平成22年1月教育委員会会議会議録

更新日:2023年4月25日

大阪府教育委員会会議会議録

1 会議開催の日時

 平成22年1月15日(金曜日)
  午前9時30分 開会
  午後0時30分 閉会

2 会議の場所

 大阪府教育委員会委員会議室

3 会議に出席した者

委員長生野 照子
委員長職務代理者小河 勝
委員隂山 英男
委員中尾 直史
教育長中西 正人
教育監田中 保和
教育次長向井 正博
教育総務企画課長藤井 睦子
人権教育企画課長野内 勲
教育振興室長楠野 宣孝
高等学校課長津田 仁
支援教育課長村上 慶太郎
副理事兼保健体育課長中尾 俊治
市町村教育室長藤村 裕爾
小中学校課長角野 茂樹
児童生徒支援課長梶谷 尚義
地域教育振興課長太田 浩二
教職員室長角  善啓
教職員企画課長大西 弘之
教職員人事課長橋本 正司
施設課長田中 稔崇
文化財保護課長野口 雅昭
財務課長久木元 秀平

4 会議に付した案件

第1号議案「平成22年度府立学校に対する指示事項」及び「平成22年度市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
第2号議案職員の懲戒処分等に関する取扱い基準等の制定について
急施議案大阪府教育委員会と政令指定都市教育委員会の連携について
報告事項1平成22年度当初予算要求の状況について
報告事項2卒業式及び入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱について
報告事項3幼児教育推進指針の改定について

5 議事等の要旨

(1)会議録署名委員の指定
隂山委員を指定した。
(2)前回の会議録について
全員異議なく承認した。
(3)議案の審議等
 ◎第1号議案 「平成22年度府立学校に対する指示事項」及び「平成22年度市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
【議案の趣旨説明(高等学校課長・小中学校課長)】
 府立学校の教育の指針とするため、毎年度当初に府立学校の全職員に配布し、周知徹底を図っている件である。
 市町村教育委員会に対する指導・助言の基本方針として、毎年度当初にとりまとめ、周知徹底を図っている件である。
【委員の質問及び意見】
隂山委員 指示事項、指導・助言事項は最も重要なことだと思う。この間の府教委の教育行政が府民の信頼に足るものだったかを再検証する必要がある。府教委の指導性と市町村教委、各学校の自主性をつないでいき、市町村自身がその責任を自覚していただきたい。
その意味で、市町村に責任を自覚させる項目が必要になると考える。府の責任と市町村の責任とは何か。学力テストについては、その結果は都道府県ごとに公表されるから、市町村では責任を持ちきれない。私たちは、読み書き、計算、モジュール等の必要性をこれまで繰り返し訴えてきた。そうしたものを前文に盛り込むことが府教委の責任だと思う。
中尾委員 私もこれらをつぶさに読んだが、府教委の役割は何なのかを考えないといけない。企画立案と実行のほかに必要なことは、監査である。直接府ですることと市町村ですることとはきっちり仕分けすべきだし、それをどう学校現場に浸透させていくかであるが、指示や指導・助言も出すことが目的ではない。学校でどう実行されているかつかんでおくことが必要である。指示や指導・助言が出されて、校長がそれらをどう使っているか。
「校長のリーダーシップ」という言葉もいっぱい出てくるが、本当に校長がリーダーシップを発揮できる体制になっているのかも疑問である。学校は4月1日にスタートするのだから、校長は3月末までには学校経営の計画をつくり、誰に何をさせるか決まっていないといけない。
ところが、今の状況ではどうか。新たに赴任した場合、校長は1年間様子を見ないといけない状況になっている。校務分掌の長を決めることについても、校長がこれをしたいからこの人にと任せるものだが、実際には教員が投票で決めている場合もある。指示事項や指導・助言事項に書かれていることはいいことなのだが、実際問題としては十分機能していないと思われる。
小河委員長職務代理者 今の二人の意見は、根本的な問題提起である。組織体としての府と市町村との問題、それと時系列的な問題、いずれも十分機能していないのではないかということである。本当に、府として一丸となった教育施策を確立していかないといけない。ただ、府と市町村との役割の問題については、すぐには結論が出ないだろう。
隂山委員 我々は、数字を突きつけられている。今ある枠組みで何ができるのか考えないといけない。これで府民の信頼を得られるかである。我々は逃げられない。今、教育現場においては責任感がない。市町村の責任を明らかにするだけでも随分と違うはずである。府教委としては何をもって責任とするか、どう市町村に指導していくか明確にしておくべきである。
中西教育長 名称についても、従来「要望事項」としていたものを、昨年度から「指導・助言事項」とし、責任を明確にしたつもりである。また、「モジュール」等についても触れ、細部は市町村に任せるが、府教委として方向性を明確に打ち出している。
生野委員長 指示事項や指導・助言事項は毎年出すものだが、基本の「キ」に当たるものであろう。他にも段階を踏まえた基本プランのようなものがあるだろうが、指示事項、指導・助言事項をどう位置づけるか。そんなに変わらない憲法のようなものだろうが、その時々で何が変わったかは非常に重要である。その点が少し分かりにくい。
中西教育長 今回は、前文と取組の重点の部分で分かりやすくしているつもりである。
津田高等学校課長 説明会の実施と文書通知によって徹底していく。また、各学校においては、校長が職員会議等で周知徹底を図っていく。
中尾委員 民間企業だと、重点以外の部分は各事業体によって違う。具体的な数値目標を示して、各事業体はその中から個別の目標を選択するという場合もある。これを出したら、各事業体は中期的な計画を立てないといけない。民間であれば、各事業体から報告を求めるなどのやりとりがあるが、今は指示事項等が出しっぱなしの状態になっている。
事業体とのやりとりをした上で、校長が経営方針を出すべきである。学校によっては、例えば、授業アンケートより生徒指導を重点化しないといけないという場合も出てくるだろう。指示事項や指導・助言事項に書かれているものは抽象的なものが多い。数値目標を示さないといけない。
隂山委員 従来型の価値観から転換しないといけない。以前、学力テストの報告を受けた際も、みな数値がなく抽象的なものばかりだった。府民が求めているのは具体的な数値である。小学校の学力はともかくとして、中学校と、他には体力が残っている。今後いっそうモジュール等にドライブを入れないと、昨年の結果が帳消しになってしまう。
中西教育長 4ページの「取組みの重点」の部分にモジュール等の文言を入れるなどして書き換え、責任を自覚できるようなものにする。数値目標等については、スケジュール感も含めて検討させていただきたい。
生野委員長 府と市町村との役割や、指示事項、指導・助言事項の位置づけが変わってきている。毎年度、確認的にされていたものが、より具体的で実用的なものへと変化してきている。市町村がどう動いていくかという責任も併せ、学校が実態に即したプランを出してもらい、時期も含めてチェックしていけるよう、どうしていけばいいかということを、これをきっかけにして議論していけばいいと思う。
【採決の結果】
 本日の審議を踏まえた修正をすることで決定した。

第2号議案 職員の懲戒処分等に関する取扱い基準等の制定について
【議案の趣旨説明(教職員人事課長)】
 大阪府教育委員会の任命に係る職員の懲戒処分等について、その取扱い基準、大阪府教育委員会懲戒処分指針及び大阪府教育委員会分限懲戒審査会規程を定める件である。
〔実施期日〕平成22年1月15日
【委員の質問及び意見】
中西教育長 懲戒処分の結果については、学期ごとにまとめて報告するなどしていきたいと考えている。ただし、特異なケースや判断に困るようなもの等については、随時柔軟に報告するようにする。
生野委員長 その方向でよいと思う。
【採決の結果】
原案どおり決定した。

急施議案 大阪府教育委員会と政令指定都市教育委員会の連携について
【議案の趣旨説明(教育総務企画課長)】
 大阪府教育委員会と政令指定都市教育委員会の連携について、次のとおりの方針とする件である。
 大阪の教育力の向上に向けて、大阪市教育委員会及び堺市教育委員会と連携して取組みを進めていくため、平成22年1月14日に開催された大阪府、大阪市及び堺市の3教育長による懇談会で、「生徒指導」「教員の人事交流」「学力向上方策」「教師力の向上」などの連携の方向性について、確認した。
 今後、大阪市教育委員会、堺市教育委員会における協議結果も踏まえ、3者での最終合意としていく。
【委員の質問及び意見】
生野委員長 細かい点はこれからも調整していただくこととして、大きな方針についてはこれでよいと考える。
隂山委員 結構なことだと思う。
小河委員長職務代理者 できるだけ実践的な形になるようにお願いする。
【採決の結果】原案どおり決定した。

報告事項1 平成22年度当初予算要求の状況について
【報告の趣旨説明(教育総務企画課長)】
 平成22年度大阪府教育委員会当初予算要求の概要(平成22年1月15日時点)等について、報告する件である。
【委員の質問及び意見】
中尾委員 学力テストについて、平成22年度は実施しないということか。
角野小中学校課長 平成22年度は国の学力テストがあるので、それに参加する。平成23年度には府の学力テストを実施する予定。ただ、平成22年度においては各市町村教委は希望利用ができるので、自身の2割の抽出のほか、残りは希望利用をすることで動きを止めないで行える。市町村が希望利用調査をした場合には、集計分析ソフトを提供するなどし、インセンティブとして市町村が分析しやすいようにする。
中尾委員 高校の授業料無償化だが、月額144,000円と標準額118,800円の差額についてはどのような状況か。
藤井教育総務企画課長 差額でだいたい23億円くらいある。これまではその差額を高校の特色づくり等の財源としていた。その部分については、国から交付金等で負担される方向と聞いている。
中尾委員 3月には受験があるが、スケジュール的に問題ないのか。学校現場が混乱しないようにしなければならない。
藤井教育総務企画課長 法案がもう間もなく出てくるが、その法案と交付金等の状況を見て、その時点、その時点で方針を決めていかざるを得ない。かなり遅いスケジュールになっているが、授業料については基本的に大阪府も不徴収とする方向である。国からどれだけ財源が補てんされるかが問題となってくる。
中尾委員 あと、人件費についてだが明記されていない。教育予算のほとんどを人件費が占めているのだから、はっきりしておく必要がある。通常、民間企業ならまず人件費から精査していくものである。
藤井教育総務企画課長 人件費については現在作業中で、最終予算案の段階で内容を含めて報告する。
報告事項2 卒業式及び入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱について
【報告の趣旨説明(高等学校課長)】
 卒業式及び入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱に係る各府立学校への通知等について、報告する件である。
【委員の質問及び意見】
隂山委員 大体こんなものだと思う。現場で問題が起これば、教育委員会が引き取る形で対応するということだろう。
中尾委員 これは「常時掲揚」を意味しているのか。
津田高等学校課長 府議会決議には、「常時」という言葉は入っていない。教育委員会としては、指導要領に定められた部分についてはよりしっかりとやっていく必要があると考えている。それ以外の部分については、学校の自律的な判断に任されることであると考え、このような形にしている。
小河委員長職務代理者 府議会が条例化するかどうか検討されていたときに、条例化まですることではないということで決議になったのだろう。今まで指導してきたことを改めて確認するということだと思う。
隂山委員 知事も学校現場に強制は妥当でないと言っているし、教育と行政は切り分けるという大原則もある。結局、学校現場は何を基準にするかというと学習指導要領である。指導要領と府議会決議とではどちらが優先するかというと、学校現場では指導要領ということになるだろう。ただし、府議会決議という府民感覚もあるから、府民の意見を踏まえて通知文をこういう形にしたということだと思う。
生野委員長 種々の事情の中で、こういう書きぶりで妥当なところだと思う。
報告事項3 幼児教育推進指針の改定について
【報告の趣旨説明(小中学校課長)】
 幼児教育推進指針の改定の経緯、概要等について、報告する件である。
【委員の質問及び意見】
小河委員長職務代理者 幼児教育の内容は、どんどん進展している。脳の発達と育ちの関係も研究されたりしているので、その辺りのことを取り入れていったらよいと思う。乳幼児の教育を改革していくことは、長い目で見て非常に重要である。子どもたちの発達のプロセスでは、感覚の発達とともに、言葉の発達が大事であろう。また、校庭の芝生化事業が進んでいるが、こうしたことはむしろ乳幼児期にこそ必要となるものである。
指針には、認定こども園、幼保一元化ということが書かれているがそれらをどうしていくのか、さらに具体的な問題として出てくる。中学校で小学生時代のゆがみを直すのは大変なことだが、小学校で幼児期のゆがみを直すことも大変である。人間の発達を合理的に考えるなら、藪の中に入り込んでしまう前に、行政的に子どもの育ちを政策化していくことがポイントだろう。幼児教育というものをぜひ有効にいかしていっていただきたい。
角野小中学校課長 今回、保育指針と幼児教育指針とが同時期に改正され、教育内容の整合性が確保され、一元化されたので、今後はこれらのことを実効あるものにするための仕組みづくりが大事であると認識している。
中尾委員 まず、推進指針というのは何なのかをはっきりさせる必要があると思う。課題を列挙しているが、それでは分かりにくい。誰を対象にしていて、進捗管理は誰がするのか、あるいはどの主体が何をするのかも判然としない。
角野小中学校課長 府としては、幼児教育に関する今日的な課題を示し、市町村等においてプログラム化を図ってもらいたいという趣旨である。
中西教育長 幼児教育については、教育委員会が直接実施できるところが限られている。そのため、教育委員会と知事部局の私学幼稚園所管課と福祉保育所所管課とが連携してこうした指針を作成している。現状では公立は教育委員会、私学は知事部局ということで所管は分かれているが、しっかりと連携して、内容の進捗管理もしていく。
中尾委員 これは指針というより課題だと思う。だから、しっかりと取り組んでいかなければならないと思うが、これをどう進めていくかである。
小河委員長職務代理者 幼稚園と保育園は、概念からして違うもので組み立てられていた。だから、職員体制も設備も全然違う。この2つを一元化することに、今、非常に無理がある。制度面から変更すると無理が生じてくるので、内容面から熟慮して構築していかなければならない。
角野小中学校課長 こうした指針の策定が1つのきっかけになると思う。その上で、府としてしっかりと市町村等を支援していきたい。
生野委員長 幼保一元化という言葉が出てきたのはもう10年ほど前であるが、そのころ、市の指針の策定に関わったことがある。そのころの内容とあまり変わっていない。その間に変わったことといえば、認定こども園のような場つなぎ的な制度ができたことくらいで、現場はその場凌ぎの対応に追われているだけ。この10年間、大事な幼児教育が疎かになっている。行政的に、今まで強力なリーダーシップがなかったことが問題である。これをよい契機として、制度をどうもっていくか経過を見守りたい。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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