最近の消費動向(11年6月〜8月期、個別ヒアリング)
百貨店
A社 6月の売上げは、月前半では天候にも恵まれ夏物衣料を中心に好調であったが、後半からの天候悪化が客足を鈍らせ、結局、前年同月比2%減と、引き続き低調に推移した。去年みられたようなキャミソールやワインなどのヒット商品が今年は現れず、全般的に売上げは厳しい状況となった。
品目別に前年同月比をみると、衣料品では6%減と落ち込み、なかでも主力の婦人服で9%減と、大きな減少幅となった。ヤング向けの婦人服は増加しているものの、ミセス向けなどが不調であった。紳士服もカジュアル服や半袖のカッターシャツに動きがみられたが、単価の高いスーツ、ネクタイなどで2ケタの減少となっており、全体では依然として低調である。これまで低迷していた子供服は2%増となり、7月も引き続き堅調に推移していることから、ようやく明るさがみえはじめた。
身の回り品では、紳士靴でウォーキング・シューズが人気であり、2ケタ増となったほか、婦人靴でもサンダルが好調で5%増となった。しかし、ハンドバックは2ケタの減少となるなど、袋物・皮小物は落ち込んでおり、その結果、身の回り品全体では前年並みの水準にとどまった。
家庭用品では、家具、家電をはじめとして、ギフト用の高級食器なども不振で、前年同月の実績を大きく下回った。
食料品では、ギフトが落ち込んでいるものの、菓子、和洋酒、生鮮品などで引き続き微増となっており、全体ではほぼ前年並みとなった。
来店客数は微増となっているものの、単価は低下しており、売上げの増加にはつながっていない。外商販売においても、中元ギフトなどに対する法人需要は依然として落ち込んだままであり、厳しい状態が続いている。したがって、7月の売上げに関しても、前年の水準を割り込むとの見方をしている。
地域振興券の商店街における効果
当所では地域振興券の効果を調査するため、大阪市内の4つの代表的な商店街について5月下旬にヒアリングを行った。以下にその結果をまとめる。
振興券の効果を商店・商品別にみると、主に最寄り品の購入に当てられており、米穀店、たばこ販売店、パン屋、生鮮食料品店で比較的頻繁に使用されている。また、学生服、文具など入学用品の購入に使われているケースも多く、自転車店、靴店などでは子供向けの商品の購入にあてられた例もみられた。
振興券の消費全般に対する効果については、通常の現金支出の一部が振興券で代替されたにすぎないとみる回答が多かった。ある商店街では、振興券の有効期間が6カ月と長いので、余分な消費には回さず、すべて米の購入に使っている人が多いとの指摘があった。このようなことから、振興券が直接的には新たな消費に結びついていないものと思われるが、一方で、振興券が一層の消費の冷え込みを緩和したといった「消費の下支え効果」を指摘する意見や、さらに、有効期限間際の駆け込み需要を期待する声も聞かれた。
地域商業振興に対する効果としては、チラシ発行や振興券関連企画などを行う商店街が多く、話題性の面で一定の盛り上がりをみせたが、商店街全体での売上げ自体は横ばいないし減少という状態で、顕著な効果があったとはいえない。その理由として、前述のように、振興券が主に必需品の購入に使用されているほか、交付対象者が一部に限られていることから、地元住民に不公平感が生まれるため、大々的なイベントやキャンペーンを行いにくかった、また、振興券ではおつりが出ないことから、まとめ買いができるスーパーに顧客が流れたことなどが挙げられる。
振興券の事務手続き等で不便な点として、現金化するまでのタイムロス(1週間から1カ月程度)があることを指摘する意見が目立った。基本的に商店街には現金商売中心の店が多いため、換金に時間がかかることで仕入れ等に支障をきたすケースがしばしばみられたようである。「1,000円券で1,100円のお買い物」キャンペーンを実施したある店では、現金化に1カ月を要することから、わずか1週間でそのキャンペーンを中止している。振興券の扱いが多いため現金が不足し、資金繰りの悪化を招いた学生服店の例も聞かれた。また、取扱銀行が普段使っている銀行ではなく、換金手続きのためだけに出向くのが面倒であるとの意見もあった。銀行によっては手続きの簡素化を図るため、ある程度の枚数がたまってから換金することを要求しており、現金化までのタイムロスが予想以上に大きいとの指摘もあった。
地域振興券配布についてのその他の感想としては、何もしないよりはプラスになったはずである、全員に配布するのであれば比較的不平等感も少なく一層の効果が期待できた、有効期間をもっと短くするべきであった、商店街等が発行した商品券のプレミアム分を政府資金で拠出する方が効果的であった、などが挙がっていた。
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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ
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