令和4年9月28日 知事議案説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 令和4年9月定例府議会の開会にあたり、府政の課題に対する私の考え方を申し述べさせていただきます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、現在療養中の皆様の1日も早い回復を願っております。

 私は就任以来、東西二極の一極として、わが国の成長をけん引する副首都・大阪をめざし、大阪府市一体の成長戦略により、「成長の加速」「安全・安心の基盤整備」「次世代への投資」に重点的に取り組んでまいりました。
 一方で、就任一年目にコロナのパンデミックが起きました。病床の確保、検査体制の充実、ワクチンの接種や、とりわけ高齢者のための医療・療養体制の強化に力を注いできました。また、緊急事態宣言等の発出にともない、外出自粛や営業時間の短縮をお願いするなど、感染拡大の防止に向けて、府民や事業者の皆様に、ご協力をお願いをしてきました。
 コロナから府民の命を守ることを最優先に取り組む、このことを第一義に置きつつ、将来の大阪に向けた布石も着実に打ってまいりました。
 G20大阪サミットの成功にはじまり、大阪・関西万博への準備、IRの実現に向けた取組み、さらには、都構想の実現は叶いませんでしたが、府市一体で大阪の成長戦略を推進する大阪港湾局や大阪都市計画局を設置するなど、成長の再加速に向けた土台づくりを進めてまいりました。
 また、安全・安心の基盤整備では、災害対応力の強化として三大水門の更新に着手するとともに、府市一体で取り組んできた防潮堤の液状化対策も来年度に完了をいたします。
 さらに、私立高校の授業料の無償化の継続に加え、当時の府大・市大の授業料も新たに無償化するなど、次世代への投資も積極的に行ってまいりました。
 私の任期も残り半年です。まずは、コロナ対策にしっかりと取り組むとともに、ウイズコロナ、ポストコロナにおける大阪の再生・成長を確かなものとすることが、私に課せられた責務だと考えています。

 まず、コロナ対策ですが、これまで6回の波を乗り越え、第7波についても減少傾向が続いています。
 一昨日、国において感染者の全数届出の見直しや医療の重点化など、オミクロン株の特性を踏まえた新たな取り扱いがスタートしました。本府においても、発生届出対象を原則、高齢者や重症化リスクの高い方々に限定する運用を開始しました。
 あわせて、若年層や重症化リスクが低い方も適切に医療にアクセスできるように、健康フォローアップセンターを設置するなど、全ての方が安心して治療・療養できる体制を整備いたしました。
 「コロナから府民の命と暮らしを守る」という思いに揺るぎはありません。この冬のインフルエンザとの同時流行も想定しながら、発熱外来の強化をはじめとしたオール医療体制の確立や、ワクチン接種の推進など、万全を期していきます。

 コロナ対策と並び、目下の喫緊の課題は、急激に進む物価高への対策です。食料品や燃料価格の高騰は、府民の暮らしに大きな打撃を与えています。
 これまで、価格転嫁が難しい路線バスやタクシー事業者への支援や、大阪の子どもたちを対象に、市町村と連携してギフトカード等を配付するなど、総額200億円を超える緊急支援策を講じてまいりました。
 加えて、コロナ禍における長期休業者や非正規雇用者の増加を踏まえ、延べ4,000人の就職・職場定着への支援を行うなど、雇用面でのセーフティネットを充実させていきます。
 今後、追加配分された国の臨時交付金も活用し、府民や事業者へ切れ目ない支援を行うことで、暮らしをしっかりと支えてまいります。
 あわせて、観光関連産業や文化芸術活動への支援を充実させてまいります。
 来月から始まる全国旅行支援に続き、「大阪来てな!キャンペーン」を充実させていくとともに、歌舞伎やオーケストラなどの公演機会の創出や、大阪文化芸術フェスの開催などにより、文化芸術を盛り上げていきます。
 さらに、インバウンド需要の回復に向けて、観光・文化など大阪の魅力を海外へ発信するプロモーション動画を作成し、大阪への誘客を促進してまいります。
 こうした取組みを強力に進めていくことで、現下の厳しい物価高を克服し、大阪経済の力強い回復をめざしていきます。

 そのうえで、大阪経済を盤石なものとするため、2025年大阪・関西万博を成功させなければなりません。人々の行動変容と時代を切り拓く新たなイノベーションを起こし、世界の課題解決に貢献する。これこそが万博の果たすべき役割です。
 ポストコロナの成長・発展の起爆剤となる万博に向けて、国、経済界、府市が一体となって取組みを加速させていきます。
 先日の1000日前イベントにおいて、公式キャラクターの愛称「ミャクミャク」や、公式テーマソングが発表されました。今後も、節目をとらえた大規模イベントの開催や情報発信を強化し、日本全国へ機運醸成の輪を広げていきます。
 地元パビリオンについては、「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」に名称が決まり、パビリオン建設や運営を担う実行組織も立ち上がりました。 
 物価高などにより工事費の増額が見込まれますが、素材を変更するなど、できるだけ費用は抑えながら、訪れた人々が「いのち」や「健康」、近未来の暮らしをいち早く体験できる、画期的なパビリオンをめざしていきます。

 私は、万博を一過性のイベントに終わらせるつもりはありません。2025年、これをターゲットイヤーに大阪の未来に種をまき、万博の成功、その後の持続的な成長・発展に繋げていきます。
 そのための行動指針となる「大阪版万博アクションプラン」を府市で策定をしました。今後の大阪・関西の成長の柱として、ライフサイエンス、次世代モビリティ、カーボンニュートラル、スタートアップやスマートシティなどを位置付け、重点的に進めてまいります。

 大阪・関西に大きなポテンシャルがあるライフサイエンス分野では、iPS細胞等を活用した再生医療について万博時の実用化に向け、中之島にある未来医療国際拠点の整備を進めていきます。  
 次世代モビリティとして期待される空飛ぶクルマは、万博開催時に、会場とベイエリアをつなぐ商用運航の実現をめざし、実証実験の支援等を行います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、全庁横断の「おおさかカーボンニュートラル推進本部」のもと、革新的な技術の創出や行動変容等を進めます。
 大阪・関西を世界トップレベルのスタートアップ集積拠点とするため、革新的な技術を有するスタートアップの先駆的な取組みを支援していきます。

 万博の成功やその後の成長・発展のためには規制緩和が不可欠です。4月には、大阪市がスーパーシティの区域に指定されました。年内に府市の計画を取りまとめ、国に提案を行うとともに、広域データ連携基盤ORDENの整備も進めます。
 あわせて、府民の暮らしを豊かにするスマートシティ化も推し進めます。デジタル技術は、我々の生活を劇的に変化させる可能性を秘めています。住民サービスが良くなったと感じてもらえるようデジタル改革とDX人材の育成を進めていきます。

 万博後の大阪・関西の成長エンジンの新たな柱が、IRとそして国際金融都市の実現です。
 IRは4月に国へ区域整備計画の認定申請を行いました。今後、国による認定を得られれば、いよいよ工事着手に移ります。こうした動きとあわせて、IRの意義や効果などをしっかり発信していくとともに、ギャンブル等依存症問題にも正面から取り組んでいきます。
 国際金融都市の実現に向けては、プロモーション活動を通じて、海外の金融系企業や世界からの投資を呼込みます。

 大阪の成長を実現させ未来を切り拓くのは、「人」の力です。特に、次世代を担う子どもたちがチャレンジできる環境づくりに投資をしていきます。
 現在、大阪における今後10年にわたる教育の基本方針となる第2次大阪府教育振興基本計画の策定を進めています。英語教育の推進やICTの積極的な活用などを通じて、グローバル人材の育成に力を入れていきます。
 さらに、支援を必要とする児童・生徒の増加を踏まえて、新校設置をはじめとした支援学校の整備を進め、子どもの多様性に応じ、誰一人取り残さない教育をめざします。
 あわせて、持続可能な学校運営や教員の働き方改革の観点から、府立高校における部活動のあり方について検討を進めます。

 大阪のまちは、いま、万博に向けて大きく変わろうとしています。2025年までには、うめきた2期が先行まちびらきをするとともに、中之島の未来医療国際拠点がオープンします。
 また、なにわ筋線、大阪モノレールや北大阪急行の延伸などの府内のインフラも着実に強化されつつあります。こうした動きを踏まえ、大阪全体のまちづくりの方向性を示す新しいグランドデザインを年内に策定することとしています。
 さらに、先日の関西3空港懇談会において、関西国際空港について、2030年代前半を目途に、年間発着回数30万回の実現をめざすということが決まるとともに、万博に向けて弾みとなるG7貿易大臣会合の開催も決定しました。
 万博を契機として、東西二極の一極となる、世界を視野に成長する大阪づくりを進めることで、府民が成長を実感し、豊かで利便性の高い生活を実現する「副首都・大阪」の確立をめざしてまいります。
 議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。

 次に、今次定例府議会に提出しました第1号議案から第33号議案まで及び第1号報告から第17号報告までについて、その概要を説明します。

 第1号議案及び第2号議案は、令和4年度一般会計及び特別会計の補正予算案で、今後の感染状況等の変化への対応など、新型コロナウイルス感染症から府民の命とくらしを守り、社会経済活動を回復させることに加え、再び大阪を成長軌道に乗せ、飛躍させていくため、1,227億 2,482万 6千円を増額補正するものです。
 その主な内容は、命を守る最大限の感染症対策の推進に1,155億 6,098万余円、コロナ禍で打撃を受けた経済・産業の回復、雇用を支える取組みの推進に 18億 7,169万余円、くらしを支えるセーフティネットの充実に31億983万余円、万博をインパクトにした大阪の成長・飛躍に向けた取組みの加速に3億 493万余円を計上しました。
 また、これ以外に庁内DX推進に向けた人材育成等に18億 7,737万余円を計上しました。
 このほか、新たに債務負担行為を設定するもの4件の補正をお願いするものです。
 なお、大阪パビリオン建設工事については、事業者の協力を得ながら事業費の精査ができ次第、補正予算を今会期中に提出させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

 第3号議案から第18号議案及び第33号議案は、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
 第3号議案及び第4号議案は、津波・高潮対策事業などについて工事契約を締結するもので、予定価格が5億円以上となるものです。
 
 第5号議案及び第6号議案は、工事請負契約変更の件であり、道路改良事業などに係る契約金額を変更するものです。
 第7号議案は、府営三原台第1住宅用地の一部を売却するものです。
 第8号議案は、大阪府債権の回収及び整理に関する条例の規定に基づいて、府が有する債権を放棄するものです。
 第9号議案は、府道等における照明灯の電気料金に係る不当利得返還請求について、事業者を相手方として訴えを提起するものです。
 第10号議案は、中小企業高度化資金貸付金返還請求に係る詐害行為取消請求事件について、和解するものです。
 第11号議案は、富田林市と大阪狭山市からの申請に基づき、境界を変更するものです。
 第12号議案は、指定管理者の指定を行うものです。
 第13号議案は、公立大学法人大阪が府から出資を受けた財産の一部を除却したことに伴い、定款を変更するものです。
 第14号議案は、大阪健康安全基盤研究所の一元化施設への移転により不要財産を処分することに伴い、定款を変更するものです。
 第15号議案は、大阪健康安全基盤研究所が出資等に係る不要財産について、府及び共同設立団体である大阪市への納付を認可するものです。
 第16号議案は、大阪モノレール株式会社の軌道敷設工事施行に係る変更認可申請について、道路管理上支障がないため同意するものです。
 第17号議案及び第18号議案は、阪神高速道路株式会社及び大阪府道路公社が通行料金の割引を適用する自動車の要件等の一部を変更することについて同意するものです。
 第33号議案は、府有地の不法占拠に伴う建物等収去土地明渡請求及び使用料相当損害金の支払請求について、不法占拠者を相手方として訴えを提起するものです。

 第19号議案から第31号議案までは、条例案で、新たに制定するもの2件、全部を改正するもの1件、一部を改正するもの10件です。その主なものについて説明します。
 第19号議案は、職員の定年を65歳まで、令和5年度から2年に1歳ずつ段階的に引き上げるなどの改正等を行うものです。
 第20号議案は、個人情報の保護に関する法律の改正に伴い、大阪府個人情報保護審議会について必要な事項を定めるものです。
 第21号議案は、個人情報の保護に関する法律の改正に伴い、条例の全部を改正し、法律の施行条例に改正するものです。
 第23号議案は、地方公務員の育児休業等に関する法律の改正により、同一の子について育児休業を2回取得することができることとされたことに伴い、職員が育児休業等計画書により申し出た場合に再度の育児休業を取得することができることとしている規定を削除することなどの改正を行うものです。

 第24号議案は、大阪府 中之島GATEターミナル整備・管理運営事業者 選定委員会を新たに設置するものです。
 第30号議案は、教育職員免許法の改正により、教員免許更新の制度が廃止されたことから、当該更新の申請等に係る手数料を廃止するものです。
 第31号議案は、ストーカー行為等の規制等に関する法律の改正を踏まえ、つきまとい等の行為について、反復して現に所在する場所の付近をうろつく行為及び文書の連続送付行為についても禁止の対象に含めるなどの改正を行うものです。
 その他の条例案については、関係法令の改正に伴い規定の整備を行うものなどです。

 第32号議案は人事案件で、監査委員 大西寛文氏の任期が令和4年9月30日に満了となりますので、中務裕之氏を新たに選任することについて、地方自治法の規定に基づき同意をお願いするものです。

 次に、第1号報告は、地方自治法第179条第1項の規定により専決処分しましたので、同条第3項の規定により報告し、承認を求めるものです。
 第2号報告から第6号報告までは、地方自治法第180条第1項の規定により議会から委任をいただいている事項について専決処分にしましたので、同条第2項の規定により報告するものです。
 第7号報告から第17号報告までは、法律や条例の規定により法人の経営状況などを報告するものです。

 以上、ご審議を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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