第40回人権啓発詩・読書感想文入選作品 読書感想文の部門【中学校(中学部)の部】 P.46

更新日:2022年3月31日

「どうして肌の色が問題になるの?」を読んで                                  交野市立第四中学校 1年 トンプソン 樹理

 あなたは、人種差別を知っていますか。最近ニュースによく取り上げられているので、少しですが私も人種差別について知っています。しかし、なぜ問題になっているかなど詳しいことは知りません。そんな私が、「どうして肌の色が問題になるの?」という本を見つけて、題名に興味を持ち、人種差別と肌の色に関係があるのではないかと思い、この本を読むことにしました。
 この本は、題名通り、実際にどうして人種が問題になるのか、人種差別がどういうもので、そもそもなぜ人種差別が存在するのかという質問に答えています。読む人が、人種差別がどういう仕組みで起きるのか、そしてそれに立ち向かうために何が出来るかについて理解できるように書かれています。それだけでなく、有色人の人々も私たちが、人種差別と戦うこと、そして違いを認め合うことを願い、人種に関する体験を共有してくれるページもたくさんあります。
 この本の中で、一つびっくりしたことがありました。それは、ある国の大統領や女王など国の代表でも人種差別的な行動をするということです。一つ目の出来事は、ドナルド・トランプが大統領だった頃にした行動です。バラク・オバマはアメリカ合衆国の大統領に当選した時、世界中で最も力を持った男性の一人になりました。それでもオバマは彼の肌の色と祖先がケニア出身であることに対する偏見のせいで、人種差別的な扱いを受けたり、殺害の脅迫を受けたりしました。その次の大統領となったトランプは、オバマがアメリカ人であることを信じようとせず、オバマに出生証明書を見せるように要求しました。トランプ元大統領以外にも失礼なことをした人達はいましたが、国の代表としても、人としてもとても最低な行動だったと思います。二つ目の出来事は、女王エリザベス一世の行動です。有色人の人々は、何千年も前から英国の島々に住んでいました。しかし、時々、国民全員が白人である存在したことのない英国を想像したがる人がいます。千五百五十八年から千六百三年の間英国をおさめていた女王エリザベス一世も、そんな国を夢見ていた人の一人でした。今から約五百年前、女王は「この国にはすでに黒人がいすぎる。」と言って、ロンドン市長にすべての黒人を国の外に追いやる法律を作らせようとしましたが、この試みは失敗しました。もしこの試みが、失敗しなければ今はもっと人種差別が行われている社会になっていたと思います。このような国の代表もいますが、英国で二千十年平等法という人種を理由にした差別を禁止する法律ができました。これを知って人種差別を無くそうとするために、努力している人たちもいることが分かりました。完璧な人間などいませんが、国の代表としてもこのようなことは、してはいけないと思います。なぜなら、幼い子供、子供だけでなくその国の国民の人たちが人種差別をすることは良いことではないのに、悪いことではないと思ってしまうと思ったからです。
 一番印象に残り、勉強になったのは次のような文章です。人種差別をないもののように扱う方がより簡単な選択肢のように思えるかもしれませんが、それで人種差別がなかったことになるわけではありません。もし、人種差別について話すことができなければ、人種差別を認識することもできません。人種差別を認識することもできなければ、人種差別に立ち向かうことができません。人種差別に立ち向かうことができなければ、私たちの暮らしや、私たちが生きる社会は、絶対に良い方向に進むことはないでしょうという文章です。この文章で、良い社会を作っていくためには、私も人種差別に立ち向かうことができる人にならないといけないことに、気づくことができました。そのために、まずは、自主的に人種差別について理解しようとすることから、始めていきたいと思いました。そして、友達や家族のいる私の身近な場で、差別に立ち向かおうと思います。この考えを、私に教えてくれたのは、この本で、人種差別を受けた人の体験談について語った人たちの中の一人、ニケシュ・シュクラさんです。よく有色人である彼が、人種差別と闘う時にどうしたら彼を助けることができるのかと聞かれることがあるそうです。そんな質問をする人達への答えはこうです。「僕が人種差別と闘うのを手伝う義務はない。あなた達には、身近な場で差別に立ち向かう義務がある。」といいます。すぐに行動するのは少し難しいかもしれませんが少しずつやっていきたいです。
 この本は、とても読みやすくて、私の人種差別の問題についての疑問も全部解くことができたので、読んでよかったと思います。それから前よりも人種について深く知れました。

「どうして肌の色が問題になるの?」 
著 ニケシュ・シュクラ/
クレア・フーチャン
訳 大嶋 野々花
創元社

 

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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