令和5年9月21日 知事議案説明(要旨)

更新日:2023年9月21日

 令和5年9月定例府議会の開会にあたりまして、府政の課題に対する私の考え方を申し述べさせていただきます。

 二期目の就任にあたり、「万博の成功」「府市一体の成長戦略」「教育の無償化」を柱に据え、これらの府政運営を行っていくことを申し上げました。
 大阪を一地方都市で終わらせない、というのが私の政治信条です。
 平時には、東京と並び、日本の成長をけん引する東西二極の一極として、また、非常時には、首都機能をバックアップする拠点として、国内外から選ばれる副首都・大阪をめざし、この3本柱を中心に、府政の舵取りを進めてまいります。
 まずやらなければいけないことは、ポストコロナの新たな社会像を示して、成長の起爆剤となる万博を成功させることです。その上で、万博をインパクトに成長戦略を実行し、大阪の成長、暮らしの豊かさへ確実につなげてまいります。さらに、大阪の持続的な発展に向け、教育の完全無償化をはじめとした次世代への投資に力を注ぎ、未来を担う人材の育成を進めてまいります。
 私のめざすべきところは、万博を契機に大阪を成長軌道に導き、豊かで子育てしやすいまち・大阪を実現するとともに、この大阪で育った子どもたちが、20年後、30年後の大阪を支える、成長戦略と人材育成を核とした「成長サイクル」を創り上げることです。
 万博を挟むこの4年間において、万博の成功、そして、そのレガシーをしっかりと引き継いで、将来にわたって成長する大阪の土台づくりを進めてまいります。

 二期目がスタートして5カ月あまりが経過をしました。目下の課題は、未だ続く物価高騰への対応です。今次定例府議会にも一部議案を提出していますが、府民生活や事業活動を守る対策に取り組んでまいります。
 子育て世帯への負担の軽減を目的に、子ども食費支援事業第2弾を実施いたします。あわせて、5類移行後も感染対策の徹底等が求められている介護、障がい、児童福祉施設などの従事者への支援も行います。
 さらに、物価高騰の中で、経営力の強化を図る中小企業を支援するため、LEDの導入や、新事業の展開、ビジネスモデルの転換にチャレンジする取組みへの支援を強化させていきます。
 加えて、奨学金を返還しながら働く若者の負担を軽減することで、中小企業における人材の確保、定着につなげていきます。
 来月中に取りまとめられる国の経済対策も見据えつつ、引き続き、府民の暮らしや、企業の事業継続をしっかりと支えていきます。

 大阪経済を下支えしながら、府民の安全・安心の確保にも取り組んでいきます。3年以上にわたり世界を揺るがしたコロナを教訓に、感染症予防計画を年度内に策定し、次の感染症の危機に備えます。
 近年、我々の想定を超えた自然災害が多発しています。府民の生命・財産を守るため、森林環境税を令和9年度まで延長するとともに、万博に向けて、多くの方が集まる観光スポットを中心に、猛暑対策を集中的に進めていきます。

 コロナ禍からの経済の回復、府民の安全・安心の確保に取組みながら、開幕まで残り1年半に迫りました万博に、府庁一丸で対応してまいります。
 海外パビリオンの建設等の遅れが指摘されていますが、いま必要なことは、一つひとつの課題を関係者が共有をして、真正面から丁寧に向き合い、解決に取り組んでいくことです。
 私自身、誘致から携わってきた者として、責任をもって最後までやり遂げます。
 この国家プロジェクトを「必ず成功させる」という強い信念のもと、国、博覧会協会、地元自治体、経済界が協力して、オールジャパン体制で準備を加速させていきます。

 会場の準備に加えまして、開幕500日前となる11月30日には、入場券の前売り販売が始まります。販売に合わせて、機運醸成もより一層充実・強化していく必要があります。
 府域で実施する様々なイベント等において、万博をPRしていただくことを働きかけるタスクフォースを、府・市・経済界で設置をしました。博覧会協会の機運醸成委員会とも連携をして、全国に万博の機運を盛り上げてまいります。
 大阪ヘルスケアパビリオンについては、ロゴマークが決定しました。テーマである「REBORN」を体験できる展示内容の具体化を進めるとともに、情報発信を強化していきます。
 また、来月28日、29日にG7大阪・堺貿易大臣会合が開催されます。堺や南大阪はもちろんのこと、万博についても国内外に発信していきます。

 万博は、まさに未来社会のショーケースであり、子どもたちが未来社会を間近で体験し、将来に向けた夢や希望を感じてもらえる絶好の機会でもあります。
 府内の4歳児、5歳児、小・中・高校生等を無料で万博へ招待するとともに、全国の子どもたちにも来場いただけるよう、修学旅行生等を対象に宿泊税の免除を行います。

 万博を成功させるとともに、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を府民の皆さまに享受していただけるよう、「府市一体の成長戦略」のもと、大阪から日本を変えるイノベーションを生み出していきます。
 大阪版万博アクションプランをもとに、ライフサイエンスや次世代エネルギー、空飛ぶクルマなど、大阪・関西の強みを最大限に活かし、ポストコロナの大阪経済をけん引する産業の創出に取り組んでいきます。
 とりわけ、来年春には、万博のテーマとも関連の深いライフサイエンス分野において、再生医療の実用化、産業化を進める国際拠点が中之島にオープンします。アカデミア、医療関係者、スタートアップ等がグローバルに交流するオープンイノベーションの拠点を整備し、万博を契機に産業化を強力に進めていきます。
 さらに、統合型リゾートであるIRを核とした国際観光拠点の形成や、国際金融都市OSAKAの実現を進め、万博後の更なる成長・発展へ導いてまいります。
 IRについては今月、実施協定書を含む関連協定案を取りまとめ、国へ申請いたしました。当初の予定より開業が1年延期となりましたが、世界最高水準の成長型IRを大阪ベイエリアに実現することに変わりはありません。今後、国の認可、事業者との締結を経て、2030年秋頃の開業をめざしていきます。
 国際金融都市の実現に向けては、進出企業が着実に増加しており、この流れを加速させていく必要があります。大阪市域へ新たに進出する資産運用業やフィンテック事業を営む外国法人等を対象に、大阪市と連携をし、法人住民税、法人事業税を最大10年間減免し、海外から大阪へ資金、企業、人材を呼び込みます。
 あわせて、「知の拠点」でもある公立大学法人大阪についても、大阪の成長、府民生活の向上につなげるため、府市の法人管理部門を副首都推進局へ一元化し、司令塔機能を強化させます。
 また、人口減少が進む中においても府民の皆さまが安心・快適に生活できるよう、デジタル技術を活用したスマートシティ化を推進するとともに、市町村における基礎自治機能の充実・強化を図り、住民のQOLの向上に取り組んでまいります。

 大阪の成長を支え、世界の中で存在感を発揮するには、都市インフラを充実させていかなければなりません。
 関西国際空港については、将来の需要予測に対応する年間発着回数30万回の実現をめざして、国から新しい飛行経路案が示されました。兵庫県・和歌山県と共同で環境検証委員会を立ち上げ、年内をめどに取りまとめを行う予定です。今後、地元への丁寧な説明を行うとともに、必要に応じて国へ改善要請も行い、万博までに容量拡張の実現をめざします。
 また、来年3月には北大阪急行線の延伸部が開業します。加えて、なにわ筋線や淀川左岸線などの鉄道・道路ネットワークや、大阪城東部地区のまちづくりなど、成長を支える都市基盤の整備を進めていきます。

 最後に、「教育の無償化」についてです。これからの人口減少・超高齢社会を考えた時に、若い世代が元気になることが不可欠であり、そのためには、未来を担う人づくりに力を入れていかなければなりません。
 こうした思いから、「教育の無償化」を選挙公約に掲げ、就任と同時に、制度案の設計に着手いたしました。先月、私学関係者の協力も得ながら、授業料の完全無償化と私立高校等の教育の質の向上を実現する制度案をとりまとめました。
 大阪公立大学等の授業料等の無償化も含め、来年度から段階的にスタートし、令和8年度には、高校から大阪公立大学等までの授業料の完全無償化を実現させます。
 今回の高校授業料の無償化、大阪公立大学等の無償化をきっかけに、大阪の子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなく、自分の進みたい道に進み、大阪・関西、ひいては日本を支える人材を育成していきます。

 「大阪を今よりも良くしたい」「大阪をさらに元気にして前へ進めたい」という思いで、二期目への挑戦を決意いたしました。
 一期目においては、新型コロナという未知のウイルスと闘いながらも、過去の大阪に戻ることがないように、大阪府市一体を基本に成長戦略を進め、大阪の成長に向けた布石を打ってまいりました。
 この結果、GDPや雇用者数をはじめとした経済指標は大きく改善するとともに、大阪のまちは、万博を契機に大きく変貌を遂げようとしています。
 来年には、中之島における未来医療国際拠点のオープン、うめきた2期の先行まちびらきが予定され、2025年には、大阪公立大学森之宮キャンパスも開設します。さらに、万博後を見据えて、IRを中心としたベイエリア、新大阪駅周辺のまちづくりも動き始めるなど、世界に誇れる都市空間の基盤が着々と整備されています。
 まさに、万博開催地である大阪において、万博のコンセプトである「未来社会の実験場」をしっかりと引き継げる都市づくりが大きく前進をしています。
 これから4年間、大阪市はもちろん、府内市町村や経済界とともにオール大阪の体制で、万博の成功、これをインパクトとした更なる成長・発展をめざして、大阪の新たな都市づくりを進め、東西二極の一極となる副首都・大阪につなげてまいります。
 議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。

 次に、今次定例府議会に提出しました第1号議案から第33号議案まで及び第1号報告から第25号報告までについて、その概要を説明します。

 第1号議案は、令和5年度一般会計の補正予算案で、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響や既決予算編成後において生じた情勢の変化に伴い、緊急に措置しなければならないものに対応するため、148億 682万 1千円を増額補正するものです。その主な内容は、福祉施設職員等への支援等の物価高騰対策に101億 5,051万余円を計上しました。また、これ以外に府立学校スマートスクール推進事業等に46億 5,630万余円を計上しました。
 このほか、債務負担行為補正として新たに設定するもの2件、限度額のみを変更するもの1件、合計3件の補正をするものです。地方債補正としては、建設災害復旧事業費1件、3億 7,100万円の増額補正をするものです。
 第2号議案から第14号議案までは、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
 第2号議案から第4号議案までは、道路改良事業などについて工事契約を締結するもので、予定価格が5億円以上となるものです。
 第5号議案は、工事契約変更の件であり、大阪府営住宅建設事業に係る契約金額を変更するものです。
 第6号議案は、動産買入れの件で、大阪府立中河内救命救急センターにおいて使用する超電導磁気共鳴断層撮影装置システムを買い入れるものです。
 第7号議案は、大阪府 営業時間短縮協力金に係る不当利得返還請求について、事業者を相手方として訴えを提起するものです。
 第8号議案は、中小企業 高度化資金貸付金 返還請求に係る詐害行為取消請求事件について、和解するものです。
 第9号議案から第11号議案までは、公立大学法人大阪の法人管理部門を副首都推進局に移管することに伴い、副首都推進局共同設置規約及び大阪府市公立大学法人大阪評価委員会共同設置規約を変更するもの並びに公立大学法人大阪運営協議会を廃止するものです。
 第12号議案は、公立大学法人大阪が出資を受けた財産の一部を除却したことに伴い、定款を変更するものです。
 第13号議案は、大阪府立環境農林水産総合研究所が令和6年度から4年間において達成すべき業務運営等に関する目標を定めるものです。
 第14号議案は、土地改良事業計画の一部を変更するものです。
 第15号議案から第30号議案までは、条例案で、新たに制定するもの2件、一部を改正するもの13件、廃止するもの1件です。
 その主なものについて説明します。
 第15号議案は、金融系外国企業等の集積の促進及び国際競争力の強化を図るため、新たに大阪市域に設立または設置される金融系外国企業等の府民税及び事業税の控除等について定めるものです。
 第16号議案は、子どもに関する施策についての調査審議を一体的・総合的に行うため、大阪府子ども家庭審議会を設置し、必要な事項について定めるものです。
 第17号議案は、公立大学法人大阪の法人管理部門に関する事務を府民文化部から副首都推進局に移管することに伴い、分掌事務の改正を行うものです。
 第18号議案は、大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例について、不当な差別的言動に関する特定電気通信役務提供者への削除要請等を定める等、所要の改正を行うものです。
 第19号議案は、2025年日本国際博覧会の開催に伴い、令和7年4月1日から同年10月31日までの期間における修学旅行生等に対する宿泊税を免除する旨の規定を追加するものです。
 第23号議案は、森林環境税として個人の府民税の均等割の税率に300円を加算する期間の終期を令和5年度から令和9年度まで延長するものです。
 第28号議案は、府立支援学校における知的障がい児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針に基づき、大阪府立出来島支援学校を設置するものです。
 第30号議案は、宅地造成等規制法が宅地造成及び特定盛土等規制法に改正されたことに伴い、条例を廃止するものです。
その他の条例案については、関係法令の改正に伴い規定の整備を行うものなどです。
 第31号議案から第33号議案までは、人事案件です。
 第31号議案は、人事委員会委員 北市哲郎氏の任期が令和5年10月11日に満了となるので、須田勝也氏を新たに選任することについて、地方公務員法の規定により同意をお願いするものです。
 第32号議案は、公安委員会委員 大山隆司氏の任期が令和5年10月20日に満了となるので、川合昌幸氏を新たに任命することについて、警察法の規定により同意をお願いするものです。
 第33号議案は、監査委員 岸本佳浩氏の任期が令和5年10月31日に満了となるので、川村和久氏を新たに選任することについて、地方自治法の規定により同意をお願いするものです。

 次に、第1号報告は、地方自治法第179条第1項の規定により専決処分しましたので、同条第3項の規定により報告し、承認を求めるものです。
 第2号報告から第13号報告までは、地方自治法第180条第1項の規定により議会から委任をいただいている事項について専決処分しましたので、同条第2項の規定により報告するものです。
 第14号報告から第25号報告までは、法律や条例の規定により法人の経営状況などを報告するものです。

 以上、ご審議を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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