障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 要望書(2)

更新日:2023年4月10日

(1) (2) ※2ページに分割して掲載しています。

要望書

<障害者総合支援法をはじめとする福祉制度>

18.障害福祉現場では慢性的な働き手不足が続いており、事業継続が困難になっている事業所も増えています。大阪府として福祉人材確保に向けた総合的な計画を立てて実行してください。

19.自立訓練を活用した学校卒業後の「学びの場」の意義を正当に評価して、「学びの場」の事業の継続が図れる報酬に改善するように国に求めてください。

20.利用者の通所人数を踏まえて、職員配置を調整することは困難であることや家賃等も月額払いしていること等をふまえ、少なくとも、人件費等の事務費(固定費)については月額払いとなるよう国に求めてください。不登校・行きしぶり経験のある方や引きこもりにある方などの通所実績や重度・高齢また精神疾患の利用者の平均工賃など、現行の報酬算定の基本構造が支援の実態を反映したものとはなっていません。利用者の特性に着目した報酬体系に改善するよう国に働きかけてください。

21.次期報酬改定において、「食事提供加算」の継続を強く求めるとともに、成果主義による報酬体系を見直すよう国に働きかけてください。

22.就労継続支援B型事業所の報酬を改善・拡充してください。
(1)今期報酬改定で新設された、就労継続支援B型の「地域協同加算」「ピアサポート実施加算」等の内容を早急に示し、事業所が申請・活用できるようにしてください。
(2)就労継続支援B型の報酬体系について、大阪府内にろう高齢者が安心して利用できるデイサ−ビス等の事業所が無い中、ろう重複・高齢者の日中活動の場として、あいらぶ工房・ほくほく・なんなんの3施設が事業を行っています。利用者の多くが高齢の聴覚障害者であるため高齢者デイサ−ビスのような補完的な支援をしており、目標工賃達成加算の取得要件にある工賃の引き上げは困難です。平均工賃額に基づく実績評価の報酬体系を廃止し、定額基準による報酬体系となるよう国に働きかけてください。
(3)就労継続支援B型事業所が、利用する障害者の実態に合わせた適切な事業運営を行うことができる報酬体系となるよう、大阪府として現状と課題について検証を行うとともに、その改善を国に強く求めてください。

23.グループホーム制度を拡充してください。
(1)コロナ対策として、グループホーム職員及び利用者のPCR検査を定期的に行うとともに、早急なワクチン接種と、陽性の利用者が入院できるようにしてください。
(2)日割り報酬ではなく、月額報酬にするとともに、基本報酬を引き上げるよう国に求めてください。グループホームは週末の帰省や病気等で利用者がいない事も多い反面、職員の配置は必要です。グループホームは、殆どが小規模で運営への影響も大きいので、早急に改善をお願いします。
(3)高齢化・重度化に伴い、平日・休日問わず、ホームでの日中支援が必要です。「日中支援加算」については、平日に通所事業所を休んで支援した日だけしか加算がつきませんし、3日目からの請求です。祝日・休日等、グループホームで行った全ての日中支援について加算対象となるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(4)グループホームで暮らす障害者の通院・入院への支援が行えるようにしてください。グループホーム入居者の通院介助については「月2回が限度」ですが、高齢になって複数の病院に通院が必要の人も増えていますので、通院回数と時間を増やしてください。また、通院介助は、慢性疾患の定期通院のみになっているので、緊急の通院には利用出来ない制度となっています。ホームの職員が通院支援する場合にも使える「通院等緊急対応時加算」を作って、緊急時の対応ができるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(5)グループホーム内での個別でのヘルパー利用については、利用者への専門的な支援とともに、複数の支援を入れることで、支援の客観性が保たれる利点があります。また、利用者の個別の課題にも対応できる支援です。現在の3年間の特例の経過措置ではなく、必要な人にはサービス提供を継続できるようにしてください。
(6)「日中サービス支援型グループホーム」について、重度の利用者を支援するには夜間支援の評価が低く報酬が少ないこと、軽度の人も利用出来るよう区分1.区分2の人も利用出来るようにすることなどその改善を国に働きかけてください。また、「日中サービス支援型グループホーム」だけでなく、「介護サービス包括型」においても、高齢化・重症化に対応できるよう報酬制度の充実・見直しを国に働きかけてください。
(7)大阪府としてグループホーム職員確保のための特別な対策を講じてください。
(8)グループホーム開設のための土地購入・建設補助、大幅改修費への大阪府独自の補助を行ってください。また、開設にあたって、地域の了解を事業者にゆだねるだけでなく、もよりの市町村も積極的に地域への理解を広げるよう指導してください。

24.府下各地に障害者の入所施設を整備してください。
(1)児童施設の超過齢者も含めた施設入所希望の待機者数を明らかにしてください。待機者の解消に見合った入所施設の整備計画を立てるとともに、以後の障害福祉計画では入所施設定員の削減目標を盛り込まないようにしてください。
(2)医療的ケアの利用者を受けとめることのできる障害者のくらしの場の整備を府の責任で行ってください。また、看護師配置が可能となる補助制度を創設してください。
(3)基本報酬の引き上げを国に求めてください。また、夜間の体制が厚くできるよう、加齢や重度化の実態に合わせて補助を行ってください。
(4)重度化・高齢化に対応した設備改善への補助を行ってください。
(5)入所施設で暮らす障害者が通院・入院した際に必要な支援が行えるよう、職員配置基準の改善を国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の加配制度を設けてください。
(6)自宅やグループホームでの暮らしが難しい重度の知的障害や強度行動障害のある人に対応できる入所施設を整備してください。

25.「住み慣れた地域で必要なサ−ビスを利用し暮らす」ことをめざした障害者福祉サ−ビスでありながら、聴覚障害者が利用できる事業所が少ないため、多大な交通費を負担して「なかまの里」「あいらぶ工房」「ほくほく」「なんなん」の日中活動、短期入所まで通所されています。大阪府として広域利用にならざるを得ない聴覚障害者に対する交通費補助制度を創設するとともに、市町村において何らかの支援を行うよう求めてください。

26.居宅介護事業所においてヘルパーが慢性的に足りないため、利用者からの希望に応えることができないケースが多くなっています。令和3年度より改定された報酬影響調査を大阪府として実施し、不足状態を解消するとともに安心して働き続けられる報酬単価となるよう国に強く働きかけるとともに、府として何らかの対策を講じてください。

27.ヘルパーとして提供できる活動内容を制限しないでください。
(1)居宅内だけに限らず、入院時、通勤・通学、育児や家族支援を含め、利用を認めてください。また通院介助時に院内介助を制限することは絶対にしないでください。
(2)障害者が入院した際、買い物や洗濯など生活上の支援や普段から慣れた者しか行なえない介護は、(医師の求めにより)福祉制度のヘルパーが行なえるようにしてください。また、退院間近の慣らしの外出や自宅への一時帰宅に、福祉制度のヘルパーが利用できるようにしてください。その際は重度訪問介護の利用者に限定せず、必要な人に必要な支援が提供できるようにしてください。

28.重度訪問介護を拡充してください。
(1)重度訪問介護を介護保険にはない障害福祉サービス固有のものとして位置付けてください。また、利用制限をなくし通学、通勤・就労時、入院、外泊、運転介助等にも利用できるようにしてください。
(2)病院での重度訪問介護利用について、「ニーズを的確に医療従事者に伝達する等の支援」となっていますが、当事者が入院中も安心して生活でき、付き添う家族負担が軽減できるように、例えば水分補給、ナースコール、寝返り、テレビやスマホ等の操作の補助など、見守りも認めてください。
(3)重度訪問介護の利用者が遠方の病院に入院(障害に関わる病院または配慮のある専門病院に入院する場合など)した際、行きと帰りのヘルパーの拘束時間については報酬(例えば移動介護加算等)がサービス提供事業所に支払われるように国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の施策を検討してください。

29.入院時コミュニケーション支援を利用しやすいものに改善・拡充してください。
(1)対象者や支援者の拡大を行ってください。医療機関の理解も得られるよう制度の周知・徹底を図ってください。
(2)入院時にヘルパー派遣が認められない場合、やむを得ず自己負担による支援を受けざるを得ません。入院時に洗濯や買い物等の支援を得るための費用助成制度を創設してください。

30.相談支援事業の拡充を図ってください。
(1)先の報酬改定で相談支援の事業報酬は若干改善されたものの、相談支援専門員の過重労働は解消されていません。大阪府として相談支援専門員の業務実態を把握して、過重労働の解決にむけた対策を国に求めるとともに、大阪府としても必要な措置を緊急に講じてください。
(2)令和2年度に見直された相談支援従事者研修の実施状況を検証し、その結果を踏まえて問題や課題を掘り下げるために、きょうされんなど関係団体との懇談の場をもってください。
(3)相談支援専門員の初任者研修や現任研修について、受講を希望しても定員充足のため受講できないことがあります。希望する人がすべて研修を受講できるよう初任者研修や現任研修を大幅に増やしてください。また初任者研修は研修修了後に相談支援専門員の業務に就く予定のある人を、現任研修は現に相談支援専門員の業務に就いている人を優先して受講できるようにしてください。
(4)児童を対象にした相談支援事業の拡充を図ってください。児童対象の相談支援事業所を増やし、子どもの権利条約や障害者権利条約に則った障害児相談支援を保障してください。また、学校への行き渋りや不登校の状態など困難をかかえる子ども・家族へのサービス調整会議は、学校・教育関係者や福祉、医療関係者等が子どもを真ん中に家族に寄り添いながら対等の立場で行うようにしてください。

31.医療的ケアが必要な人への短期入所が決定的に不足しています。府として設置が促進されるような施策を講じてください。

32.北摂地域に療養介護施設(旧重症心身障害児者施設)の設置を進めてください。

33.特定行為(経管栄養・痰吸引)が制度化されていますが、基本研修と実地研修を受けた以降、フォローアップ等が実施されていません。ヘルパー事業所にとって一人2万円から3万円の研修費用は大きな負担です。研修費用助成、その後の研修の充実等、大阪府の独自施策を講じてください。

34.高次脳機能障害者を含む中途障害者に偏りがちな、利用料一割負担を廃止するよう強く国に要望してください。あわせて府独自の救済策を講じてください。

35.大阪府下で高次脳機能障害の診断を積極的におこなう病院が不足しています。各市町村で高次脳機能障害の診断が受けられ、安心して障害福祉サービスが利用できるように対策を講じてください。また、診断ができる病院をわかりやすく明らかにし、誰もが診断先に困らないように情報公開をしてください。

36.補装具・日常生活用具を拡充してください。
(1)補装具の作成・修理については、部品代だけではなく、人件費や出張旅費、また、運送費やメンテナンス費等も含め、作成や修理にかかる費用すべてを対象にしてください。また、個別または環境上の条件などで購入価格が補助基準よりも高くなった場合、その差額分を補てんする制度を作ってください。
(2)補装具・日常生活用具のJIS規格、制限列挙方式、定額基準をなくし、機能補完、身体ケア、自立・社会参加の保障を踏まえて、個々のニーズ・要望に応えるものにして、個別因子や環境因子等の社会モデルを考慮した支給ができるようにしてください。また、住宅環境、職場環境の改善も一体かつ総合的に行えるようにしてください。
 (具体的事例)
・紙おむつ支給要件を「コミュニケーションが困難な者」だけでなく、「トイレ介助が必要だが、介助が受けられる条件や環境が困難な者」に広げてください。
・介助用リフトは、安全性確保のために、必要に応じて耐用年数の緩和をしてください。
(3)補装具、日常生活用具の選択・作成・改造・修理・点検・リサイクル・相談・指導・教習・研究をトータルに行える「補装具センター」をすべての自治体に1カ所以上設置してください。その際、当該地域に責任を持ち、他センター、中央・地域の研究機関、医療機関、メーカー等と連携して障害者個々のニーズ,要望に応えられる体制を確保してください。

37.移動支援事業を、障害者・児が必要とする通園・通学・通所・通勤に利用できるようにしてください。ろう重複障害者に配慮した施設(あいらぶ工房・北摂聴覚障害者センタ−ほくほく・泉州聴覚障害者センタ−なんなん)には、重度のろう重複障害者が健聴障害者を対象とした事業所に比べ他市町等遠方から通所しています。市町村事業である移動支援事業が市町村の枠を越えて利用できるよう大阪府主導で検討を進めてください。また、地域の実情や支援の必要性等を踏まえた移動支援の実施にむけ毎年大阪府が市町村向けに実施されている「運用状況調査」の際に、ろう重複障害者が利用する事業所への「通所実態調査」を実施し、結果を踏まえた改善策を講じてください。

38.大阪府内の地域において、介護保険、障害福祉サービス事業で聴覚障害者が手話言語でコミュニケーションをとり、利用できる事業所は皆無です。そのため大阪ろうあ会館は大阪府内全域に範囲を広げてサービスを実施しています。ヘルパー・ケアマネージャーの移動による交通費は利用者負担ではなく事業所が負担しています。大阪府での支援方策について検討するとともに、市町村独自で何らかの支援を行うよう求めてください。

39.2025年の大阪万博において、障害者権利条約第9条「アクセシビリティ」を保障するための人材育成の予算化を講じてください。東京都はオリンピック・パラリンピックの開催にあわせ「手話のできる都民育成事業」を実施しました。1970年の大阪万博では、総合受付で手話言語応対が行われましたが、2025年の大阪万博では、あらゆる展示会場やブースで「話すこと、聞くこと、見ること、書くこと、読むこと、認知すること」のハードルを無くし、手話言語による応対や視聴覚情報をもれなく保障してください。

40.府内各市町村における地域活動支援センターの設置状況を調査し、運営に格差が生じないよう、運営に関する独自の上乗せ補助、通所費用への支援や家賃補助など、大阪府として必要な施策を講じてください。

41.障害福祉サービスにおける府内市町村の指導監査の実施状況(市町村への助言件数や市町村からの具体的相談内容等)を明らかにしてください。指導における市町村格差が生じないようにしてください。

42.障害者優先調達推進法における2020年度大阪府の実績と今年度の計画を示してください。また府内各自治体で、取扱いの差が生じないよう必要な措置を講じてください。

43.旧優生保護法における強制不妊手術に関わる実態について、大阪府として把握している実態を報告してください。また、いわゆる救済法の周知が被害を受けた方全てに行きわたるよう現在の進捗状況の報告と大阪府としての手立てを講じてください。

44.学校を卒業した後の障害のある人たちが、平日の夕方や休日に自主的な文化・スポーツ・芸術活動などを身近なところで気軽に利用できる余暇活動支援センター(仮)の設置や余暇活動への補助制度の創設を検討するとともに、余暇活動を支援する制度の創設を国にはたらきかけてください。

45.かつて「大阪ろうあ者成人学校」「大阪ろうあ女性学級」には府の補助金がついていましたが2008年に廃止されました。SDGsの開発目標4「質の高い教育を皆に」にもうたわれるように、生涯学習に対する認識も発展しています。補助金を復活してください。

46.障害者基本法25条、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律に基づき、第5次大阪府障がい者計画による障害者の文化芸術活動の促進にあたり、聴覚障害者の個性と能力の発揮を図るために作品展示やパフォーマンス演技を行う「ろうあ者文化祭」「みみの日記念大会」に補助金をつけてください。

47.母子健康手帳が広く活用できるようにしてください。
(1)平成6年度に厚生労働省が出した通達にしたがい、点字使用の視覚障害妊婦に対し「点字版母子健康マニュアル」を交付してください。また、府内での配布の実態を調査して公表してください。
(2)点字を使用しない視覚障害妊婦には、本人が希望する媒体(マルチメディアデイジー版や拡大文字版、テキスト版など)を交付してください。その際、妊婦本人が記録できる媒体も準備してください。
(3)視覚障害妊婦に対して通常母子健康手帳とともに「点字版」や「マルチメディアデイジー版」があることを広く府民に知らせるため、各市町村が発行する「お知らせ」等に掲載したりマスコミ等を活用し啓発してください。特に医療機関や保健所等に対する啓発を強めてください。

<介護保険>

48.介護保険優先原則(障害者総合支援法第7条)の廃止を国に強く働きかけてください。 介護保険の対象となった障害者(40歳以上の特定疾患・65歳以上の障害者)が、障害者福祉・介護保険のいずれを使うのかについては、本人の希望に沿って選択できるようにしてください。
(1)要介護認定等の申請を行わない障害者に対し、障害者福祉サービスの打ち切りを行わないよう市町村に働きかけるとともに、「要介護認定の申請を行わない障害者に対して障害福祉サービスを打ち切ることは違法」と判示した岡山浅田訴訟の司法判断に沿い各市町村を指導するよう国に求めてください。
(2)当面の措置として、特定疾病を含む65歳以前から障害者サービスを受けている全ての障害者が、障害者総合支援法に基づく制度の負担と同様になるようにしてください。
(3)介護保険料を大幅に引き下げるとともに住民税非課税世帯の利用料を無償にしてください。「高齢障害者の新たな負担軽減措置」は対象者や対象範囲を限定せず、介護保険を利用するすべての高齢障害者を対象にするよう国に求めてください。
(4)自治体が介護保険へ強制移行させる一つの要因(国による誘導策)となっている、国庫負担基準額における介護保険対象者への減額規定を無くすように、大阪府として国に強く働き掛けてください。
(5)介護保険制度は利用者の費用負担やサービスの利便性、個別性等で障害福祉施策(介護給付だけでなく、補装具・日常生活用具も含む)と比べて様々な負担・制約がかかります。こうした負担・制約について、障害者が介護保険に移行しない理由とすることを認めてください。
(6)介護保険に移行した後でも、介護保険ではなく必要に応じて障害福祉サービスが利用できるようにしてください。
(7)介護保険で不足するサービス量について、障害福祉サービスを上乗せするよう市町村を指導してください。また、市町村によっては、上乗せを認める対象者を「支援区分6・要介護度5以上」等の独自基準(ローカルルール)で制限しているところがあります。こうした基準をなくして希望する人にきちんと上乗せ支給が行われるよう市町村に働きかけてください。
(8)介護保険に移行した人が、障害福祉にしかないサービス(行動援護や重度訪問介護・移動支援等)を申請した場合、きちんと支給(横出し)されるよう市町村に働きかけてください。
(9)視覚障害者の場合は、全盲の重度障害者であっても、現行の介護認定基準ではほとんどの者が要支援1か2と判定されます。介護保険制度が改善されるまでの間、大阪府としてサービス上乗せの助成措置を構じてください。また、障害者のQOLを低下させないように市町村を指導してください。
(10)「介護予防・日常生活支援総合事業」について、手話ができる職員の事業所への配置や同じ聴覚障害のある利用者集団の保障、ろう高齢者への対応状況を把握し、その改善を市町村に働きかけてください。

49.ホームヘルパーの派遣時間を少なくとも1回2時間以上に延長できるように国に要望してください。

50.2021年4月の報酬改定では、要介護1・要介護2に該当する認知症の方々やろう高齢者に対する、特別養護老人ホ−ムへの入所に関する特例要件が継続されました。今後の改定時においても、軽度な要介護度であっても、独居や家族内・地域での孤立、聴覚障害に配慮した適切な居宅サ−ビスが受けられないなどの状況にあるろう高齢者が、特別養護老人ホ−ムに入居できるよう現状の入所要件を継続するよう、また軽度者が引き続き訪問介護・通所介護・短期入所等、介護保険の居宅サ−ビスが利用できるよう国に働きかけてください。

51.聴覚障害を持つ高齢者への適切な認定調査を行うために、大阪府は「聴覚障害者の理解と支援における留意点」の重要性を踏まえた現任研修を実施しています。現在の認定調査項目おいて、ろう高齢者に該当する項目は「意思伝達(3-1)」程度であり、聞こえないことによる生活のしづらさや支援の必要性を明らかにするためには、審査会で使用される『特記事項』の内容が重要です。ろう高齢者に特化した「あすくの里」等の特養が加入している全国高齢聴覚障害者施設協議会で、「ろう高齢者の特性を踏まえた特記事項の記載のポイント」を整理しているので現任研修等で活用してください。

52.ろう高齢者が安心して相談・支援が受けられるショ−トステイ、デイサ−ビス、ケアプランセンタ−等の事業所が少ないなかで、遠方からの利用や「利用の目的や課題」が多岐に渡っています。また、聴覚障害者に特化した事業所で、個々にあったコミュニケ−ション方法で情報提供や支援・相談をすることで新たな課題が明らかになります。その意味では、特養の入所者以上に柔軟的かつ個別の支援が求められます。そこで、ろう高齢者の在宅での暮らしを支える事業に対しても、「障害者生活支援体制加算」の対象とするよう国に働きかけてください。

53.介護保険制度は、「高齢者が住み慣れた地域において自分らしい生活を持続していくこと」を目的としているにも関わらず、ろう高齢者(特に盲ろう者)に対応できる居宅支援事業所が少ないことから、遠方からの相談や利用が多く長時間の支援が必要となります。大阪府として対応できる事業所や「盲ろう者通訳・介助員養成研修」等の人材の育成を実施していただいているところですが、盲ろう者へ的確な支援ができる人材が確保できるまでの間、移動の際の高速料金の保障や独自の手当等検討してください。

54.生活保護受給者のユニット型特養・ショ−トステイの利用について、生活保護受給者が長期間利用した場合保護が打ち切られる場合があります。大阪府下にはろう高齢者が安心して利用できる特養は、ユニット型特養の「あすくの里」しかありません。生活保護受給者が保護を打ち切られることなく、ユニット型特養を利用できるよう引続き市町村を指導してください。

55.介護保険サ−ビス利用時に、利用者が役所に手話通訳を依頼し断られる場合があります。介護保険サ−ビス利用時のコミュニケ−ション保障は事業所の責任となっていますが、手話でコミュニケ−ションできる事業所がほとんどないのが現状です。介護保険サ−ビス、特に医療系のサ−ビス(訪問看護等)利用の際に手話通訳をつけるよう市町村に指導してください。また、手話でコミュニケ−ションできる聴覚障害者に配慮した事業所を設置・育成してください。

<労働>

56.障害者雇用率の達成状況をふまえ、今後の障害者雇用についての大阪府の計画を明らかにしてください。

57.視覚障害者あはき師の就労機会を脅かす、晴眼者養成施設の新設・定員増について認可しないよう国に働きかけてください。とりわけ、○○のあん摩科新設申請については、引き続きあはき法19条の主旨に基づき認可しないよう国に働きかけてください。

58.マッサージ業における「無免許者」の取り締まりを厳正に行ってください。

59.柔道整復師による医療保険の「カラ請求」、「水増し請求」、「ふりかえ請求」など不正請求に関する実態把握に努め、法の遵守を求めてください。また、奈良県橿原市の例を参考にしながら、大阪府においても市町村が柔道整復師に対して効能の広告をしないよう調査指導できるようにするため、柔道整復、鍼灸、マッサージを取り扱う施術所の開設等の事務権限の移譲について検討してください。

60.「聴覚障がい者等ワークライフ(職業生活)支援事業」をより充実させていくために予算を増額してください。また、国として、同様の事業を行うよう、強く働きかけてください。

<まちづくり>

61.当事者の声をきいて府下全域のバリアフリー化を促進してください。
(1)整備重点地域を協議する体制を創設して、計画的にバリアフリー化を推進してください。当面は、京橋駅周辺地域を整備重点地域に指定して、ターミナル駅にふさわしい整備を行ってください。
(2)障害者が利用する公的な施設とそこまでのアクセス(経路)の整備を国や市町村と連携して進めてください。
(3)銀行でのATMシステムで暗証番号を押すことができないことや駅員呼び出しボタンが押せないなど、上肢障害者には利用しにくいシステムが多くなってきています。当事者の声を聴き、利用ができるように改善してください。

62.交通運賃割引の対象者を拡大するよう国および関係機関に強く働きかけてください。

63.駅舎へのホーム稼働柵の設置を促進してください。
(1)大阪メトロが計画している稼働柵について大阪市外に所在する駅についても大阪府の責任で設置できるようにしてください。
(2)各鉄道事業者に対してホーム可動柵設置をはたらきかけてください。
(3)ホーム可動柵の整備状況について大阪府として調査を行うとともに障害者をも加えた研究会などを設置してください。
(4)今後鉄道事業者から可動柵設置計画が提示された際の、大阪府としての方針を示してください。

64.避難行動要援護者プラン、避難行動要援護者防災マニュアルや避難所運営マニュアル等が適切に整備され、市町村が障害者などの避難行動要援護者へのきめ細かい対応を進めていくことができるよう、大阪府として必要な施策を講じてください。また、福祉避難所を整備するよう市町村に引き続き求めてください。
(1)避難所には障害者担当の係員や相談員が配置できるようにしてください。
(2)障害者をはじめとする避難行動要援護者の避難先について、一次避難所における福祉避難室、二次避難所としての福祉避難所の整備を急ぐとともに、障害者特性にあわせた福祉避難所(ホテル等)の設備などの具体化を働きかけてください。

65.投票所への移動が困難な視覚障害者に対しては、点字による在宅郵便投票を認めてください。

66.視覚障害者が同行援護を利用して投票した際には、その費用を公費で保障してください。

67.現在工事中の、府道・十三から高槻線の吹田市・岸辺吹田間の歩道拡張工事に伴い、これまで敷設されていなかった個所[道路北側(吹田市昭和町35-16)山本医院・道路南側(吹田市高城町17-3)小儀動物病院から東へ第五中学(吹田市幸町21-1)前信号までの南北歩道]について点字誘導ブロックを敷設してください。

<医療>

68.健康に生きる土台としての重度障害者医療費助成制度を拡充してください。
(1)一医療機関の負担上限額を復活させるとともに、月負担上限額を大幅に引き下げてください。
(2)院外調剤の自己負担を撤廃してください。
(3)中軽度の障害者を、制度の対象にしてください。
(4)重度障害者医療費助成制度の果たしてきた役割に鑑み、コスト面からだけでなく重度障害者がこの制度をどのように活用し健康な暮らしに役立てているのか等の実態を調査してください。2018年4月以降の制度改定における障害児者・家族の暮らしへの影響について、大阪府として定期的に調査を行ってください。
(5)経過措置が終了した老人医療費助成制度を利用していた人についての影響調査を実施してください。

69.脳性麻痺の二次障害の頚椎症性頚髄症等の手術治療ができる医師や専門医療機関を大阪府内に確保するため、保健福祉室や障害福祉室が連携をして具体的な手立てを講じてください。また、どの医療機関でどういう対応をして、どういう実績があるのかを調査して、当事者や家族、関係者に情報発信をしてください。

70.障害者地域医療ネットワーク事業を充実させてください。同時に、この事業を広く障害者・家族に周知・広報してください。

71.脳性麻痺やポリオ、脊髄損傷や頸髄損傷等の中途障害などの障害別に、成人期の健康実態や機能低下などの二次障害の具体的な症状の実態調査を実施してください。その際、在宅・福祉的就労・一般就労などの社会環境別に分けた調査を実施してください。幼少期や学齢期から自らの障害を正しくとらえて、二次障害への知識・認識を正しく持てるように学校や公的機関から、当事者や家族などに指導(アドバイス)できるシステムを創設してください。

72.公立病院に「てんかん外来」が設置されるよう府として特段の措置を講じてください。

73.障害者が入院する際に個室利用を求められる場合の負担軽減制度(補助制度)を創設してください。

74.障害児者のインフルエンザ予防接種費用の補助を行ってください。

75.障害の特性を踏まえた各種診療が可能な総合病院を整備してください。

76.医療機関において、聴覚障害者(ろうあ高齢者等)が安心して治療・入院が受けられるよう、府下の各医療機関(民間)に手話通訳者の設置、手話ができる看護師、相談員などが配置できるよう働きかけてください。


以上

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

ここまで本文です。


ホーム > 令和3年度の団体広聴一覧 > 障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 要望書(2)