人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子
結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向は、同和問題の理解の仕方と関連しているものと推測されます。
そこで、結婚差別の解決に向けた将来展望と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向との関連をみました。
表8-2-1 「同和地区の人たちに対する結婚差別は近い将来なくすことができると思うか」×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合)
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| 問3i(14) 同和地区出身者かどうか | ||
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| あてはまる | あてはまらない | 合計 |
問16-1 近い将来なくすことができると思うか | なくなっている | 4 | 26 | 30 |
| 13.3% | 86.7% | 100.0% | |
完全になくせる | 2 | 22 | 24 | |
| 8.3% | 91.7% | 100.0% | |
かなりなくすことができる | 51 | 158 | 209 | |
| 24.4% | 75.6% | 100.0% | |
わからない | 31 | 181 | 212 | |
| 14.6% | 85.4% | 100.0% | |
なくすのは難しい | 74 | 121 | 195 | |
| 37.9% | 62.1% | 100.0% | |
合計 | 162 | 508 | 670 | |
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| 24.2% | 75.8% | 100.0% |
χ2=35.946 df=4 p=.000*** |
表8-2-1から、「近い将来、同和地区の人々に対する結婚差別をなくすのは難しい」と考えている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあることがわかります。ただ、「かなりなくすことができる」と考えている人においても「同和地区出身者かどうか」が気になる人が少なくないのも実態です。
【知見】
○近い将来、同和地区の人々に対する結婚差別をなくすのは難しいと考えている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にある。
また、同和地区に対してマイナス・イメージを持っている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあるのではないかと考えられます。
表8-2-2 「同和地区の人はこわい」「同和対策は不公平だ」というような話を聞いたときどう感じたか×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合)
問3i(14) 同和地区出身者かどうか | ||||
あてはまる | あてはまらない | 合計 | ||
問18-2 その話を聞いたときにどう感じたか | そのとおりと思った | 45 | 69 | 114 |
39.5% | 60.5% | 100.0% | ||
そういう見方もあるの | 82 | 180 | 262 | |
かと思った | 31.3% | 68.7% | 100.0% | |
とくに何も思わなかった | 8 | 31 | 39 | |
20.5% | 79.5% | 100.0% | ||
反発・疑問を感じた | 9 | 49 | 58 | |
15.5% | 84.5% | 100.0% | ||
聞いたことはない | 22 | 190 | 212 | |
10.4% | 89.6% | 100.0% | ||
合計 |
| 166 | 519 | 685 |
24.2% | 75.8% | 100.0% | ||
χ2=46.404 df=4 p=.000*** |
表8-2-2は、差別の社会化の受止め方と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向との関連をみたものです。差別の社会化を経験して、「賛同」あるいは「容認」した人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあることがわかります。
【知見】
○差別の社会化を経験して、「賛同」あるいは「容認」した人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にある。
さらに、同和地区やその住民との関わりがある人は、ない人よりも結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が低いのではないかと考えられます。
そこで、問19で挙げる7項目と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる、という項目との関連をみました。有意差がみられたクロス集計結果のみ掲載します。
表8-2-3 「同和地区の人との関わりはまったくない」かどうか×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合)
| 問3i(14) 同和地区出身者かどうか | |||
あてはまる | あてはまらない | 合計 | ||
問19(7) 同和地区の人との関わりはまったくない | あてはまらない | 72 | 253 | 325 |
22.2% | 77.8% | 100.0% | ||
あてはまる | 98 | 246 | 344 | |
28.5% | 71.5% | 100.0% | ||
合計 |
| 170 | 499 | 669 |
25.4% | 74.6% | 100.0% | ||
χ2=3.538 df=1 p=.036* |
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「同和地区の人との関わりはまったくない」以外の6つの関わり方では、「同和地区出身者かどうか」が気になる、という項目との間に有意差はみられませんでした。しかし、表8-2-3から、関わりはまったくない人のほうが、何らかの関わりのある人よりも、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が高いことがわかります。
【知見】
○「同和地区の人との関わりはまったくない」人のほうが、何らかの関わりのある人よりも、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が高い。
同和地区やその住民と関わることが結婚差別意識を軽減する上で効果のあることが示唆されます。
このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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