第1 教育職給料表の適用状況等に関する報告

更新日:2014年2月10日

第1 教育職給料表の適用状況等に関する報告

1 本府における学校教育の現状等

 本府では、平成24年3月に制定した「大阪府教育行政基本条例」に基づき、これからの大阪の教育の羅針盤となる「大阪府教育振興基本計画」をとりまとめ、平成25年3月に策定した。

 基本計画では、本府の学校教育の現状について、「依然として、学習意欲や学力・体力の低下、基本的な生活習慣の乱れ、社会性や規範意識の低下」など解決すべき課題が多く、保護者や府民のニーズに応えられるよう不断の教育改革を進める必要があるとしている。

 その上で、「子どもたちが、大きく変化する社会の中で、力強く生き抜き、次代の社会を担う自立した大人」となるよう、教育振興の目標や教育力の充実・向上に向けて取り組むべき10の基本方針を示している。このうち、教職員や学校組織のあり方に関するものとして、「6.教員の力とやる気を高めます」、「7.学校の組織力向上と開かれた学校づくりをすすめます」とする方針を掲げている。

 具体的には、教員が、生徒・保護者や地域から信頼される存在となるため、研修や人事異動等を通じた資質・能力の向上、中堅職員を対象としたミドルリーダーの育成、学校の特性や生徒の課題に応じた学校経営の推進等を図るとし、また、校長がリーダーシップを発揮して学校経営を行えるよう、校長をサポートする体制の整備を含め、「校長のさらなる権限強化をすすめる」こととしている。

2 校長の給与をめぐる諸情勢

 大阪府教育行政基本条例と同時に施行された大阪府立学校条例は、「府立学校の効果的かつ効率的な運営を行い、もって府民の信頼に応える学校づくりに資する」ことを目的として、府立学校の設置、運営、教職員の人事等に関する事項を定めている。

 その中で、校長は学校運営に関して責任を有し最終的な意思決定を行う職とされ、経営の視点を取り入れた「学校経営計画」を策定するなど、校長の職務内容が定められている。また、校長の採用は原則として公募によることとし、「学校教育に関する熱意」、「識見並びに組織マネジメント及び人材育成に関する能力」を考慮し、任用することとしている。

 既存法令においても、校長は「校務をつかさどり、所属職員を監督する」(学校教育法第37条第4項)職であるとされており、その職の重要性は既に法定されているところではあるが、大阪府立学校条例の施行が実質的な職務に与える影響は小さくはなく、本府における校長の職務は、今後ますます重要になるものと考えられる。

 なお、大阪府立学校条例制定に向けた審議にあたり、府議会教育常任委員会は、知事及び執行機関に対し、「学校の現場教育力の向上に向け、校長の権限、処遇を拡大し、教員の創意工夫を活かし、奨励するための仕組みづくり等」を行うよう附帯決議を付している。その後の議会での審議を含め、校長の権限や処遇のあり方は、本府における教育政策上の重要課題として捉えられていることがうかがえる。

 この状況を受け、昨年度、教育委員会は、平成25年度当初に向け、学校管理職の給与制度の改正について検討を行ってきた。具体的には、校長給料の定額制(ダブルレート化)と管理職手当増額の2点について、検討を行った。結果として、管理職手当の増額については、実現したものの、校長給料の定額制(ダブルレート化)については、処遇改善と逆転防止の観点から、校長給料の最高号給と教頭給料の最高号給を基準としたことから、財政面の懸念により、実現しなかった。

 教育委員会では、上記の経過を踏まえ、新たな財源を伴わないことを前提に、校長はもとより学校における管理職全体の給料表の見直しが検討されてきた。本委員会としても、そうした動向を踏まえ、学校教育の現状や、今後の展望を念頭に、給料表の改定等の検討を進めてきたところである。 

3 教育職給料表の適用状況等  

 今般、校長等の給与改正を検討するに至った経過は以上であり、その前提となる教育職給料表の適用状況等は以下のとおりである。

(1)学校における管理職の在職状況等

 学校における管理職は、校長及び教頭が必置の職として全国的な標準となっている。これらに加え、本府では、高等学校の定時制課程や特別支援学校の高等部等を所管する職としての「准校長」(校長に相当する職として位置付け)を置いている。さらに、本府においては未設置であるが、学校教育法上、「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」職である「副校長」を置くことができるとされている。
以上が現制度において、学校に配置されることとなる管理職である。

 次に、その管理職の在職割合であるが、教育職給料表適用職員に占める管理職の割合は、「高等学校等教育職給料表」(以下「高校等給料表」)適用職員のうち、校長、准校長及び教頭が占める割合は3.9%(全11,854人中467人)であり、「小学校・中学校教育職給料表」(以下「小中学校給料表」)適用職員のうち、校長及び教頭(「准校長」は小学校及び中学校には設置されていない)は8.3%(全35,330人中2,930人)となっている(給料表など給与制度の詳細は後述)。

 また、管理職の年齢分布は、校長及び准校長は50歳台後半層がその大半を占めており(「高校等給料表」では76.0%、「小中学校給料表」では78.5%が50歳台後半層)、教頭は、30歳台後半以降の各年齢層において幅広く在職している。


          (資−1頁・第1表資−3頁・第3表資−4頁・第4表

(2)教育職給料表の種類と特徴

 基本給としての性格を持つ「給料」は、条例上の給料表でその支給月額を定めており、本府では現在、職ごとの職務内容等に応じた9種類の給料表を設けている。このうち、教職員には、勤務する学校種別により、「高校等給料表」と「小中学校給料表」を適用している。

 また、給料表は、それぞれの職の職務の複雑、困難及び責任の程度を表す「職務の級」と、同じ「職務の級」の中で職員の経験等に応じた「号給」とで構成している。本府では、現在、「高校等給料表」、「小中学校給料表」とも5段階の「職務の級」を設けており、講師を1級、教諭を2級、首席及び指導教諭(※)を特2級、教頭を3級、校長及び准校長を4級としている。他方、「号給」については、それぞれの職務の級に多段階の号給を設定しており、例えば「高校等給料表」の場合、教諭に適用する2級が149号給、校長に適用する4級が57号給の設定になっている。

※「首席及び指導教諭」とは…
 「首席」は、学校運営組織において教頭と教職員の間に置かれる校務の要となる職とされ、校長の命を受け、一定の校務について 教職員のリーダーとして組織を円滑に機能させるとともに、その校務を着実に遂行していく上で、他の教職員に対し必要な指導・総括にあたるとされている。
「指導教諭」は、教職員の指導力の向上を図るための職であるとされ、教育長及び校長の命を受け、専門的な知識や経験を活用し、その指導技術を若手教員等に伝授するなど、教職員の育成等にあたるとされている。

 (資−6頁・第6表

(3)管理職の「給料」の水準

 以上のように、「号給」が多段階の設定であることから、同じ校長の職であっても経験年数等の違いにより、実際に支給される給料月額に差があるのが実情である。「高校等給料表」の場合は、校長及び准校長に適用する4級の給料月額は、422,500円から504,300円までの81,800円の幅があり、現に在職する校長及び准校長の平均支給月額は489,645円となっている。また、教頭に適用する3級は、331,300円から479,300円までの148,000円の幅があり、平均支給月額は463,392円となっている。

 同じく、「小中学校給料表」においては、校長に適用する4級が412,200円から473,600円までの61,400円の幅があり、平均支給月額は461,279円である。また、教頭に適用する3級は286,300円から448,100円までの161,800円の幅があり、平均支給額は433,710円となっている。


                       (資−2頁・第2表

このページの作成所属
人事委員会事務局 人事委員会事務局給与課 給与グループ

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