令和4年2月24日 府政運営方針説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 本日、令和4年2月定例府議会の開会にあたり、私の所信の一端と今後の府政運営の方針について申し述べ、議員並びに府民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、現在療養中の皆様の1日も早い回復を願っております。コロナ対策や社会機能の維持に向け、最前線でご活躍いただいているエッセンシャルワーカーや、府民・事業者の皆様のご協力に深く感謝を申し上げます。

 オミクロン株が急拡大した第六波は、第一波から第五波までの感染状況と様相が大きく変化し、かつて経験したことのない感染者数が確認され、特に高齢者施設等でのクラスターが相次いでいます。軽症・中等症病床はひっ迫し、重症病床の使用率も40%を超過、自宅療養者も最大約7万人まで増加するなど、極めて厳しい状態となっています。
 こうした事態を踏まえ、自宅療養者等の相談窓口の充実や新たな臨時医療施設の開設に加え、オミクロン株の特性を踏まえ、とりわけ高齢者の命を守ることに力点を置いた医療・療養体制の強化に取り組むなど、治療を必要とする方々へ必要な医療を届けるため、国とも連携しながら全身全霊で取り組んできました。
 コロナ対策については、来年度当初予算における措置はもとより、現在の医療提供体制のひっ迫に鑑み、できることはすぐに実行するという考え方のもと、今年度補正予算のさらなる追加を検討しています。

 1月27日から2月20日までとされました、まん延防止等重点措置が延長されました。感染のピークは越えつつありますが、まだまだ油断できる状況ではありません。感染の減少傾向を確かなものとし、高齢者をはじめ府民のいのちを守るため、引き続き、3月6日までの間、府民・事業者の皆様のご協力をお願いいたします。

 それでは新年度を迎えるにあたり、私の府政運営の基本姿勢を申し述べたいと思います。

 令和4年度は私の任期の最終年です。コロナの感染者が府内で初めて確認されてから、はや2年が経過しました。これまで4度の緊急事態宣言、3度のまん延防止等重点措置をお願いしてきました。まさに、府民の皆様とともにコロナとの闘いにあけくれた2年間でした。
 その闘いは未だ続いていますが、何としてもコロナを克服し大阪を成長軌道に乗せていきたい、この思いを強く持って任期最終年の府政にあたりたいと思います。
 今後もコロナ対策を最優先に、感染症対策に万全を期すとともに、コロナで大きな打撃を受けた大阪経済の回復や、生活に不安を抱える府民のくらしをしっかりと支える取組みを推進してまいります。
 「感染症対策の徹底」「経済・雇用の回復」「セーフティネットの充実」を3本柱に、感染症対策と社会経済活動を両立させ、コロナと共存する社会を実現すべく全力を尽くしてまいります。

 コロナとの共生を進めながら、大阪の再生・成長を実現させることが目下の最大の課題でもあります。
 ポストコロナの成長・発展の起爆剤となる「大阪・関西万博」まで3年あまりとなりました。万博は「いのち」をテーマに、長期化するコロナ禍を乗り越え、未来への希望を示す一大国家プロジェクトです。
 万博開催の2025年をターゲット・イヤーとして、大阪を世界の中で輝かせていく、そのための取組みを強めてまいります。
 まず組織面では、成長産業化をめざす分野や新たな成長シーズの発掘等を行う「成長戦略局」を設置をいたします。また、大阪の強みである健康・医療関連産業や未来社会を象徴する「空飛ぶクルマ」、カーボンニュートラルなど次世代産業の育成、住民のQoLの向上につながるDXの推進など、未来を切り拓く産業に重点的に投資をしてまいります。

 万博と並んで大阪・関西の成長エンジンとなるのが、IR、それから国際金融都市の実現です。
 世界最高水準の成長型IRの実現に向け、今次定例府議会に提出している区域整備計画の認定申請について、ご審議、ご議決をお願いするとともに、国際金融都市OSAKAの実現に向けた取組みを進めることで、ポストコロナのさらなる飛躍をめざします。

 あわせて、人口減少・超高齢社会の到来に伴う諸課題に対応するため、基礎自治体である市町村の持続可能な行財政運営を支援する「市町村局」を設置するとともに、「子ども家庭局」を立ち上げ、貧困や虐待など大阪の未来を担う子どもたちを取り巻く課題に一体的に取り組んでいきます。さらに、都市整備部と建築部を一本化し、都市基盤・住環境の整備や安全・安心の確保などを一体的に推進していきます。
 こうした組織面での強化を図ることで、府政が直面している課題に正面から取り組んでいきます。

(令和4年度当初予算)
 それでは、令和4年度当初予算について説明します。
 本府財政は、景気の持ち直しの動きを背景に府税収入は回復基調にあるものの、減債基金の復元やバブル後に大量発行した府債の償還期限の到来など、今後も多額の収支不足が見込まれ、依然として厳しい状況です。健全で規律ある財政運営を基本として、コロナ対策や大阪の成長に向けた取組みなど、必要な施策を着実に実施していきます。
 来年度の主要施策について、順次説明します。

 コロナ対策については、新たな感染の波にもしっかりと対応できるよう、これまでの経験を踏まえ、「ワクチン接種体制の確保」「相談・検査体制の整備」「入院・療養体制の確保」「感染拡大時の備え」を柱に、行政の使命である府民の命を守る対策に最大限の力を注ぎます。

 オミクロン株にも効果があると言われているワクチンの3回目接種を強力に進めてまいります。府民の接種機会を確保するため、現在6か所に設置している大規模接種会場については、来年度も引き続き府内4か所で運営し、市町村の取組みを後押ししていきます。

 相談・検査体制については、自宅待機SOSの運営など相談体制を強化することに加え、無料検査の充実など感染拡大時にも確実に検査を受けられる体制を確保していきます。

 コロナ対策の鍵は、入院・療養体制です。コロナ病床の確保や宿泊療養体制の強化、重症化を予防する抗体治療等初期治療体制を充実させるとともに、大規模医療・療養センターの運営など感染爆発時に備えた体制を確保することで、府民が安心して治療を受けられる医療・療養体制を構築していきます。さらに、施設内療養を行う高齢者施設等への国の補助制度の拡充にあわせ、府としてもさらなる支援策を検討し、今次定例府議会に追加提出させていただきたいと考えています。

 コロナをはじめ感染症に強い都市・大阪をめざしていかなければなりません。このため、本年4月に開学する大阪公立大学の大阪国際感染症研究センターにおいて、文系・理系の幅広い知を結集し、感染症に関する調査研究等を実施してまいります。

 オミクロン株による感染の急拡大により、回復傾向にあった大阪経済に懸念が広がるとともに、雇用環境も厳しく、今後の見通しは予断を許さない状況です。経済の力強い回復、雇用を支える取組みを進めてまいります。

 長期化するコロナ禍で大きな打撃を受けた観光関連産業、文化芸術活動を支援していきます。大阪への観光客を呼び込むコンテンツづくりや、観光施設等で利用できるクーポンの配布を通じて、府域全域での観光需要を喚起していきます。また、文化芸術活動を支援するため、活動される方々の活躍の場の支援や文化・芸術の魅力発信などを通じて、府民が文化芸術に触れる機会を創出していきます。

 さらに、商店街の活性化に向け、オンラインショップの活用など新たな販路開拓を進めるとともに、コロナを乗り越え、がんばる中小・小規模事業者の新事業の展開を支援していきます。

 あわせて、民間人材サービス事業者と連携した雇用対策や、DX人材の活用を促進することで、雇用を守る取組みの強化や新たな働き方への対応を進めていきます。

 経済・雇用の回復を通じて大阪に元気を取り戻しながら、府民のくらしを支えるセーフティネットを充実させていきます。

 府民が安心して生活できるよう、高齢者や障がい者など住宅の確保に配慮が必要な方への支援体制を構築するとともに、コロナ禍で影響を受けている女性への相談・支援体制を拡充していきます。

 府内の自殺者数が令和2年には増加に転じ、特に、若年層の増加が顕著となりました。このため、40歳未満を対象に、SNS等での相談窓口の設置や自殺防止の呼びかけを強化していきます。

 未来を担う子どもたちの健やかな成長と学びを支える環境も充実させていきます。

 今年4月から大阪市立の高等学校等が移管され、新たに府立の学校として一体的に運用してまいります。さらに、教育環境の充実を図るため、今年度に配備した1人1台端末を活用したスマートスクールを安定的に運用するサポート体制を構築していきます。

 また、新たに顕在化したヤングケアラーへの支援については、スクールソーシャルワーカーを配置し、府立高校全校において相談支援体制を構築するなど、早期発見力を高め、地域での必要な支援につながる仕組みを構築していきます。

 さらに、子どもの貧困など様々な困難を抱える子どもや保護者等を支援する子ども食堂への支援に取り組むことに加え、弱視児の早期発見に向けた検査体制の整備や医療的ケア児への支援など、子どもの健全な成長も支えていきます。

 昨年に摂津市で発生した児童の死亡事案を重く受け止め、要保護児童対策地域協議会における情報共有の改善や市町村における児童虐待対応力を強化し、オール大阪で「重大な児童虐待ゼロ」をめざします。

 感染症対策と社会経済活動の両立を図りながら、大阪経済を再生・成長させる布石を打っていきます。

 そのけん引役が大阪・関西万博です。パビリオン設計や会場周辺のインフラ整備がいよいよ本格化し、7月には開催1000日前の節目を迎えます。カウントダウンイベントやバーチャル大阪を活用したPR活動などを通じ、大阪・関西から全国、ひいては海外へと万博の機運を盛り上げていきます。

 大阪パビリオンの出展に向けては、いのちや健康、近未来の暮らしを感じられる展示に向け出展基本計画の策定を進めるとともに、新たな実行組織を立ち上げ、具体化のスピードアップを図ります。

 万博を一過性のイベントで終わらせるのではなく、そのインパクトやレガシーを活かして、大阪の成長を加速させていきます。

 大阪の強みである、再生医療をはじめとした健康医療関連産業の世界的クラスターの形成やスタートアップ・エコシステムの構築、空飛ぶクルマの実現をはじめ、さらには、カーボンニュートラルに資する最先端技術の開発・実証実験の支援、ゼロエミッション車の普及促進など脱炭素化を加速させてまいります。これらの取組みを通じて、成長をけん引する産業やイノベーションの創出を図ります。

 こうした動きにあわせ、大阪公立大学において「イノベーション・アカデミー構想」を進め、新大学の強みである、カーボンニュートラルやライフサイエンス等の分野において、成長産業の創出、イノベーションの促進に向けた実証実験等を実施します。

 さらに、万博の理念であるSDGs先進都市を実現するため、万博を契機として、環境に配慮したバスや、ユニバーサルデザインタクシーの導入を進めるとともに、民間のポイント制度やカーボンフットプリント等を活用し、環境に配慮した消費行動を促していきます。
 
 府民のくらしを豊かにするスマートシティ化も積極的に推し進めます。

 デジタル技術で高齢者の課題解決を図るスマートシニアライフ事業や、移動ニーズにきめ細かく対応するAIオンデマンド交通の普及に向けた実証実験の支援、さらには、MaaS実現に向けた基盤整備を進める公共交通事業者への支援を行います。

 また、官民の様々なデータの流通・連携を促進し、府民の利便性向上につながるサービスの創出を図るため、都道府県では全国初の本格的な広域データ連携基盤、ORDENの整備を進めていきます。

 こうした取組みを加速化させ、今年度内にも予定されるスーパーシティの区域指定を勝ち取り、夢洲地区やうめきた2期地区において、万博のコンセプトである「未来社会の実験場」の実践に向けた取組みを進めてまいります。

 万博とともに大阪・関西の飛躍のけん引役となるのが、IRと国際金融都市の実現です。

 IRについては、区域整備計画の策定に向け、1月から住民の皆様への公聴会を行ってまいりました。今後、議会でのご審議、ご議決をお願いするとともに、夏ごろに予定される国の認定の獲得をめざし、2029年秋から冬頃の開業に向けてしっかりと準備を進めていきます。

 大阪のさらなる飛躍へつなげていくため、独自の個性・機能を持つ国際金融都市の実現に向けた取組みを加速させていきます。金融系外国企業等を誘致するとともに、サスティナブルファイナンス面での投資魅力を高めるため、大阪府債のグリーンボンドの発行に取り組み、「金融をテコに発展するグローバル都市」「金融のフロントランナー都市」をめざしていきます。

 大阪の再生・成長を実現し世界的な都市間競争を勝ち抜くには、その基盤となるインフラ整備やまちづくりも進めていく必要があります。

 大阪のポテンシャルを活かした魅力あるまちづくりを推進するため、2050年に向けた大阪全体のまちづくりの方向性を示すグランドデザインを策定します。また、万博会場へのアクセス向上に資する淀川左岸線2期や、新大阪から関西国際空港へのアクセス強化につながるなにわ筋線など、道路、鉄道、海上ネットワークの整備を着実に進めていきます。

 さらに、万博記念公園における大規模アリーナを中心としたスポーツ・文化の拠点づくりを推進するとともに、2025年に開所予定の大阪公立大学森之宮キャンパスを先導役とした大阪城東部地区のまちづくりも進めていきます。

 災害はいつ起きるか分かりません。これまでの自然災害の教訓を踏まえ、国土強靭化を進め、ソフト・ハード両面での災害対応力を強化していきます。

 大規模災害発生時には、自助・共助・公助の取組みが重要です。新たに常設型の災害ボランティアセンターの設置や、避難行動要支援者が適切に避難できるよう、市町村の個別避難計画の策定を支援し、いつ起きてもおかしくない南海トラフ地震に備えていきます。

 さらに、豪雨・土砂災害対策として、ため池や森林の防災・減災対策を進めるとともに、地震・津波・高潮対策では、三大水門の更新や防潮堤の液状化対策、密集市街地対策を着実に実施していきます。

 以上、令和4年度の予算の主な事業について説明しました。

 知事就任当時には予想もしなかったコロナという未曽有の危機に直面していますが、正面から対応するとともに、これからも「世界の中で躍動し、成長し続ける大阪」をめざし続けます。
 「大阪を今よりも良くしたい」という強い思いを胸に、その実現に向けて、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいります。
 そして、東西二極の一極として、我が国の成長・発展をけん引する「副首都・大阪」の土台を確実につくっていきます。

 議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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