第14回 大阪府男女共同参画審議会 概要
開催日時:平成17年4月12日 火曜日 17時から18時30分
場所:大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)5階 大会議室2
出席委員:会 長 徳矢 典子 弁護士
会長代理 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
足立 眞理子 大阪府立大学大学院人間社会学研究科教授
井上 泰子 財団法人大阪府人権協会評議員
奥林 康司 摂南大学経営情報学部教授
木戸口 公一 大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部長
木村 涼子 大阪大学大学院人間科学研究科助教授
竹中 恵美子 大阪府立女性総合センター館長
畑 律江 毎日新聞社学芸部編集委員
福島 伸一 松下電器産業株式会社取締役
村上 正直 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
山縣 文治 大阪市立大学大学院生活科学研究科教授
脇本 ちよみ 日本労働組合総連合会大阪府連合会副事務局長
会議の概要:
1 開 会
2 議 事(注:文中「主な発言等」における〇印は委員、●印は事務局によるもの。)
(1)「おおさか男女共同参画プラン」の改訂に関する基本的な考え方について(骨子案)
(1) 事務局説明【資料1、2】
(2) 主な発言等
〇 今後の日本の人口減少にどう対応すべきかが、国の次世代育成支援の発想の根本にある。
次世代の育成が大事であり、そのためには、男女がイコールパートナーシップを築いてい
かなければならない、というのが、最近のフレームワークのように思う。そういうしくみ
づくり、具体的には、女性が働き続けることのできる職場環境づくりや、保育所整備等が、
今後の重要な課題になってくるだろう。
〇 女性の育児休業取得率73.1%(資料2)は、仕事を辞めずに取得した人の率であり、この
背景に子どもができて仕事を辞めてしまった人があるということを踏まえた状況の分析が
必要である。
〇 チャレンジ支援では、消防士や保育士のように極端に一方の性に偏っている職種に、ど
う相互乗り入れしていくかという視点も大事である。そのためにはまず、実態把握のため
の統計整備が必要である。
○ 雇用形態の流動化の中で増加している非正規職員の問題にも配慮する必要がある。それ
と、少子高齢化で次世代育成支援が大切だというのは分かるが、子どもが育つのには20
年かかるわけで、少子高齢化を前提として考えていくということも一方で必要ではないか
と思う。
○ 現在の国際的な労働問題の大きな流れに、企業におけるCSR(Corporate Social Responsibility)
の問題があるが、日本ではCSRの大きな柱である従業員の人権問題にあまり触れられて
いない。企業におけるCSRの必要性と、そのための人権、特に雇用を巡る機会均等の問
題を重点項目として打ち出していく必要がある。
○ 審議会等委員への女性登用が3年間で約7%増と、急に数値が伸びた理由は何か。
● 平成13年度のプラン策定の際に、庁内体制を強化すべく、知事をトップとする男女共
同参画推進本部のもとに、次長を構成メンバーとする男女共同参画推進責任者会議を設置
した。そこで、毎年各部局の登用計画をチェックし、計画的に目標達成に努めてきた結果
である。
○ 妊娠・出産に伴う不利益取り扱いなど、女性が働き続けることを困難にする状況が依然
ある。特に大阪府は、全国平均より、女性の就労を表すM字カーブの底が低く、合計特殊
出生率も低い。そういう部分も課題に位置づけられたい。
○ 女性の再就職というとほとんどがパート労働になるが、正社員との給与格差が大きく、
悔しい思いをされているということをよく聞く。一方で、若年者を中心に、男性のパート
労働の比率も増えているという実態がある。働き方が多様であるということは決して悪い
ことではないが、多様性を保障するという意味で、賃金格差の問題等にも焦点をあてた議
論がなされればと思う。
○ 16項目の状況(資料2)や環境変化を踏まえて、大阪府ならではの重点施策を絞り込む
必要がある。その際大事なのは、府民の目線と、時間と目標の設定である。(重点的な取
組期間を)3か年に区切るのは良いことだと思う。ただし、できない目標を設定しても意
味がないので、少しストレッチしたら届きそうだというターゲットを設定することが大事
である。
○ 例えば、知事を本部長とし、経営者団体や労働団体といった各種団体をメンバーとする、
従来とは異なる推進体制を打ち出し、大阪府トータルで、重点施策を3年間かけて進めて
いく。そういうものがあれば、大阪府が本気でやろうとしていることが府民にも伝わるの
ではないか。
○ 一部自治体で、女性のチャレンジ支援推進のために、都道府県レベルの協議会をつくっ
たところがある。また、大学主導で、行政、企業、大学の3者が連携して男女共同参画フ
ォーラムをつくる動きも出てきている。各種団体もそういう場で議論する中で意識も変わ
っていくだろうし、大学としても、若い世代、特に女子学生の就業が課題となっており、
企業人と男女共同参画をめぐって出会う場が持てるのは有意義だと思う。
○ 次世代育成も大事だと思うが、少子化問題と男女共同参画の問題が一緒にされる傾向が
あるのが気にかかる。このプランが、一つの生き方に価値づけを行うものになってはいけ
ない。少子高齢化は大前提なんだという立場に立って、そのことを踏まえた施策をしてい
くことも大事だと思う。
○ 職場や雇用に関して、法律や制度は整備されてきたが、育児休業中の代替要員の確保を
どうするかなど、依然問題は残されている。この辺をきめ細かくフォローしていく必要が
ある。
○ 今の時代、企業は、単に経済活動を行うだけでなく、環境や人権などへの配慮も求めら
れるようになってきている。このような中で、企業の女性管理職の割合が非常に少ないと
いうのが気になるところである。企業への啓発も引き続き必要だと思う。
○ 次世代育成支援というと、即、保育所の話になりがちだが、保育所問題だけに特化する
と、女性にまた負担を強いる部分があるのではないかという気がする。
○ 今、特に福祉関係は、交付金化、市町村化が進んでおり、府が直接できることが限られ
てきている。市町村に任された福祉サービス等との関わりにも触れておく必要がある。
○ 審議会委員への女性登用で、庁内における男女共同参画推進本部や推進責任者会議とい
った、中心的なところでのいわゆる「主流化」が効果を上げたという話があったが、大阪府の
こういう取組をもっとアピールしてもよいのではないか。また、(女性委員の登用計画に)
チェックが入るという話があったが、こういう施策を進めていく場合の評価システムをつ
くるということも非常に大事である。
○ 次世代育成に関しては、保育施設等のハードももちろんだが、育児・介護休業の取得が進
まない理由として職場環境の問題がよくあげられるように、職場や働き方といったソフトの
部分をどう変えていくかが非常に重要なことだと思う。
○ 私の周りにもパート労働や、本当に家内工業的な、小規模の仕事に就いている女性がたく
さんいる。府民意識調査の結果については、数字の上がり下がりだけではなく、その裏に隠
れている現実をしっかり見ていくことが大事である。
○ 10項目の「施策の基本的方向」(資料2)というのは今の方向性であり、男女共同参画
という点では最終的には、「異性に対する暴力の根絶」、「両性の生涯にわたる身体的・健
康的な健康の確保」となるべきだと思っている。もちろん、女性にとってこれらが非常に重
要だということは理解しているが、30代男性の就業時間の長さ、50代男性の自殺率の高
さ等をみれば、男性の健康を守ることも大事である。男女の性差を踏まえた上で、両性の健
康をサポートしていくことが本当の意味での男女共同参画につながると思う。
○ 子どもたちは幼少時からジェンダー、ステレオタイプを身につけており、やはり教育が非
常に重要である。乳幼児も含めた子どもたちへの教育が20年後の男女共同参画につながる
と思う。次世代育成支援対策の根底にあるのは、数を増やすことではなく、質をどうするか
ではないか。子どもたちが男女平等の意識を持って育ち、それぞれの立場、尊厳を認め合う
中で、実は子どもの数が増えていくのではないかと思う。
○ 資料1の3-(1)-2の次世代育成支援だが、例えば、男性の子育て参加の促進や、男女が
ともに働きながら子育てができる環境づくりなど、ここにある「男女共同参画の視点からみ
た」という中味を明確にすれば、少子化の問題と男女共同参画の問題が食い違わずにすむの
ではないか。
○ 女性のチャレンジ支援で、資料1の3-(1)-3の書き方だと、垂直方向のチャレンジしか
念頭にないような印象を与える。国も言っている、垂直、水平、再チャレンジの3つのチャ
レンジを明記したほうがよい。
○ 新たに提起された社会問題への対応として、若年失業、特に、若年女性の問題を取り上げ
られたい。
○ 教育については、大阪府としての施策を整理して、もう少しわかりやすい目標がたてられ
ないか。
(2) その他
次回審議会は7月上旬頃に開催予定。
3 閉 会
配付資料等:
このページの作成所属
府民文化部 男女参画・府民協働課 男女共同参画グループ
ここまで本文です。