寝屋川市　上垣内（かみがいと）遺跡現地公開資料

大阪府教育委員会は主要地方道枚方富田林泉佐野線(都市計画道路梅が丘高柳線)建設に伴って、寝屋川市明和二丁目で上垣内（かみがいと）遺跡の発掘調査を実施しています。前年度に引き続き、平成27年４月より約800平方メートルを発掘調査しています。

上垣内（かみがいと）遺跡は枚方台地の辺縁部に位置します。台地には、幾筋かの谷が形成されており周辺には、古墳時代前期の忍ヶ丘（しのぶがおかこふん）古墳、中期から後期にかけての太秦古墳群、飛鳥（あすか）時代の石の宝殿古墳、奈良時代の高宮廃寺・太秦廃寺などの遺跡があります。また、遺跡の東側を東高野街道が南北に貫き、古代から北河内と南山城を結ぶ交通路としても栄えました。

今回の調査地の谷を一つはさんだ北側の丘陵上に第二京阪道路が建設された際には、工事に先立って、太秦遺跡・太秦古墳群が調査されました。調査の結果、弥生時代中期の集落跡、古墳時代中期に営まれた古墳群、古墳時代後期の集落跡、奈良時代の集落跡が発見されています。

今回の調査では、古墳時代後期（６世紀後半ころ）の３棟の竪穴住居跡が発見されました。その他、奈良時代（８世紀）の掘立柱建物跡(ほったてばしらたてものあと)なども発見されており、太秦遺跡や太秦古墳群との関連が考られます。

今回の調査区は、南北長さ約10メートル、東西幅約20メートルのＡ区と、南北長さ約25メートル、東西幅約20メートルのＢ区に分かれます。Ａ区の東側は昨年度、約300平方メートルにわたって発掘調査しました。このとき、竪穴住居跡と掘立柱建物跡（ほったてばしらたてものあと）の一部を確認しました。今回は昨年調査できなかった東側と南側を掘り広げて、これらの全容を明らかにしました。

Ａ区は中世以降の耕作などで北側が削られ、遺構の上面は良好に残されていませんでしたが、竪穴住居跡３棟と掘立柱建物跡（ほったてばしらたてものあと）１棟が残されていました。

西端の竪穴住居跡Ａ-１は大きさ東西約3.5メートル、南北３メートル以上ですが、南端は後世に削られて残っていませんでした。住居は方形に10センチメートル以上掘り下げられ、四周に壁溝(へきこう)を巡らせます。カマドの痕跡や柱穴は明瞭に残されていません。

調査区南端の竪穴住居跡Ａ-２は大きさ東西約6.2メートル、南北５メートル以上です。やはり南端は後世に削られて残っておらず、調査区外へと続きます。住居は方形に20センチメートル以上掘り下げられ、四周に壁溝（へきこう）を巡らせます。北壁中央にカマドの痕跡が残り、４本柱の柱穴だったと推定します。６世紀後半の須恵器杯(つき)・土師器、甕（かめ）などが発見されました。

昨年度調査で発見された竪穴住居跡Ａ-３は大きさ東西約5.0メートル、南北3.6メートルです。住居は方形に10センチメートル以上掘り下げられ、四周に壁溝を巡らせます。北壁にカマドの痕跡が残り、４本柱の柱穴だったと推定します。土師器高杯などが発見されました。

掘立柱建物跡（ほったてばしらたてものあと）Ａ-１は竪穴住居跡Ｂ-２のすぐ西側で発見されました。東西8.0メートル、南北4.8メートル、５間×３間を測る大型の東西棟です。上面から奈良時代の須恵器の破片が発見されています。

その他、発見された遺物に、縄文時代の打製石鏃、飛鳥（あすか）時代と奈良時代の須恵器杯（つき）、平安時代の黒色土器、中国製の白磁碗(はくじわん)などがあります。

Ｂ区は遺構面の大半が後世の建物造営などで削られ、良好に残されていませんでした。もっとも低い、南西隅で掘立柱建物跡（ほったてばしらたてものあと）の一部が発見されています。時期や規模はわかりません。