■小崎氏
赤のマイ箸を「使う方」にお願いします。
○来場者(赤)
わたしは、食堂のカウンターの前で箸がずっと置いてあって、それを入れ替えるのが見えるところにいるんですが、不衛生です。なので、マイ箸を使います。
■小崎氏
衛生的に割り箸が入れられてないということで、マイ箸をお使いになるということですね。
もうお一方赤(使う)をあげられている方にお聞きしてみましょう。
○来場者(赤)
わたしはマイ箸をいつもは持ち歩いてはいないんですけど、そういう立場になったときには、まず1つには割り箸がゴミにつながるという点で、マイ箸を使うというのと、もう1点は今までは洗い方が不十分で衛生的に問題があるんではないか、ということでちょっと良くないことがあるのかもしれませんが、友達が適切な意見を言ってくれるのであれば今後はマイ箸をちゃんと洗って使っていけば、環境にもつながるし、自分の中でも安心感につながるので、マイ箸を使っていこうと思いました。
■小崎氏
衛生的に管理できればマイ箸を使うということですね。
青の「使わない」という方はいかがですか?
○来場者(青)
僕は使いません。エコロジーに関心がないわけではないですが、マイ箸を使うことにどれほどの意味があるのかという疑問を持っていることと、理論的にどうかということは別にしまして、昔、医学部の友人から、割り箸には間伐材を使うからエコに関係ないんだと、何年前かに聞きました。
今は輸入材が結構使われていると聞きますが、それが輸入材か国産の間伐材なのか、わからないと意味がないので、「使わない」にしました。
○来場者(青)
外食した場合は、すぐ洗えないということがありますので、「使わない」にしました。
■小崎氏
エコの問題や衛生管理、洗う場所の問題など。様々なご意見がありました。今木先生はいかがですか?
○今木氏
わたしはマイ箸は「使う」と思ってます。さきほどの「間伐材を使うから、木を有効利用する」ということについてですが、調べたところ、日本の場合はいいんですけども、諸外国から入ってくるのは間伐材をではない。
最終的に9割以上が輸入されていますので、地球レベルで考えるなら、使わないほうがいいのではないかと。
エコの観点からいうならば、マイ箸を使えばいい。さきほど「洗うところがない」という話があったんですけども、朝、昼続けて外食ということはないと思いますので、家に持って帰って洗ってもいいはずですし、それで衛生面には問題ないと思います。だから理論からいいますと、マイ箸は使います。
■小崎氏
学生代表の川西さん、ご意見お願いします。
○学生代表
川西さん わたしも普段は持ち歩いていないですが、環境を考えたら、持ち歩くと思います。質問の中では「洗い方が不十分で汚い」とありますが、自分で洗った箸と、輸入されてどんな漂白をされてどうやって作られてるかわからない箸と、どっちか安全かと言われたら、それも疑問なので、「マイ箸を使う」を選びたいと思います。
■小崎氏
非常にエコに関心があるということですね。南さんはどうですか?
○学生代表
南さん エコに関心があるとすれば、使ったほうがいいと思います。私自身は、割り箸には強い関心を持っていなかったので、マイ箸は使っていないですし、これからも使おうとは思ってないです。
■小崎氏
箸は1つの文化ですし、マイ箸は非常にいいことなんですね、林先生。
○林氏
それぞれのお考えの中で、賛否両論色々だと思います。日本人として、割り箸文化というのは、今までの歴史の中でちゃんとあるんですね。贅沢な環境もあるんでしょうけども、その一面だけで割り箸を廃止するということになりますと、反対に意見を述べさせていただきます。
箸にはいろいろな形があり、それぞれに寸法で規格された文化がある。本来箸というのは、「ハレの日のお箸」というんですが、祝い事をする時の箸がある。それに対して、普段のお箸、これを「ケの箸」といいますが、普段の箸の用途の中で、どれだけ環境を整備ができるかということを考えるべきであって、割り箸そのものがいい・悪いの問題では、わたしは語られてほしくないんですね。
一般的にいわれてる、普通の形の、6寸タイプの短い、コンビニで置いてあるのが「ケの箸」だと思いますが、いろいろないわれがあって角をとっている箸の形状もありますし、利休箸という両方が細くなってるのもありますので、「箸の文化」を無くさず、それを踏まえたうえで、無駄な形でのご利用をやめていただきたいという気持でいっぱいです。
■小崎氏
箸ひとつとっても、元旦は、利休箸でスタートするんですね。
○林氏
そうですね、普段のお箸とハレの箸と、両方使ってるのは、何百年も前から「割り箸文化」があるからですね。その文化もちゃんと残していただけたらと思います。
■小崎氏
今日は長い間、林先生にお付き合いいただいていますが、特別講演「大阪で食を考える」の中で、特に感銘を受けましたのは、テレビでケーキを見せておいても食べられない食物アレルギーのお子さんがおられると。
その食物アレルギーについて、料理人としてたとえば、それを管理してお子さんにものを食べてもらう時、どういったお考えでやっておられますか?
○林氏
例えば、私の子どもが食物アレルギーだったということであれば、全力投球で、その食を担当すると思うんです。お母さんがよく言われてるのは、「アレルギーだから、何と何に反応するから」と調べるところまでは言うんですが、どの程度の症状になるのかをもっと追求してほしい。
ご自分がなされてないものを他人に、その浅い知識のまま、プロだからということで依頼いただいても、全然対応がきかないというのが現実なんですね。
アレルギーの部分でも、ひとつわかっていても、状況によっては全部変わってくるらしいんです。
今、アレルギー専門の先生にお願いしているのは、まず、プロがお仕事の中でできる範囲でということです。アレルギーを持っているお子さんのことを考えて作っている商売はほとんどない。食業界でも無視してきたということがあると思うんです。
ですから、今、われわれ大人が、これから大きくなっていく子どものことを考えて、きちんとした知識と技術を持ったプロを増やしていかなければならない。
いかに美味しく、いかにきれいに見せるかという技術も大事なんですが、お客様のことを必ず念頭に置いて、ものづくりをしなければならない。
まずお医者さんとお話しをさせていただきながら、1人1人のお子さんの症状に合わせて、そのお子さんの気持を大事に、いかにしておいしく、きれいな食べ物を提供できるかを、今、研究させてもらっています。
■小崎氏
それは心強いお話です。今木先生、今のお話ですが、なぜ食物アレルギーが多いんでしょうか。
○今木氏
環境の問題もございますし、子供さんたちの免疫も含めての虚弱性というのもありますし、外からの問題、内からの問題、それぞれが絡み合っている
と思います。
症状の個人差もかなり大きいですから、林先生が言われましたように、その対応も、「この抗生物質で治る」というようにはいかなくなっている。その関連性がまだよくわからないというのが、我々も感じているところです。
■小崎氏
確かに、これは永遠の課題ですし、学問的に見ても原因はなかなかわからない。ただ現実問題があるので、林先生はご苦労されていると思います。
林先生、今回のテーマである「うまい食べ方」というのは、どういうことでしょうか。
○林氏
「うま(美味)い」というのは、毒です。ですから、毒を食べてるつもりで食べていただいたらいいかなと思います。人間の機能の中で、舌がまず第一に感じてくれると思うんですけども、偏らないものはそれほど「うま(美味)い」と感じない。
「うま(美味)い」ものは必ず毒になりますから、自分自身でバランスをとって加減をしていただく。量を食べ過ぎない。偏らない。個食になってしまわない。いろいろなものを含めた上で、料理を見てほしい。
ですから、見た目も味のひとつです。匂いもそうです。そういうものがバランスよくちゃんと備わったものが「うま(上手)い」ものだと思うんですね。だから、見た目だけや珍しさだけの単独では追求しない。
これが「うま(上手)い食べ方」ではないかなと思います。
■小崎氏
ありがとうございます。学生代表の女性の方がおられるので、今の話を聞いて、何かコメントしていただけますか?今食生活とか、どういうことを気にされていますか?何か気を使ってお食事さ
れてますか?
○学生代表
川西さん 学校にいる時間が長いので、コンビニの食べ物を買う機会も多いですし、なかなか実験の合間に食事にいけることもないですし、お弁当を作ってくる気力はもちろんないので、コンビニのお弁当を食べることが続かないようにとは、気にはしています。
■小崎氏
南さんはどうですか?
○学生代表
南さん 今の生活は、そんなに忙しくないので、お金をかけないことを第一に考えていて、まだ栄養をそこまで考えなくてもと思っているので、おにぎりだけにぎってくるとかしています。
■小崎氏
会場のほうから何かご質問等ございませんでしょうか?
○来場者
食品添加物メーカーに勤めております。今、加工食品は食品添加物がなければ成り立っていかないし、こんなに日本中栄養がしみわたっているのも、飢餓してる人もいないというのも、ひとつには添加物の効用もあってではないかと思っています。
今、そういった食品添加物の効用をいかに正当に評価をしていただき、使うか使わないかを選んでいただきたいと思っているところです。みなさんに広く理解していただくために、どういうことをやったらいいかなと、ヒントをいただけたらと思います。
○林氏
確かに添加物が全部悪いわけではないですし、たとえばパンづくりにしても、添加物と称されてしまう部分と、どうしても必要な部分とを整理することは必要ですね。
ただ、あまりにも一般の方々から添加物までの距離がありすぎる。添加物も色々な記号で書かれているものがありますので、一般の方にもいったい何なのかわかるような表示の仕方、あるいは目に留まるような活動をしていただけることが一番安心なのかなとは思います。
■小崎氏
ありがとうございました。今お話していただいているように、おそらく食の安全で、添加物が担っている部分は非常に大きいと思います。でないと、今の消費期限、賞味期限も意味をなさなくなります。
ただ一方で、食べ物にそういう化学物質を入れるというのはやっぱり、という考えもある。
すべての化学物質を悪者にしてしまうのではなく、それをどのような角度で、どういう目的で使っているのかを明記していただく、そういうことかなと思っております。
今日は、食の安全安心シンポジウム「美味くて上手い食生活」ということで、このような会合を催させていただきました。
食の安全に関する問題は自分自身の問題でもあるし、お子さん、おじいちゃんおばあちゃん、という方の問題でもある。それぞれ個人個人が様々な意見をお持ちであり、その中で全体の問題として食の安全安心をどのように確保していくかというのは緊急の命題でありますが、いろいろな考え方の中から新たに気づくことがあったのではないかと思います。
学生のみなさんも、今後また少しでもこのような問題について考えるチャンス、あるいはそういう場を持っていただければ、と思っております。
このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室食の安全推進課 食品安全グループ
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