大阪府中小企業家同友会 要望書

更新日:2021年11月25日

要望受理日令和3年10月19日(火曜日)
団体名大阪府中小企業家同友会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題2022年度(令和4年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

要望書

                   2021年10月19日


大阪府知事 吉村洋文 殿

2022年度(令和4年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

2022年度(令和4年度)の重点要望提言
(A)中小企業施策を推進する行政の取り組みに関する要望と提言
 「中小企業の日」の意義を府民に広報し、「中小企業の日」及び「中小企業魅力発信月間」について大阪府独自の取り組みを実施するとともに、大阪同友会の企画を支援していただくよう要望提言します。(要望提言項目1参照)
(B)中小企業が活躍しやすい環境づくりに関する要望と提言
 中小企業の事業承継のうえで重要な課題となっている金融機関の連帯保証制度の早急な見直しを国及び保証協会に推進することを大阪府として要望してください。(要望提言項目5参照)
(C)持続可能な大阪をつくるための要望と提言
 大阪・関西万博の開催に際して、日本国際博覧会協会の計画とは別に、大阪府としてこの機会を活かし、大阪経済の内需拡大や中小企業の持続的な活性化を軸とした大阪府独自の計画を検討することを要望提言します。(要望提言項目7参照)
(D)未来の大阪を担う若い世代が活躍できる社会づくりへの要望と提言
 大阪の未来を考える上で高校生などの若い世代の教育環境、就職活動環境の向上は極めて重要なテーマです。1)高校生の企業定着率向上の施策、2) その機会となる中小企業とのマッチング施策、3) 出来る限り若い世代において「起業意識」「経営感覚」などを知り、感じるプログラムを実施する施策などを、行政・教育機関と中小企業が協働的に推進することを要望提言します。(要望提言項目12・13・14参照)
(E)中小企業を取り巻くコロナ禍でのビジネス環境の改善に関する要望と提言
 長引くコロナ禍の中で多くの中小企業が極めて厳しい経営環境にあることは誰もが承知しているところであり、1)特に直接的打撃を受けている旅行業・飲食業とその関連企業への直接的支援策は最重要課題となっています。2) 同様に、海外との取引や関係性の再構築も急務の状況であり、これらの早急な施策検討と実施を図っていただくよう要望提言します。(要望提言項目16・18参照)

大阪経済の現状認識と中小企業に対する考え方、本要望提言について
 大阪経済は、2019年10月の消費税増税(8%から10%)による影響に加えて、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大により極めて厳しい状況にあります。これまで大阪府の人口減少問題(2040年には135万人の減少となると、大阪府人口ビジョンにて指摘されています)、貧富の格差の増大、雇用の不安定化、生活保護世帯の増加などの重大な問題がある中で、消費増税とコロナ禍問題により、大阪の経済は深刻な現実に直面することとなっています。今後は、企業の倒産や廃業が加速度的に増加するとの予測もあります。
 「中小企業のまち」大阪におけるこのような極めて厳しい現状を踏まえて、大阪府政は大きな転換が迫られています。インバウンド観光への偏重、万博などの大型イベントの景気対策から、地域密着型、地域の内需拡大型の政策への転換が急務であると考えられます。その中で、地域の生活、地域の雇用、地域の若者を守り育んでいくことができる存在として、中小企業が果たす役割は決定的に重要であると考えられます。
 中小企業憲章(2010年閣議決定)の前文に記載されている通り「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」存在として、さらに、大阪府中小企業振興基本条例(2010年大阪府議会で議決)の理念に基づき、大阪府中小企業家同友会(以下、大阪同友会)は、大阪府、金融機関、教育機関、地域の人々とも連携をはかりつつ、この難局にともに力をあわせて立ち向かうことを目指して、この要望と提言を作成いたしました。 

1.大阪府中小企業振興基本条例に関する要望と提言

要望提言項目1:「中小企業の日」の意義を府民に広報し、「中小企業の日」及び「中小企業魅力発信月間」に関連して大阪府独自の取り組みを実施するとともに、大阪同友会の企画を支援してください
 2019年6月に政府において制定された「中小企業の日(7月20日)」「中小企業魅力発信月間(7 月)」を受けて、大阪府中小企業家同友会(以下、大阪同友会)では、本年7月17日(土曜日)、大阪産業創造館において、企業展とフォーラムの二本立てで、「中小企業の日」「中小企業魅力発信月間」にふさわしい取り組みを行いました。
 1) 2022年度も上記の取り組みを進めていくこととしていますが、大阪府として、ご支援、ご協力を期待します。
 2) 「中小企業の日」の趣旨を踏まえて、大阪府独自の取り組みを検討し、具体化してください。
 3) 大阪府の関係組織(府立高校、府立大学等)、金融機関、経済団体等に向けて、啓発、普及の取り組みを検討してください。

要望提言項目2:部局横断的・総合的施策の実現のため「中小企業担当副知事」を新設するとともに、「産業化戦略センター」「大阪産業局」の成果を明らかにしてください
 地域経済を牽引し、地域社会において重要な役割を担っている中小企業に対する施策を一層充実・強化し、大阪府として、部局横断的に推進することができるようにするため、中小企業担当の副知事を新設することが必要と考えます。
 1) 現在、大阪府では、副知事が3名配置され、それぞれ役割を定めていますが、商工労働部を担当する副知事が中小企業担当となり、大阪府各部局の施策が中小企業振興として一体的に推進できるよう庁内体制の確立をお願いします。
 2) 大阪府に創設された「産業化戦略センター」については、部局をまたがる幅広い産業分野で社会的課題の解決につながる新たなビジネスの創造・成長支援をしているとのことですが、具体的にどのような成果が生まれたのか説明してください。
 3) 大阪府産業振興機構と大阪市都市型産業振興センターが合併・統合して「大阪産業局」が創設されましたが、統合による効果・課題について説明してください。

要望提言項目3:外郭団体等ではなく大阪府職員自らが中小企業への訪問調査を実施し、訪問調査結果の内容と分析結果を公表してください
 中小企業施策を実態に適合した形で効果的に推進していくためには、中小企業が直面している現状を的確に把握し、中小企業関係者の現場の声を踏まえることが大切です。この観点から、大阪府の中小企業関係予算の作成、施策の立案・検討をされている大阪府商工労働部の職員が、外郭団体の調査に頼ることなく、中小企業を直接訪問して現場の情報を得るように尽力されることを要望します。どれだけの職員が、何社の中小企業を訪問したか、こうした企業訪問によって何が得られたか、明らかにしてください。

2.中小企業が活躍しやすい環境をつくるための要望と提言

要望提言項目4:官公需における中小企業への発注比率(金額ベース)を拡大してください
 令和元年度の発注比率は、金額ベースで64.8%の現状であり、前年度比でやや下降しました。他県では、福岡県は81.6%、愛知県では66.9%であり、徳島県では「県内企業優先発注及び県内産資材の優先使用のための実施指針」を策定し、令和3年度以降金額ベースで93%の発注率を設定、同じく群馬県では「中小企業者に対する発注拡大の方針」として目標値を90%設定とするなど、地域住民が実感できる持続的な経済成長を実現し、地元中小企業の受注機会の確保や雇用を維持するための動きが全国で興っています。今後コロナ禍でさらに厳しい局面になると予想されます。府内中小企業者の受注機会の増大へ注力をお願いします。

要望提言項目5:中小企業の事業承継の妨げとなっている金融機関の連帯保証制度の早急な見直しを国及び保証協会に推進するように強く要望してください
 後継者に事業を引き継ぐ場合、債務をすべて後継者が連帯保証をしなければならないのが現実です。連帯保証を外すためには多くのハードルがあるのが実状であり、現段階では一応のコンセンサスはあるものの、外せるのは半分以下です。後継者問題での連帯保証制度による弊害に加えて、昨今では、例えば100%保証協会の保証がついているにもかかわらず、銀行が個人に連帯保証を求めることなど、問題ある状況も見受けられます。
 1) 社会的な雰囲気を変える努力と金融機関にも近代的な金融のあり方に変えてもらうような機運の醸成に、府として提言を国に対して行ってください。
 2) 保証協会から金融機関に個人の連帯保証を取らないよう指導してください。

要望提言項目6:法人事業税における外形標準課税の適用範囲拡大は、絶対にしないよう継続して国に要望してください
 中小企業関係4団体や同友会の強い要望により外形標準課税適用範囲拡大は見送られています。税の大原則は「公平性」応能負担の原則の考え方から、大企業と中小企業に外形上一律の税率を課すことは、負担の公平性の確保にならないと考えます。外形標準課税の適用は担税力のない企業への課税強化となることや、人件費の削減や社宅等の福利厚生への抑制により、「雇用と投資」が見送られ、結果、経済活力を削ぐ恐れがあります。現在、大阪府の法人の一部に適用されている法人事業税の外形標準課税を、資本金一億円以下の中小企業への適用拡大はおこなわないよう、引き続き全国知事会等での提言を国に対して行ってください。

3.持続可能な大阪をつくるための要望と提言

要望提言項目7:大阪・関西万博の開催に際して、日本国際博覧会協会の計画とは別に、大阪府としてこの機会を活かし、大阪経済の内需拡大や中小企業の持続的な活性化を軸とした大阪府独自の計画を検討してください
 大阪・関西万博については、大阪府民や多くの中小企業が大阪経済活性化の起爆剤となり、短期的な経済効果のみならず、持続的な大阪の発展に寄与するものになることを期待しているところであります。すでに日本国際博覧会協会による計画案が策定され公表されていることは承知していますが、この万博開催を絶好の機会ととらえ、大阪府として、万博開催場所(夢州)だけでなく、大阪の各地域での地域資源を最大限に活かした関連イベントや継続的内需拡大を具現化する中小企業振興施策の計画展開を図り、大阪全体を巻き込む施策を提言します。
 1) 地元中小企業への優先的な業務提携とともに、地元関西への持続的な内需拡大を図るため、大阪全体の各地域において、地元企業や地域資源の特色を活かした関連イベントの検討と持続的な仕組みづくりの地域活性化計画策定を実施してください。
 2) 大阪・関西万博は「新たなビジネスを生み出す実験の場」との位置づけがなされていますが、その取組み状況、今後の見通し等を説明してください。

要望提言項目8:中小企業のBCP策定を推進するために、誰もが活用しやすい具体策として認定制度などを実施するとともに、地域の安全向上のために行政や地域と企業市民との協働的プラットフォーム構築を図ってください
 近年、大阪にも地震や大規模台風の被災が続き大きな被害を受けています。このような自然災害に対して準備をすることにより被害を抑えることが可能と考えます。その手法としてBCPがありますが、中小企業の策定率は低く約16%前後で推移しています。尚、中小企業の中でも規模が小さくなるほど策定率も下がってきているのが現状です。大阪府はBCPの取り組みやすくするため「超簡易版これだけはシート」を策定し普及活動に努力されています。しかしながら前述の策定率をみますと普及は想い通り進んでいないのが現状だと考えます。
 1) 「超簡易版これだけはシート」を普及すべく、認定ステッカーの発行や策定企業の公表などの認定制度を策定してください。
 2) 災害などの危機意識が高まる中、早急に行政や地域、中小企業(企業市民)が連携するプラットフォームづくりを進めてください。

要望提言項目9:省エネ、再生可能エネルギーに関する現在の大阪の現状分析の公表と、これに取り組む中小企業への支援制度を拡充してください
 再生可能エネルギーの需要の創出に向けた取組み「おおさかスマートエネルギープラン」に関して2021年より10年プランがスタート、いろいろなプロジェクトが計画されると認識しています。
 中小企業にとって再生エネルギー創出は条件的に難しい場合が多いと思われますが、そのような中で、最近では各電力会社がCO2削減の「再エネ電力プラン」は比較的扱いやすいものと思われます。この再生可能エネルギーに関しては全国的にもいろいろな問題が発生していることも無視できません。全国的な再エネ創出事業は本当に環境に配慮されているか不安も多い現状です。
 1) 主に一定規模以上の再生エネルギー設備設置に関して、
 ・土砂災害、景観、水、生態系等多くの悪影響懸念が有り、全国的にも住民、市町村と発電事業者との間で幾つものトラブルが発生しており、自治体が事例を発信している場合もあります。それら事例に沿っても現状の「大阪モデル」で問題はないか、お考えをお聞かせください。
 ・それらの対処として全国的に独自のガイドラインの設定、検討されていますが、大阪府の計画をお聞かせください。
 2) 現在大阪は、森林率、森林面積、自然公園面積まで、全国で最も少ない状況です。今後、これらの改善するために森林率、森林面積、自然公園面積などの拡張を検討してください。
 3) 昨年度に終了した国の事業「エコクリップ補助事業」を府の事業として継続してください。
 4) 再エネ電力導入事業者に対する優遇的措置を検討してください。

要望提言項目10:関西電力に対し電力料金をこれ以上値上げしないよう継続して要望してください
 1) 電力料金の値上がりは、特に製造業を中心に大きな負担となります。大阪府として、関西電力に対し徹底した企業努力を求めるとともに、これ以上値上げしないよう引き続き強く要請してください。
 2) また、再生可能エネルギーの活用など、エネルギーシフトの推進を大阪府としても強く推進してください。

要望提言項目11:大阪府が重要施策と位置付けている貧困問題と就業支援を解決するための中小企業を含むプラットフォームづくりを検討してください
 近年の大阪全体の重要な問題としての貧困問題とその対策としての就業支援の問題があります。大阪府では第2期総合戦略の施策の基本目標・基本的方向において次のように
 (1)困窮している世帯を経済的に支援
 (2)学びを支える環境づくりを支援
 (3)保護者が孤立しないように支援
 (4)健康づくりを支援
 (5)子どもたちが孤立しないように支援
 (6)安心して子育てできる環境を支援
 (7)オール大阪での取組み
の7つの視点を掲げています。
 1) これらの7つの視点の具体的施策の実施状況と現在の課題を情報公開してください。また、大阪府が考えられているこれらの問題に対する重要地域について可能な範囲で情報を公開してください。
 2) 貧困問題や就業支援は中小企業の求人・雇用問題、就業環境問題と深くかかわっています。これらを協働的に解決していくための大阪府、地域自治体、地域住民、地域の教育機関、大阪同友会をはじめとする地域の中小企業とのプラットフォームづくりを提案します。早急にご検討ください。

4.未来の大阪を担う若い世代が活躍できる社会づくりへの要望と提言

要望提言項目12:高校生の企業定着率向上のために、大阪同友会の取り組みへの理解と支援を行うとともに、全大阪的な取り組みとなるよう大阪府の調整機能を発揮し、産官学会議の設置を図ってください
 高卒新規採用における就労後3年内の離職率は毎年4割程度の高い割合で推移し、改善が困難な課題であると認識します。将来を担う若者の不安定化は社会の大きな損失であり、地域活力を損なう大きな要因にもなり得ます。大阪同友会においても危機感を持ち長年様々な取り組みを府内各地域で実施しておりますが、この社会的課題への対応には、雇用側と学校関係機関(教育委員会・学校・ハローワーク)、そして、大阪府との連携なくしては企業定着率向上の成果に繋がり難いと痛感しております。これまでの大阪同友会での高校求人に関わる実践と経験を踏まえ、以下の項目についての協業的な取り組みの実施を要望いたします。
 1) 若者を社会的財産とみなす企業の想いと取り組みを、社会に送り出す側の先生方と共有する継続的な場の設定が基盤となりうると考えます。教育現場での問題を共有し、社会全体で育成する環境づくりを推進するために、大阪同友会が開催している高校の進路指導及び先生方との意見交換会を、各方面の関係機関と全大阪レベルで開催すべく行政側からの調整機能を発揮してください。
 2) 高校生の職業観や生徒自身が発見と夢の可視化を実現させ、社会とのつながりを具体化させる意識を醸成するための取り組みとして、大阪同友会が毎年開催している「魅力ある企業の仕事説明会」への高校生の参加を府として教育委員会、各学校に要請してください。必要に応じて、事前の準備会・説明会、あるいは、担当部課などへの案内・説明を行わせていただきます。
 3) 「地域の未来を担う人づくり」を推進すべくインターンシップやキャリア教育の実効性を高める施策として、就労後の定着率向上と地域活性化を図るキャリア支援、キャリア教育の仕組みづくりのための産官学会議(大阪同友会をはじめとする雇用側地域企業と府教育委員会及び各校校長)を設置してください。

要望提言項目13:高校の合同企業説明会を地域別複数開催にしてください
 多様な選択肢の提供という課題に対して、高校求人においては依然として企業からの求人票と先生方のアドバイスが学生の判断材料となっています。合同企業説明会の地域別複数回開催は学生に実感を持った選択肢を提供する機会になると共に、企業にとっても直接発信できる機会になります。活力ある地域基盤の構築という観点からも、学生の複数社応募へ移行していく流れからも必要な措置であると考えます。コロナ禍の収束状況に関わらず、オンラインでの実施も可能な取り組みと考えます。呼びかけにとどまらず、実行していただくよう要望いたします。
 また、昨年ご回答いただいた合同企業説明会の生徒への周知、参加の呼びかけ、各府立高校に対しての進路に関する適切な情報提供等、ガイダンス機能の充実を図るとは、具体的にどのような取り組みをされたのかお示しください。

要望提言項目14:府立高校の授業に、起業及び経営を学ぶ実践的な授業を組み込んでください
 日本の中小企業の課題のひとつに、廃業よりも開業が少ないことがあります。このことは、日本の産業の活性化が図れていない原因のひとつと考えます。
 日本の開業率については国際比較でも低い状況です。国際比較を検証した場合、企業意識の違いとして上げられているのが、「周囲に起業家がいる」「周囲に起業に有利な機会がある」「起業するために必要な知識、能力、経験がある」です(中小企業白書)。このことは外部環境に寄るところが多く、まず起業するために必要な 知識、能力、経験を身につけることがスタートにあたると考えられます。
 十分な知識や能力、経験は大学での専門教育や社会人になってから実践で学ぶことも多いですが、まずは、高校などのできるだけ早い段階から起業意識を醸成していくことが必要であると考えます。大阪同友会では、これまでも高等学校からの要請もあり、キャリア支援としてインターンシップ受入れや経営者による経験報告の授業の実施に協力しています。若い段階から起業をはじめとする経営について学ぶ機会があることで、大阪府の未来や持続的な活性化に大きく寄与することが出来ると考えています。現在、大学や一部の私学、通信制の高等学校では「起業」を学ぶ時間が設けられていますが、府下の高等学校の授業に、高校との連携の実績を持つ大阪同友会と連携を図ることにより「起業に関する授業」を組み込んでください。

要望提言項目15:大阪府独自の給付型奨学金支援制度の創設、及び、対象となる社員の住民税を非課税とするなどの施策を実施してください
 大学生の2人に1人が多額の奨学金(借金)を背負い 、社会人になってからその返済負担に苦慮し、平成29年度で約2491億円もの延滞を生じていることが社会問題になっています。このような状況を受け、人材確保と定着、福利厚生のため、奨学金返済中の社員に対して、勤続期間等一定の要件の下で当該社員の奨学金返済額の一部を支給・援助する制度を導入する中小企業が増えています。そして、このような奨学金返済支援制度を導入している中小企業に対し、その支援額の一部を助成する新制度を創設ないし検討中の自治体が全国的に広がっています(奈良県、和歌山県、京都府、神戸市、大東市、和泉市など全国37都道府県38市で実施、昨年より10道県5市増加※株式会社crono2021年1月調べ) 。大阪府においては、22〜25歳の新規大卒・院卒就職年齢層の人口が顕著に減少する(主に首都圏に流出する)という厳しい事態が生じています。平成26年12月27日閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、「奨学金を活用した大学生等の地元定着や、地方公共団体と大学等との連携による雇用創出・若者定着に向けた取り組み等を推進する」と示されています。地方公共団体と地元産業界が協力し、地元企業に就業した方の奨学金返還を支援するための基金を造成することの必要性も述べられています。奨学金返済に係る問題は、もはや国において検討される課題だけではなく、「自己責任」「自力返済」との考え方だけで解決される問題ではないということをご理解いただいた上で、大阪府として若年層の人口減少が進む中で、奨学金返済に関する支援制度を早急に検討、実施することが急務であると考えます。
 1) 奨学金返済支援制度を導入している中小企業に対し、中小企業助成制度を創設してください。
 2) 2021年4月1日から始まった企業の奨学金返還(代理返還)分が所得税非課税と認められているのと同様に、中小企業から対象となる社員に対する支給・援助金を非課税特例扱いとし、住民税を非課税とする処置を講じてください。

5.各業界からの要望と提言

(1)中小旅行業者に対する支援策について

要望提言項目16:コロナ禍により壊滅的な打撃を受けている旅行業に直接的な支援策を早急に実施してください
 新型コロナウイルス感染症問題で、観光産業はかつてない売り上げ減に陥っています。大阪府が認可している旅行業とりわけ第二種 第三種の中小旅行業者の落ち込みは、昨年3月以降90%以上の落ち込みになっており、一年を経過した現在もその状況は改善の兆がありません。昨年7月にGOTO トラベルキャンペーンが開始されましたが、コロナ感染危惧や緊急事態宣言・蔓延防止措置の継続、再発布により、キャンペーンそのものが中座しています。企業の社内旅行もワクチン接種の進展はあるもの、感染拡大、変異型ウイルスの蔓延等で、旅行実施企業はほとんどありません。さらに海外旅行は回復には数年かかると想定されています。その影響で旅行社の店舗・社員の削減・解雇などが急速に増えている現状です。特別融資、雇用調整助成金などを活用し延命を図っておりますが、資金の枯渇や返済の開始、制度の中止懸念もあり苦境に立っております
 1) 大阪府独自で大阪府認可の二種、三種の中小旅行社に直接的な支援を構築して下さい。(認可総数は二種、三種で令和三年4月末現在734社※実態は500社程度と想定されています)。 
 2) 毎年取り扱い実績の報告が義務化されていますので、2019年の取り扱い実績を基準にし、至急かつ迅速に直接的な緊急援助金、雇用調整金の大阪モデル等を実施してください。
 3) 政府系金融機関、保証協会にも返済期間や保証期間の延長を働きかけてください。

(2)食品業者に対する支援策について

要望提言項目17:府立高校の給食事業に関して、水光熱費の納入方法の手法の拡充を図ってください
 日本では、これまで国民が行政サービスを受けるためには昔ながらのペーパーワークに頼るしかなく、特に近年のコロナ禍によって各支援策の遅れ、取り違えが浮き彫りになり、デジタル化の推進の要望が加速し、本年9月1日に「デジタル庁」が設立され、行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを掲げられました。
 このような時代の流れの中で、現在、府立高校の給食事業に関する水光熱費の納入が、銀行窓口の振り込みだけの取扱いになっています。最寄りの取引銀行まで出向き、且つ順番に手続きを待つなど時間がかかるのが通常で、会社経営に置いては一日の段取り等に影響が出てくるのが悩みの種です。昨今IT化が進み、諸費用の納入方法についても各所で並行して導入されているところで、大阪市ではネットバンキングで納入できています。府としても準備段階であるとは思いますが、例えば、各事業者のパソコンから振り込めるなど、納入方法を拡充してください。

(3)海外取引事業者に対する支援策について

要望提言項目18:ビジネス旅客に対する新型コロナウイルスの検疫体制を強化し、ビジネスへの影響を最小限に留めるよう、国に要望しつつ大阪府としての取り組みを実施してください
 企業の海外ビジネス展開には、契約の交渉や信頼関係の構築のため、対面コミュニケーションが不可欠です。大阪府においては、関西空港からの入国がスムーズにできるよう検査体制を充実させるよう国に要望し「入国者健康確認センター」と協力して、確実な隔離および隔離期間でもオンラインビジネスに不自由のない環境を提供するなど、感染拡大を防ぎながらもビジネス交流を円滑に進めるための対策を実施してください。
 
要望提言項目19:渡航制限による障壁を緩和するビジネス活性化策について、検討・実施してください
 新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限は一部緩和される見込みはあるものの、完全に撤廃されるまでにはかなりの時間を要するものと思われます。平成31 年4 月には大阪産業局・国際ビジネスサポートセンターが開設されたことを含め、ビジネス活性化策について以下の項目を要望します。
 1) 国際ビジネスサポートセンター事業を引き続き充実させてください。
 2) 現在アジア4か国に設置されているビジネスサポートデスクを他の地域にも展開してください。

要望提言項目20:大阪港コンテナターミナルの効率化と大阪港の地位向上について、検討してください
 大阪港のコンテナターミナル周辺においては、これまでたびたび搬入トレーラーによる渋滞が発生し、船積みに遅延が生じるなど周辺道路の交通にも支障を来すことがありました。コロナ禍によるコンテナ不足により貨物量が減少し一時的な混雑緩和も見られますが、コロナ後には再び混雑が続くことが予想されます。また、アジア諸国との競争により、幹線航路が日本へ寄港せず、フィーダーポート化してしまっているのが現状です。大阪の企業の国際競争力を高めるため、大阪港の地域向上が求められます。
 1) 混雑緩和とスムーズな貨物輸送実現のため、自動化による効率化等の対策を取っていただくとともに、万博終了後の用地を活用し、コンテナヤードを拡張してください。
 2) 大阪の企業の国際競争力を高めるため、大阪港と神戸港を「阪神港」として一体化するなど、東アジアのハブポートとしての機能の創出を検討してください。
                                                                                                                                                                                 

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府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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