牛石10号墳(うしいしじゅうごうふん)から出土した陶棺

更新日:2024年2月28日

 牛石古墳群は、堺市の南部にある泉北丘陵に所在します。この古墳群は昭和30年代に泉北ニュータウンを造成する時に発見されました。ここではこの古墳群の中の牛石10号墳と、そこから出土した陶棺を紹介します。 

 牛石10号墳の発掘調査は、昭和42年度に帝塚山大学堅田直教授の指導により大阪府教育委員会が実施しました。調査の結果、牛石10号墳は横穴式石室が築かれていましたが、石材がほとんど抜き取られていることがわかりました。調査当時に作成された石室平面図から復原すると、玄室の幅は約1.6メートル、長さは5.1メートルと考えられます。羨道部には排水溝も設けられていました。 

 牛石10号墳の石室からは、須恵器の壺や装飾付き子持ち器台などが出土しました。出土した須恵器の年代から牛石10号墳は6世紀末に築かれたと考えられます。羨道部からは須恵質家形四注式(すえしついえがたしちゅうしき)陶棺の破片が出土しました。

陶棺の棺蓋部分

写真1 牛石10号墳から出土した陶棺(棺蓋部分)

 

 写真1は棺の蓋、頂部から片側の側面の一部で、この破片により復原すると、棺蓋の高さは30センチメートル、棺身の幅は約51センチメートルとなります。棺蓋の外面はハケ調整、内面は部分的に当て具痕が残されています。

棺蓋の断面

写真2 陶棺棺蓋の断面

 

 写真2は棺蓋の断面です。棺蓋の下部は外側に庇状に伸びており、その内側に棺身と組み合う逆凸字状の突起がつくられています。陶棺の破片は、ほかにも棺身の底部、側面部分があります。それらの破片から、棺身底部には直径10.4センチメートルほどの円柱状の脚部がとりつけられており、底部短辺には脚部は3本付けられていたと推定できます。側面部分の破片から棺身の深さは少なくとも30センチメートル以上であったと考えられます。

棺蓋の栓

写真3 陶棺棺蓋の栓

 写真3は、棺蓋に差し込む栓で、10.5×9.5センチメートルで、厚さ約2センチメートルの四角形の陶板に、直径5センチメートルで高さが2センチメートルの円形の突起がついています。

 牛石10号墳から出土した陶棺は、陶棺の中では規模の大きい大型の陶棺であったと思われ、古墳の被葬者を推定する重要な資料といえましょう。

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教育庁 文化財保護課 調査管理グループ

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