「重点政策」(案)

更新日:2011年10月31日

政策創造  「重点政策」 (案)

 平成20年(2008年)6月 

[「重点政策」の策定にあたって]

 平成20年度から4年間、大阪府がめざす将来像の実現に向けて、特に重点をおいて進める施策・事業を「重点政策」として位置付け、施策の重点化と集中的な投資を行います。
 平成20年度においては、府が単独で実施できる事業や緊急性の高い事業を中心に優先して実施することとし、その他の事業は市町村との制度設計に関する調整などが必要なことから、21年度以降の実施をめざします。
 なお、府政が関わる分野は広範多岐にわたっており、重点政策の対象とするもの以外にも府民の皆さんが必要とされる施策・事業がありますが、それらについては、財政再建の取組みの中で必要性や効果を精査し、真に必要なものについては継承・発展させていくこととします。

[重点政策を通じてめざす大阪の将来像]

「笑顔があふれる大阪」〜大阪を内から元気にし、輝きを外に発信する〜

  子どもが笑う、大人が笑う。住む人、訪れた人のすべてが笑顔で過ごせる都市をめざして、大阪の将来像を「笑顔があふれる大阪」とします。

 「笑顔があふれる大阪」をつくるために 〜重点政策の考え方

  大阪は、古くから交通の要衝としてたくさんの人・モノ・情報が集まり、わが国を代表する都市として発展してきました。しかし、工場等制限法による立地規制や、グローバル化、情報化に伴う東京一極集中の進展等によって人や企業の流出が続きました。近年、ベイエリア等への企業立地が進むなど明るい動きが見られるものの、大阪の地位は過去に比べて相対的に低下していると言われています。
  今後、我が国は人口減少、少子高齢化が一層進むと予想されており、それによって都市の活力が低下していくことが心配されています。そのような中にあっても、大阪が再び輝きを放ち、その存在感を高めていけるよう、財政再建の道筋を整えつつ、笑顔があふれるまちであり続けるための施策に重点的に投資していきます。

(重点投資のポイントは「特徴化」)

 「民の力」と「都市間の交流」で輝いてきた大阪にとって、人やモノ、情報を再び引き寄せることが、その発展に不可欠です。そのために何をなすべきか。
   交通・通信技術が飛躍的に発展し、地球規模の都市間連携・競争が一層進むこれからの時代では、都市が本当の魅力=「特徴」を持つこと、それも少しばかりの違いではなく、他の都市を圧倒的に引き離す際立った特徴を持つことが必要と考えます。こうした特徴を持つことで、広く内外に大阪の存在をアピールでき、人やモノ、情報を引き寄せる求心力が高まります。さらにこれらとの交流が進むことで、新たな情報や価値、文化、モノ、サービス等が生み出されるという好循環が形成され、大阪それ自体が発展していくとともに、その効果が周辺地域へ波及することが期待されます。
   「笑顔があふれる大阪」を実現するためには、これまで大阪が培ってきた集積・ポテンシャルを有効に活かして、他を圧倒するような特徴を際立たせ、これらを内外に強く発信していくことが今後の都市戦略として重要です。

重点政策の2つの柱

 大阪を笑顔にする必須の要素は「特徴づけ」。そして、それを担う「人」(民の力)と考えます。そのため、「大阪の未来をつくる」、「大阪を輝かせる」の2つを柱として、施策の重点化と集中的な投資を行います。

「大阪の未来をつくる」〜未来を担う世代に集中投資

 「人」は全ての活動の源であり、都市の最大の強みとなります。「子どもが笑う」をテーマに集中的な投くことで、大阪の未来を担う若い世代を呼び込み、人材を育てます。

  人口減少、少子高齢社会にあって大阪の活力を高めるためには、特に、子育て中、あるいはこれから子育てを迎える若い世代にとって、学び、働き、生活するにふさわしい都市として大阪を特徴づけることが重要です。そのため、子育て世代に対して手厚い子育て支援施策を講じ、「子育てをしやすい大阪に住みたい。住み続けたい。」と思っていただける都市となるよう取り組みます。
 
また、人材育成に強みを有していた「民のまち大阪」において、将来を担う子どもの個性、能力を引き出し、それを最大限伸ばせるよう、最高の教育環境を整備することが必要です。そのため、「大阪は教育が充実している。子どもが大きく伸びる大阪に住みたい。」と思っていただける教育を実現します。
 
このように、子育てと教育において「大阪は日本一」と言われるような施策を重点的に推進することで、大阪に「子ども」も「大人」も引きつけていきます。

「大阪を輝かせる」〜大阪を圧倒的に特徴づけるために集中投資

 他都市を圧倒する特徴づけを行うことで、大阪に「人」を引きつけ、大阪を元気にする力を高めます。 

 都市に際立った特徴があれば、それを求めて、内外から人や企業が集まってきます。大阪のこれまでの集積やポテンシャルを活かし、その魅力に磨きをかけ、民の力を存分に発揮できるよう集中投資を行います。それによって、「大阪と言えば、○○」と言われるような圧倒的な特徴づくりを進め、その魅力を内外に発信していきます。
 大阪には、世界に誇りうる都心部の「水の回廊」をはじめ、府内の各地に歴史の風格を感じさせる近代建築物やまちなみなど魅力的な資源が数多くあります。府内全域にわたって府民や市町村主体の活動が展開されることによって、今ある資源にさらに磨きをかけ、これらを‘展示品’として輝かせることで「大阪全体がミュージアム」という都市の顔が形成され、大阪の魅力がさらに高まっていくことを目指す「大阪ミュージアム構想」を推進します。
 また、内陸部におけるものづくり基盤技術を持つ中小企業の集積や、大阪湾ベイエリアにおける情報家電、新素材・新エネルギーなどの最先端工場の立地、北部丘陵部におけるバイオなどの次世代産業の集積は大阪産業の強みであり、これらを積極的に売り込み、大阪産業のブランド力を高めることで、大阪経済の力を強めていきます。
 さらに、歴史的にも深い繋がりを持つアジアを中心とした多くの都市との交流を通じて、各都市の成長エネルギーを大阪に呼び込むとともに、積極的に大阪を世界に売り出していきます。

[重点政策を進めるにあたって]

 こうした重点政策を進めるにあたって、施策の表舞台に立つ主役は府民、民間、市町村です。大阪府は、広域自治体として、笑顔があふれる大阪の実現に向けて政策の創造と提案を行うとともに、府民、民間、市町村の活動を支え、バックアップをしていくというコーディネーターの役割をしっかりと担います。
 また、政策創造にあたっては、府民や企業のニーズを徹底的にリサーチし、常に納税者の視点で効果を検証しながら施策・事業を展開していきます。

[具体的事業]

 「笑顔があふれる大阪」の実現に向けて、次の事業を重点的に実施していきます。

1 大阪の未来をつくる

子育て支援日本一 

  これからの人口減少、少子高齢社会では、行政サービスの良し悪しによって住民が居住する市町村を選択するという流れが一層強まるものと考えられます。仕事を持つ保護者だけではなく、在宅で子育てをされる保護者を含めた全ての子育て世代に対する支援の充実や、妊娠・出産や子育てに対する不安を解消し、誰もが安心して子育てできる環境を作っていくことにより、子育て支援に手厚いという大阪の「特徴」を打ち出し、未来を担う子育て世代を大阪に引きつけていきます。

子育て支援サービスの充実【21年度以降実施】

 全ての子育て世帯が気軽に利用できるサービスの充実・促進や、核家族化の進展等によって弱まった家庭・地域の子育て力の強化などに向けて、子育て支援サービスの充実を図り、子育て世代が大阪に魅力を感じ、大阪に住み、子どもを育てたいと思っていただけるよう取組みを行います。
 なお、子育てをめぐる環境や活用可能な社会資源等は地域により異なります。子育て支援に関する事業は、地域の実情を熟知している市町村が、住民のニーズを把握し、その責任と裁量で事業の優先順位付けと選択を行い、最適な方法・内容で実施していくことが望まれます。このため、市町村との協議のもと、市町村の裁量で住民のニーズにあったサービスが提供できる、より自由度の高い新たな交付金制度の創設を検討していきます

安全・安心な保健医療体制づくり

☆ 救急医療体制等の充実【20年度実施】

 輪番制の導入等による救急医療の受け皿拡充や軽症者対策等を進め、3次救命救急センターを軸とする地 域の救急医療体制の充実を図るとともに、公立病院の再編やネットワーク化のモデル地域を設定し、取組みを先導します。
 危険を伴う分娩や重症新生児を確実に受け入れる「周産期緊急医療体制」を充実し、地域の産科と連携することで、安心してお産ができる医療体制を整備します。また、子どもの休日・夜間の急患に対応できるよう、小児科の初期救急診療拠点を府内全域に整備します。

☆ 産科・小児科医師等の確保【20年度実施。奨学金制度は21年度以降実施】

 産科、小児科等で深刻化する府内の医師不足に対応するため、府立母子保健総合医療センター等において 専門医師を確保し、その必要度に応じて各地域の拠点病院に派遣します。また、奨学金制度を創設することにより、将来にわたって大阪の地域医療を担う医師を安定的に確保します。

  療育体制の充実

☆ 発達障がい児支援体制の充実【21年度以降実施】

 発達障がい児療育拠点施設について、待機の解消に向け段階的に受入れを拡大するとともに、保健センタ ーや保育所、幼稚園などに対する支援機能を強化し、早期発見・早期療育体制を充実・強化します。

教育日本一(公立教育の充実・強化) 

 教育の充実は、将来の大阪に対する最も重要な投資です。教育日本一をめざすためには、とりわけ公立学校において取組みが遅れているところ、弱いところをレベルアップする必要があります。
 多くの人から「大阪では子どもが大きく成長する。大阪の教育によって子どもたちは夢を実現できる。」と評価され、住んでよかった、あるいは住みたいと思っていただけるよう、府教育委員会とともに大阪の教育を大きく伸ばしていきます。

基礎学力の定着・向上

少人数学級編制と習熟度別指導の充実【20年度実施】       

 小学校1、2年生について、基本的な生活習慣や学習習慣が身につくよう、35人を基準とした少人数学級編 制が可能となる教員を配置するとともに、一定規模の集団で指導効果を上げることができる科目については、適宜、合同授業を実施できるようにします。また、「わからない」子どもをそのままにすることのないよう、教科指導において習熟度別の授業を導入します。 35人を基準とした少人数学級編制、合同授業は21年度実施。

☆ おおさか・まなび()事業の実施【20年度実施】

 子どもの学びの意欲に応えるため、放課後に無償で参加できる学習機会を提供します。

☆「確かな学力」を育むための学習ツールの開発・実践【20年度実施】

 学力テスト(到達度評価)、単元テスト、ワークブック、モデル授業など基礎学力の定着とその確認のためのツ ールを開発し、実践します。

日本一の公立高校づくり

 ☆ 進学指導特色校など府立高校の特色化の推進【21年度以降実施】

 生徒の多様な学習ニーズに応えるため、大学進学(人文系統・理数系統)に特色を置いた通学区域の定め のない高校をはじめ、新たな特色ある学科・専門コースの設置などにより、全ての府立高校の特色化を推進します。
  また、府教育センターの調査・研究機能を学校の教育活動の実践に活かす附属研究学校を設置します。

 ☆ 週休日等の補習・補講の支援【20年度実施】

  生徒の学びの意欲に応え、学力向上や資格取得、進路実現を支えるため、土曜日等に補習・補講を行う学校を支援します。

 教師力・学校力の向上

 ☆ 授業力・指導力の向上【20年度実施】

 授業研究や相談を行う府教育センター「カリキュラムNAVIプラザ」のブランチを4箇所設置するほか、学校経営支援チームによる授業評価の充実支援により、教員の授業力向上をサポートします。また、教員評価支援チームの学校への派遣、指導改善研修の実施等により、指導が不適切な教員に厳正に対応するとともに、頑張っている教員を応援します。

支援教育の充実 

☆ 障がいのある児童生徒に対する支援の充実【20年度実施】

 既存の施設等を活用した施設整備の基本方針や視覚支援学校の建替えにかかる基本計画を策定し、子どもが伸び伸びと学習できる環境を整備します。
 また、一人ひとりに一貫性、継続性のある支援を行うため、全ての障がいのある児童・生徒の生涯を通じた教育支援計画の策定を行う市町村を支援します。さらに、たまがわ高等支援学校タイプの学校(知的障がいのある生徒の就労を通じた社会的自立をめざす高等部のみの支援学校)の増設を検討するとともに、高等学校における知的障がいのある生徒の受入れを促進します。また、経済団体等の協力のもと、障がいのある生徒の就労を支援します。

 課題を持つ子どもへの支援

☆ いじめ・不登校・問題行動対策【20年度実施】

 子どもや保護者の立ち直りを支える専門職を配置し、子どもの課題に対して組織的に対応します。また、深刻ないじめ等を理由として転校が可能であることを、入学当初から保護者・生徒へ周知し、安心を支えます。

 教育周辺環境の整備

☆ 公立小学校等の運動場の芝生化【20年度実施、21年度以降拡充】

 緑化推進にも資する運動場の芝生化について、地域住民、学校、NPO等が一体となった取組みを経費面、技術面で支援します。

☆ 公立中学校へのスクールランチの導入20年度調査研究、21年度実施】

 食育の推進と保護者の負担軽減のため、希望する全ての学校でスクールランチ(選択制弁当)事業の導入を促進します。

2 大阪を輝かせる

他都市を圧倒する景観等で人を引きつける大阪づくり  

 「大阪ミュージアム構想」を推進する中で、水の回廊をはじめ、寺内町や宿場町など歴史の風格を感じさせるような 大阪のまちなみ等を「水と光」、「石畳と淡い街灯」等によって演出し、他の都市を圧倒する景観を創出するなど人を引きつける大阪づくりをすすめていきます。それによって整えられた舞台で民間の自由な活動が展開されることにより、大阪の魅力にさらに磨きがかかり、国内外に発信されていくことをめざします。

「大阪ミュージアム構想」の推進

☆ 光等による大阪の魅力の演出【20年度調査研究、21年度実施】

 大阪のシンボルである御堂筋や水の回廊、橋梁、近代建築物、歴史のまちなみなどの魅力を光等で際立たせ、都市の顔として演出します。

☆ 水都大阪2009への参画【20年度実施】

 水の都の魅力を高め、内外に発信するため、大阪市、経済界とともに「連携・継承・継続」をキーワードとする「水都大阪2009」に参画します。
 

大阪経済の活性化 

 世界に誇る高い技術力を持つ中小ものづくり企業や、大阪湾ベイエリアの最先端の情報家電、新素材・新エネルギーの最先端工場、北部丘陵部のバイオをはじめとする次世代産業など、幅広い産業群の存在が大阪の強みです。
 「大阪府の総合商社化」をコンセプトとして、中小ものづくり企業の販路拡大(つなぐ)、オール大阪体制でのバイオ産業の振興(投資促進)など、メインプレーヤーである事業者の活動をサポートします。
 これらを通じて、製品や技術、さらには中小企業や大阪産業そのもののブランド力を高めることにより、人と企業が集まる「儲かる産業都市」を創造します。
 なお、今後、経済界からの具体的な提案をもとに、経済界とともに、大阪産業の振興のための政策を構築していきます。

総合商社機能の発揮

☆ 中小企業の販路開拓支援【20年度実施】

 優れた府内の中小ものづくり企業を発掘・顕彰するほか、これら大阪を代表する企業を紹介する冊子を活用するなど、大阪のものづくり力を広くアピールします。また、国内外からの引き合いに一括対応して府内企業を斡旋する窓口を整備するなど、コンサルティング機能を充実します。

 ☆ 国際的大規模展示商談会の活用トップセールス【20年度実施】

 国内外の大規模展示会において、技術力を誇る中小企業とともに、大阪のものづくり企業の集積をトップセールスします。あわせて中小企業と国内外の市場をつなぐため、販路開拓のノウハウ取得から出展までをセットにした新たな支援の展開と、大阪のものづくりのブランド化を進めます。

☆ 世界水準の創薬環境、最先端の医療の実現【20年度から順次実施】

 先端医療開発特区を活用した革新的な医薬品・医療機器開発の推進、研究開発の場の提供、国際共同治験や海外との共同研究の推進など、大阪のバイオが世界に発展するための戦略を練り、それを実践するオール大阪のヘッドクオーター(司令塔)体制を府が主体となって構築し、世界水準の創薬環境と最先端の医療の実現をめざします。

新たな国際交流の取組み 

 大阪は、長い交流の歴史を持つ上海市をはじめ、アジアの各都市・地域と深い繋がりを有するという際立った特徴を持っています。また、アジア便の充実したわが国唯一の完全24時間運用の関西国際空港を持つという優位性があります。
 こうした特徴を活かしながら、積極的に自治体交流を展開し、アジアとの絆を強め、その成長エネルギーを大阪に導き、「アジアと言えば大阪」、「アジアとのつながりは大阪がナンバー1」という評価を得ていきます。また、大阪の特徴を国際的に売り出し、アジア、さらには世界の中で存在感を示し、人・モノ・情報を引き寄せていきます。

大阪の成長につながる自治体交流の推進

☆ アジアの都市とのテーマを定めた交流の拡大【20年度実施】

  今後、大阪との関係強化が期待されるアジアの拠点都市と観光・経済・環境等のテーマを定めた相互協力の協定等を締結し、修学旅行等の青少年交流や大阪企業の優れた技術・製品の普及促進など交流の拡大を進めます。

☆ 「水と光のまちづくり」推進都市との交流【20年度実施】

 水と光の景観に優れたアジアや欧米の都市の関係者を招き、その戦略やノウハウを学びあい、関係の強化を図るとともに「水と光のまち・大阪」を世界にアピールします。

☆2010年上海万博への出展【20年度設計、21年度実施】

  「環境先進都市・水都大阪の挑戦」をメインコンセプトに、大阪市と共同で「ベストシティ実践ゾーン」に日本の都市で唯一出展し、水・環境について大阪が持つ知恵と技術をアピールします。

絆を強める自治体交流の推進

☆ 国際都市・上海との人事交流【20年度実施】

  上海市と大阪府との間で、上海市の友好51都市で初めての試みとして、様々な分野で働く若手職員の人事交流を実施します。

☆ 在阪総領事館とのトップ会合を継続的に開催【20年度実施】

  在阪総領事館とのトップ会合を継続的に開催し、外から見た大阪の魅力を掘り起こし、世界に発信します。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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