一般社団法人 大阪労働者福祉協議会 要望書

更新日:2022年6月27日

要望受理日令和3年10月5日(火曜日)
団体名一般社団法人 大阪労働者福祉協議会
取りまとめ担当課商工労働部 雇用推進室 労働環境課
表題大阪府2022年度政策・予算への要請書

要望書

 

2021年10月5日


大阪府知事
吉村 洋文 様      

一般社団法人
大阪労働者福祉協議会
会 長 

 

大阪府2022年度政策・予算への要請

 平素は、一般社団法人 大阪労働者福祉協議会(以下「当協議会」)ならびに労働者福祉事業団体の運営に格別のご配慮を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、2020年初頭より世界的に蔓延を続ける新型コロナウイルス感染症について、日本においても数次の緊急事態宣言が発出されるなど、様々な対策が講じられてきたものの、2021年秋の段階においても未だ収束は見通せません。
 大阪府においても感染状況は改善に至らず、何より府民の命と健康を守る施策(それを担保する医療体制の堅持、拡充)が最優先されるべき課題です。「コロナとの闘いは2.3年かかる」との専門家の発言もあり、貴府においては、そうした視野のもと施策展開が求められる一方、この間の取り組みについての検証も不可欠です。
 新型コロナウイルス感染拡大は、日本社会におけるセーフティネットの脆弱性を浮き彫りにし、その影響は、特に社会的弱者と言われる層に大きく、生活困窮、雇用不安は未だ払拭されていません。加えて、経済活動、消費活動の停滞は大幅な税収減を招くと危惧され、そうした状況下における次年度の貴府の行・財政運営のあり方は全ての府民生活に大きな影響を与えます。
 一方、近年、全国的に大規模自然災害が多発しており、大阪府における防災施策の拡充はもちろんのこと、コロナ禍での避難所運営など新たな課題も生じ、被災者の生活再建支援に関する諸施策の充実が強く求められているところでもあります。
 このほかにも多くの課題がありますが、「誰一人取り残さない」ことを目標に国連で採択されたSDGsの推進にむけては、あらゆるステークホルダーによる取組みが不可欠です。貴府においては「誰一人取り残さない大阪」の実現に向け、従来にも増した力強いリーダーシップの発揮が求められています。
 こうした観点から、大阪労福協や事業団体等で実現をめざす政策・予算に関わる課題について要請書としてとりまとめました。
 貴府における行政施策への反映や行政窓口部門の充実など、労働者、生活者の福祉向上にむけ積極的に取り組まれるよう要請いたします。

 なお、ご回答については、後日、文書にて頂きますよう要請いたします。
 

1.SDGs(持続可能な開発目標)の達成と協同組合の促進・支援

1.大阪府におけるSDGsの推進
(1)大阪府においては「大阪SDGs行動憲章」が制定されていますが、大阪府が主体となる取り組みをより強化、発信するとともに、多くの府民参加にむけた働きかけを強めること。
 また、SDGsの中で最も重要な目標のひとつである「貧困の根絶・格差の是正」を重要項目として位置付け、貧困の削減に向けて具体的な目標を設定し、その進捗状況を報告するなど、着実に取り組むこと。
(2)政府がSDGs実施指針の優先課題のひとつとして掲げる「全ての人の人権が尊重される、誰一人取り残さない社会」の実現のために、大阪府においても、外国人・外国にルーツを持つ人々が地域の中で安心して暮らせるよう、人権・労働基本権の保障、交通インフラの整備、保健医療サービスへのアクセスの保障、教育の機会均等など多文化共生社会への転換をはかるよう、具体的施策を展開すること(数値目標がある項目は進捗状況を開示すること)。

2.大阪府による協同組合支援の強化
 人口急減地域特定地域づくり推進法や労働者協同組合法の成立など、持続可能な社会づくりに向けた協同組合の役割発揮への期待は、コロナ禍で「人と人とのつながり」のかたちが大きく変容する中においても引き続き高いことから、大阪府においても協同組合の支援をより一層強化するよう要請します。
 さらに大阪府は、協同組合が持続可能な地域づくりに貢献できるよう、協同組合の社会的役割・価値、政策的位置を高めていくための施策について検討を進め、協同組合支援を強化するよう要請します。

3.地域における協同組合の育成・発展に向けた地域住民への周知・啓発
 大阪府として、広く地域住民へ向けて協同組合の歴史・役割等を周知・啓発するとともに、協同組合の育成・発展のための研修会等を開催するよう要請します。

4.大阪府における就労創出と住民自治を促進する「協同労働の協同組合」の育成・支援
 大阪府は、社会的に排除された人々の就労を通じた社会参加を促進する担い手としての「協同労働の協同組合」や社会的企業の果たす役割を重視し、その育成・支援を充実させるとともに、コミュニティにおける就労と事業化を促進するための政策を推進するよう要請します。
 加えて、大阪府において「労働者協同組合」を所管する部局を早急に定め具体的な対応を進めるよう要請します。

5.持続可能な地域づくりに向けた非営利・協同組織と自治体・行政との協働関係の充実
 大阪府は、持続可能な地域づくりのために、非営利・協同組織との関係を、単なるコスト削減や下請け型の業務委託ではなく、目的や基準(公正労働基準)を明確にした上での対等なパートナーシップにもとづく協働の関係へと再編成するよう要請します。
 そのため、地域福祉の向上と住民自治の促進をはかる目的で、指定管理者制度などの公共サービスを支え充実させるための制度・政策を総合的に見直し、充実させるよう要請します。

2.大規模災害等における防災・減災対策の強化

1.被災者・避難者への生活支援
 大阪府は、被災地から地域内(または他都道府県)に避難している方々への支援策を一層強化するとともに、以下の取り組みを進めるよう要請します。
(1)大阪府は、地域ごとに被災者・避難者の生活、住居、就労、医療・福祉等に関するきめ細かな情報提供や総合相談の体制を整備すること。
(2)大阪府は、国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を働きかけるとともに、府民の安心のためにも、府域自治体と連携しつつ、国の制度を補完する大阪府独自の恒久的な生活再建支援制度について、早急に具体化すること。
(3)災害ボランティアセンターの役割が大きくなっていることに鑑み、設置・運営のために公的な支援を行うこと。また、緊急的な復旧だけでなく、被災地のくらし全般の復興を視野に入れた支援体制を強化すること。
(4)近年、復興住宅での高齢者の孤独死が増えていることから、入居者の孤立化防止の観点から、相談員による見守り・相談などの寄り添い支援を充実させるためにも、既存コミュニティや自治会、社会福祉協議会やNPO等の支援団体との連携強化をはかり、引きこもり防止に向けた対応を進めること。

2.平時における防災・減災の対策
 大阪府は、各地で頻発する自然災害に備え、以下のとおり防災・減災対策を早急に進めるよう要請します。
(1)災害からのくらし全般の復興支援に向けて、平時から行政・社協・NPO等民間の多様な連携の促進に取り組むとともに、非常時に備えた財源づくりを検討すること。
(2)災害時の災害対応拠点となる自治体庁舎・公共施設・医療施設等の耐震化に加え、老朽化した学校設備等の危険個所の点検を徹底すること。また「新・府有建築物耐震化実施方針」に基づく、「令和2年度までの耐震化目標95%以上」の実績を示すこと。
(3)災害時に手助けが必要な高齢者や障害者、外国人などの迅速な避難が優先されるよう、自治体における避難行動要支援者の名簿の更新作業を徹底すること。
 さらに「避難勧告等に関するガイドライン(2019年3月30日改定)」が実際の避難行動に結びつくよう、通信手段の確保や情報提供のあり方など情報発信に関する総合的な取り組みを強化すること。加えて、デジタル情報に弱いとされる高齢者や、独居老人への対策を強化すること。
(4)災害に便乗した悪質商法・詐欺・空き巣等の犯罪防止に努め、予防啓発を徹底すること。
(5)住民や企業に対し、大地震および台風・大雨による水害や土砂災害など今後想定される大規模災害に備えた避難訓練や防災教育等の啓発活動を、継続しより強めること。
(6)新型コロナウイルス感染症が蔓延する状況下において、大規模災害時の避難や避難所における感染症対策の備えを徹底し、地域住民への周知・広報を行うこと。
(7)大阪府は、各市町村が個別避難計画を作成する際、地域住民をはじめ避難行動要支援者(障害者・高齢者等)とその家族、および福祉や医療関係者等の意見を反映させるとともに地域住民への個別避難計画の意義や事例説明を行い、実効性を高めるよう指導を強化すること。
(8)災害時においても平時と同水準の危機管理を維持させるため、災害時ケアプラン(避難移動編)を作成すること。作成にあたっては「インクルージョン・マネジャー(別府市モデル)」(※1)を設置し、その実効性を高めること。
 (※1)インクルージョン・マネジャー(別府市モデル)
 障害者や高齢者を含むあらゆる人を取り残さない「インクルーシブ防災」において、災害時要配慮者・福祉専門職・地域住民・行政間の連携を包括的に管理・運営する人。
 大分県別府市では、市職員がインクルージョン・マネジャーを務め、「福祉事業所職員の支援を受けながら障害者や家族が自らの避難計画を作る」「自治会と調整会議を開き、地域の実情を計画に反映させる」「地域の防災訓練で実践・検証する」などの活動を通じて、障がい者と住民の交流が深まる仕組みを作った。

3.格差の是正、貧困のない社会に向けたセーフティネットの強化

1.教育の機会均等〈奨学金制度等の拡充・改善と教育費の負担軽減〉
(1)大阪府は、経済的理由によって就学が困難な者の就学へ向けた相談、および、奨学金制度の利用・返還に関する相談などの、相談窓口の整備・拡充を図ること。
(2)大阪府は、国に対し、現行の日本学生支援機構の奨学金制度の改善、ならびに、国による給付型奨学金制度のさらなる拡充を働きかけること。
(3)大阪府は、国の奨学金制度を補う観点から、大阪府独自の給付型奨学金制度や有利子の奨学金についての利子補給、奨学金返済への支援等の制度創設(充実・改善)を検討・実施すること。また、高校生を対象とした自治体の奨学金制度について、返済困難者に対する相談体制や救済措置を拡充すること。
(4)公立大学の授業料等を引き下げるための施策を講じること。また、大学等修学支援法に伴う新制度の実施により、これまで公立大学が行ってきた授業料減免が縮小・後退しないよう、必要な措置を講ずること。
(5)大学等修学支援法について、新型コロナウイルス感染症による影響で家計が急変した場合も急変後の所得見込みにより要件を満たせば支援対象となることを広く周知広報し、各公立大学で募集を行うこと。
(6)大学の閉鎖や施設の利用制限など学生の学習環境の悪化に伴い、2022年度の公立大学の学費を軽減すること。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う親の収入低下やアルバイト減少による収入減で学費支払いが困難となる学生が多数生じる可能性があることから、公立大学の学費の延納・分納や減免などについて柔軟に対応するとともに、制度の改善(延納時期の延長、分納回数の増加)や、延納・分納の制度がない場合には制度を導入すること。また、延納・分納を行う公立大学に対しては必要なつなぎ資金を公的に援助すること。
(7)家計急変やアルバイトの減少等により、高校、大学等への進学を断念したり退学したりすることがないよう、大阪府の奨学金制度(給付・貸与)の拡充をはかること。
(8)コロナ禍に伴う奨学金の返済困難者の増加に対応し、大阪府の奨学金の救済制度を周知徹底し、必要な人が漏れなく返還期限の猶予や減額等の支援を受けられるようにするとともに、保証人を含めて無理な取り立てを行わないこと。

2.緊急雇用対策
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、安易な雇止めが行われることのないよう企業等に周知徹底するとともに、自治体による自粛指示・要請に基づく休業に対しては、雇用形態を問わず十分な所得補償を行うよう要請します。また、離職を余儀なくされた労働者に対しては早期の再就職が可能となるよう手厚い就労支援や雇用創出事業を行うよう要請します。

3.生活困窮者自立支援事業の拡充・強化と体制整備
(1)コロナ禍による困窮や生活困難が深刻さを増す中、生活困窮者自立支援制度が本来の役割と機能を果たせるよう、同制度の拡充・体制整備を行うとともに、住民への周知・啓発を徹底すること。
(2)コロナ禍に対する相談・支援現場が疲弊し「相談崩壊」を招かないよう、「新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金」等を活用し、人員体制の強化をはかること。あわせて、医療従事者等と同様に、生活困窮者自立支援事業の従事者に感謝とエールを送り「慰労金」を支給すること。
(3)努力義務化された就労準備支援事業、家計改善支援事業については、2022年度までの集中的な取り組み期間において、府内全ての地方自治体において両事業が完全に実施されることを目指して取り組むこと。また、一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業も含め、各任意事業の実施率を高めつつ、各自治体間格差を是正し、全体的な底上げをはかること(回答においては各数値の具体的な経年推移についてもお示しいただきますようお願いします)。
(4)大阪府としての役割やイニシアティブを発揮し、市等の職員に対する研修、事業実施体制の支援、市域を越えたネットワークづくりなどの支援を強化すること。とりわけ、家計改善支援など専門性が求められる事業については、広域的事業の実施も含めて自治体間の調整や支援を行うこと。
(5)支援対象者の社会参加や就労体験・訓練の場をより多く確保し、地域で支える体制をつくるため、認定就労訓練事業者に対する経済的インセンティブ(優先発注、税制優遇、立ち上げ支援等)の活用や支援ノウハウの提供など、受け皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備すること。とりわけ、改正法で「就労訓練の認定事業者への受注機会の増大」が努力義務化されたことを踏まえ、関係部局が連携し、自治体における優先発注の取り組みを促進すること。
(6)生活困窮者自立支援事業は「人が人を支える」制度であることに鑑み、制度を担う相談員・支援員が一生の仕事として誇りを持って安心して働けるよう、雇用の安定と賃金水準の大幅な引き上げなど処遇の改善をはかるとともに、研修の充実などスキルの向上を支援するための必要な措置を講ずること。
(7)2020年度より実施された「就職氷河期世代活躍支援プラン」を踏まえ、「中高年引きこもり(8050)問題の当事者」と称される就労困難な世代に対する特段の就労支援策を講ずること。現在、大阪府・大阪市・堺市に設置されているひきこもり地域支援センターを府域全市町村にまで拡充させるよう、国へ働きかけること。
 また、「大阪就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」における特徴的な取り組み内容や進捗状況を広く府民に伝えること。

4.生活保護基準の見直しに伴う住民生活への影響への対応
(1)2018年10月から2020年10月に三度に渡り行われた生活保護基準の見直しに伴う他制度への影響について、実態把握を行い、その影響が及んでいる場合は、従前の基準に戻すとともに、今後とも影響を波及させないようにすること。
(2)生活保護制度の申請は国民の権利であることを広く府民、市民に知らせ、申請書やパンフレットを福祉事務所や行政の各相談窓口に設置すること。またコロナ禍においては、申請書等をウェブに掲載し、オンライン申請やFAX申請にも対応するなど、運用の緩和を行うこと。
(3)生活保護法の運用にあたっては、生活資金が逼迫している場合は速やかに保護を開始するとともに、生活保護の申請抑制や扶養義務の強化を招くことがないよう、現場に徹底すること。
(4)生活保護の申請に対し行われる扶養照会は、「扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではなく、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会を行わない取扱いとしている」(2021年2月26日付社会・援護局保護課事務連絡)ことを踏まえ、最大限に柔軟かつ弾力的な運用を行うこと。
(5)住居のない要保護者について、無料低額宿泊所等の集団処遇施設に入居することを条件とする運用を改め、居宅保護を原則するとともに、居宅保護までの一時生活支援においても個室提供を原則とすること。
(6)生活保護行政の公的責任や業務拡大・高度化等を踏まえ、福祉事務所費の大幅な改善を図り、ケースワーカーを増員するとともに、職員の専門性を高めるため国へ財政支援を求めること。

5.子どもの貧困・虐待対策の強化
(1)子どもの貧困対策にあたっては、当事者である子どもの視点を大切にし、「将来」だけでなく、「現在」の生活の支援、経済的支援、教育支援に取り組む基本姿勢をいっそう明確化すること。
 また、第二次大阪府子どもの貧困対策計画(大阪府子ども総合計画後期事業計画第4章)の進捗状況を点検するとともに、改正子どもの貧困対策法や第二期「子供の貧困対策大綱」をふまえ、努力義務化された市町村における貧困対策計画の策定を進めるなかで貧困の実態を把握し数値目標を含む具体的な貧困の削減目標を定めるなどの各種施策を講ずること。特にコロナ禍により、格差・貧困の拡大が想定されるため、支援対策をきめ細かく行うこと。
(2)大阪が、子どもの虐待について深刻な状況にあることを踏まえ、児童虐待防止法の周知をはかるとともに、特に、国民の通告義務(児童福祉法第25条)について、啓発・広報の徹底をはかること。
(3)相次ぐ児童の虐待死、児童虐待の増加という現状をふまえて、2023年4月にかけて順次施行される改正児童虐待防止法、改正児童福祉法に基づき、大阪府は、実態把握、体制整備、関係機関との連携などの施策を強化すること。
 また、児童虐待相談処理件数の急増に対応し、児童相談所の設置について、児童福祉法で義務づけられている都道府県と政令指定市に加え、中核市についても設置を促進すること。児童福祉司、相談員、児童心理司等の人材育成・確保を早急に進め、予防的な取り組みを強化し、児童虐待を防止すること。

6.フードバンク活動の促進
(1)「食品ロスの削減の推進に関する法律」の施行および「食品ロス削減推進基本方針」(2020年3月31日閣議決定)を踏まえ、大阪府は、フードバンクが継続的・安定的に発展できるよう、フードバンク団体の基盤強化(活動に必要な人件費への補助、事務所・倉庫・配送用車両等のインフラ整備への助成、人材育成など)に向けた支援策を拡充すること。そのため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」等も活用し、必要な財源を確保すること。
 また、「大阪府食品ロス削減推進計画」にフードバンク団体の基盤強化に向けた具体的支援策を盛り込むこと。
(2)フードバンクを食品ロスの削減のみならず福祉分野や災害時の食糧支援システムとして積極的に位置づけること。生活困窮者支援に関わる行政や様々な民間団体を通じたフードバンク食品の提供や、パントリー設備の整備、食品ロス削減を通じた環境負荷の低減など、福祉・環境政策とも連携した施策を推進すること。
 一方、危機管理のセクションが備蓄する緊急用食料について、消費期限の近い食料については、フードバンクや福祉施設に提供するシステムを検討、構築すること。

7.自死・多重債務対策等
(1)2020年度は自殺者数が11年振りに増加に転じ、特に子どもや若者、女性の増加率が顕著となったが、今後コロナ禍が長引くにつれてさらに深刻な事態になることも懸念される。大阪府は大阪府における自死の実情、推移について検証するとともに、「大阪府自殺対策基本指針」にもとづき実効性のある施策を強力かつ迅速に推進すること。
(2)大阪府は、若年層のいじめや自死防止へ向けた緊急的な当面の対策として、国の委託事業等で実施されているSNS相談活動について、自殺対策におけるSNS相談事業ガイドライン等を活用して相談体制の充実をはかり、問題の深刻化を未然に防止すること。また、若年層からのSOSの出し方だけでなく相談を受け止める側の研修を含めた自殺予防教育の充実をはかること。
(3)多重債務者対策本部が貸金業者による脱法行為を厳しく監視できるよう、「大阪府多重債務対策協議会」を早急に開催し、同協議会における実態の検証・分析の強化と多重債務者対策本部との関係で有機的な連携をはかること。また、ヤミ金撲滅に向けて引き続き一層の取り組み強化をはかること。
(4)多重債務の誘発が懸念されるカジノ解禁について、大阪府は、指摘されている様々な懸念や課題について冷静に分析し、府民にわかりやすく開示、広報すること。府民の納得が得られない場合は、政策の抜本的な見直しも検討すること。
(5)改正貸金業法の定める総量規制の対象外である銀行カードローンに起因する過剰融資については、政府の多重債務問題に関する有識者懇談会でも指摘されている。
 また、コロナ禍による収入減に付け込み、利息制限法の適用を逃れる給与ファクタリング(※2)や後払い・ツケ払い現金化サービス(※3)等を行う新たなヤミ金業者が横行しつつある。大阪府においても、多重債務の防止に向けて、啓発活動をはじめ必要な対応をはかること。
 加えて、成年年齢引き下げに伴い、若年者への具体的な対策を強化すること。
 (※2)給与ファクタリング
 個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って、給料日よりも前に手数料を差し引いた額の現金を交付し、給料日後に当該個人を通じて手数料を含む額の回収を行うこと。
 (※3)後払い・ツケ払い現金化サービス
 商品を後払いで購入するという売買の形態を取りつつ、商品の買取りやキャッシュバック,レビュー投稿の報酬などとしてすぐに現金を渡し、給料日後に商品の代金を後払いするよう求めること。

8.住宅セーフティネットの拡充
(1)改正住宅セーフティネット法に基づく新たな住宅セーフティネット制度の周知を徹底し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない登録住宅を増やすとともに、家賃低廉化補助を拡充すること。
 また、同制度を機能させるために、居住支援協議会の設置や居住支援法人の指定を促進し、それらの活動への支援を強化すること。
(2)生活困窮者を食い物にする「貧困ビジネス」(追い出し屋、脱法ハウスなど)を根絶するための規制を継続して強化すること。
(3)コロナ禍における住宅支援策として以下の対策を行うこと。
 1)経済状況が改善するまでの一定期間、家賃滞納者への追い出し行為を行わないよう、公的住宅での家賃減免・猶予制度を積極的に活用するとともに、民間賃貸住宅の家主に対しても損失を補償するなどの支援を行う。
 2)行政の保有する居住施設や公的住宅(公営・UR・公社)の空き室を住居喪失者に無償で提供するとともに、NPOや居住支援法人等と連携し、生活・就労支援を行う。
 3)改正住宅セーフティネット法に基づく「セーフティネット住宅」等、民間住宅の空き家・空き室を行政が借り上げて、住居喪失者に無償提供する。
(4)身寄りのない一人暮らしの高齢者等が増えているなか、低額所得者等に割安な家賃で提供する公営住宅で、入居希望者が保証人を確保できずに入居を拒まれる事例が相次いでいる。
 2018年3月に国土交通省が都道府県と政令指定都市に保証人確保を条件から外すよう促す通知を出していることを踏まえ、大阪府は関連する条例を改正し、保証人確保の規定を廃止すること。
(5)高齢者の居住用資産の有効活用により生活の安定・向上をはかるため、リバースモーゲージ制度(※4)の普及に向けた支援を講ずること。
 
  (※4)リバースモーゲージ制度
 自宅を担保にして銀行など金融機関から借入をし、その借入金を毎月(あるいは毎年)の年金という形で受け取る融資制度のこと。

4.消費者政策の充実強化

1.地方消費者行政の充実・強化
 大阪府は、地方の消費者行政に携わる人材の支援・育成、消費者相談体制の維持・強化と消費生活相談員の雇い止め問題への対策の実施、行政処分の執行体制の強化など、地方消費者行政の充実・強化をはかるよう引き続き要請します。
 また、国に対して「地方消費者行政強化交付金」の増額を求めるとともに、地方自主財源の増強を含め、地方消費者行政予算を確保するよう要請します(ご回答に当たっては、地方消費者行政予算額の経年的データをお示し願います)。

2.消費者団体の公益的活動に対する支援
 大阪府は、現に公益的な活動を行う適格消費者団体、特定適格消費者団体に対し、その意義を社会的にも評価し、財政面・情報面の支援を行うよう要請します。

3.地域における消費者教育の推進
 大阪府は、「消費者教育の推進に関する基本方針」を踏まえ、「地方消費者行政強化交付金」を活用し、地域での取り組みを促進し、消費者市民社会の形成を進めるよう要請します。特に、2022年4月1日から施行される成年年齢の18歳への引き下げについて、情報の周知を図るとともに、若年層への消費者教育の充実・強化を図るよう要請します。

4.消費者と事業者の良好な関係性の促進
 大阪府は、一部の消費者による過剰な要求、暴言・暴力等の問題について、公共の利益および消費者・労働者双方の権利を守る観点から、消費者と事業者の良好かつ健全なコミュニケーションを促進するよう普及・啓発を進めるよう要請します。

5.ディーセント・ワークの確立

1.障害者雇用の促進
 2020年4月に施行された改正障害者雇用促進法について、大阪府は改正内容を確実に実行するよう改めて要請します。
 加えて障がい者一人ひとりの特性や場面に応じた合理的配慮の提供が適切に実施されるよう指導するとともに、大阪府(知事部局)、教育庁、大阪府警本部について雇用率を引き続き調査・公表し、透明性のある運営を行うよう要請します(ご回答に当たっては、それぞれの雇用率(数値)の経年的データをお示し願います)。

2.公契約条例の制定
 大阪府が民間企業などへ委託・発注するすべての事業において、適正な労働条件とサービスの質を確保するため、低価格入札に拘束された発注、不当な人件費や人員の削減、不安定雇用、下請け業者へのしわ寄せを排除する公契約基本法や条例を制定するよう要請します。

3.職場におけるハラスメントの防止
 大阪府は、職場におけるあらゆるハラスメントを根絶するため、ハラスメント対策関連法にもとづき、あらゆるハラスメント防止に対する周知・指導を徹底するよう要請します。

4.ワーク・ライフ・バランスの推進
(1)大阪府は、仕事と家庭・子育てが両立できるよう、労働時間短縮など、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを進める。施策の推進に当たっては、府独自の取り組みに加え、大阪府労働局、労働団体、使用者団体等との連携も深化させること。
(2)大阪府は、要介護者のいる労働者が介護を理由に退職しないよう、地域包括支援センターの周知に努めるとともに、介護者のニーズに応じたサービスの提供に引き続き努めるよう要請します。
 また、介護従事者が働き続けられるよう、賃金・処遇の大幅な改善をはかるよう引き続き要請します。なお、ご回答に当たっては、府から国への要望(処遇改善加算の効果検証及びその結果を踏まえた制度改善に継続的に努めること)に対する国の回答の要旨、そして回答に対する府の評価についてもお示し願います。
(3)大阪府は、待機児童の解消に向けて保育士の人材確保、処遇改善を進めるとともに、保育の質の向上、事故防止等の観点から教育訓練を実施・促進するよう、引き続き要請します。

6.中小企業勤労者の福祉格差の是正

 中小企業勤労者の福祉格差の是正に向けて、中小企業勤労者福祉サービスセンターが魅力あるサービスを提供し、自立と再生を果たすよう、大阪府としての積極的な役割を発揮し、関係市町村やサービスセンターへの支援・指導を強化するとともに、未設置エリアの解消に努めるよう要請します。なお、ご回答に当たっては、大阪府におけるの未設置エリアへの対応について具体的にお示し願います。

7.安心・信頼できる社会保障の構築

1.子育て支援
(1)府内全市町村に設置された子育て世代包括支援センターの活動を活性化させ、妊娠・出産期からの相談や多様な支援につなげられるよう大阪府としてより強いリーダーシップを発揮すること。
(2)大阪府は、必要な財源を確保したうえで、良質な保育・幼児教育など子ども・子育て支援策を充実する。保育・幼児教育の人材を育成・確保・適正配置し、処遇を改善するよう要請します。なお、必要な財源について安定的に措置するよう、国に対して引き続き要望するとともに、大阪府幼児教育センターの機能強化についても要請します。

2.安心の医療・介護体制の整備

【医療分野】

(1)総合診療医や訪問看護師の育成などの推進により、在宅医療の受け皿を拡充すること。なお、ご回答に当たっては、推進に向けた具体的な施策についてお示し願います。
(2)コロナ禍においては、二次医療圏毎に設置されている「保健医療協議会」の充実はより求められている。同協議会の機能、連携をより強めること。
(3)大阪府における医療従事者の働き方改革を進めるため、医師、看護師数を増やすこと。
(4)コロナ禍が長期化する中、地域の医療機関では新型コロナウイルス感染患者の入院受け入れ等の対応を継続しており、今後は相談窓口・初期対応も担うことから、地域医療において重要な役割を担う医療機関が事業継続できるよう大阪府としても財政支援を行うこと。
(5)医療機関や介護・福祉施設でのクラスター防止のため、医療・介護・福祉施設で働くすべての従事者を対象に、新型コロナウイルス検査を定期的に公費負担で実施すること。
(6)医療及び介護従事者に対する偏見や差別をなくすため、併せて過度な受診控え・健診控えをせずに適切に診療・健診を受けるよう、府民、市民に対する啓発を行うこと。また、風評被害への対策強化・相談窓口の設置を行うこと。
(7)医療機関に対する助成金(空床補填や感染防止対策費など)については、都道府県で支給基準に差異があり給付も大きく遅れるなど混乱が生じていることから、支給基準の標準化や手続きの簡素化と速やかな給付および財政支援の拡大をはかるよう国とも連携した取り組みを強化すること。
(8)新型コロナウイルス感染症対応の柱となる保健行政を強化するため、保健師等の増員など保健所の体制・機能を強化し、地域保健衛生施策の拡充をはかること。
(9)新型コロナワクチン接種に関して、副反応など府民、市民の不安に対する適切な情報提供を行うとともに、接種を希望しない人に対する差別等が起きないような配慮を行うこと。

【介護分野】

(1)「介護予防・日常生活支援総合事業」の財源である地域支援事業交付金については、市町村が参考となるように、府内市町村の状況について継続的に情報提供すること。また、大阪府独自の財源補填についても検討すること。
(2)「介護離職ゼロ」を実現する前提として「介護職員離職ゼロ」になるよう、全ての介護従事者の介護報酬を実施するため、継続的に国に要望し、具体的な回答を得る努力を強化すること。
(3)大阪府は、府域市町村における見守りに関するネットワークを支援するとともに、「大阪府高齢者にやさしい地域づくり推進協定」の締結組織、団体を拡大し、その実効性を高めること。
(4)成年後見人制度及び市民後見人制度について、後見人の確保・育成、制度利用の周知のための支援を行うこと。また地域の実情に即した利用促進のための具体策を早急に策定すること。
(5)市町村において、家族介護を行う介護者(ケアラー)が孤立しないよう、経済的な問題や身体的・精神的負担、就労など困り事に寄り添う相談体制の整備と相談員の確保・育成を行うための支援の強化を行うこと。
(6)地域包括支援センターにおいて適切な介護予防ケアマネジメントが実施されるよう、市町村に対して具体的な支援を強化すること。

8.くらしの安全・安心の確保

1.水道の安全・安心の確保
 改正水道法により、地方公共団体が担ってきた水道事業の運営権を民間に売却する(コンセッション方式)ことが可能になった。
 水道は公共性が高く、国民の日常生活や命に直結する貴重な財産であることから、安心・安全な水の供給、災害の発生等への備え、料金設定などが懸念される。大阪府は、水道供給事業の健全化にあたり、民間活用も含めた手法についてメリット・デメリットを正しく開示する中で受益者たる住民参加のもとで意思決定を行うよう要請します。

9.大阪労福協が展開する各事業への支援

1.「ライフサポートセンター」事業
 大阪労福協が中心となって進めている「ライフサポートセンター事業」は、勤労者はもとより全ての府民の暮らしの総合支援・拠り所となるよう、労働相談をはじめ年金、多重債務問題などあらゆる相談にワンストップで対応できるよう取り組んでいます(一部、地元自治体等との共同)。2020年には新型コロナウイルス感染拡大に伴う相談も多く寄せられました。
 また、コロナ禍においても相談が可能となるよう転送電話機能による相談員の在宅相談も継続しています。
 大阪府においては、「ライフサポートセンター事業」に対する一層のご理解と相談機能活用のための周知、及び府行政各部門との連携強化について、引き続きの支援・協力を要請します。

2.「退職準備セミナー」等、多彩なセミナー事業
 大阪労福協が主催する「退職準備セミナー」は、勤労者が定年退職後も安心できる生活を送るため、年金や税金をはじめとする生活資金設計に対するサポート事業として、有資格者によるセミナーとして開催しています。2020年度中もコロナ禍により中止となったケースもありましたが、再開を希望する多くの府民の声が寄せられています。中小企業で働く人や未組織労働者が多い大阪の実情を踏まえ、同セミナーの内容をさらに充実させていく所存です。
 また、2020年度は「終活をテーマにした生活応援セミナー」や「オンライン会議を運営する事務局のためのセミナー」など、多くの府民の多様なニーズに応えるセミナーを実施しました。
 これらセミナーの周知をはじめ大阪府の更なるご支援、ご協力を要請します。

3.「なにわ美術展」
 「なにわ美術展」は、その前身を含め、30余年の長きに亘たり美術を愛好する勤労者や府民に絵画作品出展の場を提供するとともに、文化・教養向上の機会として親しまれています。
 「第18回なにわ美術展は」は、開催時期を11月に変更するとともに、コロナ対策等を強化し、より安全な美術展とすべく諸対策を行っています。
 大阪府においては、府民文化事業の一環としての位置づけのもと引き続きのご支援を要請します。また、展示会場として、エル・おおさか(行政財産)の施設使用についても、引き続きのご理解とご協力を要請します。

10.自主自由な府民活動の利益に供する事業の支援〔(公財)大阪社会運動協会〕

1.『大阪社会労働運動史』第10巻刊行に向けた準備作業への協力要請
 当法人は大阪府のご協力を得て2009年度に『大阪社会労働運動史』第9巻を刊行しました。いよいよ第10巻をもって刊行完結を予定しています。第10巻は2018年度から編纂作業を開始し、2023年度(令和5年度)末の刊行を目指しています。21世紀初頭の2000年から20年間の産業の盛衰、社会運動の発展と大阪府民の意識動向等々を記録に残すよう取り組みます。
 2019年度から始めた研究会も2021年8月末現在で21回を数えています。広く一般の方を対象に公開で開催する研究会である「フォーラム」は2020年度から開始して、本書発行までに5回の開催を予定しています。
 2020年度末には「刊行委員会」を立ち上げる予定でしたが、コロナ禍の影響により予定通りに進んでいません。2021年度末には設置を目指しますので、大阪府におかれましてはその一員として編纂事業への参画を要請します。
 『大阪社会労働運動史』10巻編纂に必要な各種資料を引き続き大阪府より提供いただきたく、協力を要請します。具体的な資料名については都度依頼します。

2.大阪産業労働資料館(愛称エル・ライブラリー)への協力要請  
(1)2008年10月の開館以来、「エル・ライブラリー」の愛称で親しまれてきた「大阪産業労働資料館」は、これまで多くの大阪府民、研究者の方々に支援と利用を頂いてきましたが、個人・労組・企業等からの寄付だけでは安定した財政基盤を築くことは困難であり、大阪府立労働センターの家賃減免措置を要請します。評価額の上昇を理由として2021年分の家賃を値上げされましたが、コロナ禍による評価額の下落も想定されることから、家賃の引き下げを検討いただくよう要請します。
(2)労働環境課において実施される各種セミナーに関連付けて、情報収集のための施設としてエル・ライブラリーが存在していることを広く府民に周知させて下さい。また、エル・ライブラリーの資料を各種セミナーにおいて活用されることを要請します。具体的には、1)ライブラリーの研修用DVDを活用できることを企業に周知する、2)セミナーで利用したDVDについてはセミナー後にエル・ライブラリーに無償貸与し、府民への活用を図る、3)労務管理の先進事例や賃金体系等の参考文献がエル・ライブラリーで閲覧複写可能であることを周知する、等を指します。
 これに加えて、エル・おおさかの機能強化のための施策を要請します。現状ではエル・おおさか館内団体の交流がほとんどないため、情報共有・提供を進めていただきたく協力を要請します。
 その方法については具体的に提案していきたいと考えます。年一度の入居団体連絡会だけではなく、相互に見学などができるような方途を大阪府からもプッシュしていただくよう要請します。
(3)大阪府庁の Webサイトではオープンデータ化が進められています。しかしながら、労働環境課作成データの一部が不ぞろいの部分があります(例:労働組合基礎調査)。今後、できるだけ古いデータも加えてオープンデータの推進を一層進められるよう要請します。

11.連帯経済を促進する協同組合の促進・支援

1.近畿労働金庫との政策的な協働について
(1)協同組合への持続的支援
 国連は、SDGs(持続可能な開発目標)の本文で協同組合が担う役割を明記し、日本政府のSDGs実施指針でも、連携するステークホルダーの一つとして協同組合が挙げられており、SDGsの目標達成において協同組合が果たす役割に大きな期待が寄せられています。
 近畿労働金庫では、各協同組合の実践者を講師とし、“支え合う経済”をテーマに「関西大学商学部・寄附講座」を2014年度より開講しています。
 具体的な施策として、高等教育までの間に、協同組合の基礎知識を深めることが大切であると考えます。
 つきましては、学校教育における協同組合に関する教育施策の充実について、検討いただきますよう要請します。
(2)財形貯蓄制度の普及に向けた支援
 「中小企業のまち」大阪では、中小企業勤労者の福祉対策の充実が必要です。しかしながら中小企業における「財形貯蓄」の普及は十分といえません。また、NPO法人や社会福祉法人では福利厚生制度が十分でなく、職場への定着という点では課題を有しています。また、非正規労働者に福利厚生制度が適用されないケースも少なくありません。
 労働金庫は、「財形貯蓄」を柱に勤労者の福祉向上に貢献し、消費者教育の視点からも財形制度の一層の発展と利用促進を図っていくことが重要と考えます。
 貴府におかれましても、勤労者のライフプランづくりと生活の安定に向けて、「財形貯蓄」の一層の普及促進に向けた支援を要請します。
(3)消費者教育セミナー開催に係る多面的な支援
 昨今、若者におけるマネートラブルが懸念されており、インターネットにおける高額な契約が年々増え、悪徳商法の被害も増加しており、学校教育における消費者教育が求められています。
 近畿労働金庫では、この間、(一社)大阪労働者福祉協議会の構成団体である労働組合と連携した「消費者教育セミナー」の推進や、大学生協と連携した「金融セミナー」に取り組んでまいりました。
 これらセミナー(講習会)開催にあたっては、多面的な支援が必要です。貴府におかれましては、企業への実施要請や実施費用・広報等の具体的な支援を要請します。
(4)「共生事業」施策の広報活動への協力
 貴府では「大阪府府民協働促進指針」を策定されました(2014年1月)。この指針では、地域の多様な担い手が連携・協力しあって地域課題の解決に取り組む重要性が示されています。
 近畿労働金庫においても、「共生促進事業」として、非営利・協同セクターと協働しながら、さまざまなプログラム展開をしています。2021年度は「女性に対する暴力をなくす運動」関連シンポジウム(11月開催予定、主催:大阪府、共催:連合大阪・認定 NPO法人いくの学園・近畿労働金庫)、「エイブル・アートSDGsプロジェクト」(11月開催予定、主催:近畿労働金庫)などを実施予定です。
 こうした「共生促進事業」施策の実施にあたり、広報活動、各種企画への後援や支援を要請します。
(5)近畿勤労者互助会への幅広い支援
 近畿勤労者互助会(愛称:コミュニティネットきんき)は、未組織の一般勤労者の労金利用者を主な構成員とし、これら勤労者層の福利厚生の充実のため、近畿労働金庫と連携しながら活動を行っており、この間、地域でのライフプランセミナーや金融消費者セミナーの開催、ボランティア情報の提供等の福利厚生事業を行っています。
 貴府におかれましては、引き続き「近畿勤労者互助会」が行う各種事業について、大阪府関係先機関への情報提供と可能な事業委託を検討いただく等、幅広い支援を要請します。
 
2.こくみん共済coop<全労済>大阪推進本部事業への支援・協力について
(1)「防災・減災の取り組み」への支援・協力
 1)弊会においては、昨年「こくみん共済coop SDGs行動宣言」を策定し、その宣言のもと、様々な自然災害から組合員の暮らしや地域社会を守るための取り組みを展開しています。
 すでに本年においても、大規模災害で被災された組合員への迅速な共済金の支払いはもとより、阪神・淡路大震災や東日本大震災、また、熊本地震の発災から節目となる機会に着目し、これから発生が予想される大規模災害にむけて、組合員・大阪府民の皆さまに、防災・減災の意識を高める啓発活動を実施しています。
 つきましては、引き続き、官民一体となった啓発活動に向け、イベントへの後援名義使用および情報提供へのご理解、ご協力を要請します。
 2)府内の自転車事故総数は、自転車相互および対歩行者事故ともに減少傾向となっています。この傾向を後押しすべく、弊会として、大阪府民の皆さまへ、以下の取組みによる条例の告知および賠償保障の必要性のアピールに努めました。
 ・共済ショップにおける賠償保障含めた保障相談窓口(対面・WEB)の設置
 ・ホームページ、パンフレット、チラシ等による共済の周知
 ・未来ある子どもたちを交通事故から守る取り組み(7才の交通安全プロジェクト)の全国展開による、関係先への横断旗寄贈
 今後も、啓発活動の継続実施に向け、各種ツール提供へのご理解、ご協力を要請します。
(2)「社会・地域貢献の取り組み」への支援・協力
 1)弊会は、「みんなでたすけあい、豊かで安心できる社会づくり」という理念にもとづき積極的に地域社会に貢献する活動を展開しています。大阪府の社会文化向上や自然環境保全を目指した取り組みなどは、広い視野での社会貢献や地域貢献につながり、弊会の理念とも共有させていただけるものです。各事業実施にあたり、支援活動(寄付金の交付)を通じて予算の有効活用による積極的な取り組みと、その内容に関する情報提供を引き続き要請します。
 2)1985年に始まった「子ども絵画コンクール」は、これまで多数の作品応募をいただき、恒例行事として定着してきましたが、2020年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため開催を中止しました。その後、本コンクールの再開を求める府内小学校や関係者からのご要望をふまえ、本年については、諸情勢を十分に勘案しながら開催した結果、3,107点(37校)の作品応募がありました。これからも、将来を担う子どもたちに自然環境の大切さを伝え、絵を描くことを通して自然環境について考え、関心を持ってもらうという願いを込めて実施していきます。
 引き続き、後援名義使用および知事賞交付の許諾などご理解、ご協力を要請します。

 以 上 

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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