令和3年9月29日 知事議案説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 令和3年9月定例府議会の開会にあたり、府政の課題に対する私の考え方を申し述べさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、現在療養中の皆様の1日も早い回復を願っております。そして、医療・福祉等に携わるエッセンシャルワーカーや府民・事業者の皆様のご協力に深く感謝を申し上げます。

 コロナ対策につきましては、デルタ株への置き換わりが進んだ第五波では、1日当たりの感染者数が3,000人を超えるなど、第四波を越える感染爆発となりました。
 ワクチンの効果により高齢者においては感染者数や重症者数が減少しましたが、一方で、まだ、接種できていない若年層・中年層を中心に感染者が急増し、医療・療養体制については、軽症・中等症病床のひっ迫に加えて、自宅療養者も最大18,000人を超える非常に厳しい状況に陥りました。
 8月2日に発出された緊急事態宣言については、府民・事業者の皆様のご協力により、明日をもって解除となりますが、感染のリバウンドを起こさせないためにも、営業制限の緩和を段階的に実施していく必要がありますので、引き続き、皆様のご協力をお願いいたします。

 今後もウイルスがなくなることはなく、感染拡大のリスクが常にあるということを心に留めておかなければなりません。第四波・第五波の経験を踏まえ、今後のコロナ対策は、「いかに重症化を防ぐか」が鍵になります。
 一方で、感染の波はいつも我々の想定を大きく上回ってきました。想定外の災害級の感染爆発にも対応できるように、備えを万全にしていくことが求められています。
 感染状況が落ち着きつつある今こそ、府民の命を守るため、打てる対策はすべて実行していく決意です。

 まず、何よりも重要なことは病床の確保です。感染の急拡大にも対応できるように、医療機関の協力も得て、600床を超える重症病床を確保しましたが、軽症・中等症病床についても3,000床まで拡充をめざします。
 こうした病床を土台としながら、重症化を防ぐ初期治療体制の確立を図っていきます。
 宿泊療養者や自宅療養者が、病院の外来、自宅への往診等、さらには宿泊療養施設において、早期に抗体カクテル治療が受けられる体制を整備いたします。
 次に、できるだけ身近な医療機関で治療が受けられるように、地域における往診や入院の受入れなど、圏域ごとのネットワーク体制を構築するとともに、保健所からの連絡前にでも、医療等にアクセスできる仕組みを進めていきます。
 また、重症化予防に高い効果があるワクチン接種も着実に進めてまいります。希望する府民全員の11月中の接種完了をめざすとともに、20代・30代の接種率の向上に向けて取り組んでいきます。

 こうした対策に加え、想定を超える災害級の感染爆発が発生した場合に備え、府民の命を守る最後の砦として、軽症・中等症患者を受け入れる「大阪コロナ大規模医療・療養センター」の整備を進めています。
 一人でも多くの命を守るため、感染対策のさらなる徹底を行い、いつ起きてもおかしくない第六波にしっかりと対応してまいります。

 大阪の経済を支えていただいている事業者の皆様には、これまで大変なご苦労をおかけしています。
 コロナ禍が長期化することで、府民の暮らしや社会経済に深刻な影響が出ていることを受け、本府としても、社会経済活動の回復に向けたロードマップとなる出口戦略の検討を進めるとともに、国に対しても策定を求めてまいりました。
 この度、国において、希望者へのワクチン接種が完了する11月以降、ワクチン・検査パッケージを活用し、日常生活を徐々に取り戻していく考え方が示されました。国の技術実証に大阪が積極的に協力するとともに、感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立をめざしてまいります。
 ワクチン接種の進捗や感染状況を見極めながら、今後、社会経済活動の再開に向けた取組みも進めてまいります。
 飲食店等の皆様には、安心して飲食できる環境づくりとして、「感染防止認証ゴールドステッカー」の導入をお願いしてきました。ゴールドステッカー認証店舗では、来月から、営業時間を21時までとするとともに、酒類も20時半まで提供可能とします。さらに、感染が落ち着いた段階で、認証店舗を対象として、「Go To Eat大阪キャンペーンプレミアム食事券」に、府独自でプレミアム率に上乗せをした支援もしてまいります。
 外出の自粛によって観光関連事業者は大きな打撃を受けています。府民が府内で旅行する際に、宿泊サービスの割引や観光施設などで使用可能なクーポンを配布することで、観光需要を喚起するとともに、路線バスやタクシー事業者が行う感染防止対策の取組みを支援してまいります。
 コロナの影響は飲食や観光、交通関連事業者のみならず幅広い業種にわたっています。協力金等の対象とならない事業者等の事業活動を支援するため、一時支援金を支給いたします。

 コロナ禍において、府民の暮らしの不安が増しています。厳しい雇用情勢に対応するため、民間人材サービス事業者と連携した雇用対策に取り組んでまいります。
 また、生活困窮者への生活福祉資金の貸付や、不安や悩みを抱える女性への衣類や生理用品等の提供、さらには、DV・児童虐待に対する相談窓口の充実など、府民の暮らしを支えるセーフティネットの対策にも、引き続き取り組んでまいります。
 子どもが家族の介護や世話をする「ヤングケアラー」が大きな問題となっていることを受け、まずは、府立高校での実態調査を進めるとともに、必要な支援につなげていきます。

 コロナによって、大阪の成長は一時的に大きく影響を受けておりますが、コロナの収束を見越して、成長を再加速させる布石を、今から打っていきます。そのけん引役となるのが万博とIRです。これらをインパクトに、「世界の中で躍動し、成長し続ける大阪」の実現に向け、再び大阪を成長軌道に乗せていきます。

 2025年大阪・関西万博は、ポストコロナの新たな未来を切り拓くシンボルです。
 国において、万博関連インフラ整備計画が取りまとめられました。年内にはカーボンニュートラルやモビリティなど、ソフト事業や規制改革の取組みをまとめたアクションプランも策定される予定です。地元開催都市として、万博のレガシーを承継するため、大阪の強みであるライフサイエンス・ヘルスケア分野におけるイノベーションの創出など、大阪の成長につながる取組みがプランに盛り込まれるように、国に提案をしてまいります。
 また、地元・大阪として出展予定の大阪パビリオンについて、明日、府・市・経済界で構成する委員会において、出展基本計画案が示される予定です。「REBORN」をテーマに、未来のヘルスケア体験などができる展示に取り組んでいくとともに、万博後も後世に引き継げるように、レガシーの承継もめざしていきます。
 万博の開催まで4年を切りました。プロモーション活動を加速化させるとともに、「いのち輝く未来社会」を実感してもらえる万博になるよう、国・府・市・経済界が一体となって取り組んでまいります。

 万博を成功に導くには、大胆な規制緩和が必要です。万博のコンセプトである「未来社会の実験場」の実践に向け、夢洲地区やうめきた2期で新技術の社会実証・実装ができるよう、年度内にも予定されるスーパーシティの区域指定をめざします。

 万博とともに、大阪・関西の成長のエンジンとして期待されるのが統合型リゾートIRです。昨日、MGM・オリックスコンソーシアムを設置運営事業予定者として選定をいたしました。今後、議会において、事業者と共同で作成する区域整備計画をご審議いただき、国への申請・認定を得たうえで、2020年代後半の開業に向けて進めてまいります。
 世界中から新たに人・モノ・投資を呼び込む、世界最高水準の成長型IRをめざしていきます。

 ポストコロナを飛躍させるもう一つの戦略が「国際金融都市OSAKA」の実現です。「経済の血液」ともいわれる金融機能の強化は、大阪・関西経済の再生・成長を図る新たな柱となります。
 今後、海外事業者に対するプロモーション活動やワンストップ窓口の設置を進めるとともに、年度末を目途に、独自の個性・機能を持つ国際金融都市の形成に向けた戦略を取りまとめてまいります。

 これらの取組みにあわせて、コロナによる変革をチャンスと捉え、府庁の形も変えていきます。
 大阪のまちづくりの司令塔となる「大阪都市計画局」を11月に、さらには、万博の準備を進める「万博推進局」を来年1月に、府市共同で立ち上げます。
 大阪の成長、さらには、人口減少・超高齢社会に対応した組織のあり方について検討を進め、令和4年度当初において組織体制の強化を図ってまいります。

 大阪で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから、1年8か月が経過しました。
 これからもコロナとの闘いは続きますが、皆様とともに、この未曽有の危機を乗り越えていく覚悟です。
 あわせて、これまで以上に大阪市との連携を強固なものにし、府市一体、広域一元化での大阪の成長、まちづくりを強力に推し進め、東西二極の一極となる副首都・大阪の実現につなげてまいります。
 議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。                   


 次に今次定例府議会に提出しました第1号議案から第41号議案まで及び第1号報告から第23号報告までについて、その概要を説明します。

 第1号議案及び第2号議案は、令和3年度一般会計及び特別会計の補正予算案で、緊急事態措置の実施や今後の感染状況等の変化への対応など、新型コロナウイルス感染症から府民の命やくらしを守るため、3,562億6,036万8千円を増額補正するものです。
 その主な内容は、新型コロナウイルス感染症対策として、命を守る最大限の感染症対策の強化に3,206億1,241万余円、大阪経済・雇用を支える取組みの推進に206億285万余円、くらしを支えるセーフティネットのさらなる充実に144億1,860万余円、公の施設の維持に3億5,273万余円を計上しました。
 なお、命を守る最大限の感染症対策の強化の取組みのうち、大阪コロナ大規模医療・療養センターについては、いつ起こるか予測できない災害級の感染爆発に備え、9月中に整備することといたしました。
 それに要する経費につきましては、議会からのご意見も踏まえ、必要最小限の初期経費のみを専決処分することとし、残る運営に係る経費については、議会でご審議いただくこととしました。
 また、新型コロナウイルス感染症対策以外に2億7,374万余円を計上しました。
 このほか、新たに債務負担行為を設定するもの2件の補正をお願いするものです。

 第3号議案から第18号議案までは、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
 第3号議案から第5号議案までは、モノレール道整備事業などについて工事契約を締結するもので、予定価格が5億円以上となるものです。
 第6号議案は、工事請負契約変更の件であり、都市河川改良事業に係る契約金額を変更するものです。
 第7号議案は、私有地への排水管の埋設に関する損害賠償の額を決定し、和解するものです。
 第8号議案は、指定管理者の指定を行うものです。
 第9号議案は、大阪府市新大学構想会議共同設置規約を廃止するものです。
 第10号議案は、大阪公立大学の設置に伴い、公立大学法人大阪の定款を変更するものです。
 第11号議案は、大阪府立病院機構が府から出資を受けた財産の一部を除却したことに伴い、定款を変更するものです。
 第12号議案は、大阪府立環境農林水産総合研究所が府から出資を受けた財産の一部を除却したことに伴い、定款を変更するものです。
 第13号議案は、公立大学法人大阪が徴収する授業料等の上限の変更について認可するものです。
 第14号議案は、公立大学法人大阪に係る第1期中期目標を変更するものです。
 第15号議案は、大阪健康安全基盤研究所が今後5年間において達成すべき業務運営等に関する目標を定めるものです。
 第16号議案は、大阪産業技術研究所が今後5年間において達成すべき業務運営等に関する目標を定めるものです。
 第17号議案は、大阪府立水都国際中学校及び大阪府立水都国際高等学校について、指定公立国際教育学校等管理法人を指定するものです。
 第18号議案は、大阪府道路公社が千里丘寝屋川橋有料道路の通行料金の割引等をすることについて同意するものです。

 第19号議案から第39号議案までは、条例案で、新たに制定するもの1件、一部を改正するもの18件、廃止するもの2件です。
 その主な内容について説明します。
 第19号議案は、情報通信技術の活用により、府民の生活の質の向上に資するため、スマートシニアライフ基金の設置、積立て、管理等について定めるものです。
 第20号議案は、大阪都市計画局及び万博推進局の設置に伴い、大阪府防災会議の幹事の定数を改定するものです。
 第22号議案は、公務におけるいわゆるフレックスタイム制度を導入するための規定を追加するものです。
 第23号議案は、国家公務員について、心身に著しい負担を与えると人事院が認める作業に従事したときの特殊勤務手当に関する規定が追加されたことに伴い、同趣旨の規定を追加するものです。
 第24号議案は、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の改正に伴い、非違行為である痴漢行為、盗撮等に係る規定について、同趣旨の改正を行うものです。
 第28号議案は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の改正により、乳児院等の長の資格要件を改正するものです。
 第31号議案は、大阪府国土利用計画審議会の権限に属する事項の一部について、会長において専決することができることとするものです。
 第34号議案は、大阪府住宅まちづくり審議会の名称を大阪府住生活審議会に改正するとともに、担任する事務を改めるものです。
 第35号議案は、指定公立国際教育学校等管理法人による大阪府立学校の管理に関する条例の制定に伴い、大阪府立学校条例等の改正を行うものです。
 第37号議案は、暴力団事務所の移転が活発化している状況を踏まえ、暴力団事務所の開設又は運営を禁止する区域に都市計画法で定める工業専用地域以外の用途地域を追加するものです。
 第38号議案は、大阪市と共同して万博推進局を設置することに伴い、大阪市において同趣旨の基金を設置するため、条例を廃止するものです。
 第39号議案は、大阪府市新大学構想会議を廃止することに伴い、条例を廃止するものです。
 第40号議案及び第41号議案は、人事案件です。
 第40号議案は、教育委員会委員 井上貴弘氏の任期が令和3年9月30日に満了となりますので、同氏を再任いたしたく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定に基づき同意をお願いするものです。
 第41号議案は、公害審査会委員15名のうち12名の任期が令和3年10月31日に満了となりますので、現在空席となっている3名と併せ、すべての委員を任命いたしたく、公害紛争処理法の規定により同意をお願いするものです。

 次に、第1号報告から第4号報告までは、地方自治法第179条第1項の規定により専決処分しましたので、同条第3項の規定により報告し、承認を求めるものです。
 第5号報告から第11号報告までは、地方自治法第180条第1項の規定により議会から委任をいただいている事項について専決処分にしましたので、同条第2項の規定により報告するものです。
 第12号報告から第21号報告までは、法律や条例の規定により法人の経営状況などを報告するものです。
 第22号報告は、副首都推進本部(大阪府市)会議の合意事項及び合意事項についての進捗状況について、大阪府及び大阪市における一体的な行政運営の推進に関する条例の規定により報告するものです。
 第23号報告は、令和2年度における豊かな環境の保全及び創造に関して講じた施策について、大阪府環境基本条例の規定により報告するものです。

 以上、ご審議を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、人権尊重の社会づくり条例に基づく基本方針については、先日、大阪府人権施策推進審議会の答申を踏まえ、変更案をとりまとめたところです。
 今議会において、府議会のご意見をお聴きした上で、基本方針を変更したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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