令和5年2月22日 府政運営方針説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 本日、令和5年2月定例府議会の開会にあたり、私の所信の一端と今後の府政運営の方針について申し述べさせていただきます。

 私は知事就任以降、橋下・松井府政を引き継ぎ、財政の健全化に取り組みながら、府市一体を基本に、大阪の成長、次世代の育成に重点的に取り組んできました。
 
 財政の健全化については、「収入の範囲内で予算を組む」という原則のもと、財政規律を堅持しながら、減債基金の復元を計画的に進め、5,202億円もあった不足額は令和5年度で復元する見込みです。ようやく財政再建への道筋がみえてきました。

 財政の建て直しを進めながらも、同時に、大阪府と大阪市が連携して成長戦略や改革に取り組む仕組みづくりも進めてきました。過去の大阪に戻ることがないよう、組織の共同設置や府市一体条例の制定など、府市の枠組みをより強固なものとする体制を整備いたしました。

 こうした仕組みのもと、2年後に迫った大阪・関西万博を成功に導くことが、何よりも求められています。会場整備や交通アクセスの向上、大阪ヘルスケアパビリオンの出展準備など、様々な取組みを急ピッチで進めていきます。

 さらに、万博後の成長の柱として、統合型リゾートIR、国際金融都市の実現にも力を注ぐとともに、うめきた2期、新大阪、大阪城東部など、大阪全体の視点からまちづくりを推進し、将来にわたって持続可能な成長を実現する土台づくりを進めつつあります。

 次世代への投資については、教育の質の向上に向け、大阪市立の高校・支援学校を府へ一元化したほか、大阪の発展に寄与する「知の拠点」として、府立大学と市立大学を統合して大阪公立大学を発足させ、所得制限はあるものの、その授業料等も無償化いたしました。

 また、コロナ対策については、5類感染症へ見直されることが決定し、大きな転機を迎えようとしています。「府民の命や暮らしを守る」という基本的な考え方に変わりはありませんが、幅広い医療機関でコロナ対応ができるオール医療体制を確立させる、このことでウィズコロナへの一歩を踏み出していきます。

 私は、大阪は一地方都市で終わるのではなく、日本の成長をけん引する東西二極の一極を担う都市だと確信をしています。そのためには、これまで進めてきた都市インフラの充実、成長を支える機能強化などを土台に、府市一体を核として、オール大阪で、魅力にあふれ、ワクワクする都市として、国内外から選ばれる副首都・大阪の実現をめざさなければなりません。

 そのためには、何よりもまず、コロナ禍で落ち込んだ経済の立て直しが急務です。観光や文化芸術の魅力発信を通じて、インバウンド需要を本格化させるとともに、長期求職者や非正規雇用者等の就職・職場定着を進めることで、雇用の安定を図ってまいります。経済・雇用の両面からの取組みを強化することで、早期に、大阪経済をコロナ前の水準に回復させていきます。

 経済を回復させた上で、更なる成長へ導く起爆剤となるのが、「大阪・関西万博」です。いのちをテーマに、世界が直面する課題の解決に貢献するとともに、我が国の持続的な成長・発展につなげていく、これこそが万博の果たすべき役割です。地元開催都市として、国や博覧会協会とともに、必ず成功に導きます。

 また、万博を契機に、大阪・関西の強みであるライフサイエンスや、移動革命を巻き起こす空飛ぶクルマ、持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルの分野において、イノベーションを生み出し、世界の中で優位性を発揮する都市としてのブランドを確立させていく必要があります。

 さらに、人口減少・超高齢社会が進展するなかで、大阪の明るい未来を創り、活力を生み出していく、これは若い力であります。大阪の子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなくチャレンジができる環境を整備するとともに、人生を自ら切り拓き、世界に羽ばたける人材を育成していかなければなりません。

 以上のような考えのもと、令和5年度当初予算を編成いたしました。

(令和5年度当初予算)
 本府の財政は、令和5年度末に、減債基金の積立不足の復元が完了する見込みであるものの、バブル後に大量発行した府債の最終償還の到来を控えることから、年度を通じた効果的・効率的な予算執行が必要になります。そのため、コロナや物価高騰対策を着実に進めるとともに、万博のインパクトを最大限に活用した大阪の成長・飛躍に向けた施策に重点的に取り組んでまいります。 

 それでは、来年度の主要施策について、順次、説明いたします。

 コロナ対策については、府民・事業者の皆さまに、多大なるご負担、ご協力をいただきながら、度重なる感染の波を乗り越えてまいりました。オミクロン株の特性による重症化率・死亡率の低下やワクチン接種の進捗、そして治療薬の開発などにより、ようやく一般疾病に近づきつつあります。

 5月8日からは5類感染症に引き下げられますが、ウイルス自体がなくなるわけではありません。今後、府民自ら感染に注意し、備え・対応していただくことを基本に、高齢者施設など重症化リスクの高い方々への対策を行いつつ、通常医療の中でコロナ対応をしていく体制へとシフトさせていきます。

 さらに、今回のパンデミックを教訓に、平時からの備えを確実にし、次の感染症にも対応できるよう、しっかりと取り組んでいきます。

 今年1月の大阪市の消費者物価指数が、1970年1月からの観測以降、過去最高を記録するなど、現下の府民生活や事業活動に大きな影響が出ています。

 昨年末にご議決をいただいた子育て世帯へのお米等の配付や、福祉施設職員等への支援を実施していくとともに、今年度に引き続き、中小事業者のLED照明の導入支援や、価格転嫁が困難な運輸・交通事業者の低燃費タイヤの購入への支援も行っていきます。

 コロナ禍が長期化することで顕在化した、社会的な孤独・孤立問題をはじめ、府民の暮らしへの不安にも対応していきます。

 全国的に減少傾向にあった自殺者が、令和2年は増加に転じました。40歳未満の若年層を対象にSNS相談などを継続して実施していきます。児童虐待防止対策については、昨年6月に富田林市で発生した死亡事案を重く受け止め、市町村における専門性の向上を支援するとともに、本府においても、児童福祉司を計画的に増員していきます。

 また、インターネット上の誹謗中傷等が大きな課題になっていることを受け、人権侵害事象の解消に向けた取組みを強化します。昨年4月に施行された条例に基づき、専門の相談窓口の設置、ターゲティング広告による啓発に加えて、第三者機関の設置も進めていきます。

 さらに、ギャンブル等依存症対策についても、府民への啓発を強化するとともに、予防から相談、治療及び回復支援までをワンストップで支援する「(仮称)大阪依存症センター」の整備に向けた検討を進めることにしています。

 大阪の未来への投資として、子どもたちの成長と学びを支える教育環境の充実を図ります。

 大阪の子どもたちが世界を視野に活躍できるよう、全ての全日制の府立高校に、ネイティブ講師を週5日配置し、生徒が週に1回以上生きた英語を学べる機会を作り出すことで、高い英語力、特に話す力を備えたグローバル人材を育成していきます。

 また、子どもたちの多様性に応じた、誰一人取り残さない教育の実現にも力を入れていきます。知的障がい支援学校の新校整備などを計画的に進めていくとともに、多様な子どもたちが意欲的に学べる学校として、西成高校・岬高校を多様な教育実践校に指定して取り組んでいきます。  

 さらに、子どもたちの多様な活動機会の確保と、教員の働き方改革を実現するため、府立高校における部活動を複数校で合同実施する「部活動大阪モデル」を来年度からスタートさせていきます。

 台風をはじめとした風水害や地震などの自然災害に備え、安全・安心対策にも万全を期していきます。

 平成26年度から府市で実施してきた大阪湾の防潮堤の液状化対策が、来年度に概ね完了いたします。また、高い確率での発生が予想される南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しが、国で始まりました。本府においても、これまでの地震・津波対策を踏まえて見直しを行い、災害対応力の強化を図っていきます。

 こうした取組みを通じて、コロナ禍や物価高の中にあっても、府民が安全・安心に暮らし、子どもたちが環境に左右されることなく、自らの可能性を追求できる大阪を実現していきます。

 現在、大阪経済は、インバウンドが回復傾向にあるなど、持ち直しつつあります。この流れを確かなものとしていくことが必要です。

 昨年秋に、水際対策が大幅に緩和されました。この機を逃さず、国内外に向けてプロモーション活動を強化していきます。

 10月にインテックス大阪で開催される世界最大級の観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン2023」や、大阪城・中之島や万博記念公園など、大阪を象徴するエリアでの文化芸術イベントなどを通じ、大阪の魅力を発信することで、インバウンド等の回復につなげるとともに、万博の機運醸成も図っていきます。

 人材面からも経済の回復を後押ししていきます。長期求職者等の就職・職場定着を支援するとともに、外国人材の受入れを促進することで、中小企業等における深刻な人材不足の解消を図ります。 

 こうした取組みにより、早期に大阪経済をコロナ前の状態に回復させていきます。

 大阪経済をさらなる成長軌道へ乗せていくには、ポストコロナの象徴である万博の成功が不可欠です。

 令和5年度は前売り入場券の販売も開始されるなど、いよいよ具体的な動きが活性化します。一人でも多くの方に万博を知ってもらえるよう、大阪・関西から全国、そして海外へ、機運醸成の輪を広げていきます。

 大阪ヘルスケアパビリオンについては、この春から建築工事に着工します。iPS細胞による生きる心臓モデルの展示をはじめ、先端的な医療技術や住まい、公共空間など「ミライの都市生活」を体験・楽しめるパビリオンとなるよう、コンテンツ制作を本格化させていきます。

 2年後に迫った開催に向けて大きな弾みとなるのが、今年10月に予定していますG7大阪・堺貿易大臣会合です。安全・安心な開催はもちろんのこと、万博のPRや堺をはじめとする南大阪の魅力を、世界に発信していきます。

 こうした機運醸成や会場建設と合わせて、国内外の観光客を受け入れる環境整備にも力を入れていきます。
 府民をはじめ多様な主体が参画する万博になるよう、ボランティアの募集を開始するとともに、万博の理念であるSDGsの達成に向けて、環境に配慮したEV・FCバスや、ユニバーサルデザインタクシーの普及促進を図ってまいります。

 さらに、水の都・大阪の特徴を活かし、会場を中心とした舟運ルートの創出や、川と海の結節点にある中之島GATEターミナルの船着場の整備に着手することに加え、府内の都市魅力を高めるための集客イベントの開催、兵庫県と連携した観光コンテンツの造成を進めていきます。

 万博後も持続可能な成長を実現し、世界の中で存在感を発揮するために、新たな価値の創造を積極的に進めます。 

 今般、副首都ビジョンの改定案をとりまとめ、大阪の現在のGDPを2040年に約1.5倍に、2050年代には約2倍とする目標を掲げました。経済面の政策、都市機能の充実、行政体制の整備を進め、副首都・大阪を実現し、東西二極の一極として、日本の成長をけん引する新たな国の形を先導していきます。

 まず、経済成長に向けては、大阪の強みであるライフサイエンス関連産業のリーディング産業化に向けた、彩都・健都・中之島の拠点形成を進めるとともに、大学等の革新的な研究シーズの掘り起こしや、海外に進出するスタートアップの輩出をめざします。

 また、新たなビジネスとして期待される空飛ぶクルマについては、万博での商用運航の実現に向け、離着陸場の整備や、デモフライトなど実証実験等への支援を加速させていきます。

 さらに、世界が取組みを加速化させるカーボンニュートラルの実現に向けては、革新的な最先端技術の開発を支援するとともに、CO2排出量の見える化、事業者の脱炭素経営の促進を通じて、府民・事業者の行動変容を進めていきます。

 こうした産業のイノベーションを起こしながら、成長を加速させるけん引役となる統合型リゾートIR・国際金融都市の実現にも取り組んでいきます。

 IRは現在、国において審査中ですが、世界最高水準の成長型IRの実現に向けて、引き続き、府市一体で進めていくこととし、府民の理解促進やギャンブル等依存症対策もしっかりと講じていきます。

 国際金融都市は一朝一夕には実現しませんが、金融系外国企業の進出支援に向け、ワンストップ窓口の運営など誘致に向けた伴走支援に取り組んでいくとともに、金融関係の民間企業に対して職員を派遣して、専門人材の育成を進めていきます。

 次に、都市機能の充実に向けては、北大阪急行の延伸に加えて、なにわ筋線、淀川左岸線など鉄道・道路ネットワークの整備を着実に進めます。また、大阪のまちづくりグランドデザインに基づき、うめきた2期、新大阪、大阪城東部、夢洲など都心部の拠点エリアの形成を含む、大阪全体のまちづくりを市町村や民間事業者等と一体で進めてまいります。

 最後に、大阪のスマートシティ化に向けた取組みです。住民のQoLや利便性の向上に向け、来年度から住民向けデジタルサービスを提供します。

 府民一人ひとりに最適な住民サービスを、24時間365日いつでも、スマートフォン等で受信・手続きできるよう、行政サービスの入り口となる「(仮称)大阪Myポータル」を整備します。また、療育手帳のオンライン申請化による処理期間の短縮や、府立学校の入学者選抜等のデジタル化による受験生の利便性の向上、教員の採点業務の効率化も実現します。

 府民の皆さまに、生活が便利になったと実感いただけるように、市町村とも協力しながら府内のDXを強力に進めていきます。

 以上、令和5年度当初予算の主要な事業について、説明いたしました。

 これまで、財政再建、府市連携の推進など、成長に向けた土台づくりを進めてきましたが、令和5年度は、新たなステージへのスタートとして、府民の命と暮らしを守るセーフティネットを充実させながら、万博の成功、さらにはその先を見据えた未来への投資を充実させる予算を整備いたしました。

 私の任期も、残すところ1カ月あまりとなりました。就任1年目にコロナのパンデミックが起き、府民の命と暮らしを守ることを最優先に取り組んできましたが、コロナ対策は大きな転換期を迎えています。

 いよいよ次は、大阪・関西万博です。万博は、コロナという危機を乗り越え、我が国が先頭に立って、未来への希望を世界に示す国家的プロジェクトです。

 万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」とは、一人ひとりが、自らの可能性を最大限に発揮できる持続可能な社会を、国際社会と共に創ることを推し進める、という意味が込められています。

 コロナによってこれまでの価値観や行動が変わり、経済・社会にパラダイムシフトが起きている今、新たな価値の創造、イノベーションの創出を通じて、ポストコロナの時代に相応しい未来のカタチを万博で示さなければなりません。

 私としては、これからの日本を支える子どもたちにこそ、世界の英知が結集する万博に、ぜひ足を運んでほしいと強く願っています。間近で、世界最先端の技術に触れ、ワクワクする未来社会に夢と希望を感じ、自分の将来にチャレンジをしていきたいと思える、そういった万博にしていきたいと思っています。

 地元・大阪としても、約半世紀ぶりとなる万博を千載一遇のチャンスと捉え、民間の力を最大限に活かしながら、オール大阪・オールジャパンで新たな成長のシーズを生み出し、大阪・関西、ひいては日本の成長・飛躍につなげていく必要があります。そのためには、府と市が連携して、より一層強力に、成長戦略を実行していかなければなりません。

 議員の皆さまにおかれましては、引き続き、府政の推進に一層のご理解、ご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

ここまで本文です。


ホーム > 知事の発言 > 令和5年2月22日 府政運営方針説明(要旨)