最近の消費動向

更新日:2010年8月19日

最近の消費動向(個別ヒアリング)(6月期)

 

  個人消費においては、基調として消費者の買い控えや低価格志向が続いている。22年6月の大型小売店の売上高は前年同月を下回ったが、前年のインフルエンザの反動による増加も一部商品でみられた。

 大阪産業経済リサーチセンターでは、消費動向を把握するため、百貨店、コンビニエンスストア、ネット通販各1社、スーパー2社を対象にヒアリング調査を行った。

 百貨店では、自社カード顧客向けの割引クーポンの発行や、値頃感のある商品の打出しが売上げを下支えした。スーパーでは、21年5月から始まったエコポイント制度の効果が一巡したことや22年4月以降同制度の対象テレビが絞り込まれたことによって液晶テレビの売上げの減少が目立ったが、インフルエンザの影響で前年に落ち込んだ商品が増加した。コンビニエンスストアでは、食品関連の売上げが堅調に推移し、ネット通販では高額の青果物が好調に推移した。

百貨店

 売上げの推移をみると、4、5月は前年同月を上回ったものの、6月は減少に転じた。これは、お中元売上げの計上の時期を受注時から出荷時にしたことによるものであり、従来の受注基準でみると6月も前年同月を上回った。ただ、5月は昨年のインフルエンザの反動増があったが、6月は売上げがやや鈍化している。

 6月前半は自社カード顧客向けのクーポン施策(割引クーポンの配布)や、値頃感のある商品を打ち出すことによって売上げ増加に努めた。

  ギフト需要は、父の日関連で、主力のポロシャツなどで、若々しい明るい色彩が動いたことで大きく増加した。また、食品のうち惣菜では、父親が本当に食べたいものと銘うった高付加価値の惣菜を販売したところ、マスコミが取り上げるなど反応が良く好調に推移した。

 季節商品では、水着が好調であった。

 商品別の内訳をみると、紳士服関連は減少した。そのうちビジネス関連は低迷し、カジュアル関連の売上げは増加した。ジャケット、バッグ、皮小物が増加、スーツ、ボトムス、Tシャツ、カジュアルシャツ、靴、ネクタイ、ワイシャツが減少、ポロシャツが前年並みとなった。

 バッグ関連は、スーツケース、キャリーケースなどトラベル関連バッグが好調で大きく伸びた。

 ヤングキャリア(Olなど)向け衣料は減少した。伸縮性がある、家で洗える、体形をカバーするなど機能性が高い衣服に動きがみられた。ジャケット、ブラウス、パンツなどが増加、ドレス、カットソー、スカートが減少、セーターは前年並みとなった。

 シニア(宝飾を含む)向け衣料は、増加した。透けない、スタイルがよく見える、温度調節ができる、家で洗えるなどの機能を持つ衣料に動きがみられた。ロングブラウスをはじめドレス、ジャケット、ブラウス、セーター、カットソー、スカート、パンツなどが伸びた。

 子供服関連は増加した。ベビー・マタニティ、トドラーが増加、雑貨・玩具が減少した。ベビー・マタニティは他店の改装による売り場減少で顧客が流れてきた。トドラーは、大型ブランドのTシャツ、半ズボンが動き、雑貨玩具のうち玩具は、知育玩具や木製のおもちゃなどが好調で増加した。

 呉服については、前年の店頭売り尽くしの反動により大きく減少した。

 宝飾品類は、微増となった。このうち、宝飾品は増加したが、時計は主力のブランドが伸びず減少した。

 寝装品は、枕、ブランド寝装品は好調であったが、前年の売り尽くし実績をカバーできず減少した。

 化粧品は好調であった。6月前半は好調なスタートを切り、中旬は伸び悩んだものの、後半はUV関連が動いた。

 シーズン雑貨は好調であった。家具は大幅に減少した。美術品も減少した。

 食品は増加した。生鮮品、惣菜、菓子などが増加、ワインを中心とした酒類が減少した。

 食品については、日時限定商品の投入などきめ細かい提案を行ったことが、好結果を生んだ。また、生鮮品では高単価商品(刺身盛り合わせなど)が好調であったほか、値頃感のある肉の動きがよかった。惣菜は父の日向けに販促した結果、好調であった。

 スーパーA社

  6月の売上げは5月との対比では改善したが、前年同月比では減少となった。

  衣料品は週末の天候不順が影響し、苦戦した。特に父の日ギフトは、メインのシニア・アダルトのポロシャツ等の箱入りギフト商品の動きが悪かった。夏物主力商品が苦戦する中、スクール水着、レインコート、トラベル関連は好調であった。

  食品は、初旬に実施した宮崎県応援催事が好評であったほか、青果市や鮮魚市などの定例催事も好調に推移した。父の日やサッカー観戦需要としてビールやおつまみ関連も好調であった。しかし、天候不順により、季節商品(アイスクリーム、飲料、冷しゃぶ等)が伸び悩んだ。

  住居関連では、6月前半は季節商品(洗濯関連、制汗剤)が動いたものの、後半の天候不順の影響でエアコンと冷感ジェル関連が大きく減少した。また、液晶テレビが苦戦したが、テレビコマーシャルによる販促で月末に盛り返した。

スーパーB社

  6月の売上げは、前年が外出を控える傾向にあった新型インフルエンザの影響で、来店客数が落ち込んだことから、前年同月比で増加した。顧客単価は前年並みとなった。

  衣料品が大きく増加し、食品はほぼ前年並み、住居関連はやや増加となった。マスクなどインフルエンザ関連商品が前年の反動で大幅に減少し、テレビなどの家電が伸び悩んだほかは、多くの商品で増加となった。

  商品別の内訳をみると、衣料品関連は、ショッピングモールの専門店と共同で夏物早期バーゲンを実施し、これが相乗効果をもたらし大幅に売上げが増加した。

 前年の新型インフルエンザで落ち込んだ靴、かばん、トラベルバッグが大きく増加、水着も堅調であった。

  婦人スーツも就職活動用が大幅に増加したほか、子供服(男児用)、学生体育衣料、乳児肌着、ウオーキングシューズ、レイングッズなども増加した。

  また、アダルトシニア(60歳以上の男性)関連衣料も好調であった。

  一方、ハイミセスが減少したほか、マタニティも減少した。父の日関連ギフト(衣料品)は不振であった。

  食品は多雨の影響で前年並みとなった。ただ、前年はインフルエンザによる内食の影響で、売上げが増加したことから、水準自体は高くなっている。惣菜が好調であり、冷凍食品、日配食品(パック飲料、乳加工品)、水産品、農産品(卵が大きく増加)、野菜類、鮮魚(刺身類など)が増加した。一方、果物が減少し、肉類はわずかに減少した。

  住居関連は、若干の伸びにとどまった。ペット関連(ドッグフード、ペットグッズ)、行楽用品、アウトドア関連、洗剤、シャンプー、手芸用品が増加、昨年のエコポイントの反動で、液晶テレビ、エアコンが減少した。

コンビニエンスストア

  6、7月の売上げはやや回復し、来店客数も雨天の影響もあまり受けず、増加となった。特に、7月の梅雨明け以降は暑い日が続き、売上げ増加につながった。ワールドカップサッカーによる影響は、店舗によってまちまちで、大きな影響はみられなかった。

   顧客単価は、緩やかな回復傾向にあり、当社では、新規サービスや設備を導入して既存店の売上げの増加に努めている。また、高品質商品を従来どおりの価格で投入するなど、価格ではなく価値の訴求に努めている。

  地域別では、大阪南部の店舗が好調であった一方、第二京阪道路開通の影響で車の流れが変わった大阪北部の郊外店舗が厳しい状況となった。

  また、来店客の年齢が高年齢化しているため、商品構成の変更も検討している。例えば、シニア層を対象とした弁当の展開も考えられるが、店舗ごとに事情が異なるため、それを中心に据えるのは難しいとみられる。ただ、将来的には、シニア層向け商品も育成をしていきたいと考えている。

  商品別にみると、売上げ構成割合の高い食品関連の売上げは堅調に推移した。最近の傾向として、新商品よりは既存の定番商品が底堅く推移した。内訳をみると、冷やし麺を中心とした麺類が7月下旬以降大幅に増加し、これが食品関連の売り上げ増加に貢献した。一方、米飯類は、需要が冷やし麺にシフトしやや減少した。ただ、一部商品については、内容はそのままで価格を下げたため、好調であった。

  パン類も気温が上昇すると伸び悩む傾向にあるが、キャンペーンによる販促を実施した結果、増加した。デザート類も、高品質でありながら値頃感のあるケーキ類などのオリジナル商品が好調で増加した。また、外食チェーン店の監修を受けて軽食セットを販売し、好調であった。惣菜類も鮮度感でスーパー、百貨店が優位にあるため、減少した。ただ、この対策として、試験的にできたての弁当や惣菜類を提供したところ、好調に推移しているため、今後他店舗にも広めていく予定である。

  即席麺などの加工食品は各スーパーのPb商品との競争で減少した。菓子類は大型ヒットの新商品がなく、スナック菓子を中心に伸び悩んだ。

  飲料は本数が増加しているが、スーパーなどとの競合激化に対して、値下げを実施したため、金額面では前年並みに止まった。昨年はゼロカロリーを訴求した商品がヒットしたが、今年は大型のヒット商品がみられない。また、気温が30度から35度の範囲であれば、様々なカテゴリーの飲料が売れるが、35度を上回ると、相対的に低価格の水の売上げが増加する。

  酒類も本数は増えているが、第3のビールが伸びて単価が下がったため、金額面では前年並みとなった。

  日用品は、ドラッグチェーンと競合しており、伸び悩んでいるが、コンビニの定番アイテム化した制汗商品は大幅に増加した。

  新聞・雑誌は、スポーツ新聞が好調であったが、雑誌はネット普及の影響もあり減少した。

  店内の多目的端末機を使用したチケット類などの売上げは、大ヒットが見込める人気コンテンツが最近なかったことなどから、前年並みとなった。

  今後の見通しとして、夏休みの時期は年間を通じて売上げがピークの時期であり、昨年が冷夏であったこともあって、増加傾向で推移するとみている。

ネット通販

  当社の取扱商品は、農産物、海産物などの食品を中心に、工芸品、雑貨などである。大手ネット通販サイトに出店しているほか、自社サイトも保有している。他店との価格競争に巻き込まれないように、無農薬等のこだわりの高品質の商品を取り扱っている。

  売上げ状況をみると、リーマンショックの影響を受けて、平成21年年初から売上げが減少し、前年同月比で、10%以上の減少が続いた。22年3月には底を打ち、それ以降、前年同月比で増加が続いている。ただ、6月時点でも、リーマンショック前の水準にまで売上げは回復していない。

  6月の売上げをみると、購入件数は減少したものの、金額は前年同月の水準が低かった反動もあり、増加となった。また、高額商品が好調で、購入単価は上昇した。品目別では、高品質の青梅が大幅に増加したほか、無農薬の柿の葉茶、無農薬の健康茶などが増加、さくらんぼ、オレンジなどの、フルーツはやや減少、のりは減少となった。

  地域別に特徴をみると、首都圏、中部圏は高額所得層が多く、中部圏は購買単価が最も高かったが、リーマンショックに加え、トヨタショックの影響も加わったためか、中部圏の売上げがいまだに低迷している。現在では、東京、埼玉、千葉での売上げ割合が高まっている。大阪を中心とした関西圏は、伸び悩んでいる。

  また、携帯電話での購買が拡大しており、売上げの20%は携帯電話での販売となっている。パソコンでの販売は30から40代が主流であるが、携帯電話では30から60代までと幅広い年齢層にわたっており、一点買いが多いのが特徴である。今後も携帯電話などでの購買が増加すると予想しており、モバイル対応を強化したいとしている。

  出店サイト別に顧客状況をみると、通販の最大手のサイトでは、40から60代の女性が多い。検索大手のサイトでは、男性の比率がやや高く、プロの調理人からの注文も目立つ。

  最近の顧客の購買行動をみると、買う品目ごとに店舗を選ぶ傾向がみられる。

  また、多くのネット通販企業は、低価格商品を目玉に集客しているが、リーマンショック以降、顧客はそうした商品以外は買わない傾向が顕著になっている。そのため、全国の産地をこまめに訪問し、当社でしか買えない希少で高品質の商品の取り揃えに努めている。

  新規顧客の獲得には、メールマガジン配信が効果的であるが、顧客データを通販サイトから買う必要がある。ある大手通販サイトでは顧客データ価格が高く、出店維持費用も他サイトに比べると高額となっている。ただ、そのサイトでの売上げが大きなウエイトを占めるため、コスト高が問題となっている。

  今後の見通しとして、天候不順の影響で3、4月に、柿、りんごに被害がでており、収穫量が減ることが予想される。これが、秋以降の売上げに影響を及ぼすことが懸念される。

大阪府の消費に関する経済指標
(単位:百万円、台、%)
   22年     
   1月2月3月4月5月6月
大型小売店計販売額143,998121,897136,970130,848133,039131,891
(前年同月比)-6.7-4.3-3.4-4.1 -3.0 -6.8
   うち百貨店販売額70,81057,00468,04160,88461,76061,230
(前年同月比)-8.1-7.3-2.3-4.1 -1.5 -11.7
   うちスーパー販売額73,18864,89368,92969,96371,27970,662
(前年同月比)-5.2-1.4-4.6-4.1 -4.2 -2.0
コンビニエンスストア販売額(近畿)販売額92,27987,03197,86797,135100,05399,281
(前年同月比 既存店ベース)-6.3-4.9-5.2-3.8-4.0-2.8
(前年同月比 全店ベース)-2.7-1.4-2.5-0.9-0.90.2
乗用車新車販売台数16,19720,62028,41315,75715,68719,609
(前年同月比)24.8 18.3 21.4 29.0 21.4 14.3
家電販売(近畿)(前年同月比)18.211.131.24.3-3.4-
資料:大型小売店販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整済の値。
コンビニエンス・ストア販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
乗用車新車販売台数(社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
家電販売額近畿経済産業局「近畿経済の動向」。

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商工労働部 商工労働総務課 

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