おおさかの環境2010 大阪府環境白書 「巻頭特集 大阪エコライフ(生物多様性と私たちのくらし編)」

更新日:2016年11月18日

おおさかの環境2010 大阪府環境白書


2.生物多様性とは

■ そもそも「生物多様性」って何?

 地球上には確認されているだけで約175万種、未知のものも含めると3,000万種もの生き物が生息しているとされています。これらの生き物は、それぞれに個性をもち、食う・食われる、花粉を運ぶといったさまざまな関係でつながりあっています。「生物多様性」とは、そのような生き物の「個性」や「つながり」を示す言葉です。※1

コラム1 生物多様性の3つのレベル

生物多様性には3つのレベルがあり、これらが複雑に絡み合って、つりあいのとれた生物の多様性が維持されています。※2

1. 生態系の多様性

 森林、里地里山、農空間、河川、湿原、干潟、サンゴ礁などいろいろなタイプの自然のことを指します。

生態系の多様性

2. 種の多様性

 動植物から微生物にいたるまで、いろいろな種類の生き物がいることを指します。

種の多様性

3. 遺伝子の多様性

 同じ種でも異なる遺伝子をもっていて、個体によって形や模様、生態などに多様な個性があることを指します。

遺伝子の多様性

■生物多様性がもたらす恵み

 生物多様性は、食料をはじめとして、衣服、住居、医療、文化・芸術、環境・防災、経済産業の分野に至るまで、私たちに恵みをもたらし、私たちの「いのち」と「暮らし」を支えています。(図1)

 例えば、私たちは様々な動植物から、穀物、野菜、果物、肉、魚介類などの食料を得ていますし、野生の種がもつ遺伝情報を活用して、品種改良も行っています。また、私たちの衣服の原料になる絹は蚕(かいこ)という虫が出す糸を原料にしていますし、住宅の材料として昔から木材を利用してきました。

 もし生物多様性が失われると、このような恵みも失われ、私たちの「いのち」と「暮らし」がおびやかされることになります。※1、3

画像です。図1 生物多様性がもたらす恵み

図1 生物多様性がもたらす恵み

 ■生物多様性に迫る危機

 現在、生物多様性はかつてない速さで失われていて、世界中で数多くの野生生物が絶滅の危機に瀕しています。世界では17,291種の野生生物が絶滅のおそれがあるとされています。※4

 国内の野生生物では、図2の各分類で約1割〜3割強、計3,155種が絶滅のおそれのある種とされています。※5

 

図2絶滅のおそれのある日本の野生生物の比率

 図2 絶滅のおそれのある日本の野生生物の比率

 また、大阪府内の野生生物では、約1割にあたる896種が絶滅のおそれのある種とされていて、淀川に生息するアユモドキやイタセンパラなどの野生生物が絶滅の危機に瀕しています。※6

写真1 大阪府で絶滅のおそれのある野生生物の例

    写真1 大阪府で絶滅のおそれのある野生生物の例

 これらの原因は、生物の乱獲や開発、里地里山などの手入れ不足、外来種の侵入、地球温暖化などが挙げられます(図3)。※3

画像です。図3 生物多様性の危機

図3 生物多様性の危機

コラム2 生物多様性のもたらす恵み(医薬品編)

 抗生物質のペニシリンが、元々アオカビから発見されたことをご存知の方は多いのではないでしょうか。その他にも、解熱鎮痛剤のアスピリンは、ヤナギの樹皮の成分に解熱、鎮痛の効果が発見されたことから、これを手本に合成されています。※1また、「タミフル」という名前でよく知られるインフルエンザ治療薬は、中華料理の香辛料、八角の成分を利用して作られています。世界で処方されている医薬品の約40%が自然界から得られた原料を使用しており、熱帯雨林からは難病とされていた病気の特効薬が数多く発見されています。

 このように、私たちは医療分野でも生物多様性の恩恵を多く受けているのです。

画像です。写真2 八角(左)とヤナギ(右)

写真2 八角(左)とヤナギ(右)

コラム3 生物多様性に関する世界のうごき

 1992年に開催された地球サミット(国連環境開発会議)で、生物多様性条約が採択されました。

 今年は国連の定めた「国際生物多様性年」で、10月に名古屋市で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)では、国際的に生物多様性を保全するための合意がいくつかなされました。隣接する会場では「生物多様性交流フェア」が開催され、11万8千人を超える人で賑わいました。※7

画像です。写真3 COP10併設イベント「生物多様性交流フェア」の様子

写真3 COP10併設イベント「生物多様性交流フェア」の様子

▼3.私たちの生活と生物多様性


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環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

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