「府政運営の基本方針(「大阪維新」2010)」(平成22年2月版)

更新日:平成22年3月3日

                           平成22年2月15日

はじめに

これまでの取組みと評価

・橋下府政は、平成20年6月、「財政再建」「政策創造」「府庁改革」の3つのミッションと「地域主権」からなる「大阪維新」プログラム案を策定・公表し、その後、それに基づく予算編成を行うとともに、それぞれを具体化するためのビジョンや戦略をとりまとめてきた。こうした流れをふりかえると下図のとおりである。

「大阪維新」のこれまでの取組み

・また、戦略本部事務局において自己点検・評価を行った結果の概要と改革評価委員からいただいたご意見の概要は、次のとおりである。

「財政再建」

・平成20年2月6日、橋下知事は就任当日に「財政非常事態宣言」を行い、まずは、府財政の再建に確かな道筋をつけることが、大阪の将来を切り開く第一歩と位置づけた。20年度、21年度の予算においては、財政再建プログラム案に掲げた「減債基金借入れや借換債の増発から決別し、『収入の範囲内で予算を組む』原則を徹底する」との考えを堅持して、府の新たな財政ルールを確立することができた。また、目標とした改革効果額(1,100億円)も概ね達成することができた。
・財政再建プログラム案記載の改革項目についても、出資法人や公の施設などで22年度以降に結論を出す予定のものを除いては概ね完了しており、財政再建に向けた道筋をつけるという目的は概ね果たしたものと考えている。
・しかしながら、その後の税収減により、昨年2月に公表した「今後の財政収支の見通し〔粗い試算〕」では、将来にわたって財政健全化団体にならないためには、22年度から28年度までに合計約7,200億円の追加取組みが必要となっており、さらに、今般の景気後退に伴う税収の減少等が見込まれる中で、その対応を検討する必要がある。

「政策創造」

・財政が厳しい中で、特に“障がい者”“いのち”“治安”に関する施策に配慮しつつ、「教育」「子育て支援」「大阪を輝かせるまちづくり」「産業振興」等に力を注いできた。これらは、橋下府政の4年間に特に重点をおいて進める施策・事業として「重点政策」に位置づけ、大阪の明るい未来を拓くための布石となるものである。
・また、予算を「収入の範囲内」で組み、財政再建に向けた取組みを行ったことから、次の一手として、2025年をめざした明るい明日の大阪づくりをスタートさせるため、「将来ビジョン・大阪」を策定し、改革の先にある大阪の将来像を示した。
・21年4月からスタートした「戦略本部体制」の下、「将来ビジョン・大阪」に掲げた目標を達成するための取組み、21年度当初予算の重要施策や特に知事から指示があった課題、部局として必要と判断した課題などを改めて整理し、戦略本部会議で審議を行い、「変革と挑戦」というテーマの下、21年度の政策課題と取組みについて、62項目の「部局長マニフェスト」としてとりまとめ、6月に公表した。
・しかしながら、引き続き厳しい財政状況が見込まれる中で、「将来ビジョン・大阪」を着実に実現していくことは容易ではない。今後とも創意・工夫を凝らしながら、一層の「選択と集中」に取り組んでいく必要がある。

「府庁改革」

・“平成20年春、大阪府庁は変わります”と宣言して以来、府民に負担を求める前に、府庁自らが業務改善、人事制度改革や職員の意識改革を行うことが重要と考え、「仕事が変わる《民間に学ぶ》」「組織が変わる《透明で風通しが良い》」「職員が変わる《府民の理解と信頼を得る》」の3つの観点から、府庁改革の取組方向と約50項目の具体的メニューを設定した。
・これらの項目については、23年度までに実施予定の給与制度の見直しや22年度当初に実施する本庁と出先機関との異動ルールの拡充などを除き、概ね実施できた。また、府政推進の新たなガバナンスシステムとして、戦略本部会議を設置しプロセスの公開を行うとともに、外部評価の仕組みを導入した。
・さらに、府の組織力全体と個々の職員の能力をさらに引き上げるため、将来の職員数を見据えた「組織戦略」と新たな公務員像の創出をめざす「キャリアプラン」に基づく取り組みに着手しているところである。

「地域主権」

・府の分権改革がめざす二つの将来像として、市町村優先の徹底により身近な公共サービスを住民とともに担っていく「分権」と、大阪府は広域的機能に徹し近隣府県と一体となって「関西州」を創っていく「集権」を一体的に推進し、大阪・関西を地域主権型社会のモデルにしたいとの考えのもと、「大阪発“地方分権改革”ビジョン」を策定した。
・その中で、10年先を見据え、大阪府の発展的解消にまで踏み込んで将来像とそれに至る工程表を明らかにした。現在は、これに基づいて市町村との「政策協議の場」を設置したほか、市町村への権限移譲の推進、関西州実現へのステップとなる関西広域連合の設立等について、検討を進めている。

改革評価委員の主なご意見

(全体)
・プログラム案等については、知事の強力なリーダーシップの下、その具体的な方針・指示に基づき、短期間にかなり深いところまで整理されている。また、実施体制についても、今年度戦略本部の設置、部局長マニフェストの策定・公表など様々な体制が整えられており、改革の第2フェーズに入ったものと評価できる。

(財政再建)
・府はこれまで歳出削減を中心に相当厳しい取組みを進めてきたが、「歳出改革」にも限界。府有財産の売却や有効活用だけでなく、府民が本当に望むものは府民の負担で行うことを明確にする「歳入改革」に取り組む必要がある。
・府の資産をどうするのか、健全な借金とはどれくらいの水準なのかなども含め、これまでの「財政再建」から「財務戦略」へと戦略的な構造改革をめざすべき。
・国直轄事業負担金はもちろんのこと、地方交付税制度などの分析も深めながら国に対し制度改革の提言を行っていく必要がある。

(政策創造)
・将来ビジョンとしての方向性は示されているが、それに至るマイルストーン的なものが示されていない。予算が単年度主義であることや大阪府のみでできないこともあるが、実現に向けてのプロセスをどうやっていくのかを詰めていかなければならない。

(府庁改革)
・業務改善については、現象面だけを捉えて取組みを行っても根本的な改善にはつながり難い。問題となっている背景をきちんと押さえることや、庁内の内向きの改善に留めるだけでなく、府民サービスの向上という外向きの改革につながるような取組みが必要である。

(地域主権)
・市町村への権限移譲については、小規模の市町村と中核市レベルの市では担うことのできる権限が異なるものと考えられるが、可能な限り客観的なデータを示しながら市町村にできるだけ多くの権限を担ってもらえるよう協議を進めるべき。
・府から市町村に権限移譲を進めていくだけではなく、市町村側から見て大阪府の課題を洗い出したり、現場レベルで府の仕事の仕方をこう変えてほしいといった問題点を出してもらうことも必要である。

※これらのご意見は、平成21年8月段階で改革評価委員からいただいたものです。

社会経済情勢・府民生活の現状

・経済状況や府民生活の現状を概観すると次のとおりである。なお、個別政策分野における現状認識は、「主な政策課題の現状と論点」(別添資料)で示す。

大阪経済・府民生活の状況

・我が国の経済成長率(実質)は2009年7〜9月期まで2期連続で前期比プラスになるなど、2008年秋の金融危機を契機とした急激な景気後退から回復基調にあるとの見方もあるが、デフレの影響などにより再び景気が悪化することも懸念される状態である。
・大阪経済・府民生活の状況は、主要な活動指標である完全失業率、中小企業の景況、生活保護被保護実世帯数などからみても、深刻さを増しており、今後も厳しさが続くものと考えざるを得ない状況である。

参考指標1、参考指標2

人口動態

・20年度末(21年3月31日)時点の住民基本台帳に基づく人口調査で、大阪府は15年連続の増加、人口動態調査開始(昭和54年)後初めて社会増を記録した。しかし、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)及び愛知県の社会増に大きく水をあけられ、全国的には首都圏への集中が顕著な状況となっている。

参考指標3

府民意識

・「将来ビジョン・大阪」に掲げる将来像イメージの実現状況に対する意識等は、次のとおりである。

将来像イメージの実現状況

「治安がよいと感じる府民の割合」

5.6%
「みどりが多いと思っている府民の割合」16.5%
「安心であたたかいくらしの大阪になっていると思う府民の割合」16.6%
「大阪産(もん)を知っている府民の割合」29.2%
「大阪はスポーツが盛んだと思っている府民の割合」38.6%
「大阪産を率先して購入したいと思う府民の割合」48.2%
「子どもを大阪で育ててよかったと思っている府民の割合」49.0%
「自分の住んでいる地域に愛着を感じている府民の割合」71.4%

【今後、大阪を明るく笑顔あふれる都市にするために必要な施策】必要と感じる割合が高かったもの(14項目中上位5項目)

 「医療体制の充実」

30.2%
「大阪産業の活性化」28.6%
「自然環境の保全やまちの緑化促進」24.2%
「雇用・就業に関する支援」21.9%
「安全・安心なまちづくり」21.0%

府政運営の基本方針(「大阪維新」2010)

・「大阪維新」プログラム案を継承・発展させながら、府民生活や大阪経済の現状、府議会はもとより、改革評価委員からのご意見などを踏まえ、22年度の「府政運営の基本方針」を、以下のようにとりまとめる。

1.基本的な姿勢と基本的な方針

基本的な姿勢

さらなる「変革と挑戦」をめざす

・「財政再建」「政策創造」「府庁改革」を推進するにあたり、前例踏襲ではなく、これまでのやり方そのものを変革できないのか。明日の大阪のために、今、何に挑戦すべきなのか。橋下府政は、この2年間、常にこうしたメッセージを府民に発しながら進んできた。今任期後半の2年間も「変革と挑戦」。これを貫き、「守り」をしっかりと固めながら、「現状を打破し、事態を動かす」、そして「人を集める」「人を育てる」大阪の新たな都市魅力を創造できるよう、「攻め」の姿勢を強化し、府民の視点から、府政刷新、大阪発の行政刷新の風を吹き込んでいく。

「変革と挑戦」を実践していくための「自治体経営」の確立をめざす

・現行地方行財政制度下で一定の限界はあるが、「自治体経営」の原則は、府民の負託に応えるため、府自らの権限と財源、組織力を最大限活用することである。
・橋下府政は、「変革と挑戦」を実践していくため、
「トップマネジメントを強化する」「判断と実行の責任を明確にする」「現場を重視し、現場と直結する」「外部の視点も取り入れながら、改善の自律性を高める」「透明性をさらに高め、府民への説明責任を果たす」「顧客満足度(CS)を最大価値とする」「スピード感を重視する」
といった観点から、府の組織力全体、各部局のマネジメント力を向上させ、新たな「自治体経営」を確立しその姿を全国に発信することをめざす。

府県としての本来の役割を着実に果たす

・新型インフルエンザなどの感染症や疾病、地震・津波などの災害や犯罪に対する安全・安心の基盤やシステムを着実に整備し、これらを堅実に管理・運用することは、府政運営の根幹であり、このことを決して揺るがせにはしない。
・むしろ、こうした基盤やシステムを持続可能なものとしていくためにも、「変革と挑戦」を実践する必要がある。

基本的な方針

「財政再建」「政策創造」「府庁改革」「地域主権」

・「大阪維新」プログラム案の3つのミッションである「財政再建」「政策創造」「府庁改革」と「地域主権」を一体的に進めることを基本的な方針とする。
・「財政再建」のため、引き続き、府の施策全般にわたるたゆみなき点検・見直し、歳出削減努力を行うなど、財政規律を堅持しつつ、府政の喫緊の課題に的確に対応し府民の負託に応えるため、限られた財源の戦略的な重点配分を行う。
・また、「政策創造」と「府庁改革」を連動させ、主要な政策課題の実現のために必要な組織体制の整備、人的資源の重点配分を柔軟に行う。府組織の政策立案能力を高め、職員のモラールの向上に結びつく人事・評価システムの構築をめざすとともに、民間の視点や発想を活かした政策の立案・推進が求められる分野での外部人材の登用により、府庁の人材力の多様化を図る。
・さらには、市場化テストなど民間との役割分担、市町村への権限移譲などの地方分権改革の流れを見据え、「10年後の将来像」をもとに人員の計画的削減を進めるとともに、それぞれの分野で専門的能力を発揮できる人材の育成を図る。

 「オール大阪・関西」

・「民間にできることは民間に」「住民に身近なサービスは市町村で」という役割分担を基本に、市町村や民間との連携・協働、府民参加による取組みをさらに進める。また、府としては、880万府民総体の利益、大阪全体の利益を追求する立場から、「オール大阪」の司令塔機能やコーディネート機能を積極的に果たす。
・さらには、「国土の中で果たすべき大阪・関西の役割」を踏まえ、「オール関西」の課題解決に資するため、関西の府県・政令市や経済界との連携・協働、国への働きかけを進める。

2.「財政再建」と平成22年度当初予算編成

・「財政再建」のための取組みを継続させながら、22年度当初予算編成、今後の財政運営は、以下のように対応する。

 (1) 財政の状況・見通し

 21年度予算編成

・20年6月の「財政再建プログラム案」に基づき、事務事業、出資法人、公の施設などについてゼロベースでの見直しを行うとともに、退職手当のカットを含む人件費の削減に取り組んだ。この結果、減債基金からの借入れや借換債の増発といった財政手法から決別し、21年度当初予算においても、「収入の範囲内で予算を組む」という基本原則を堅持できた。
・しかし、21年度当初予算は、世界的な金融危機に端を発した経済危機に見舞われ、府税収入は対前年度当初予算比で2,471億円の減収となる中、交付税総額に1兆円の別枠加算が講じられたことや、財政調整基金残高のほぼ全額に当たる376億円の取崩し等により、ようやく編成できた状況である。

22年度予算編成の見通し

・我が国の経済状況は、政府による景気の下支え効果もあって、持ち直してきているが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある(月例経済報告(H22.1)、日銀短観(経常利益予測)(H21.12)、地域経済報告(H22.1))。
・一方、21年度の府税収入状況(12月末調定状況)は、企業業績の落ち込みを反映した法人二税を中心に前年度を大きく下回っており、対前年同期比79.3%にとどまっていることから、21年度当初予算で見込んだ税収の確保が困難な状況である。特に、基幹税である法人二税は、2年連続の大幅減となり、税目首位の座を失った。
・また、国の地方財政対策においては、9,850億円の別枠加算などが講じられ、地方一般財源総額が確保されたことにより、臨時財政対策債を中心に府の交付税等の額も一定増加する一方で、歳出面では社会保障関係の義務的経費が200億円程度増える見込みであり、一般施策経費等について厳しく精査してすることとした。

中長期の見通し

・“粗い試算”(21年2月)によると、「財政再建プログラム案」を着実に実施し、23年度以降も建設事業や一般施策経費に係る歳出の抑制をプログラム案程度で継続しても、平成29年度まで毎年度収支不足が発生し、これを補い「収入の範囲内で予算を組む」ためには、440〜940億円の対応が必要と試算されている。しかし、この対応だけでは減債基金への返済が進まないことから、28年度には減債基金が枯渇することとなる。
・減債基金の残高を維持、回復し、実質公債費比率が25%を超えないようにするためには、さらに毎年度280〜500億円の対応が必要であり、これを合わせると22年度から28年度までの要対応額は、約7,200億円にのぼる見通しである。
・府税収入の急速な回復が期待できない中、財政健全化団体にならないためには、今後数年間で数千億円の収支改善が必要ということは厳然たる事実であり、各年度の予算編成において財政再建の取組みを堅持していく必要がある。

 (2) 22年度予算編成の基本的考え方

 財政再建

・22年度予算編成は、財政の非常事態に対処するため財政構造改革に集中的に取り組むこととした「財政再建プログラム案」(集中改革期間:20年度〜22年度)の最終年度の予算編成であり、引き続き財政の構造改革に取り組む。
・これに加え、「収入の範囲内で予算を組む」とともに、減債基金への返済も進めていくためには大幅な収支改善が必要であり、プログラム案の取組みを着実に進めることはもとより、歳出・歳入両面での点検を再度徹底してきた。
・なお、22年度当初予算編成の要求段階では、歳出全体の抑制を図るため、要求上限の設定や、各部局長がマネジメントの観点から府の財政状況を踏まえ要求額を抑制するなどの取組みを行うこととし、具体的には、要求上限については、全ての一般施策及び建設事業について、一般財源ベースで▲5%の抑制を行うとともに、各部局長がマネジメントの観点から自ら抑制することにより、さらに同程度(▲5%)の抑制を図ったところである。
・予算案では、前年度当初より拡大が見込まれる要調整額の圧縮に取り組むこととした。

財政指標による目標管理

・本府独自の財政指標による目標管理を行う。22年度予算編成においては、「収入の範囲内で予算を組む」原則を徹底する。
・また、規律ある財政運営を行うため、以下の各指標について将来的に目標をクリアできるよう取り組み、財政健全化を進める(「大阪府庁財政研究会報告書」(20年12月))。

指標区分目標

本来収支・正味収支
「収入の範囲内で予算を組む」

本来収支≧0
(22年度は正味収支≧0)

実質府債残高倍率
「将来世代に負担を先送りしない」

2.0以内

実質公債費比率
「将来的にも安定的な財政運営を確保する」

25%以内で極力抑制

収益的収支比率
「企業会計的な視点で財政の弾力性を回復する」

当初予算段階で現行水準未満

府債活用の考え方

・「将来世代に負担を先送りしない」観点から、実質府債残高倍率について、他府県の状況等を踏まえ27年度に2.0以内とすることを目途に、22年度予算では前年度以下とすることをめざす。そのため、府債発行の必要性については次の区分により精査する。

1 通常債
 世代間の負担公平の観点から建設事業等の財源として活用するが、活用する事業そのものの必要性を厳しく精査する。

2 臨時財政対策債・減収補てん債等
 地方交付税や地方税の代替財源として発行が認められるものであり、政府の地方財政措置を踏まえて活用する。

3 行政改革推進債
 通常債と同様に資産形成に充てられるものであり、将来世代に過重な負担を生じさせない範囲内で活用する。

4 退職手当債
 資金手当的な地方債であり、資産形成につながらない赤字債であることなどを踏まえ、あくまでも補完的な「収入」として慎重に取り扱う。

基金についての取扱い

・21年度末までに、一般会計が減債基金を含め基金(7基金〔借入内訳〕公共施設等整備基金1,154億円、福祉基金160億円、みどりの基金83億円、文化振興基金13億円、女性基金28億円、府営住宅整備基金41億円、減債基金5,150億円)から借入れ(繰入運用)ている総額は6,629億円であった。20年度からは「収入の範囲内で予算を組む」との原則を徹底することとし、条例を改正した上で、今後、基金からの借入れといった手法はとらないこととした。あわせて、減債基金については、実質収支の黒字額(決算剰余金)の1/2を減債基金に編入するよう条例改正をおこなった。
・しかしながら、長期にわたって各基金から借入れを行ってきたことは、府民にとって分かりにくく、また、借入れてきたのは、府税収入が潤沢な時期に積み立てた一般財源部分であるとはいえ、現時点において返済の目途が立たないまま借入れを続けることは、財務マネジメントのあり方としても適正とは言いがたい。
・一方、借入れ額は多額(6,629億円)に上るため、さらに歳出を厳しく削減し全額返済のための財源を生み出すという対応は現実的でないことから、必要な条例改正を行った上で、22年度に名目残高と実質残高を一致させることとする。
・なお、これまで基金を財源として実施してきた事業については、必要性と適正規模を精査の上、一般財源を充てて継続して実施することとする。

さらなる歳入確保策(府有資産の点検による売却・有効活用)

・府有財産については、売却予定財産が減少する23年度以降に対応するため、庁内に立ち上げた「府有財産活性化推進チーム」で売却物件の掘り起こしと有効活用の促進に取り組んでおり、積極的な売却や貸付を推進する。

財源の戦略的配分

・これまで見たように、本府財政を取り巻く環境は、依然として非常に厳しく、全体として歳出の抑制が必要であるが、府民の負託に応えるため府政の喫緊の課題には的確に対応しなければならない。
・そのため、各部局で他府県との行政水準の比較等の分析を進め、事務事業の積極的な見直しを行うとともに、全庁の歳出抑制等による財源を活用し特定の分野に重点投資する「知事重点事業」を新たに設けるなど、戦略的に財源の重点配分を進めることとする。

(3) 今後の財政運営に向けて

「財政再建プログラム案」後の対応

・現在の財政再建プログラム案の取組み期間は22年度で終了するが、今後も、減債基金への計画的な返済をはじめ、収支改善に向けた取組みが必要と見込まれるなど、本府財政は引き続き厳しい状況にある。
・このため、現在、府の財政構造について、他府県比較を中心とした調査分析を行っているところであり、その結果を踏まえ、歳入歳出の改革を進めるとともに、国への制度提案なども行い、本府財政の構造上の課題解決に向けた抜本的な改革に取り組むこととする。
・併せて、今後の財政収支見通しのあり方や策定手法についても検討を行う。

3.「政策創造」と平成22年度の「主な政策課題」

・施策の「選択と集中」を徹底し、「財政再建」との両立に最大限努力しながら、「政策創造」を進める。

(1) 22年度の「政策創造」

・22年度の「政策創造」は、21年度の「部局長マニフェスト」を基本に、取組みを継続させるもの、さらに発展させるもの、新たに対応するものなどの精査・点検を行い、「将来ビジョン・大阪」の柱立てを基本に、以下の考え方で取組む。
・厳しい状況の中だからこそ、「人を集める」「人を育てる」という大阪の都市魅力を創造し、それを大阪の際立った特色としたい。財政規律を堅持しつつ、「現状を打破し、事態を動かす」という「攻め」の姿勢で思い切った投資、新たな「挑戦」に踏み出したい。そのため、「将来ビジョン・大阪」の実現に向け、要援護の子どもたちへのきめ細かな支援、「障がい者雇用日本一」をめざす取組みなどセーフティネットの厚みを増しながら、水都大阪(ライトアップと水辺のにぎわい創出)や大阪マラソンなどインパクトのある取組み、府立高校特色づくりや公私立高校セーフティネットなど「教育日本一」をめざす取組みに着手する。

世界をリードする大阪産業
1 次世代産業の振興

・大阪・関西は、新エネルギー分野の産業集積・環境技術の蓄積などの優位性と強みを持つ。世界各地でグリーンニューディール政策が進められる中、大阪産業が「新エネルギー」産業に向けて一致団結する。新エネルギー産業を起爆剤とし、大阪湾ベイエリアを中心としたバッテリー産業の集積、大学・研究機関(知)の集積、ものづくり企業(技)の集積という大阪のポテンシャルを活かした戦略に基づき、リチウムイオン電池の有力用途であるEV(電気自動車)分野の産業振興や世界的地位の確立などに取組み、「新エネルギー産業のイノベーション拠点として世界をリードする大阪」の実現をめざす。
・北大阪を世界トップクラスのバイオクラスターに発展させる。バイオファンドの組成や国プロジェクトの活用など、オール大阪の産学官によるヘッドクォーター体制のもとで策定された「大阪バイオ戦略」に掲げる重点的取組みを進め、国際競争力を有する大阪発のバイオベンチャー、大阪発の医薬品・医療機器開発をめざす。
・これらの分野を中心に、東アジアにおける都市間競争に勝ち抜くため、税の軽減・免除、規制緩和等の思い切った優遇措置を講じることが必要であることから、夢洲・咲洲地区など、大阪の都市戦略上重要な拠点地区への適用を念頭に、「大阪版経済特区」の創設に向けた検討を進めるとともに、国に働きかけていく。

2 中小企業支援・立地促進

・商工行政の「総合商社機能」を発揮するため、ものづくり中小企業との双方向コミュニケーションを確立し、各企業の成長ステージに応じた支援を強化する。そのため、新エネルギー産業への参入促進などに不可欠となる技術面からの支援に特に重点的に取り組む。

3 関西国際空港/4  戦略インフラの具体化/5 物流戦略

・関西国際空港を機軸に大阪・関西の発展戦略を描く。関西国際空港株式会社の財務構造を抜本的に改善し、関西国際空港の機能を発揮できる条件整備を国に強く働きかける。
・国内外の航空ネットワークの拠点空港、物流ハブ空港としての機能向上とそれを支える広域インフラを戦略的に推進する。関空アクセスの向上に加え、大阪の都市軸の南北強化と東西への広がりを持たせる「なにわ筋線」の具体化を図る。
・環状ネットワークや国土軸は一部が切れていると本来の効果が発揮できない。阪神高速道路や新名神などミッシングリンクを解消し、国土軸を強化することが喫緊の課題。また、北陸新幹線などの具体化と現在の事業スキームの検証も必要。
・あわせて、阪神港の“西日本における国際コンテナ戦略港湾”としての指定を目指すなど、陸・海・空がシームレスにつながる物流体系の構築について戦略的に取り組む。

水とみどり豊かな新エネルギー都市大阪
6 地球温暖化対策

・「新エネルギー都市大阪」の実現は、産業発展の道程であると同時に、世界に誇る環境都市をめざす道程でもある。政府が国連に提出した「2020(平成32)年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」との目標を踏まえ、エコカーやエコ燃料の普及促進とともに、府としての新たな目標とそれを達成する経済的手法などを盛り込んだ戦略を打ち立てる。

7 みどりの風を感じる大阪づくり

・都市近郊に自然豊かな周辺山系や海辺があるという大阪の地形が、都市景観やまちづくりに生かし切れていない。みどりの連続性を確保し、海から河川、市街地や周辺の農空間、そして山へとつなぐ、みどりの風を感じるネットワークを創出するため、府域の緑被率の向上に加え、みどりを身近に感じる府民の割合増加などの目標を設定し、「みどりの風促進区域」の創設等に向けた取組みをスタートさせる。

8 水都大阪

・大阪にとって「水」は、まちづくりの大きな要素。「水都大阪」の原点である河川の水質改善の重要性を府民に訴えるシンボルとして、また、水辺のにぎわいの創出と大阪の都市魅力を際立たせる景観のシンボルとして、“泳ぎたくなる川”という高い目標を掲げたインパクトのある取組みを進める。 

ミュージアム都市大阪
9 大阪の都市魅力の創造・発信/10 大阪らしい文化を育む

・大阪は元来、水辺景観、歴史・文化の蓄積、趣のあるまちなみなど多くの魅力を有するが、それらが「大阪の顔」「大阪の空気感」となりえていない。「大阪ミュージアム構想」は、こうした魅力や資源を展示品に見立て磨きをかけ、大阪全体をミュージアムとして内外に売り出すことがねらい。21年度の「水都大阪2009」「御堂筋イルミネーション」の成果を発展させ、「他を圧倒する」「際立った」魅力創出・発信の仕掛けづくり、効果的なイベントを戦略的に展開する。
・さらに、大阪のポテンシャルを発揮し、東アジアにおける大阪の優位性のひとつとなるコンベンション都市機能のあり方を明らかにしたい。
・あわせて、「大阪らしい文化のあり方」「文化振興における府の役割」「文化を通じた次世代育成のあり方」などの方向性を示した、大阪府文化振興会議の答申「『文化自由都市、大阪』をめざして〜府民の自律と創意が最大限発揮される都市〜」(22年2月)を踏まえた計画を策定し、府の文化施策を講じる。

だれもが安全・安心ナンバーワン大阪
11 総合治安対策の推進

・大阪の街頭犯罪認知件数は9年連続のワーストワン。刑法犯少年の検挙・補導人員も2年連続全国最多。ワーストワン返上を府政の最重要課題として正面から捉え、大阪府警察本部と連携して、21年度にスタートした「地域安全センター」や「少年補導センター」などを核に、総合治安対策の強化に全力を挙げる。

12 医療先進都市大阪

・引き続き、救急医療システムの整備に力を注ぐ。府民のがんによる死亡率が全国で最悪のレベル(女性はワースト5、男性はワースト4)にある中、西日本のがん拠点病院である大阪府立成人病センターが、がん医療にかかる先導的役割を一層発揮できるよう、建替えの具体化に着手する。
・大阪発の「ホウ素中性子捕捉療法」の実用化に向け、研究を支援するなど、産学官が連携し先端的がん医療拠点の実現をめざす。

13 障がい者雇用日本一

・大阪の障がい者の法定雇用率の達成企業割合は全国45位。障がい者雇用日本一をめざし、新たに「ハートフル条例(大阪府障害者の雇用の促進等と就労の支援に関する条例)」を制定した。これに基づき、契約など大阪府と関係のある事業主に対し、法定雇用率を守るよう強力に働きかけるとともに、雇用を促進するための基金や、障がい者を多数雇用する特例子会社や中小企業を応援する全国初の優遇税制など、達成企業の増加につながる効果的なインセンティブを用意する。あわせて、福祉や教育の現場から一般就労に結びけるための支援策を講じる。

14 雇用・人材の確保

・深刻さを増す雇用情勢に対処するため、府としての緊急の取組みとして、国の緊急雇用創出基金事業を展開しているが、引き続きこれを活用しながら、新たに、介護など重点分野での雇用・就業機会の創出と地域ニーズに応じた人材の育成に取り組み、一層の雇用の維持・創出を図る(緊急雇用創出基金事業(21〜23年)により、24,200人の雇用創出をめざす)。
・また、大阪における雇用失業の実態把握や企業と求職者双方のニーズを踏まえ、雇用のミスマッチの解消を図るとともに、若年者等を中心とした、大阪の将来を担う人材の確保・育成を図っていく。
・一方、急速な少子高齢化の進行に伴い、福祉・介護ニーズが増大している中、これらの分野における深刻な人材不足を解消するため、雇用のマッチングを図り、安定した質の高い人材の確保・育成策を講じる。

15 住宅・まちづくり政策の再構築

・高度経済成長期の流入人口の受け皿として大量供給した府営住宅は、入居者の高齢化、ストックの老朽化、需給のアンバランスなど様々な課題を抱えている。管理戸数の削減とあわせ、民間賃貸住宅との役割分担による安心居住の新たな枠組みづくりなど、府の住宅政策の再構築を行う。
・また、オールドタウン化が進む泉北ニュータウンの再生を図る。

16 大阪の地域力再生

・失われつつある大阪の地域コミュニティを再生させたい。「公立小学校等の運動場の芝生化」は、学校を拠点とした地域力再生のきっかけとしたい。これを核に、子どもたちに対する安全見守り、清掃・あいさつ、さらには、高齢者や障がい者への見守り、住民による自主防災など様々な地域活動の活性化や広がりに結びつけたい。これらに寄与する府の施策が有効に活用されるよう、全庁挙げて支援する。

教育・子育て支援日本一大阪

・20年秋の「大阪教育非常事態宣言」からスタートした大阪の教育改革。「大阪の教育はすばらしい」「大阪は子育て支援に手厚い」ということを発信し、全国から大阪に子育て世代を呼び込みたい。
・そして、大阪の子どもたちには、ボーダレスの競争社会において、特に東アジアの主要都市に伍していける人材に育ってほしい。こうした思いで、「教育・子育て日本一」に向けた取組みに一層力を注ぐ。

17 次世代育成支援

・子育て支援については、「こども・未来プラン後期計画」で示す方向性に基づき、出産前から青年期にいたる成長段階に応じた具体的支援策を体系化し、その中で「子育て支援日本一」にふさわしい新たな施策を講じていく。

18 子どもたちに確かな学力を/19 府立高校の新たな特色づくり/20 支援教育の充実

・教育関連施策については、「全国学力・学習状況調査」の結果が全国平均に到達することを目標に、引き続き、大阪の子どもたちに基礎基本の徹底、家庭学習習慣や規則正しい生活習慣の定着、食育(スクールランチなど)の推進、落ち着いた学習環境の醸成など様々な施策展開を図る。教員の授業力を高め、地域とも連携しながら、学力向上に徹底的に取り組んでいく。
・また、切磋琢磨しながら強みを伸ばす府立高校の新たな特色づくり、障がいのある児童・生徒の教育環境の向上、子どもたちの体力と健康づくりや安全・安心の確保などに積極的に取り組む。

21 経済的理由で夢をあきらめない高校修学支援

・経済的理由から高校修学が困難にならないよう、国における制度改正の動向を踏まえ、公私の保護者負担格差の是正のため新たな支援策を講じる。さらには、生徒・保護者の学校選択の自由を保障し、府域に人を呼び込む大きなアドバンテージとなるよう、公立・私立高校の学校間の競争条件を整えるため、府として支援対象とする所得層や支援の水準について、私学助成全体のあり方なども含めて、平成23年度に向けて検討を進める。
・大阪の子どもたちが、「英数国理社」だけでない多様な進路を選択できるよう、引き続き「職業教育ナンバーワン」に向けた取組みを進める。

22 府立大学のあり方

・「府民に支持される強い大学」をめざすため、教育研究組織の改革、地域貢献の強化、経営の改革などへの取組みを柱とした大学改革指針(案)を策定し、改革の具体化を図っていく。

(2) 「主な政策課題」の現状と論点

・以上の考え方に基づき、22項目の「主な政策課題」を設定し、課題毎の現状と論点を、別添資料〈「主な政策課題」の現状と論点〉にとりまとめた。

(3) 22年度の「知事重点事業」

・22年度の「知事重点事業」は、22項目の「主な政策課題」で設定した「論点」に基づく別添資料〈平成22年度「知事重点事業」(案)〉について、予算編成過程を通じて精査・絞込みを行い、事業決定した〔別紙〈知事重点事業(平成22年度)について〉〕。

4.「府庁改革」

・「府庁改革」をさらに推進し、「変革と挑戦」の実践と「自治体経営」の確立をめざす。
・公務員制度については、他府県比較を中心とした調査分析を行っているところであり、その結果も踏まえ、公務員制度改革について検討する。

(1) 組織機構等

・21年度当初段階において、「大阪維新」プログラム(案)や大阪の将来像の実現に向けた取組みを進めるため、部の再編などの体制整備を行ったところであり、22年度は、課題対応に必要な体制整備を行う。
・試験研究機関については、各機関の研究開発や技術支援の蓄積をより一層府民に還元するため、抜本的な改革を進める。

産業開発研究所21年度末をもって研究所としては廃止し、大阪の経済・産業・雇用の実態に即した施策を一層的確に実行するため、22年度に調査研究・分析機能を本庁へ統合
産業技術総合研究所ものづくり中小企業等の支援ニーズに弾力的・効果的に対応するため、地方独立行政法人化に向けて検討
環境農林水産総合研究所環境や農林分野の試験研究等の支援ニーズに弾力的・効果的に対応するため、地方独立行政法人化に向けて検討
公衆衛生研究所成人病センターの建替に伴う施設の集約化に向け、研究・検査機能を精査し、組織体制を検討

・府市連携の推進や民間ビル借上げの解消等の観点から、WTCビルを庁舎として有効活用する。

(2) 組織戦略

組織戦略に基づき、量的改革と質的改革を併せて実行し、組織力を向上していく。

量的改革

・30年度の職員数として8,500人規模(別途、国からの権限移譲分1,000人規模)を見通した上で、22〜24年度の3年間で700人の職員数の削減を行う。このため、コスト意識をより重視した民間的な“要員マネジメント”を導入し、要員管理を部局長・課長等のマネジメントと位置づけ、各組織において効率性を追求し、組織のスリム化を図る。
・22年度当初には、250人の職員数の削減を行う。類似団体との部門別比較や市場化テストなどを踏まえた部局別の職員数削減目標を設定し、削減に取り組むとともに、部局の枠を超えた施策の「選択と集中」に合わせ、「知事重点事業」をはじめ、より優先度の高い分野や業務へ戦略的に人員を重点投入する。

質的改革

・将来を見据えつつ、府民ニーズに対応した行政運営を適切に行えるよう、計画的な採用による人材確保に努めるとともに、行政としての高い専門性はもちろん、府民感覚や経営感覚を備えた人材を育成し、地域主権社会にふさわしい、府民本位の自治体経営を担う組織への変革に取り組む。そのため、府民から信頼される府政の確立をめざし、府民サービスの充実と府民満足度の最大化を図り、組織パフォーマンスを最大限に発揮できる人事・研修の仕組みづくりを進める。
・22年度当初の異動方針において、「改革マインドをもって」「細部までこだわって」など地域主権時代に府職員に求めるものを示すとともに、限られた人員で、高度化する府民ニーズに的確に対応し、効率的に業務を遂行するため、「現場重視」「幅広い視野をもったスペシャリストの育成」などの観点から、適材適所の配置等を行う。
・22年度は、社会人採用制度を拡充し、多様な人材からなる組織づくりをさらに進めるとともに、職員のキャリア全体を見渡した人事の仕組みづくりや研修メニューの再構築を行う。
・府退職者の再就職については、「天下り」との批判を受けるような仕組みとは決別し、職員がこれまで培った能力を最大限に活用し、多様な選択ができる仕組みを構築する。指定出資法人役員就任については、専門家会議の意見を踏まえ、府OBを引き続き就任させる必要があると認められる場合に限り、府は適任者を推薦する。その他法人・民間企業等への再就職は、府のあっせんによらない、求職者、求人者双方の自主的なマッチングに委ね、人材バンク制度の透明性を高める。

(3) 給与等勤務条件の見直し

・給与その他の勤務条件について、民間企業と比べてどうかという視点、府民からのわかりやすさという視点で引き続き点検する。
・給与については、21年度の人事委員会勧告による月例給の引下げは実施しないこととし、23年度実施をめざし、職務給の原則をより徹底する観点から、職務・職責に応じた給与制度の構築に向け検討を進める。
・特別休暇、特殊勤務手当については、22年度当初から国制度を標準として見直す。また、職員の勤務時間については、国や他府県、民間における状況を踏まえ、22年度中に短縮を図る。

(4) 内部統制手法を活用した組織強化

・府民に信頼される府政の確立をめざして、内部統制手法を組織マネジメントの一環として活用し、業務手法・ルールの徹底や最適化などの恒常的なチェックにより不適正事務発生のリスク軽減、業務改善・BPRにつながる取組みを進める。

(5) 新公会計制度の導入

・新公会計制度については、日々の会計処理をリアルタイムで複式処理できる財務会計システムを構築して、所属別や任意の施策分野などの多様な財務諸表を作成し、決算分析や事業評価の質の向上、予算編成への反映などのマネジメント改革に役立てる。
・あわせて、財務情報の府民へのさらなる開示として、貸借対照表、行政コスト計算書、キャッシュフロー計算書及び純資産変動計算書を公表できるよう、24年度をめどに本格導入を進める。

(6) 大阪版市場化テストのさらなる推進

・大阪版市場化テストは、民間のノウハウなど外部の視点を反映して、公共サービスの質の向上と効率化をめざすものである。
・大阪版市場化テスト監理委員会での審議を経て、新たに民間開放の対象業務とした、税務業務、監査業務、図書館管理運営業務など7事業について、22年度以降の事業化を進める。
・事業実施後はモニタリングを実施し、サービス水準の確保や府民満足度の向上を図る。

(7) 出資法人や公の施設のさらなる改革

改革の具体化

・出資法人や公の施設改革については、財政再建プログラム案に示された方向性を基本に、大阪府都市開発(株)の民営化等その具体化を図る。
・出資法人をはじめとする団体(国関係法人等を含む。)への職員派遣について、団体の自立化を進める観点等から、原則3年間で派遣職員を見直す。

評価・点検システムの確立

・出資法人や公の施設の運営等にあたっては、常に点検、見直しを行いながら府民の要請に的確に対応していく必要がある。
・そのため、指定出資法人(全33法人)への外部委員による経営評価の導入や公の施設(対象88施設)へのPDCAサイクルの確実な実施を推進し、府民の視点に立ったわかりやすい評価・点検システムに基づく、透明性・公正性が確保されたより適切な法人経営、施設運営に取り組む。

(8) 戦略的広報と究極の情報公開

戦略的広報

・府が行う広報について、府民に分かりやすく、ターゲットの心に響き、統一感やインパクトのあるメッセージを発信する広報へと転換を図りたい。
・そのための戦略として、府政情報室において、外部ネットワークの構築や広報スタッフのスキルアップ、リニューアルしたWebサイトの活用など「広報の武器」を増やす。また、予算編成の段階から事業課と調整を行うなど庁内の情報の集約・一元化を図る。
・今後とも、府政情報室が全庁の情報の司令塔となり、フィルター機能を果たすことにより、府庁トータルの「広報力」の向上に取り組む。

オープン府庁《究極の情報公開》

・府が保有する情報は本来府民のものである。施策の発生源から決定・実行までのプロセスを「見える化」することで、府政の透明性を高め、府民に対する説明責任を果たすとともに、ガバナンスの強化につなげる。
・そのため、課題や懸案について、府がどういう議論を経て意思決定を行っているのかを、府民がホームページで見ることができる取組みを進める。まず、22年1月から府民文化部の4課で試行実施し、その検証結果等を踏まえ、実施職場の拡大に努め、23年4月からの全庁実施に向け取り組む。

5.「地域主権」

・市町村や関西の府県・政令市とともに、「市町村への分権」「府市協調」「関西広域連合」から関西州の実現に向けた取組みへと着実な歩みを進める。そして、国からの権限の積極的な受入れなど自らの役割と責任を果たしながら、国の出先機関の廃止や国と地方の協議の場づくりなどこれまでの府の主張が実現できるよう国に働きかける。

(1) 市町村への「分権」

・府から市町村への権限移譲については、22年度から24年度を集中取組期間と位置づけ、府内全市町村に特例市並みの権限を移譲する、全国に先駆けた取組を進めていく。
・大幅な権限移譲を推進するため、1市町村あたり1億円を上限(3ヵ年計)に、市町村の体制整備を支援する新たな財政措置や、職員派遣の弾力化、市町村サポートチームの創設などの人的支援措置を講じる。
・また、国直轄事業負担金と同様に、大阪府の公共事業への市町村負担金についても22年度から維持管理費や人件・事務費への市町村負担金を基本的に廃止するとともに、建設負担金の見直しを進める。
・水道事業は急激な水需要への対応を補完するため府が用水供給事業を行ってきたという経緯があるが、本来は基礎自治体である市町村が担うという認識のもと、基礎自治体の水平連携による対応を基本とする。そのため、「23年4月の設立を目標に、企業団方式で検討を進めていく」との受水市町村からの提案を踏まえ、市町村と府が一緒になって検討に取り組み、最終的には広域化(府域一水道)をめざす。

(2) 関西としての「集権」

・昨年度策定した「大阪発“地方分権改革ビジョン”」の工程に従い、遅くとも30年までに関西州の実現をめざす。そのため、まずは22年中に関西広域連合(仮称)を設立し、関西全体の広域行政を担う責任主体として、国の出先機関廃止にあわせて、その受け皿となることをめざす。

(3) 府市協調(大阪市との新たな関係づくり)

・広域自治体である大阪府と大都市である大阪市が連携・協力して大阪(関西)の総合力を発揮していくことが必要である。そのため、22年度は、府・市双方で体制を整備し、定期的なトップ同士の意見交換(恒常的な協議の場)の実施、府から市への権限移譲やその他の個別課題の調整などに取り組む。

(4) 国への働きかけ

・地域主権の確立に向け、国直轄事業負担金の全廃や国と地方の協議の場の法制化について、引き続き、その実現を働きかけていく。さらに、国の出先機関について、近畿ブロック知事会や全国知事会の場も活用し、地方の側から積極的な姿勢を示すことで、その廃止を強く訴えていく。
・国から大阪府への国直轄国道の移管については、大阪から地方分権を進めていくという気概をもって、府内全ての直轄国道を協議対象として、権限と財源を併せた早期の移管を求めて協議していく。
・道州制の実現に向け、国に強く働きかけていく。
・国関係法人等への支出については、費用対効果による支出の必要性、代替手段の有無等の妥当性を総点検し、ゼロベースによる予算積み上げを行う。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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