大阪府立支援学校PTA協議会 要望書

更新日:2021年12月6日

要望受理日

令和3年10月6日(水曜日)
団体名大阪府立支援学校PTA協議会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題要望書

要望書

 

令和3年10月6日


大阪府知事 吉村 洋文 様
大阪府教育委員会教育長 橋本 正司 様

大阪府立支援学校PTA協議会
会長
                                 

要望書

はじめに
 本協議会は、昭和48年結成以来、府立支援学校に関する幾多の事項を要望してまいりました。府当局におかれましては多大なるご尽力によりこれまで多くの課題に真摯に取り組んでいただき、要望を叶えていただきました。心から感謝申し上げるとともに深く敬意を表します。
 しかしながら、障がい児(者)を取り巻く教育環境の整備、障がい児(者)の卒業後の進学・就労・生活支援をはじめ、私達の周囲には、今なお多くの課題が山積しています。
 本協議会は、各学校単位のPTAの共通する切実な要望を下記のとおり取りまとめました。今後、障がい児(者)が豊かな教育を受け、地域での充実した生活を送ることができるよう、以下の要望をご検討のうえ速やかに解決されますようお願い申し上げます。
 併せて、令和元年度から続く新型コロナウイルス感染症対策を講じての学校の教育活動については、さまざまな制約がある中、子どもたちは登校しています。そのための支援策も大阪府として打ち出していただいておりますが、未だ収束の兆しがなく、先が見通せない不安を抱えているのも事実です。子どもたち、保護者等の心身のストレスはピークに達しています。こうした対応についても、十分ご理解いただき、継続して必要な対策と適切な情報提供、なにより子どもたちの「心身のケア」を継続的に行っていただくことを切に願います。

1<教育庁への要望>

1.【学校建設関連】
 「府立支援学校における知的障がい児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針」には、2026年度までの10年間で知的障がい児童生徒が 1400人増加する見込みであると報告されており、特に大阪市域の増加が顕著となっていることが記されています。その対策として<1>知的障がい支援学校の既存施設の活用<2>他の障がい支援学校との再編整備<3>府立高校内に支援学校分教室の設置<4>知的障がい支援学校の新設という大きな4方策を示していただいていますが、これらの実施スケジュールが2025年頃まで実施時期が重なりながら進んでいくことに保護者は不安を感じています。元西淀川高等学校の活用をはじめとした新設校の検討状況や、他の対策の検討状況など、今後の方針等について教えてください。 
(1)大幅な人数受け入れが期待出来る対策「<4>知的障がい支援学校の新設2023年から2025年頃」について、示されたこの期間内に最短のスケジュールで、必要な地域で学校建設をすすめてください。
(2)北河内地域の児童生徒数の増加に対応するため、当面の間分校として設置されている交野支援学校四條畷校を存続させ本校化してください。

2.【施設・設備関連】
(1)壁や天井の剥落・落下など支援学校で学ぶ幼児児童生徒・教職員等が巻き込まれる事故が発生する前に、全ての学校の校舎の点検を早急に行い、大規模改修における実施基準と計画を示し、着実にすすめてください。
(2)老朽化した大阪北視覚支援学校の校舎の建て替えについては、今年度、基本構想を策定いただいているところですが、今後とも、建て替えに向けて、基本計画等作成を速やかに進めてください。
(3)知的障がい支援学校では、作業学習における窯業の窯や木工室の設備、自立活動に関する教材教具やクールダウンスペースの充実をお願いします。
(4)肢体不自由校では、子どもの成長過程にあった設備(バリアフリー化やリフト等介護機器、広い介助スペース、PT,OT,ST等の訓練室)の充実をお願いします。
(5)知肢併置校では、安心・安全に学習できる教育環境の整備をすすめてください。具体的には、ガラスや鏡の飛散防止対策、壁面にしっかり固定されている収納家具類、複数の避難経路(スロープ)の増設等が考えられます。
(6)聴覚支援学校では災害時に備え、すべての教室、特別教室等に文字情報システムを設置するとともに、各トイレにフラッシュランプを設置するなどして、幼児・児童・生徒にリアルタイムで視覚情報を伝え、自ら安全確保ができるようにしてください。また体育館のほか、運動場、プールにはデフリンピックで導入されているスターターランプ、シグナルランプなどの設置により、情報アクセシビリティを充実し、聴覚障がい児・者のスポーツ参画の機会確保に努めてください。
(7)猛暑日が増え、熱中症が心配です。体育の授業等で、十分な運動量の確保が出来ず、情緒が不安定になり学習に集中して取り組めない子どもたちもいます。全ての支援学校の特別教室や体育館に空調設備について、令和3年度の設置状況及び令和4年度以降の設置スケジュールを明確に示してください。
(8)トイレについては、子どもたちの基本的な生活習慣の確立に必要なため、時代に合った温水洗浄機能のある洋式便座等への改修や洋式トイレ増設をお願いします。また、様々な障がいの状況(肢体不自由・知的障がい・性同一性障がいなど)にも対応できるプライバシーが守れるバリアフリートイレ(だれでもトイレ)の設置も必要に応じて積極的にすすめてください。
(9)肢体不自由校のプールについては、更衣室の拡張・冷房施設の設置、温水プール用のボイラー室、スロープ、プールサイドの日よけ・水面を覆い、遮光するための全天候型日よけネット設置など、肢体不自由の児童生徒の実態に見合ったプール関連施設・設備の充実をしてください。 
(10)富田林支援学校をはじめとする交通の不便な支援学校については、保護者、来客用の駐車場を学校の近隣に設置してください。

3.【教育制度関連】
(1)在籍している学校の事情や家庭の事情で学籍を移すのに時間がかかり、教育を受ける権利が保証されない子どもたちのために、短期入院中は学籍を移さずとも、入院先の病弱支援学校で教育を速やかに受けることができるよう、制度変更を国に働きかけてください。
(2)入院で高等学校に通えない生徒のために、病弱支援学校の分教室に支援学校の高等部を設置してください。

4.【キャリア教育・職業教育関連】
(1)知的障がい高等支援学校職業学科並びに聴覚高等支援学校職業学科における職業実習充実のため、時代に即した機器や実習機械など施設・設備・機材の整備と更新を図ってください。
(2)職業学科のある高等支援学校の生徒が、介護職員初任者養成研修、野菜ソムリエ、掃除能力検定、ユニバーサルマナー検定の資格取得等、就労に活かせる資格が取得できるような講座を府として設けて、希望に応じて各校から参加できるような仕組みを作ってください。

5.【教員配置・専門性関連】
(1)児童生徒が安全で安心して学校生活を送るため、教職員の定数を増員してください。
(2)各障がい種に応じた専門性の高い教員を配置するとともに、PT・OT・ST・SC・SSW等外部専門人材の配置を拡充してください。また、学校の運営体制・専門性の継続の為に、人事異動の年限について配慮してください。
(3)知的障がい校においては、専門性の高い職業学科・職業コースの授業指導ができるだけでなく、様々な障がい特性の理解と幅広い就労支援・進路指導ができる教員を配置してください。
(4)教員(特に新転任者)に対して、児童生徒への医療的ケアや教科指導、自立活動に支障をきたさないように、医療的ケアの熟練度向上や教員の資質向上研修の充実と研修予算の増額をしてください。
(5)専門性の高い授業が各校で行われるよう学校の授業力向上を支援してください。

6.【ICT活用関連】
(1)肢体不自由児童生徒向けのICT機器(VOCAや視線入力装置など)の充実と、視線入力装置などの効果的な活用方法の研修を充実してください。
(2)新型コロナウイルス感染症による休業を機に病弱教育において、令和2年度中に整備できた施設・設備・機材があれば、具体的に報告してください。また、各分教室におけるICT環境の整備改善について、教育庁の考えを聞かせてください。

7.【安全確保関連】 
(1)災害時や事件事故発生の際、通学バス・学校・保護者が素早く道路交通情報や子どもの安否確認について情報共有できるように、電話以外の通信手段の確保について検討してください。

8.【通学バス関連】
(1)児童生徒数の増加への対応、乗車時間の短縮のため、通学バスの増便をしてください。また通学バス介助員を増員してください。
(2)自身で体位変換や体温調節の難しい肢体不自由児童生徒の体への負担軽減のため、通学バスの乗車時間の短縮と障がい状況が重度重複化している児童生徒が車椅子のまま乗車ができる通学バスを増車してください。
(3)個別対応が必要な児童生徒の増加に伴い、通学バス介助員への人権意識向上と障がい理解のための研修を府の施策として実施、充実させてください。

9.【予算措置関連】
(1)就学奨励費の対象として、学校が児童生徒の学校生活に必要であると保護者に準備を求める消耗品(とろみ剤、アルコール綿、医ケア機器、充電バッテリーなど学校からも求められる物)を文具と同様の扱いとして認めるよう、国に強く要望してください。
(2)修学旅行や校外学習時の付添い看護師の費用経費のうち、博物館等の施設入場料についても、児童生徒の安全確保のために必要な予算を措置してください。
(3)老朽化した指導上必要な学校の備品(エアートランポリンやボールプールなど)、消耗品を購入する予算を増額してください。

10.【医療的ケア関連】
(1)児童生徒の障がいの重度重複化に伴い、校外での活動や泊を伴う行事に付き添い可能な常勤看護師の標準法定数外配置を行ってください。当面の対策として、高度な医療的ケアが必要な児童生徒が、安全安心に泊を伴う行事へ参加できるよう、看護師の付添に加え医師が同行できるよう予算措置を行ってください。また、付添看護師及び同行医師の安定的確保のため、府教育庁が医師会や看護協会、病院と連携して人材を紹介・派遣してもらえるシステムを検討してください。
(2)医療的ケアの必要な児童生徒の通学保障として始まった「医療的ケア通学支援モデル事業」について、利用希望のある児童生徒全員が車両と看護師を確保でき、地域の実情に応じてスムーズに利用開始ができるよう関係機関へ働きかけてください。
(3)就学奨励費を活用した通学タクシー利用時について、金銭的負担となっている立て替え払い制度を大阪府として見直してください。また、送迎保護者の体調不良時に通学タクシー利用が考えられることから、登下校それぞれについて往復で通学タクシーが利用できる制度となるよう、国に働きかけてください。加えてヘルパーが乗車可能な制度となるよう検討してください。

11.【通学区域割】 
(1)通学区域割変更となった場合の、次の学部進学にあたっては、今まで実施していただいたように、校内の保護者や地域の小中学校等の保護者へ説明会を開催して、関係機関へも早めに知らせる時間をとって丁寧に説明を行っていただくと共に、何度も通学区域割りが同じ市町村内で起こらないようお願いします。

2<知事部局(福祉部、商工労働部、都市整備部等)への要望>

1.【卒業後の進路、社会参加等関連】
(1)視覚障がいのある生徒の就労を支援するための職業能力開発校等の就労支援施設の設置・拡充をお願いします。また視覚障がい者については、職域が広がっていない状況にあり、就労を希望しても、企業における実習の受け入れも難しい状況にあるため、障がい者理解及び視覚障がいのある生徒の企業への就労支援を進めてください。
(2)卒業して就職した後も働き続けるために、障がい者就業・生活支援センターによる訪問支援や福祉と連携した定着支援を拡充してください。
(3)高等部卒業後も豊かに学ぶことのできる進路先として自立訓練と就労移行支援を実施する福祉事業型の施設を多く開設してください。
(4)医療的ケアの必要な児童生徒が、在学時から卒業後まで、切れ目なく安心して利用できる施設(放デイ・レスパイト・ショート・生活介護・ケアホーム等)の拡充と、在学中の環境と同レベルの利用時間の延長ができるよう、大阪府独自の加算手当を創設し、看護師、PT.OT等の専門職の配置について市町村に働きかけてください。
(5)進路の多様な選択肢に繋がる施設拡充を可能にするためには、施設立ち上げの手続きの簡略化や、設備規定の緩和、医療的ケア児童生徒の受け入れ基盤となる看護師の増員、看護師勤務環境の整備等が不可欠と考えます。柔軟な制度の構築及び運用をお願いします。
(6)成人後、親亡きあとも安心して地域生活を営めるよう、グループホーム、ケアホームの充実と増設を切にお願いします。 

2.【健康・安全、地域福祉関連】
(1)災害時や緊急時に子どもを預けることのできるショートステイ施設の地域間格差の解消と増設等を行い、「緊急短期入所受入加算」が 活用できる施設を増やすための具体的な施策を進めてください。
(2)子どもの安全安心を確保するためには、支援員の増員と資質向上が必要です。特に放課後等デイサービス・日中一時支援事業の補助金制度の充実と府主導の支援員に対する研修指導の継続をお願いします。
(3)各自治体の施設(市民プールや市民体育館など)で行われている障がい児(者)のスイミングや体操教室などのプログラムはとても少なく、継続しての利用が難しいので、障がい児(者)が気軽に利用できる舞洲や長居のような「障がい者スポーツセンター(温水プール・レクリエーション施設、体育館がある施設)」を府の8つの地域(大阪市・三島・豊能・北河内・中河内・南河内・泉北・泉南)ごとに設置してください。
(4)第1次障害児福祉計画において、府が目標設定をされている「医療型児童発達支援センター」を、平成32年度までに各市町村に少なくとも1か所以上設置してください。
(5)街のトイレ等には、子ども用のベッドしかありません。『「大阪府福祉のまちづくり条例ガイドライン」には、高齢者、障がい者、妊産婦等すべての人が利用しやすいよう配慮する』とあり、大人用介護ベッドについては、「望ましい整備」とされています。大人用介護ベッドの設置された、いわゆる『だれでもトイレ』の整備を進めてください。

3.【命を守るまちづくり等関連】
(1)電車等の公共交通機関の緊急停止の際、状況や理由、復旧の見込み等、聴覚に障がいのある子どもたちが、車内のアナウンスと共に、電車内の電光掲示板でリアルタイムの情報を得ることができるような配慮をお願いします。
(2)視覚障がい者が駅のホームから転落し、死亡する事故が全国で多発しています。大阪メトロではホームドア設置が進められていますが、大阪南視覚支援学校の最寄り駅であるJR我孫子町駅、南海我孫子前駅及び自主通学生徒が多く利用する乗換駅に、ホームドア設置が難しい場合でも、安全柵の設置等を早急に進めるようお願いします。 

4.【福祉医療制度関連】
(1)新生児聴覚スクリーニング検査を受けた後、病院での確定診断を受けるまでの間に、どこで相談すればよいか等の情報が少ないです。親子ともに速やかに支援が受けられるよう、各自治体からの周知をお願いします。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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