全国福祉保育労働組合大阪地方本部 要望書

更新日:2022年2月8日

要望受理日令和3年10月18日(月曜日)
団体名全国福祉保育労働組合大阪地方本部
取りまとめ担当課福祉総務課
表題要望書

要望書

大阪府知事 吉村 洋文 殿

全国福祉保育労働組合大阪地方本部
執行委員長 

2022年度大阪府予算等要望 全体項目

 日頃より、府民の福祉と暮らしの拡充に、ご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、福祉労働者のこの間の現場実態はご承知の通り、新型コロナ感染対策に向けて全力をあげている状況です。これまでも、私たち全国福祉保育労働組合は、福祉職場で働く職員の大幅人員増を掲げ奮闘してきましたが、抜本的な職員配置基準の改善もない中で新型コロナ感染も拡大し、保育や介護等福祉の現場は社会的責任を果たすことが一層困難となるなど、府民や利用者の暮らしを支える「セーフティネット」が脆弱な状況にあることも明らかになりました。
 大阪府は統合リゾート(IR)を含み、大型公共開発を進めていますが、今すべきことは、一部の資本への利益の優先ではなく、府民のいのちや暮らしを守ることが優先されるべきです。新型コロナ感染症や福祉人材確保問題、災害発生時など対策は喫緊の課題です。
 今こそ、「市町村を包含する広域の地方公共団体」として国へ要望するととともに、「基礎的地方公共団体である市町村」だけではなく、財源措置も含め「大阪府の責任」で対応することが求められます。
 地方自治法第1条の2第1項に明記されている「住民の福祉の増進」をもとづき、新型コロナ感染症対策、社会福祉制度の拡充や職員の大幅増員・処遇改善を求め、府民のいのちと暮らしが守られるよう、以下の通り要望します。

【全体の要望項目】

1.国に対し以下の項目について要望を上げ、予算措置を求めること。
(1)新型コロナウイルス感染症対策等についての改善、並びに今後も継続的に対応できるよう以下の内容を国に求めること。
 ア)福祉職員が安全に勤務できるよう事業所において利用者・職員への定期的なPCR検査の実施とワクチンの優先接種をすすめること
 イ)コロナ感染に伴う福祉事業所の労働災害増加に対して、感染症対策の具体的対応を示すとともに、事業所任せではなく公的責任で休業要請を行なうこと。同時に休業をした際、事業所が連携し、利用者の暮らしの場や安全を確保できるよう国へ要請すること。
 ウ)福祉事業所に専門的な衛生資材(N95サージカルマスクや防護服など)が安定的に支給できるよう、財源の確保と配布システムを整備すること。
 エ)病床がひっ迫した場合に宿泊療養(適切な場合は自宅療養)を前提にするのではなく、利用者や職員がきちんと入院できる体制、保健所や病床の確保を行なうこと。
 オ)児童・介護・障害等の生活施設、通所事業所での感染症発生への備え、「3密」を回避できる職員体制を実現できる職員の大幅増員をおこなうこと。
 カ)慰労金を介護・障害職場だけではなく全ての福祉労働者に支給すること。また1回限りの支給とせず、継続的な慰労金支給やコロナ感染者を直接支援する際の特別勤務手当(仮)を創設すること。
 キ)福祉施設が災害時に福祉避難所として機能できるよう、拠点施設の整備と職員の増員をおこなうこと。
 ク)国として、福祉事業者・市町村・都道府県が協力し、緊急時の相互支援の体制整備を推進できるよう、総合的な連携体制への財政措置を含む支援をおこなうこと。
 ケ)災害・感染症などで事業継続ができない場合でも平時と同額の報酬等を支給し、事業所の運営の安定を図ること。
 コ)感染症発生や災害発生時に利用者の安全が確保されるよう、24時間、福祉職場の「1人配置」の解消を行なえる人員配置を行うこと。
(2)利用者の安心・安全を確保し豊かな暮らしを確立できるよう、以下の人材確保対策を講じること。
 ア)福祉職場に働くすべての労働者の賃金を抜本的に拡充すること。障害・介護については、利用者負担を伴う加算ではなく、全額公費の交付金で支給すること。処遇改善費は定期昇給財源ではなくベースアップに充てることを義務付けること。
 イ)実態として雇用を不安定にし、人員の確保・定着を阻害してきた常勤換算方式を撤廃すること。福祉職員は原則正規雇用とし資格要件の引き下げなど、規制緩和をおこなわないこと。
 ウ)最低基準でもある労働基準法や他の労働関連諸法令が遵守できるよう、抜本的に職員配置を改善すること。
(3)社会福祉施設職員等退職手当共済制度を福祉・保育現場で働くすべての職員へ保障できるよう、公費負担を行なうこと。

2.大阪府の福祉を拡充し、府内自治体と連携し以下の独自施策を講じること。
(1)新型コロナウイルス感染症下にあっても、福祉職員が安全に仕事に従事できるよう、大阪府として以下の抜本的な対策を講じること。
 ア)福祉職場や保育所、児童福祉施設、福祉団体など安全な運営ができるよう、大阪府の責任で利用者・職員に2週間に1度の定期的なPCR検査を実施すること。
 イ)コロナ感染に伴う福祉事業所の労働災害増加に対して、感染症対策の具体的対応を示すとともに、事業所任せではなく府民のいのちを守る観点で府として休業要請を行なうこと。その際に府の主導で各事業所・関係機関の連携をすすめ、利用者の暮らし・安全の確保を行うこと。また、要請にともなう減収については府が補填すること。
 ウ)感染防止にかかわる衛生資材や「静養室」などの環境整備に伴う設備費など、府として財政措置を行なうこと。
 エ)感染中軽度者であっても急変することもあるため、自宅療養や宿泊療養ではなく、医療病床を増やし入院を前提とすること。また、「適切」な医療にスムーズにかかれる体制を整えること。
 オ)感染拡大防止対策により通常以上の過密労働となっている状況を勘案し、負担軽減ができるよう体制を強化する支援策を講じること。
 カ)国の「慰労金」の支給対象から外れた児童福祉施設等の福祉事業に勤務する職員に大阪府として国の慰労金と同等の「慰労金」が支給されるよう支援すること。
 キ)コロナ禍により明らかとなった福祉事業の社会的役割を踏まえ、その労働にふさわしい継続的な手当を支給すること。また、実際に感染者対応をする際の職員への手当として特別勤務手当(仮称)を創設し、府として財源確保を行なうこと。
(2)深刻な福祉・保育の人手不足を解消し職員の確保・定着が図れるよう、以下の対策を講じること。
 ア)感染症拡大や災害発生時等も、豊かな利用者の暮らしを確保するため、専門性のある職員の増員をはかること。
 イ)福祉労働者の社会的責務にふさわしい賃金改善を大阪府として独自の補助金制度を創設すること。また、正規職員と非正規労働者の差別待遇・不合理な格差を是正するため支援策を講じること。
 ウ)国の基準以上に職員を配置している福祉事業所に対し、安定した雇用が確保されるよう大阪府として独自の運営費助成をおこなうこと。
 エ)福祉事業所で労働関連諸法令が遵守されるよう、労働部局と連携して指導を強化すること。
(3)労働時間管理の徹底をはかるため、タイムカード設置を指導すること。
(4)介護・障害職場の職員への退職金を保障するため、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の都道府県公費負担分を大阪府として補助すること。また、大阪府全体かかる費用のシミュレートをし、その状況を開示すること。
(5)災害発生時にも利用者と職員の安全が守れ、事業を継続できるよう、以下の対策を講じること。
 ア)地震等の災害が頻発していることを踏まえ、府内福祉事業所の安全点検を実施するとともに、安全対策の支援策を講じること。
 イ)感染症や災害等で利用者の安全を確保するための休園・休所した場合の減収について補填を行なうこと。
 ウ)自然災害時に福祉施設が福祉避難所として機能するよう、拠点施設の整備と担当職員の配置をおこなうこと。
 エ)災害時に利用者の安全が確保されるよう、福祉職場の「1人勤務」の解消を図ること。
(6)新型コロナ対策や人材確保対策など市町村まかせにするのではなく、「市町村を包括する広域の地方公共団体」という府の責務を果たすとともに、連携をはかり市町村間格差の是正、それに伴う財政措置を行うこと。
(7)利用料の軽減を行い、負担の心配をせず必要な福祉施策・福祉施設を利用できるようにすること。
(8)福祉医療費助成制度を拡充し、利用者負担の軽減と対象の拡大を図ること。また、廃止した老人医療助成制度を復活させること。

【保育関連施策】

1.保育士の配置基準を0歳児2対1、1歳児3対1、2歳児5対1、3歳児10対1、4から5歳児15対1になるよう、府の責任で拡充すること。

2.短時間職員で保育士を補う規制緩和の新子育て安心プランによる待機児解消や保育士確保ではなく、こどもの発達保障が出来る人材を確保して待機解消ができるように処遇改善を行うこと。

3.新型コロナウイルス感染の瀬戸際にある保育施設、保育従事者に対して、大阪府として独自の予算を講じること。
(1)自治体によって格差のないように府として慰労金制度を整備すること。
(2)施設で陽性者が出た場合には、全ての利用者と保育従事者がPCR検査を受けられるよう独自策を講じること。

4.複雑化するアレルギー児に対して、より安全な対応を行うためにも、職員加配(保育士・調理員)や食材費のための補助金を出すこと。

5.障害児保育の実態に見合った職員加配となるよう市町村へ大阪府として指導し、予算の増額を行うこと。

6.全ての保育所に置いて、衛生面の準備や病気、怪我などの処置が出来るよう、看護師を単独で1日加配できる独自策を構じること。

7.調理員の急病などに際し、給食調理現場に保育士が応援に入らなくとも対応できるよう、最低の配置基準を2名とし、乳幼児20名ごとに1名を加配するなどの独自施策を講じること。

【生活保護・救護施設関連施策】

1.重度化・高齢化に伴い他の施設変更が必要な場合、「みなし」を含めすみやかに介護 認定がうけられるようにしてください。

2.独自に看護師加算を行なってください。

【障害関連施策】

1.人材確保施策について
(1)第6期大阪府障がい福祉計画のサービス見込み量に基づき大阪府で推計される障害福祉人材の必要数と不足数を明らかにすること。その不足数を解消するための大阪府としての施策(人材確保戦略)を明らかにすること。
(2)職員配置基準の引き上げについては国に要望しているとのことであるが、具体的にどのように要望しているのか、大阪府としてどのくらいの引き上げが必要であると考えているのか明らかにすること。
(3)グループホームの夜間支援の職員を複数配置できるよう大阪府として独自の手立てを講じること。
(4)常勤換算方式を撤廃し、正規職員での配置を国に要望すること。

2.こんごう福祉センターしいのき寮・すぎのき寮について
(1)新規施設の配置予定の生活支援員、児童指導員、心理担当、ソーシャルワーカー等の具体的配置と業務内容、および、それらの職員は正規職員で配置されるのか明らかにすること。
(2)就学前の児童や支援の難しい子どもが多く入所しているが、府としてそれらの子どもたちの支援内容について、どのように考えているのか明らかにすること。
(3)子どもの食育の観点から、質を上げるために給食の予算の引き上げを行うこと。

3.大阪府独自に根拠法によらず、障害福祉に関わるすべての事業所(点字図書館や盲導犬訓練所、障がい者就労・生活支援センター等)に携わる職員に慰労金を支給すること。

【児童養護施設等関連施策】

1.社会的養護関係施設の小規模化については改正児童福祉法において、良好な家庭的環境で養育するための措置として一つの生活集団(ユニット含む)に最低6名の職員配置を行い、勤務体制が確保できるようにすること。また、国の配置基準以上の大阪府独自基準を策定すること。

2.職員が働き続けられるような処遇改善や職員配置の拡充を図られたい。また、小規模化にともない(新任)職員育成のための職員配置および職員体制を整える対策の確立を行うこと。

3.施設の多機能化、高機能化を図るにあたり、施設の定員に応じた専門職の複数配置および現行制度を改善すること。ケアニーズの高い児童の支援の充実を図るために心理士、基幹職員等、専門職の配置を進めること。

4.児童が自立に向けた訓練等できるように大阪府独自の補助制度の確立を行うこと。また、時代に応じた支援(自動車免許の取得や携帯電話代の補助等)を行うための補助制度の充実と拡充を図られたい。

5.措置延長児童に対しての補助制度の拡充を図られたい。

6.児童相談所・各子ども家庭センターなど行政機関の強化を行い、ケースワーカーの充実を図り、児童の支援に取り組む体制を確立すること。また、児童養護施設職員の負担にならないように、行政の責任の下での対策を講じること。

【高齢・介護関連施策】

1.共通要望
(1)市町村と連携してすべての高齢・介護事業所の利用者・職員に定期的にPCR検査を実施すること。
(2)市町村と連携してすべての高齢・介護事業所の利用者・職員に新型コロナウイルスのワクチンを優先接種すること。
(3)災害や感染症の感染に備えて、市町村ごとに支援の拠点施設を設けるとともに、専任の職員を配置すること。
(4)市町村と連携して災害や感染症の発生時に、高齢者が避難、隔離できる福祉避難所を市町村ごとに整備すること。
(5)災害や感染症の感染拡大による利用自粛等による減収を補填すること。
(6)コロナ感染症による消毒等の業務過重を軽減するための職員の増員等のための財政支援を講じること。
(7)高い感染リスクを抱えながら日々業務をこなしている職員に特別手当を支給すること。

2.個別要望
(1)特養関係
 ア)介護職員がいつでも気兼ねなく休みが取れるよう、職員の増員を行うこと。
 イ)夜勤の介護職員の体制を強化するために、支援策を講じること。
 ウ)利用料等の負担を軽減するための支援策を講じること。
(2)通所・訪問介護事業関係
 ア)安心して通所介護が受けられるよう、介護職員の増員と施設の拡張等の環境整備のための支援策を講じること。
 イ)訪問介護員の人材難の背景にある低い賃金を引き上げるため、財政支援を講じること。
 ウ)訪問介護における感染対策を徹底するために、消毒等の業務に対する財政支援を行うとともに、マスク、消毒液、使い捨て手袋等の必要な衛生資材を定期的に配布すること。
 エ)訪問介護の感染者・濃厚接触者宅へのサービス提供にあたっては、従事者と家族の安全を確保するため、ホテル等の宿泊が可能になるよう、支援策を講じること。

3.高齢福祉制度関係他
 ア)養護老人ホームにおいてコロナ感染症の感染予防のための業務が過重になっていることを踏まえ、体制強化のための支援策を講じること。
 イ)養護老人ホームにおいて、一人夜勤を解消するための支援策を講じること。
 ウ)盲老人ホームの利用者が同行援護を利用して医療機関への受診・通院が安定的に保障できるよう、府内自治体と連携して強化を図ること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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