠れたカリキュラム」の点検をおこなうこと。学校園での生活・行事・進路指導などを性別役割分担意識にもとづいておこなわないよう指導すること。また、ジェンダー平等教育の推進状況を把握するための具体的な調査を毎年、大阪府すべての学校園においておこなうよう指導すること。
4.【不必要な男女別調査】各種調査における男女別統計の意義や必要性を見直し、不必要な男女別調査・統計の廃止にむけとりくみ、市町村教育委員会にもはたらきかけること。また、国に全国学力・学習状況実態調査の性別欄の廃止を求めること。なお、性別が必要な調査等の場合には「性別」ではなく「性自認」または「性別(性自認)」とするなど十分な配慮をおこなうこと。(基6(11))
5.【セクシュアル・ハラスメント防止】教育現場におけるセクシュアル・ハラスメントを防止するために、以下のことにとりくむこと。
 (1)17年に改訂された「教職員による児童・生徒に対するセクシュアル・ハラスメント防止のために」(セク・ハラ防止ガイドライン)について、改訂のポイントも含め周知するとともに、QA集を指針にあわせ改訂し、実効あるものとなるよう大阪府教育庁として指導すること。
 (2)「『セクシュアル・ハラスメント防止のために』―障がいのある幼児・児童・生徒の指導や介助等における留意点−」「児童生徒健康診断の実施におけるセクシュアル・ハラスメント等の防止について」の活用状況を明らかにし、医療関係者も含め周知徹底をはかること。
 (3)20年から府立学校に通う子どもたちに実施している「セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート」の結果など検証し改善していくとともに、2次被害等がないか配慮すること。(基17)
 (4)セクシャル・ハラスメントの根本的解決にむけた対策を大阪府・大阪府教育庁として講ずること。
6.【被害者救済システム】「子どもを守る被害者救済システム」の子どもたちへの広報と、さらなる充実に努めること。また、それに関する研修について充実させること。(基17)
7.【あらゆる暴力を許さない社会づくり】配偶者・恋人等からの暴力、セクシュアル・ハラスメント、性犯罪、買売春、ストーカー行為等の暴力は、人権侵害であるという認識を深めるための教育をすすめ、あらゆる暴力を許さない社会づくりにむけてとりくむこと。
8.【DV防止】改正「DV防止法」「大阪府配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(2022-2026)」を周知し、具体的とりくみをすすめること。また、大阪府作成のデートDV防止のリーフレットやDVD等、及び「教職員向けDV被害者対応マニュアル」とその概要版の活用をすすめること。DVの加害者を出さないために、加害防止にむけた教育・教材の構築にとりくむこと。
9.【労働者教育】キャリア教育の推進にあたって大阪府の実態に合わせ、子どもたちが夢や希望をもてるような人権尊重・ジェンダー平等・労働者の権利の視点にたった労働者教育としての「キャリア教育」を推進すること。(基40)
10.【「性的指向・性自認」(SOGI)】「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関わる府民の理解の増進に関わる条例」などをふまえ、大阪府教育庁「性の多様性を理解するために」の冊子等の活用をすすめ、性の多様性についての理解を深めるための施策を講ずること。
 (1)教育実践の推進・教材開発等、教育のあらゆる場面でSOGIの考え方をひろめ、子どもたちの人権が守られるてだてを講ずること。(基18)
 (2)部活動においてもSOGIの考え方で子どもたちの人権が守られるよう、関連団体にはたらきかけること。
11.【プライバシーを守るための施設の充実】府立学校において、子どもたちのプライバシーを守る視点にたった更衣室や多目的トイレ等の設置をすすめること。また、市町村教育委員会に設置するよう指導すること。さらに、学校園での現状の実態把握をすること。
12.【中学校の保健体育】中学校の保健体育の授業で、性別で分けることなく共学・共修をすすめるよう指導すること。学習内容がジェンダー平等の視点でとりくまれるよう市町村教育委員会に指導・助言すること。
13.【性の教育】人権、ジェンダー平等の視点にたち、SOGIの観点を含む個人の自己決定権を尊重する包括的な性の教育をすすめること。性教育指導事例集「わたしを生きる」が学校現場で活用されるようてだてを講ずること。さらに、「性に関する指導」における指導者養成研修での成果にもとづき性の教育をひろげるためのてだてを講ずること。また、しょうがいのある子どもたちに対する性の教育の必要性についての認識を深め、とりくみをすすめること。「生命(いのち)の安全教育」について、23年度の計画を周知すること。
14.【若年層の性的搾取】子どもを性的な対象として働かせるいわゆる「JKビジネス」などの実態や写真・動画の扱われ方等を把握し、対策を講ずること。また、対策については、単に補導や生徒指導の視点ではなく、人権的な視点で実施すること。「AV出演被害防止・救済法」の周知及び啓発をおこなうこと。また、性犯罪・性暴力被害者救済のための相談窓口の周知をおこなうこと。
15.【妊娠を理由とした退学等】18年3月文科省通知「公立の高校における妊娠を理由とした退学等に係る実態把握の結果等を踏まえた妊娠した生徒に対する対応等について」を周知すること。妊娠した子どもへの学業継続にむけた適切な対応について実態を把握し、今後のとりくみを明らかにすること。また、妊娠をした子どもへ相談窓口の周知などケアをおこなうこと。
16.【私立学校の課題】私立学校においても、すべての場面で人権に配慮した教育がおこなわれるよう指導すること。(基34・進13)
17.【研修の充実】ジェンダー平等教育(性の教育を含む)の啓発、管理職はじめ教職員がジェンダーに敏感な視点を養うための研修の充実をはかること。
 (1)管理職や指導主事を対象にセクシュアル・ハラスメント防止やジェンダーに敏感な視点を養うための研修を十分おこなうこと。
 (2)教育センターにおける「ジェンダー平等教育」や「生命(いのち)の安全教育」の研修の充実をはかるとともに、各市町村教育委員会でのジェンダー平等教育に関する研修について支援すること。
 (3)学校園でのジェンダー平等教育の実践について、とりくみが交流できるように研修を実施するなど、具体的てだてを講ずること。
 (4)学校園で、教職員対象に実効性のある校内研修が実施されるようはたらきかけること。
18.【メディア】メディア等における性の商品化や暴力的表現及び性別役割分担をみなおし、女性の人権を尊重した表現をおこなうよう各方面に大阪府としてはたらきかけること。特に、学校園で配布されるリーフレット等については、ジェンダー平等の視点で点検をおこなうこと。
19.【教員養成課程・管理職任用】教員養成課程のカリキュラムにジェンダーに敏感な視点にたった項目をとり入れるようはたらきかけるとともに、管理職選考や教員採用選考テストにジェンダー平等教育の項目を盛り込むこと。
20.【男女共同参画社会】子どもたちの男女共同参画意識を向上させるためにも、女性活躍推進法にもとづく21年度改定大阪府教育委員会特定事業主行動計画などをふまえ、男女共同参画社会にみあった女性管理職率にすること。当面、女性比率25%をめざし、30%とするための年次目標を明らかにすること。

5.進路保障と高校改革の推進

1.【高校入試】入学者選抜におけるこの間の制度改変が、学校現場に大きな影響を与えている。制度変更等については、拙速に結論を出すのではなく、有識者も含めた幅広い層による議論や現場の意見をふまえ、慎重かつ丁寧になされるべきである。大阪府教育庁としての課題認識と今後の方向性を明らかにし、中学校での進路指導をはじめ中学校・高校現場の教育活動に混乱をきたさないよう、現場に即応した指導・支援をおこなうこと。(基31)
2.【高校教育のあり方】地域とのつながりや中高連携を大切にした学校づくりをすすめること。また、高校進学希望者全入の実現をめざしたすべての子どもの進路保障として、公立高校がセーフティネットとしての役割を果たす長期計画を策定すること。そして、「高校適格者主義」の見直しなど、すべての子どもの学習機会、学習環境の整備を第一義とした、今後の府立高校・高校教育のあり方について、方向性を示すこと。(基32)
3 .【府立高校の再編整備】「大阪府立学校条例」による「再編整備計画」により、今後の再編整備対象校については、現に通学している子どもたちの学習環境、学習意欲が低下することがないよう配慮すること。また、再編整備については、子どものたちの幅広い進路選択を可能とする観点にたち、「地域に根ざす」という理念の実現にむけ、とりわけ人権教育の拠点となる学校を発展させるなど、全ての子どもが安心して通える学校を全ての地域に設置すること。また、自立支援コース等をはじめ学校ごとに培ってきた特色ある教育を継承・発展させるなど、子どもたちや教職員、地域に不安や混乱が生じないよう努めること。(基37)
4.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】入学者選抜等、卒業後の進路保障に関して、子どもたちが不利益を被らないようにてだてを講ずること。
 (1)公立高校における見学会や説明会など、情報の充実と発信の工夫をすること。
 (2)すべての子どもたちが感染や濃厚接触のため自宅待機をすることにより、入学者選抜の機会をうばわれることのないよう適切に対応すること。
5.【受験上の配慮】日本語指導が必要な子どもや自立支援コースなどを希望する子どもたちにとっての入学者選抜の機会を保障すること。
6.【チャレンジテスト】調査書の「評定」にかかわって、公平性を担保するための方策として活用している「チャレンジテスト」により、点数学力が特化され、各教科の評価や授業内容、年間指導計画等に大きな影響を及ぼしている。テストの結果をもとに、目標に準拠した評価(絶対評価)を学校間で相対的に比較する制度には、子どもたちの排除につながる等の問題点がある。チャレンジテストに関わる問題点や課題については、総括的に検証するとともに、実施しないことも含めた制度の見直しをはかること。(基30)
7.【入試における課題】公立高校入学者選抜における合格者の決定手順について、さまざまな課題や問題点が表面化している。とりわけ、「大阪の教育力」向上プランの基本方針である「入れる学校」から「入りたい学校」「入ってよかった学校」の実現にむけた「入試制度のあり方の検討」については、現行制度による中学校、高校現場における実態を多角的に分析し、課題や問題点を明らかにすること。また経済格差が教育格差につながらないよう、課題解決にむけた民間試験導入の廃止等検討すること。
8.【多様な教育実践校・エンパワメントスクール】多様な子どもたちの学びに応える高校となるよう、引き続き地域バランス等を考慮するとともに、設置校へのこれまでのとりくみを十分に活かしたものとすること。とりわけ、多様な教育実践校については、各校のとりくみが発展・継承されるよう支援するとともに、柔軟なカリキュラムや少人数学級などを継続しておこなえるよう、定数を改善するなどの人的配置をおこなうこと。
9.【グローバルリーダーズハイスクール】特定大学合格者数目標の設定や独自の学力テストの実施などがされ、受験指導に偏重することが危惧される。「グローバルリーダーズハイスクール」のとりくみが、受験競争の激化や学校間格差の拡大につながらないよう大阪府教育庁として指示すること。部落問題学習や国際理解教育など人権尊重の教育を計画的に実施するよう指導すること。
10.【私立高校の無償化の検証】家庭の経済格差が教育の格差につながらないよう、私立高校の中退・転学率等の検証も含め、現行の授業料支援制度における課題解決をはかること。そして、24年度入学生以降にも適用されるよう私立高校の授業料支援制度を継続し、さまざまな生活実態や課題に直面する子どもたちをはじめ、すべての子どもたちの進路保障の支援をおこなうこと。24年度以降の制度の継続については見通しを示すこと。また、魅力ある進路先となるよう公立高校の設備充実にむけた予算措置をすること。
11.【学校現場への支援】市町村教育委員会との連携をはかりながら、中高連携および、進路保障のよりいっそうの充実が求められている。入試制度の改編が進路指導はもとより、中学校教育・高校教育全般にさまざまな影響を及ぼしている。現場に過重な負担や混乱が生じないよう、必要な支援をすること。
 とりわけ中学校現場においては、これまで以上に子ども・保護者への精確かつ迅速な情報提供や対応等、よりきめ細かな進路指導が求められている。真に子どもたちのためとなる進路保障・進路指導の充実をはかるため、加配を活用して専任教員を配置するなど、中学校現場への支援をおこなうこと。
12.【高校見学・体験入学】高校見学・体験入学などへの中学生の参加に際して、中学校教職員などの引率を要しない旨を高校に周知・徹底すること。あわせて、高校見学・体験入学などの実施にあたっては計画一覧や公立高校ガイドが1学期の進路懇談等、進路指導に適切に活用できるよう、早期作成や迅速な配布をおこなうこと。
13.【出願に関わる課題】公立高校入試における出願期間について、配慮を要する子どもたちなどの実情に鑑み、充分な出願時間が確保できるよう努めること。
14.【入試に関わるジェンダー課題】「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」をふまえ、私立を含む高校入試において不必要な性による区別等がないよう、子どもたちの人権を尊重することを第一義とした環境整備に努めること。(基34・ジェ17関連)
15.【教育保障】同和地区出身の子どもたちをはじめとする、すべての子どもたちの教育保障をおこなうこと。
 (1)独立行政法人「日本学生支援機構」に対し、以下の要望をおこなうこと。
  ア.給付型の奨学金制度を拡大すること。
  イ.引き続き、給付額・貸与額増額、募集枠拡大、そして、学力基準の廃止を求めること。
  ウ.当面、無利子奨学金(第1種)だけでなく有利子奨学金(第2種)についても所得連動型の返還とするよう求めること。とりわけ、経済的により厳しい状況に置かれている第1種・第2種の併用者を支援するものとなるよう強く求めること。
 (2)大阪府育英会奨学金制度について、以下のとおり改善すること。
  ア.給付型の奨学金制度を拡大すること。
  イ.給付額・貸与額を増額すること。
  ウ.サービサー(債権回収会社)の活用をおこなわないこと。
 (3)府立高校の入学料等の未納指導にあたっては、「教育的配慮」の観点にたち、現に通学している子どもたちの教育を受ける権利を奪わないよう、慎重に対応すること。 
16.【高校生活支援カード】「高校生活支援カード」については、一人ひとりの子どもたちの状況に応じた支援をおこなうために活用するような施策を講ずること。また、市町村教育委員会にも「高校生活支援カード」の有効的な活用の好事例を周知すること。
17.【私学の入試日程】私学の入試制度・日程などについては、受験者の負担増とならないよう、公立中学校の教育課程などに十分配慮するよう調整すること。
18.【高等職業技術専門校】公的職業教育機関「高等職業技術専門校」の中卒枠の維持に努めること。また、次年度の定員枠については、早期に周知をおこなうこと。
19.【夜間定時制高校】現在の夜間定時制高校が、事実上、後期中等教育の「最後の担い手」として役割を果たしていることをふまえ、夜間定時制高校で不合格者を出さないよう、志願状況に応じて募集学級数や募集人員の増など、希望者全入にむけ必要な措置をおこなうこと。また、支援学校高等部既卒者が夜間中学校で学び直した後、定時制高校等へ入学できるようにするなど、夜間中学生の進路保障につながる制度改善をおこなうこと。(基34・夜10)
20.【高校中退に関わる課題】高校中退者を減らす対策として、
 (1)単位制や進級規定の弾力的運用などをすすめること。
 (2)中高連携のとりくみの充実など、子どもたち一人ひとりを丁寧に指導できるよう大阪府教育庁として支援策を講ずること。
 (3)「公私間の転入学制度」が、子どもたちの進路保障の一環としてよりよいものとなるよう努めること。
 (4)高校中退、不登校の子どもたちを支援する各種事業を継続すること。
 (5)さまざまな課題が集中する高校への具体的な支援・施策をさらに強化すること。
 (6)妊娠した子どもが学び続けることができるよう支援すること。
21.【就職】就職を希望する高校卒業予定者の就職決定を促進するため、商工労働部、職業安定所と連携し、各種施策を充実すること。高校生の就職支援の充実にむけて、新たなとりくみなど検証し、拡充すること。
22.【求人票】精確な求人情報が就職希望者に明示されるよう、また、求人票作業の省力化がはかられるよう、大阪府・大阪府教育庁として対策を講ずること。今年度から始まった就職慣行の変更について、実態を把握し検証すること。(基42)
23.【働く前に知っておくべき13項目】中・高校卒業者を対象とした「働く前に知っておくべき13項目」「同7項目」の発行を継続するとともに部数を拡大し、全府立学校生・中学卒業者全員に配布すること。また、総合学習や進路指導での活用をはたらきかけること。さらに、厚生労働省作成「知って役立つ労働法(働くときに必要な基礎知識)」の周知をはかること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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