おおさかの環境2010 大阪府環境白書 「第3章 施策の進捗状況の評価と今後の方向性」

更新日:2020年2月20日

おおさかの環境2010 大阪府環境白書


  「大阪21世紀の環境総合計画」において長期的な目標を定めた6つの主要課題について、施策の進捗状況を評価して今後の方向性を検討するとともに、個別の計画目標の達成状況について毎年度把握し、外部の意見も取り入れながら計画を進行管理していきます。

1 主要課題の進捗状況及び今後の方向性

(1)資源循環 

【進捗状況の評価】
 平成19年3月に改定した「大阪府廃棄物処理計画」では、廃棄物の最終処分量を2010(平成22)年度までに1997(平成9)年度比で概ね半減するため、2010(平成22)年度における最終処分量を一般廃棄物については56万トンに、産業廃棄物については53万トンに削減することなどを目標としています。
 一般廃棄物の最終処分量は、平成20年度には59万トンとなっており、目標の56万トンには3万トンの削減が必要です。

【今後の方向性】
 平成22年度目標の達成に向け、平成19年3月に改定した「大阪府廃棄物処理計画」に基づき、府民団体や事業者団体、行政からなる大阪府リサイクル社会推進会議の「リサイクルアクションプログラム」の推進など、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用の3Rを進めるための施策を総合的かつ計画的に推進します。
 また、循環型社会形成推進条例に基づき、認定したなにわエコ良品(大阪府認定リサイクル製品)のインターネット販売をはじめ、リサイクルの一層の推進のための施策を展開していきます。
 加えて、平成17年7月に国から承認を受けた「大阪府エコタウンプラン」の推進を図ります。

(2)水循環 

【進捗状況の評価】
 健全な水循環を再生するため、水循環に関するホームページを開設し広く情報発信するとともに、雨水浸透施設や貯留施設の設置、多自然川づくりや河川浄化事業などの河川環境整備を進めました。寝屋川流域においては、平成16年5月に策定した「寝屋川流域清流ルネッサンスII(水環境改善緊急行動計画)」に基づき、河川の水質浄化のため下水処理水を導水するなど、水循環の再生のモデル流域としての取り組みを進めています。
 また、樹木への灌水、散水や道路への散水等への下水処理水の有効利用を一層図るため、処理水供給施設「Q水くん」を11箇所の水みらいセンターに設置しており、平成21年度末の下水処理水の有効利用率は約19%となっています。

【今後の方向性】
 今後とも、水環境の保全を図るとともに、下水高度処理水の有効利用推進、森林保全による水源涵養の促進、農地やため池等の保全・活用による保水・遊水機能の向上、また府民協働による雨水利用の促進を通じた啓発や水文化の育成等、健全な水循環の再生に向け、総合的な施策の展開を図ります。

(3)地球環境(ヒートアイランド対策を含む2つの温暖化対策)

■地球温暖化対策 

【進捗状況の評価】
 「大阪府地球温暖化対策地域推進計画」では平成22年度の府域の温室効果ガス排出量を基準年度から9%削減することを目標としています。平成20年度の温室効果ガス排出量は基準年度と比べ8.4%減少しました。
 温暖化の防止等に関する条例に基づき、事業活動や建築物の温暖化対策を推進するとともに、民間事業者の省CO2設備の導入、府有施設や民間へのESCO事業の導入、バイオエタノール3%混合ガソリン(E3)実証事業の実施等、新エネルギーの普及を促進しました。また、地球温暖化防止活動推進センターやNPO、業界団体等で組織する協議会に参画し、省エネルギー機器の普及に努めました。さらに、地球温暖化防止活動推進員と協働し、各地域で地球温暖化防止の普及啓発を行いました。

【今後の方向性】
 「府地球温暖化対策地域推進計画」に基づき、目標の達成に向けて、前出の条例の円滑な運用や、毎月16日の「ストップ地球温暖化デー」を中心としたエコアクションの実践の呼びかけ、カーボン・オフセットの取組みの普及などを通じて、府民、事業者に省エネルギーの取組みを促すとともに、新エネルギーの普及を図ります。
 地球温暖化防止活動推進センターや地球温暖化防止活動推進員、府内市町村や近隣府県、NPO等のあらゆる主体と連携し、効果的な温暖化対策を推進していきます。
 また、政府の取組みと連動し、府としての新たな温室効果ガス排出削減目標とその達成のための方途を盛り込んだ中長期計画の策定に取り組みます。

■ヒートアイランド対策 

【進捗状況の評価】
 「大阪府ヒートアイランド対策推進計画」に基づき、各主体との連携のもとに諸対策を推進しています。
 平成21年度は、19年度に実施したモデル事業の成果を活用し、「ヒートアイランド対策ガイドライン」の普及に取り組みました。大阪市中心部のモデル街区(大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺街区)においては、国の補助事業を活用した民間事業者によるヒートアイランド対策の集中的な取組みを大阪市、地球温暖化防止活動推進センターと連携して促進しました。
 「大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム」においては、対策技術の開発・普及等に取り組みました。
 また、改正自然環境保全条例に基づき一定規模以上の敷地における建築物の新築・改築・増築を行なう建築主に対し緑化することを義務付け、温暖化の防止等に関する条例により事業者の事業活動に伴う人工排熱の抑制や、建築物の新築、増改築を行う建築主にヒートアイランド対策を促進しました。
 さらに、北大阪地域、東大阪市の荒本などにおいて、下水高度処理水や雨水を利用した打ち水をとおした各種啓発活動を実施するなど、府民、民間企業、NPO等と協働したヒートアイランド対策を実施しました。

【今後の方向性】
 「ヒートアイランド対策ガイドライン」に沿った対策や大阪市中心部のモデル街区におけるヒートアイランド対策の集中した取組みを促進するとともに、自然環境保全条例に基づく「建築物の敷地等における緑化を促進する制度」及び温暖化の防止等に関する条例の適切な運用に努めます。
 また、「大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム」との連携により、諸対策の推進に努めます。
 さらに、北大阪地域や東大阪地域等で雨水等を利用した打ち水を実施するなど、府民、市町村、民間企業、NPO等と協働したヒートアイランド対策を引続き実施していきます。

(4)交通環境 

【進捗状況の評価】
 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度は緩やかな減少傾向にあります。二酸化窒素については、一般環境測定局では環境保全目標を全局で達成しましたが、自動車排出ガス測定局では2局が未達成でした。浮遊粒子状物質については、一般環境測定局、自動車排ガス測定局ともに環境保全目標を2年連続全局で達成しました。
 また、騒音については、低騒音舗装の敷設等の道路構造対策や交通流対策などの各種環境対策を講じていますが、依然として騒音に係る環境保全目標を達成していない状況です。

【今後の方向性】
 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境保全目標の達成・維持を図るため、平成15年7月に策定した「府自動車NOx・PM総量削減計画」などに基づき、低公害車をはじめとするエコカーの普及促進、自動車走行量の抑制、交通流の円滑化等の諸施策を関係機関等と連携し、計画的、総合的に推進します。さらに、大阪府生活環境の保全等に関する条例に基づく流入車規制を実施し、自動車NOx・PM法の排出基準適合車等に表示が義務付けられているステッカーを交付するとともに条例の実効性を確保するため、事業所への立入検査・指導を実施します。
 また、騒音については、「大阪府道路環境対策連絡会議」において道路構造や交通状況に応じて効果的な対策を検討し、環境保全目標の達成に向け、総合的・計画的に対策を推進します。

(5)有害化学物質

【進捗状況の評価】
 2010(平成22)年度までに府内のダイオキシン類の排出量を2005(平成17)年度の目標排出量(2000(平成12)年度から約4割削減)からさらに削減することを目標にしていましたが、これを達成し、平成21年度における排出量は平成12年度から93.3%削減しています。
 また、ダイオキシン類の環境濃度は、大気、海域水質・底質、地下水、土壌については、環境保全目標を超過した地点はありませんでしたが、河川の水質・底質で環境保全目標を超過した地点があったことから、関係機関と連携し原因究明調査や周辺事業所の指導等を行いました。

【今後の方向性】
 今後も、ダイオキシン類に関しては廃棄物焼却炉等の発生源を設置している事業者に対する排出抑制指導を徹底します。また、大気、水質、土壌等のダイオキシン類の環境調査を継続するとともに、環境保全目標を達成していない地点については、その原因の究明と対策に努めます。
 また、アスベストについても府民の健康を守るため、アスベスト濃度の実態調査を実施するとともに、建築物解体時等における飛散防止対策の徹底を図るため、大気汚染防止法及び府生活環境の保全等に関する条例を運用していきます。
 その他の有害化学物質についても、PRTR法に基づいて把握した排出量等の情報や大阪府生活環境の保全等に関する条例に基づく大阪府独自の化学物質管理の仕組みを活用して、事業者による自主的な化学物質の管理を促進します。

(6)エコロジカルネットワーク 

【進捗状況の評価】
 生きものの生息・生育環境の場や移動経路の確保、ゆとりと潤いを共感する景観の形成などに資するエコロジカルネットワーク(周辺山系とベイエリアを結ぶ河川や都市公園を結ぶ緑道などが形成する水と緑のネットワーク)の形成に向けた取組みを実施しています。
 平成21年度は周辺山系の森林整備やベイエリアでの共生の森づくり、学校ビオトープの整備など地域の特性に応じた自然環境の保全、回復、創出に取り組みました。

【今後の方向性】
 エコロジカルネットワークの形成に向けて、引き続き自然の連続性に留意しながら多様な自然環境の保全・創造に努めるとともに、府民参加による保全活動を推進していきます。
 大阪府の環境に関する情報発信の窓口となるホームページです。イベント情報や各種の行政情報のほか、大気環境の状況や光化学スモッグ注意報などの発令状況に関する情報をリアルタイムで提供し、メールマガジンで配信しています。また、河川などの水質調査結果をデータベース化して公開しています。

2 計画目標と達成状況

 こちらをご覧ください。⇒[PDFファイル/404KB](※この内容はパンフレットには掲載していません。)  

モットちゃんとキットちゃん

3 大阪府環境審議会からの意見

 平成21年度の主要施策の進捗状況について、第41回環境審議会(平成22年12月1日開催)において報告しました。報告に対して委員から寄せられた主な意見と、それに対する府の考え方は以下のとおりです。 

意   見

府の考え方

 平成21年9月に微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準が設定された。浮遊粒子状物質の目標は100%達成しているが、PM2.5の目標達成は厳しい状況であると考えられるので、浮遊粒子状物質の状況を示す際、PM2.5の今後の取組みについて示すべきではないか。 府域の微小粒子状物質(PM2.5)濃度は、環境基準を上回っていると推測されます。今後、環境モニタリングとして環境濃度や成分分析を行うために、自動測定機を配備するなど測定体制を整備していく予定であり、その上で、汚染の状況を踏まえながら、より効果的な対策を検討・実施していきます。なお、ご指摘を踏まえ、大阪府環境白書にはPM2.5の今後の取組みについて記載します。
 ヒートアイランド対策について、府民の活動の推進のためにも、実効性の高い対策を具体的に示すのが良いのではないか。 ヒートアイランド現象は都市構造の問題であり、様々な要因が複雑に関係しているため、講じた対策の効果が必ずしも明確に示せるものではありませんが、ご意見も踏まえ、府民の活動推進につながるよう、分かりやすい記述に努めてまいります。
 小学校の芝生化について、芝生化が良いものかどうか、その効果を今後示していくべきではないか。

 平成21年度から実施しております公立小学校の芝生化事業では、平成22年11月30日現在で、110校で芝生化されました。

 芝生化の効果につきましては、各小学校での、

  • 活用事例
  • 芝生化後のアンケート調査
  • 地表温度、湿度等の調査

について、今後、事例集やホームページで、その効果を公表していきます。

 生駒山系花屏風構想の推進について、イベントなどで植樹するだけで自然が戻る場合と戻らない場合がある。里山の管理を通じた再生と新たな森林創出とでは、内容が異なるので、その認識をもって行うべきである。


 生駒山系では、竹林の拡大やクズ・ササの繁茂により荒廃森林が増加し、森林の公益的機能への影響が懸念されております。

 このように荒廃した森林を対象としてNPO・企業等との府民協働の取組みにより、重点的に花木や紅葉の美しい樹木の植樹活動を展開しているところです。

 また、植栽した樹木の保育管理についても、NPOや企業等との協働により適切に実施し、生駒山系の森林を府民に愛される美しい自然資源として整備してまいります。

 環境総合計画の進行管理について、施策を評価し、見直していくというPDCAサイクルを回していることがわかるように示すべきである。 施策の進捗状況を評価して今後の方向性を検討するとともに、個別の計画目標の達成状況について毎年度把握しています。また、環境審議会の委員から頂いた意見を取り入れながら計画の進行管理を行っています。計画の目標年度が今年度までのため、来年度は計画全体の評価を行う必要があり、講じた施策の単なる紹介とならないよう、評価方法を検討し、実施します。

 ▼巻末資料


おおさかの環境2010 大阪府環境白書

このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

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