日本労働組合総連合会大阪府連合会 要望書

更新日:2022年6月27日

要望受理日

令和3年9月9日(木曜日)

団体名日本労働組合総連合会大阪府連合会
取りまとめ担当課商工労働部 雇用推進室 労働環境課
表題2022(令和4)年度 政策・制度予算に対する要請について

要望書

2021年9月9日


大阪府知事
吉村 洋文 様

日本労働組合総連合会大阪府連合会 会長

 

2022(令和4)年度 政策・制度予算に対する要請について

 貴職の日頃よりの府民生活の向上にむけた行政運営・諸施策の推進に敬意を表します。
 私たち連合大阪は、大阪府域で働く者を代表する組織として、暮らしの底上げや格差是正など、働く者が公正に報われる社会の実現に向け、様々な活動に取り組んでいます。
 そうした活動の一環として、コロナ禍によって急速に高まった社会不安を払拭するとともに、誰もが安心して働き生活できる元気な大阪を創り上げていく観点から、生活者・勤労者の視点で議論を重ね、このたび「2022(令和4)年度政策・制度予算要請」をまとめました。
 大阪経済は業種・業態による違いはあるものの、下押しされた状態が依然として続いており、先行きは見通せず、有効求人倍率1.17倍、完全失業率3.9%(2021年6月現在)と未だ厳しい状況が続いています。これらの影響は、特に有期、短時間、契約、派遣や女性、外国人など、弱い立場で働く者へより一層強く出ています。
 また、新型コロナウイルス感染症は新たな変異株の発生など予断を許さない状況が続いており、8月2日には4度目となる緊急事態宣言が大阪に発令されました。府民の命を守る医療提供体制が、感染拡大第4波では重症患者が確保病床数を上回り医療非常事態宣言を発出するなど、医療崩壊の危機に直面したことからも、一般医療と両立が可能な医療提供体制の早急な整備が必要であります。加えて、重症化リスクを軽減し停滞した社会経済活動の再開には、ワクチン接種は重要な役割を果たすものであり、広域行政を担う大阪府として市町村との連携、並びに接種計画に遅れが生じることのない十分な供給へ向けて、国との連携を強化しなければなりません。
 このたびの要請内容は、「雇用・労働・ワーク・ライフ・バランス施策」「経済・産業・中小企業施策」「福祉・医療・子育て支援施策」「教育・人権・行財政改革施策」「環境・食料・消費者施策」「社会インフラ施策」の6点の柱に加え、新たに「新型コロナウイルス感染症対策関連施策」を追加した7点を柱とした69項目の要請としています。新型コロナウイルス感染症対策の強化や感染拡大抑制へ向けた措置により、財政状況が厳しい中ではありますが、2022年度の府政の施策に、ぜひとも反映していただきたく要請いたします。

以上

2022(令和4)年度 大阪府 政策・制度予算要請

〔(※)は重点項目〕

1.雇用・労働・ワーク.ライフ.バランス施策

(1)雇用対策の充実・強化について(※)
<継続>
(a)大阪雇用対策会議の開催に向けて
 新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、各業界によっては相当な打撃を受けている。早急に大阪雇用対策会議の実務者会議を開催し、各構成団体のコロナ対策の取り組みを共有するなど、オール大阪で対応すべく府の主導的役割を確実に果たすこと。

<継続>
(b)大阪労働モデル(仮称)策定について
 コロナ禍においても労働者が安心して就労することができる旗印として、就業率・年次有給休暇取得率・男性の育児休業取得率など、指標となる「大阪労働モデル(仮称)」を策定し、大阪の働き方改革が推進されるよう、関係機関と連携した取り組みを強化すること。

(2)就労支援施策の強化について
<継続>
(a)「大阪就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」の機能強化について
 「大阪就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」で策定された事業計画においては、コロナ禍の制限による影響で、十分な機能が発揮できたかどうかを検証するとともに、令和3年度実績で達成されなかった事業については取り組みを強化し、就職氷河期世代の実態やニーズに沿った支援となるよう事業を充実させること。加えて、当事者に寄り添った「オンライン相談サービス」や「職業紹介サービス」を展開するなど、職業能力開発や就労、社会とのつながりを持つことに関する情報提供や啓発を強化すること。

<継続>
(b)地域就労支援事業の強化について
 府の主導により「地域労働ネットワーク」の活動を活性化させ、コロナ禍において特に影響を受ける就職困難層に寄り添った手厚い事業が展開されるよう、市町村をバックアップすること。また、地域で働く女性の後押しができるような施策を講じるとともに、特に、ひとり親家庭への支援事業の拡充や職業能力開発支援など、総合的な施策を強化させること。

<継続>
(c)障がい者雇用の支援強化について
 本年3月より法定雇用率が引き上げられ、対象となる事業主の範囲が「常用労働者43.5人以上」に広がり、確実な対応が求められている。法定雇用率達成に向けた施策の具現化と併せて、本人の意思を尊重した合理的配慮や相談体制を充実させる施策を進めること。また、中小企業における障がい者雇用の推進のため、特に障がい者の受入実績がない「雇用ゼロ企業」に対する雇用前後の支援を強化すること。

<継続>
(3)男女共同参画社会の推進に向けて
 2021年3月に策定された「おおさか男女共同参画プラン(2021-2025)」に盛り込まれた各種施策が着実に実施されるよう、大阪府庁内の関係部門が連携した取り組みを行うこと。特に、大阪府民に対し、本プランをアピールするためのリーフレットの作成やホームページ、SNSなどでの情報発信を行い、大阪府の男女共同参画社会実現に向けた方針の理解促進に努めること。

(4)労働法制の周知・徹底と法令遵守・労働相談機能の強化について
<継続>
(a)「同一労働同一賃金」と「パワハラ防止義務」の周知・徹底について
 働き方改革関連法に関して、本年4月より「同一労働同一賃金」が中小企業にも適用され、「パワハラ防止法」についても努力義務期間を設けたうえで、2022年4月から防止措置が義務化される。中小企業は労務管理が脆弱なこともあり、支援体制を充実・強化すること。

<継続>
(b)外国人労働者が安心して働くための環境整備について
 生活するうえで必要な日本語のみならず、働くうえで必要となる基本的な日本語能力を身につけるため、外国人労働者に学習の場の提供や、既に学習支援を実施するNPO・NGOなどと連携し、事業を委託するなど予算を検討すること。
 加えて、外国人技能実習生や特定技能実習生の受け入れ企業に労働法令等を順守させるとともに、労働条件について使用者と対等な交渉ができるよう、労働相談センターなどの支援を強化すること。さらに、新型コロナウイルス感染症に係る情報提供については、分かりやすい日本語を始めとする多言語による最新の情報提供に努めること。

<継続>
(5)産業政策と一体となった基幹人材の育成と確保について
 府内の人材確保を必要とする業界において、人手不足の解消を目的に設立された「大阪人材確保推進会議」については、昨年度は書面会議のみの開催であり対面による開催がされていない。Eカンパニーの認定事業者は増加しているものの、人手不足の解消までも至っていないことから、WEBを活用するなど早急に推進会議を開催し、当該業界への就職率や定着度合などの実態を把握し、施策を強化すること。

<継続>
(6)治療と職業生活の両立に向けて
 新型コロナウイルスによる重症化リスクが高いとされる基礎疾患を抱えながら働く者への配慮を含め、治療が必要な疾病を抱える労働者が業務によって悪化させること等がないよう、また、離職することなく安心して働きながら治療することができるよう関係機関と連携し、相談窓口や治療と仕事の両立支援に関する施策を広く府民に周知すること。加えて、テレワークの普及等による新たな働き方にも対応した両立支援が実施されるよう検討すること。

2.経済・産業・中小企業施策

(1)中小企業・地場産業の支援について
<継続>
(a)ものづくり産業の育成強化について
 ものづくり企業の従業員やOB人材を改善運動のインストラクターとして養成するとともに、「改善インストラクター養成スクール」の開設に向けて関係部局と連携した支援を創設・拡充し、ものづくり産業の維持・強化に努めること。

<継続>
(b)若者の技能五輪への挑戦支援について
 中高生からものづくりに関心が持てるような機会を与えるとともに、中小企業で働く若者が技能五輪に挑戦できるよう、当事者に対する支援を充実させること。加えて、技能五輪地方予選大会・全国大会・国際大会に選手を輩出させる中小企業に対して、直接的な助成を行うこと。

<継続>
(c)中小・地場企業への融資制度の拡充について
 コロナ禍による中小・地場企業の経営実態を見極め、中長期にわたる安定的な融資・保証制度を確実に実行するとともに、煩雑な手続きにならないよう、利用者の視点で迅速かつ効果的な制度を実施すること。さらに、極めて厳しい状況にある中小企業に対しては、給付型の支援や融資枠を拡大するなど資金繰り支援策を検討し、予算措置を国に求めること。

<継続>
(d)事業継続計画(BCP)策定率の向上に向けて
 帝国データバンク大阪支社の本年5月調査によると、大阪府のBCP策定割合は、16.1%と昨年より0.8ポイント上回ったものの、全国水準(17.6%)よりも低く、企業規模別で見ると、近畿では大企業と中小企業の差が2倍以上となっている。各地で頻繁に起こる自然災害や感染症の拡大により、策定の意向は高まっているものの、引き続き、近畿経済産業局との「BCP策定大阪府スタイル」の連携を強化するとともに、策定のスキルやノウハウ、メリットを広く周知し、策定率を向上させること。また、BCP策定に優遇措置を与えるなど、策定率向上に向けた対策を講じること。

<継続>
(2)取引の適正化の実現及び相談体制の強化に向けて(※)
 サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配の実現に向けて、「働き方」も含めた取引の適正化、下請法等関係法令の強化とその遵守の徹底、大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策の着実な実行など、関係機関と連携した指導・監視の強化を徹底するとともに、コロナ禍が長期化することを踏まえた相談体制の充実と対面以外での体制を構築すること。

<継続>
(3)総合評価入札制度の早期拡充と公契約条例の制定について
 総合評価入札制度未策定の府内市町村に対して、府の指導力を強化し導入を促進するとともに、民間委託などの公契約を締結する際には、「労働条件審査」を導入すること。併せて、公契約のもとで働くすべての人の雇用・労働条件を守り、住民がより良い公共サービスを受けられるよう、公契約条例を制定し、公契約の適正化を推進すること。

<継続>
(4)「中小企業振興基本条例」の制定について
 中小企業振興基本条例が未制定の府内市町村に対して、本条例の趣旨・目的が理解されるよう周知・促進に努め、府の指導力を強化すること。

3.福祉・医療・子育て支援施策

<継続>
(1)地域包括ケアの推進について(※)
 住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう地域包括ケアの推進に向け、質・量ともに十分な介護サービスの提供体制を市町村と連携して整備するとともに、地域包括ケアの整備推進に対し、利用者、医療保険者、被保険者の声が反映できる仕組みと、市町村が個別に抱える課題や支援ニーズに対して十分な支援を行うこと。加えて、新たに策定された「大阪府高齢者計画2021」の実現へ向けたロードマップを広く府民に示すとともに地域包括ケアに関する情報を積極的に周知すること。

<継続>
(2)予防医療及び健康づくりのさらなる推進について
 大阪府民の特定健診や、乳がん検診、子宮頸がん検診等の受診率向上と早期発見のためにも、若年世代から毎年受診できるよう制度改定すること。また、AYA世代におけるがん検診の積極的な受診を促すための取り組みを強化すること。加えて現在進められている「第3期大阪府がん対策推進計画」の進捗状況についての検証を行うこと。さらに、大阪府が実践的に取り組む「健活10」や「大阪版健康マイレージ事業“おおさか健活マイレージアスマイル”」等を大阪府民により広くPRする取り組みを行うとともに、その内容の充実を図ること。

(3)医療提供体制の整備に向けて(※)
<継続>
(a)医療人材の勤務環境と処遇改善について
 医療現場の実態を把握し、労働環境の改善とワーク・ライフ・バランスや勤務間インターバルの確保等、医療現場で働く労働者の健康に対する配慮を強化すること。また、2024年度の医師の労働時間上限規制への整備と同時に、看護師の労働条件についても整備を進めること。安全で質の高い医療・看護を提供するとともに緊急事態を想定した医療人材の確保へ向けて、処遇や勤務環境の改善、キャリアアップが可能な仕組みの確立、専門性の向上を図る研修機会の拡充を積極的に実施すること。さらには、潜在医療従事者が大規模災害など緊急時に復職できる仕組みや、新型コロナウイルス感染症の患者対応やワクチン接種への従事などをきっかけに一時的に復職した者が希望すれば本格的に復職できる仕組みを医療機関と連携し構築すること。

<継続>
(b)医師の偏在解消と地域医療体制の向上に向けた取り組みについて
 地域や診療科ごとの医師の偏在を解消するため、出産や育児を理由に離職した女性医師の復職支援研修など効果的な施策を実施すること。特に、救急科や産科、小児科等医師不足が懸念される診療科の医師の確保に取り組むこと。加えて、医療分野における地域間格差の解消へ向け地域の医療ニーズや人口構造の変化二次医療圏内で医療需要の増加が見込まれる病床機能の確保など地域の実態を検証し、効果的な医療提供体制を構築するとともに、高度な医療機器については共同利用に関する意向書の提出状況の検証を行い、医療機関間の共同利用をさらに促進すること。

(4)介護サービスの提供体制の充実に向けて(※)

<継続>
(a)介護労働者の処遇改善と職場定着に向けて
 介護労働者の確保と定着、離職防止のために、処遇改善施策および潜在介護職員の復職支援研修や介護士をめざす人材への介護資格取得のための奨学金補助や住居費、介護実習費の支援を拡大すること。さらには、サービス提供責任者をはじめとする介護労働者に対する能力開発プログラムの拡充や定期的な受講を義務付けるとともに、事業所による受講促進にかかる取り組みを評価する等、キャリアアップの仕組みへの整備を支援すること。また、介護職場における労働環境の改善へ向けて見守りシステムなどのIT導入にかかる費用に対する補助を行うとともに、介護業界と連携しイメージアップへ向けた取り組みを行うこと。

<継続>
(b)地域包括支援センターの充実と周知徹底について
 地域包括支援センターが地域のニーズに則した、身近な範囲で一定の水準を確保した実効性ある機能を発揮できるよう市町村に応じた十分な支援を行うこと。また、家族の介護や家事に追われ十分な学校生活を送ることができないヤングケアラーを確実に支援するため、地域包括支援センターを拠点として福祉、介護、医療、教育等の様々な機関と連携し、早期発見が可能な仕組みを構築するとともに、相談体制を強化すること。さらには、労働者の介護離職を防ぐためにも、家族等が介護をしながら働き続けることをサポートする機能や役割を地域包括支援センターが持つことについて、地域住民に認識してもらえるよう、周知・広報等市町村の取り組みを支援・促進させること。

(5)子ども・子育て施策の着実な実施に向けて(※)
<継続>
(a)待機児童の早期解消に向けて
 市町村と連携して、保護者の意向や状況を把握するとともに、潜在的な待機児童の把握と事業所内保育、家庭的保育や小規模保育等の整備・充実をはかること。また、整備の際には保育が適正に行われるよう、認可保育施設との連携等を行うこと。加えて、待機児童が増加した市町村に対して受け皿の拡大や保育士の確保へ向けた支援を行うこと。さらには、障がいのある児童の受入や、兄弟姉妹の同一保育施設への入所など保育の質を向上させること。

<継続>
(b)保育士等の確保と処遇改善に向けて
 子どもが心身ともに健やかに成長するために必要な保育や幼児教育の質の確保のため、保育士、幼稚園教諭、放課後児童支援員等の労働条件と職場環境の改善を行うこと。このことにより、定着率を上げる(離職率を下げる)ために、正規・常勤での雇用、給与水準の確保、適正な配置、研修機会の確保等を行うこと。また、保育士の確保へ向けた大阪府独自の助成金の創設や、離職した潜在保育士が復職するための働き方を含めた環境整備などの支援を強化すること。加えて「放課後児童支援員キャリアップ処遇改善事業」未実施の市町村に対する実施へ向けた働きかけを強化すること。

<継続>
(c)地域子ども・子育て支援事業の充実に向けて
 保護者の負担軽減に資するよう、病児・病後児保育、延長保育、夜間保育、休日保育等、多様なサービスの拡充のための財政支援を行うこと。また、病児・病後児保育を利用しようとする保護者がネットによる空き状況の確認や予約が可能なシステムを整備すること。市町村との連携で保護者の意向や状況の把握、多様な保育サービスが実施できる施設の拡大に伴う保育士、看護師の確保の支援を行うこと。

<継続>
(d)企業主導型保育施設の適切な運営支援について
 企業主導型保育施設については、子どもの育ちと安全を保障するため、認定・指導・監査等市町村による関与を行うことが必要である。また、認可施設への移行を強力に進め、保育の質を確保するとともに、企業主導型保育事業における地域貢献の理念を徹底すること等について、現在策定されている計画に基づき、速やかに進めると同時に、市町村や事業者、保護者の声を聞く等、新たな課題等が抽出できる仕組みを構築すること。

<継続>
(e)子どもの貧困対策と居場所支援について
 「第2次大阪府子ども貧困対策計画」にもとづき、大阪府・大阪府教育委員会として実効ある対策と効果の検証をおこなうこと。困窮家庭における相談窓口を一本化することにより必要な支援が確実に享受できる体制の構築を推進するとともに、就労しているひとり親家庭への支援が確実に届くよう、土日祝や夜間における相談体制を充実させること。さらには、行政手続きの簡素化をおこなうこと。また、NPO、民間団体、個人が運営する「子ども食堂」は、食の提供だけに留まらず、「子どもの居場所」として、地域との繋がりを深める重要な拠点であることから、市町村が実施している「子ども食堂」支援事業に応じた補助金を支給・拡充するなど市町村への支援を強力に行うこと。また、「子ども食堂」、教育機関、民間企業などが連携したネットワークの構築へ向けた市町村の取り組みを支援すること。

<継続>
(f)子どもの虐待防止対策について
 児童虐待相談件数が増加していることから、府民に対する「児童虐待防止法」の周知や国民の通告義務、児童虐待防止を呼び掛ける「オレンジリボン運動」について、現在実施している啓発活動を拡大し、あらたな未然防止策を講じること。また、増加する相談業務に適切に対応するため、児童福祉司、児童心理司、相談員を増員し、児童虐待の予防的な取り組みや介入の徹底など児童相談所の機能を強化するとともに、相談業務を担う職員の専門性を高める研修等を実施すること。加えて、虐待の早期発見を図るとともに、新型コロナウイルス感染拡大の影響により在宅時間が増えることによる虐待事案も見られることから、学校との連携を強化し、早期発見による未然防止に努めること。

<新規>
(6)自殺念慮者に対する相談体制の強化について
 相談員の増員や研修制度の充実、さらにはSNSによる相談体制を充実するなど、相談体制を強化すること。また、相談者が抱える個々の事情により沿った支援を行うために、市町村や、NPOなどの民間団体と連携するとともに、取り組みに対する支援を行うこと。

4.教育・人権・行財政改革施策

<継続>
(1)指導体制を強化した教育の確保と資質向上について(※)
 少人数学級による子どもの学びの質を高めるために教員や支援員の確保と同時に教員の長時間労働を是正するための客観的な勤務時間管理を行い、「在校等時間の上限(月45時間、年360時間)」を遵守すること。また、教職員の欠員対策については、代替者が確実に確保できるよう、21年度から試験的に実施している事前任用を中学校等へも広げるなど、課題解決をはかるとともに、子どもの虐待や自死など課題が深刻化している状況をふまえ、すべての学校にスクールカウンセラー(SC)及びスクールソーシャルワーカー(SSW)を早期に配置すること。また、SC及びSSWの十分な人材確保へ向けた養成・育成について取り組むこと。

<継続>
(2)奨学金制度の改善について(※)
 給付型奨学金制度のさらなる対象者や支給金額の拡充を国に対して求めること。また、従来からの支援制度のみならず、地元企業に就職した場合の奨学金返済支援制度の創設を検討するなど、新たに大阪府独自の返済支援制度を検討すること。さらには、コロナ禍によって返済が困難な労働者に対する返済猶予措置を講ずること。

<継続>
(3)労働教育のカリキュラム化について
 ワークルールや労働安全衛生等、働くことに関する知識を深め活用できるよう、高等学校における労働教育のカリキュラム化を推進するとともに、職業意識を醸成し働くことの意義や労働の尊厳を深く理解し、働くことによって社会や地域とかかわり成長していく力を育成すること。加えて労働組合の意義や果たしている役割についての理解を深める取り組みを行うこと。また、講師には労働組合役員や退職者等の経験豊富な外部講師を設定すること。

(4)人権侵害等に関する取り組み強化について
<継続>
(a)差別的言動の解消に向けて
 大阪府ヘイトスピーチ解消推進条例が施行されているものの、ヘイトスピーチをはじめとする差別行為は無くなっていないことからも、あらゆる差別の解消に向けSNSやインターネット上に氾濫する差別の実態を把握するとともに、差別解消に向けた具体的施策を講じること。さらには、無意識による無理解や偏見による言動も差別に繋がることから、人権意識の向上へ向けた周知をおこなうこと。

<継続>
(b)多様な価値観を認め合う社会の実現に向けて
 LGBT等のセクシュアル・マイノリティに対する偏見、差別が根強くあるのは、SOGI(性的指向と性自認)に対する社会の理解が進んでいないことが原因である。「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」に基づき、人権問題として多様な価値観を認め合うことが必要であり、そうした理解を深めるために、行政・府民一体となって意識変革啓発活動に取り組むこと。合わせて2017年3月に策定された「性的マイノリティの人権問題についての理解増進に向けた取組」方針の検証を行うとともに、見直しにあたってはNPOや有識者など幅広い意見を参考に見直すこと。また、「大阪府パートナーシップ宣誓証明制度」に続き、府内市町村にも条例設置について働きかけること。

<継続>
(c)就職差別の撤廃・部落差別の解消に向けて
 いまだ就職差別については根が深い問題であることから、公正採用選考人権啓発推進員のさらなる拡充により、企業への指導を強化すること。また、応募用紙については「統一応募用紙」「厚生労働省履歴書様式例(2021年策定)」の使用や面接時における不適切な質問を行わないように企業や関連団体等に対して周知徹底すること。加えて部落差別解消法について府民に広く周知はもとより、就職を控えた若年層への就業前教育等で徹底し、あらゆる差別撤廃に向けた施策を講じること。

<新規>
(5)財政状況の点検と適正な財政支出について
 新型コロナウイルス感染症拡大が長期化する中、市町村は様々な対策を講じ続けなければならない状況にあるものの、市町村によっては財政が圧迫され、十分な対策を行うことができないことから、市町村における財政状況を具に点検し必要な支援を行うとともに、国に対して新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を支出するなどの財政支援を強力に求めること。また、補正予算の編成については、二元代表制の趣旨を尊重し丁寧に予算編成を行うこと。

<新規>
(6)行政におけるデジタル化の推進について
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって支援の迅速化が求められていることから、行政によるデジタル化の推進を強力に推し進める事により、手続きの簡素化や迅速化を図るデジタルセーフティーネットの構築を目指すこと。また、デジタル化の推進に伴う情報格差の解消に向けても取り組むこと。さらには、行政が主催する会議体については、参集と併用してオンラインによる参加を可能とする体制を整備すること。

5.環境・食料・消費者施策

<継続>
(1)食品ロス削減対策の効果的な推進に向けて(※)
 これまで大阪府の「食品ロス削減ワーキングチーム」が精力的に取り組んできた食品ロス削減対策を継続的に実施するとともに、「大阪府食品ロス削減推進計画」の進捗状況、検証を行うこと。また、「おおさか食品ロス削減パートナーシップ制度」による「パートナーシップ事業者」を拡大していくため、外食産業をはじめとする食品関連事業者に積極的な働きかけを行うこと。また、府民に対し「食べ残しゼロ」を目的にした「3010運動」については、コロナ禍において運動の広がりが困難であるが、アフターコロナに向けて引き続き効果的な啓発活動を実施するとともに、「食べきり」を促進することに併せ、食品ロスを無くすための「持ち帰り」を基本とする環境整備を進めること。また、コロナの影響で農作物の破棄も見受けられることから、有効に活用できる方策も検討すること。

<継続>
(2)フードバンク活動の課題解決と普及促進について
 2019年5月に成立した「食品ロス削減推進法」に則り、フードバンクに対する具体的な支援を行っていくこと。また、コロナ渦におけるフードバンク活動団体が抱える課題を解決するための相談窓口や活動の関係者で構成する協議体の設置を検討すること。加えて、活動に対する社会的認知を高めるための啓発を強化すること。また、「フードバンクガイドライン」の策定によって支援のあり方が効果的になっているか検証を行うとともに、市町村によって取り組みの濃淡のないよう市町村と連携をはかること。

<継続>
(3)消費者教育としての悪質クレーム(カスタマーハラスメント)対策について
 「サービス等を提供する側と受ける側がともに尊重される消費社会」の実現をめざし、一部の消費者による一般常識を超えた不当な要求や、異常な態様の要求行為等の悪質クレーム(カスタマーハラスメント)の抑止・撲滅を推進すること。具体的な取り組みとしては、府独自の判断基準の策定を行うとともに、消費者に倫理的な行動を促すための啓発活動や消費者教育を行うこと。

<継続>
(4)特殊詐欺被害の未然防止の対策強化について
 大阪府では、高齢者等が狙われる特殊詐欺の被害が多発しており、未然防止対策の強化が求められる。特殊詐欺の新たな手口や形態を把握し、消費者に対する迅速な情報提供や注意喚起を効果的に行うこと。新型コロナウイルス感染症拡大に乗じた特殊詐欺が発生しており、新たな手口への注意喚起を積極的に行うこと。また、特殊詐欺被害を防ぐための「自動通話録音機」の無償貸し出しや、詐欺対策機能の備わった電話機の購入補助等の対策を実施すること。

<新規>
(5)「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」とその実践に向けた産業界との連携強化について
 「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、すでに「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」を行った大阪府が、市町村に対してもさらに表明が進むよう働きかけること。とりわけ、政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が供給側の取り組みを中心としていることから、住民など需要側の行動を促す意識喚起の取り組みを積極的に進めていくこと。さらには、「大阪府地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」で示した2030年に向けて取り組む項目について市町村と連携するとともに、府民・事業者への周知を行うこと。
 グリーン成長戦略で実行計画が策定されている14分野を中心に、産業界との情報交換・意見交換を強化し、地元の事業所における取り組みの推進状況、今後の推進計画などに関して広く共有化を図り、規制の見直しなどを含めて、地方自治体として必要な支援を強化していくこと。

<新規>
(6)再生可能エネルギーの導入促進について
 再生可能エネルギーの導入促進にあたって、条例を整備し調査コスト・開発リスクに対する各種補助金の充実を図るとともに、再生可能エネルギーを効率的に利用するために、高効率・大容量の蓄電が可能となる技術開発や、スマートグリッドの構築を支援するしくみを構築すること。

6.社会インフラ(住宅・交通・情報・防災)施策

<継続>
(1)交通バリアフリーの整備促進について
 公共交通機関(鉄道駅・空港等)のバリアフリー化促進と安全対策の充実のため、駅のエレベーターやエスカレーターの設置が進められている。これら設備の維持管理・更新費用に対する財政支援措置を行うこと。特に、設置後の補修等の財政的補助について検討すること。

<継続>
(2)安全対策の向上に向けて
 鉄道駅の転落事故等を防止するためのホームドア・可動式ホーム柵の設置がさらに促進されるよう、利用者10万人未満の駅に設置する費用に対する助成や税制減免措置等の財政措置の拡充・延長、設置後の補修について助成を行うこと。また、高齢者や障がい者の方への介助については交通事業者に委ねられているが、結果として事業者の人的負担も増加していることから、地方自治体や民間、地域の協力を得ながら「社会全体で交通弱者を含めた利用者の安全を確保し、支えていく仕組み」について検討すること。

<新規>
(3)運輸事業の交通安全対策・環境対策等について
 国民生活を支えるインフラ整備に寄与するための「運輸事業の振興の助成に関する法律」に基づき、安全運行確保の為の交通安全対策や環境対策等に関する運輸事業振興助成補助金の継続と同補助金の適正な交付を行うこと。

<継続>
(4)キッズゾーンの設置に向けて
 保育中の子どもや通学中の児童や保育士が巻き込まれる事故が多発している。防止するため、保育施設周辺の道路に「キッズゾーン」の設置や危険カ所がないか総点検を実施するとともに、安全確保のため、ガードレールの設置が求められていることから、危険カ所から優先して未設置の所は早期の設置を行う事。あわせて、歩行帯、横断歩道、ガードレール、信号などのメンテナンスも行う事。また、運転手にも広く周知するため、免許更新の際に注意を呼び掛けるなど、キャンペーン等を実施すること。

<継続>
(5)防災・減災対策の充実・徹底について(※)
 市町村が作成しているハザードマップや防災マニュアル等を効果的に活用して、避難場所の把握や防災用品の準備等自助・共助の視点のもと、府民が具体的な災害対策に取り組むよう、積極的・継続的な啓発活動を実施するとともに、精度の高い情報収集に基づく伝達体制を構築すること。加えて、被害を低減させるための施設・装備を充実し、コロナ禍でも災害発生時に機能する医療体制を整備・強化すること。また、市町村が作成した「避難行動要支援者名簿」の更新や、発災時を想定した避難行動、地域住民や事業者とも連携した具体的な訓練等、市町村の支援を行うこと。さらに、災害発生時における情報提供ツールのホームページについて、見やすくわかりやすい様に工夫を行うこと。加えて、コロナ禍における新たな防災計画を策定し、それぞれの状況に応じて感染拡大期・安定期・終息期に分けて具体的に示すこと

<継続>
(6)地震発生時における初期初動体制について
 南海トラフ地震の発生が懸念されているが、地震発生時においては、初期初動体制が極めて重要である。各自治体においては、有期・短時間・契約・派遣等で働く職員が多くを占めていることから、緊急時に十分な対応ができるよう人員体制を確保すること。また、震災発生においては交通機関が麻痺していることから、勤務地にこだわらず職員の自宅から最寄りの自治体に出勤し対応にあたる等、柔軟に対応できるよう日常的に市町村間の連携を行えるよう、各自治体に働きかけを行うこと。また、企業・住民への日頃の防災意識の啓発と、災害ボランティアセンターなどとの連携など、いつ発生するともわからない災害への対策を強化すること。

<継続>
(7)大阪府北部地震に対する継続支援について
 2018年6月に発生した「大阪北部地震」の被災自治体への支援を継続して行うとともに、国に対しても必要な措置を求めること。特に、府域内で同じ全壊、大規模半壊の被災者の間でも支援の有無に差が生じている点について、広域行政として何らかの措置ができないか検討を進めること。

(8)集中豪雨等風水害の被害防止対策について(※)
<継続>
(a)災害危険箇所の見直し及び防災意識の向上と啓発について
 予測不可能な風水害が頻繁に起こり、予想以上の被害が発生している。災害の未然防止のための斜面崩壊、堤防決壊等への対策が非常に重要であることから、すでに整備済みであっても、危険度が高いとみられる地域の未然防止の観点からも日頃の点検や対策を講じること。また、災害がより発生しやすい箇所を特定し、森林整備等の維持・管理を重点的に行うこと。加えて、住民の資産に影響を及ぼす可能性のある情報の提供について、地域の実情を踏まえ、慎重かつ確実に実施するとともに、必要に応じてハザードマップの見直し点検を行いながら、一層の周知・広報を行い、日頃の防災意識が高まるよう取り組むこと。

<継続>
(b)災害被害拡大の防止について
 大型台風等大規模自然災害発生時における安全確保の観点から、事業活動を休止する基準の設定等必要な仕組みを整備するとともに、府民への制度の周知・理解促進を図ること。さらに災害発生時においては府民に不安を与えない様コロナ対策を行った上での対応を行うこと。

(9)激甚災害時における公共交通機関の早期復旧に向けた取り組み
<新規>
(a)鉄道災害に対する沿線自治体との連携強化について
 自然災害による鉄道被災は、鉄道用地外からの土砂・倒木流入や河岸崩壊などによって被害が拡大する事例が多く、こうした複合災害により発生した鉄道被災に際しては、復旧を事業者任せにすることなく、治山・治水事業とあわせた一体的・包括的な対応を、国及び地方自治体が責任を持って進めるよう関係機関に働きかけること。また、鉄道の早期復旧にむけてより密接に事業者や地権者といった関係主体との連携を積極的に図ること。

<継続>
(10)公共交通機関での暴力行為の防止とその対策について
 鉄道係員に対する暴力行為の件数は、高止まりという状況であり、お客様トラブル事象やカスタマーハラスメントに分類されるような事象も数多くある。働く者の安全・安心の確保のためにも、公共交通の利用促進とともに、利用者側のマナーやモラルといった部分に対する理解促進を図ることから、事業者によるさまざまなキャンペーン等の取り組みも進められているが、行政として「公共交通の安全安心な利用」に向けた啓発活動の強化等の対策を講じること。また、駅構内や車内での巡回・監視等の防犯体制のさらなる強化を図るとともに、公共交通機関の事業者が独自で行う施策(防犯カメラの設置や警備員の配置等)への費用補助等の支援措置を早急に検討すること。

<継続>
(11)交通弱者の支援強化に向けて
 誰もが買い物ができ、医療・介護、各種行政サービス等が受けられるよう、地域の実態を調査し、その結果を踏まえて、シェアリングエコノミーや移動手段の確立、移動販売や商業施設の開設・運営への支援等、必要な対策を推進すること。「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」による取り組みの効果の検証を行うこと。

<継続>
(12)持続可能な水道事業の実現に向けて
 持続可能な水道事業の実現のため、水道事業体における専門性を有する人材の確保・育成、技術継承および水道の基盤強化のための労働環境改善に向けた取り組みに対する支援や経営基盤が脆弱な小規模水道事業者への支援を行うこと。

7.新型コロナウイルス感染症対策関連施策

(1)感染拡大防止に向けた対策強化について(※)
<継続>
(a)医療提供体制の強化について
 新型コロナウイルス感染症による医療崩壊を生じさせないため、重症病床をはじめとした新型コロナウイルス感染症患者の受け入れのみならず、一般医療に制限をかけることのない医療提供体制を整備すること。加えて、中等症病床にて重症者の治療が可能となるよう高度な医療機器の増備を行うこと。また、当面の病床確保のみならず、新たな感染症の拡大などの緊急時に耐えうる医療人材の確保や、公・民の医療機関による連携を強化すること。

<継続>
(b)感染者受け入れ体制の強化について
 新型コロナウイルス感染者を受け入れる療養施設(ホテル等)は、自宅療養を必要とする特別な事情を要する患者を除き、受け入れを可能とする充分な確保を行うこと。また、宿泊患者の急な容体悪化に迅速に対応するため、医師の配置や医療機関との連携を強化すること。さらには運営上の課題に対する相談窓口の設置をおこなうとともに、運営する施設の従業員に対する感染防止対策に掛かる費用を負担すること。

<継続>
(c)PCR検査の拡充について
 新たな感染拡大の予兆を掴み、拡大を未然に防止するためにもワクチン接種と並行しながら、PCR検査等の検査体制を拡充するとともに、濃厚接触者に指定された者の検査を確実に行うこと。また、過去にクラスターが頻繁に発生している医療機関、高齢者施設、保育所、福祉施設等については、定期的な検査を行うなどクラスター発生を未然に防止する措置を強力に推し進めること。さらには、無症状者による感染拡大を防止するためにも、感染リスクの高い対面での業務を行っている労働者に対して、希望する労働者が簡便に検査を受けることが可能な体制を整えること。加えて、新たな変異株の発生と拡大に備えスクリーニング検査体制の拡充と専門家による研究を支援すること。

<新規>
(d)感染防止のための支援拡充について
 医療機関、高齢者施設、学校、保育所、対面サービス業のみならず、さまざまな事業所が感染防止のためにマスクや消毒液など物資の購入や換気設備の設置を行っていることから、必要な物資の購入等に対する費用の助成を行うこと。また、通勤、オフィスワークにおける感染防止のため、時差出勤やテレワークを導入する事業所に対して、自治体としての指針を示すとともに、中小企業など労務管理が脆弱な事業所に対する相談窓口を設置し体制整備を強化すること。

<新規>
(e)緊急事態宣言等の発令に伴う説明と周知について
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令に伴う感染拡大防止の効果を発揮し、事態を収束するためには、意識と行動変容を促し、意義と目的を共有することが重要であることから、府民へ客観的根拠に基づく丁寧な説明とメッセージの発信を行うこと。また、飲食店をはじめとする各事業に対し休業要請を行う場合も同様に、現在に至るまでの休業要請に対する検証を行うとともに、感染防止対策の有効性も勘案したうえで、客観的根拠に基づく要請内容とすること。

<新規>
(f)ワクチン接種体制の強化について
 ワクチン接種が迅速かつ計画的に確実に行われるよう、市町村に対して体制強化を促し、ワクチン接種が遅れる市町村が生じないよう必要な支援を行うとともに、国に対して計画通りのワクチン供給ができるよう連携を強化すること。また、副反応情報などの確実な情報収集と府民に対する正確な情報提供を行うこと。さらには、かかりつけ医を持たない者が、容易に接種が可能となる大規模接種会場における接種体制について継続すること。

<新規>
(g)保健所機能の強化について
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、保健所及び保健センターに求められる役割は多岐に渡り、保健所職員の過重労働が深刻な状況となっている。また、公衆衛生活動の拠点としての役割と当面の新型コロナウイルス感染症対策や新たな感染症など、緊急時においても対応が可能となる職員を増員し、予算措置とともに継続的な体制整備・支援を行うこと。さらには、大阪健康安全基盤研究所と十分連携した感染症対策や公衆衛生活動を強化すること。

<継続>
(h)感染者等への誹謗中傷やパワハラ・差別的扱いの禁止について
 医療従事者はもとより、エッセンシャルワーカーや感染者などへの差別的発言やSNSを利用した誹謗中傷などを根絶するため、広く府民に対して啓発活動を行うこと。また、差別的発言に至る背景には、情報の不足による不安や偏見があることから、正確かつ迅速な情報発信をより一層強化すること。さらには、ワクチン接種は自己の判断によるものであり、同調圧力による接種の強制や、接種しない者への差別的発言や不利益な扱いを行わないよう広く府民に対する啓発活動を行うこと。

(2)新型コロナウイルス感染症対策に関する支援の強化について(※)
<新規>
(a)雇用調整助成金特例措置の継続について
 雇用調整助成金の特例措置は雇用の維持に重要な役割を担っており、打ち切りや減額を行うことは失業者の増加に繋がり得ること、さらには、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金についても、事業所より休業手当の支払いを受けることが出来なかった労働者にとって、生活を維持するためには必要不可欠な制度であることから、それぞれ新型コロナウイルス感染症による影響が沈静化するまで継続すること。また、財源については新型コロナウイルス感染症対策として一般会計より支出するよう、国に対して強力に働きかけること。

<新規>
(b)新型コロナウイルス感染症拡大における各種支援制度の支給迅速化について
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響により、雇用調整助成金や事業所を対象とした営業時間短縮等協力金、個人を対象とした休業支援金など、さまざまな支援制度については、支援を必要とする者が確実に支援を受けることができるよう認知度を高める取り組みを強化するとともに、支給の迅速化へ向けた体制を整備すること。

<新規>
(c)生活困窮者への支援について
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により失業・休業を余儀なくされた生活困窮者が増加していることから、支援金を拡充するとともに生活相談者自立支援の相談窓口を充実させること。特にシングルマザーをはじめとする「ひとり親」家庭に対する支援を強化すること。また、住居確保給付金の12カ月を超えたさらなる延長や、緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付における返済の据置期間の延長など、実効性ある支援を国に対して求めること。さらには、現行の支援制度の活用状況を検証し、支援を必要とする者に確実に届くよう認知度を高める取り組みを行うとともに、活用の進んでいない市町村に対しては活用促進へ向けた働きかけを行うこと。加えて、複雑な手続きが制度の利用を妨げることのないように手続きを簡素化すること。

<新規>
(d)事業所支援の拡充について
 新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食・観光業のみならずサプライチェーンで連なる事業所や、対面サービス業、さらには人流を抑制することによって危機に陥っている産業などさまざまであり、企業の経営努力のみで補え切れるものではないことからも、新たな支援制度や補助金の創設など国に対して求めること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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