写真の土器は、縄文時代中期末(約4000年前)のものです。JR阪和線の和泉府中駅周辺で出土しました。
写真(上)は深鉢(ふかばち)と呼ばれるもので、食物の煮炊きなどに使用されたと思われます。破片で出土しましたが、ほぼ完全な形に復元できました。高さは41センチメートル、口径は26センチメートルです。口縁部(こうえんぶ)は大きく波打っており、沈線文(ちんせんもん)や縄文で飾られています。
写真(中)は鉢です。高さ33センチメートル、口径39センチメートルに復元できました。口縁部(こうえんぶ)から胴部にかけて、渦巻形や長方形の文様、沈線文(ちんせんもん)、縄文で飾られています。
これらの土器は、当時の地面の上に捨てられたような状態で出土しました。近くでは炭がたくさん集まった場所(写真下)も見つかっており、焚き火の跡と考えられます。また、土器の近くからは、焼けた粘土の塊も多数見つかりました。何に使われたものかはわかりませんが、縄文時代の人々の生活を考える材料のひとつとなるでしょう。
府中遺跡では、縄文時代中期前半(約5000年前)の土器も出土していることから、この頃には和泉府中駅周辺に人々が暮らし始めていたことがわかります。
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教育庁 文化財保護課 保存管理グループ
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