最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(個別ヒアリング)

 個人消費は、20年秋からの景気状況の悪化を受けて、消費者の買い控えと低価格志向が強まり、21年1から3月の大型小売店の売上高は前年同期を下回った。

 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、持ち帰り弁当店、遊園地を対象にヒアリング調査を行った。

 今回ヒアリングを行った百貨店A社及びスーパーB社の3月の売上げは前年同月を下回った。また、持ち帰り弁当C社の1から3月の売上げは前年同期並みで、遊園地D社の冬季営業期間の利用者数は前年同期を下回った。

百貨店

A社 21年3月の売上げは前年同月を下回った。

これは、景気状況の悪化から消費者の買い控えが強まり、購入単価も下がっていることに加え、気温の低い日が多く春物が動かなかったためである。

品目別にみると、衣料品は不調であった。気温の低い日が続いたため、春物の動きが良くなかった。紳士服・洋品は不調であった。スーツは、消費者の価格志向が強まっていることから、これまでより低価格の商品を充実させた。カジュアルも不調であった。婦人服・洋品は不調であった。婦人服でも、低価格帯の商品を充実させた。洋品も、気温の関係から、パラソルなどの春物を中心に前年を下回った。

スポーツ用品は不調であった。

身の回り品は不調であった。婦人靴、ハンドバックも単価が下がっている。アクセサリーも前年を下回っているが、他の商品に比べ落ち込みは小さい。

化粧品は前年を下回った。

宝飾・貴金属は不調であった。高額の貴金属、外国製高級時計の落ち込みが大きい。

家庭用品では、家具の不調が大きい。

食料品は好調であった。催事場での物産展が特に好調であったが、菓子などは元売場でも好調であった。酒類は前年を下回った。

ホワイトデーの菓子は、単価が下がり、前年を下回った。

4月の売上げは、4月に入り暖かい日が続いたため、春物衣料品の売れ行きが良くなってきており、景気状況から前年には達しないものの、3月ほどの大きな落ち込みとはならないだろうと見込まれる。

スーパー

B社 21年3月の売上げは前年同月を下回った。

これは、消費者の買い控え、低価格志向が続いている上に、気温が低めに推移し、春物衣料品等が不調であったためである。

品目別にみると、衣料品は春物が不調で前年を下回った。暖かい日もあったため、夏物衣料が少し動いている。婦人衣料は、七分袖や半袖のカットソーは前年を上回ったが、  全般に不調であった。紳士衣料は半袖Tシャツと帽子は前年を上回ったが、ビジネス、カジュアルとも不調であった。子供服は半袖Tシャツは前年を上回ったが、全般に不調であっ た。肌着は、婦人タイツは好調であったものの、全体では不調であった。

身の回り品は健闘した。靴は、スポーツシューズと子供靴は好調であったが、婦人、紳士靴は不調であった。バッグでは、円高還元で価格の下がったインポートバッグは好調な ものの、婦人、紳士、スポーツバッグが不調であった。

食料品は内食化が一巡し、低価格志向も強く、前年を下回った。野菜は、週末に冷え込んだ日があったため白菜などの鍋物食材が好調であったが、全体的には不調であった。 果物は、価格の手頃なバナナは好調であるが、イチゴは不調であった。畜産物は不調であった。水産物は、焼き・煮魚は好調であったが、全体的に不調であった。

その他の食料品は、麺類、菓子は好調であったが、惣菜は不調であった。第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料を中心に酒類は好調であった。冷凍食品は、昨年減少した反動で、前年を上回った。

その他の生活関連商品は、不調であった。

余暇・ホビーは不調であった。カードゲームは好調であったが、男児玩具、女児玩具、T?ゲーム本体とソフトが不調で、玩具全体で不調となった。自転車は好調が続いている。

家電製品は不調であった。気温が低かったため小型の電気暖房器具は好調であったが、大型の白物家電は不調であった。

健康関連商品等は好調であった。化粧品は前年を下回っているが、花粉症関連の薬、目薬、マスクが好調であった。カイロ、紙製品、洗剤等の日用消耗品も好調であった。

住居関連は不調であった。内食化で調理用品、調理小物は好調であったが、家具は不調であった。

雛祭り関連では、雛あられとちらし寿司が好調であった。

ホワイトデー関連では、菓子は前年並みであったが、婦人ハンカチは不調であった。

入園・入学関連では、ランドセル、子供フォーマル服は好調であったが、婦人フォーマル服、学習机は不調であった。

4月の売上げは、低価格志向は続くものの、暖かくなったため春物、夏物商品が動き出し、前年同月並みか少し下回る程度と見込まれる。

持ち帰り弁当

C社 21年1から3月の売上げは、前年同期並みであった。

これは、1日当たりの来店客数は前年同期に比べ増加したものの、前年が閏年で営業日数が1日少なくなったためである。

同社では、以前より価格帯を広げていたところに、景気状況が悪化したことから低価格メニューが支持され、来店客数が増加した。

同社の店舗はビジネス街にも住宅地にもあり、立地によってサラリーマンから主婦まで幅広い利用がある。注文を受けてから店内で調理し、作りたての弁当を提供している。繰り返し利用する客も多いことから、定番メニューだけでなく季節ごとに限定メニューを打ち出している。

また、弁当に追加するサラダや飲み物はコンビニエンスストアや自動販売機で別途購入していた客がいたことから、そうした顧客に対応するため同社の店舗でもサラダ、オリジナルのお茶の取扱いを始めたところ、好調である。

店舗によっては宅配も行なっている。当初は核家族の高齢者の利用を想定していたが、社員食堂の廃止等により事業所従業員のまとめ買いの注文もあり、宅配の売上げが5割を占める店舗も出てきている。

同社では、以前から安心安全を最優先に、本部が信頼のおける事業者から食材を仕入れ、各店舗で調理している。今後、さらに地域に密着したメニューの開発や地産地消にも取り組みたいと検討中である。

4から6月期の見通しは、前年同期並みと予想している。景気状況の悪化を受けて、中食の持ち帰り弁当は好調だが、消費者の財布の紐はさらに堅くなってきている。このため、値ごろ感のある価格で季節メニュー等を充実させて、購入を促していく方針である。また、日常食としての弁当だけではなく、お花見や行楽用の予約弁当も充実させ、購入を促したいとしている。

遊園地

D社 20年度冬季営業期間(12月20日から3月1日)の入園者数は、前年同期を下回った。

これは、19年度に実施した年末のカウントダウン営業を20年度は実施しなかったためである。一方で、カウントダウン営業日は、入園者数は多かったものの花火などを楽しみアトラクションの利用は少なかったため、客単価は他の営業日より低かった。20年度はカウントダウン営業日がなく、また、暖かい日が多くアトラクションの利用者が増えたことから、冬季営業期間の客単価は前年同期より増加した。

同園では、季節ごとに幼児から小学校低学年の子供たちをターゲットにしたイベントを開催している。イベントホールでは、秋季営業期間に引き続いて、未就学児に人気のキャラクターをテーマにしたイベントを1月中旬まで開催した。このイベントが好評で、平日の集客につながった。

野外ステージでは、1月上旬は子供たちの人気が高いキャラクターショーを実施し、雨が降らなかったため例年どおりの集客があった。2月中旬の週末にはお笑い芸人によるイベントを実施し、小学校中学年から高校生までの集客につながり、この期間の入園者数は前年より増加した。

屋内で動物と触れ合える施設があるが、冬季営業期間中の利用を促すため期間限定で施設入場料金を引き下げたところ、利用者数が大きく増加し、施設入場料収入でも前年を上回った。

同園では、冬季営業期間には、アイススケートリンクと雪遊び広場を設置している。このうち、アイススケートの利用者数は、前年同期を下回った。これは、今期は暖かい日が多かったため、スケートよりもアトラクションの利用が選ばれた結果と考えられる。雪遊び広場については、小さい子供とその家族の利用が多く、暖かい日でも利用者数は減少しなかった。

今後の見通しは、春季営業期間の入園者数は、昨年同期並みと見込んでいる。

休日の過ごし方が多様化し、消費者の選択肢は増加しているが、同園では、屋外で遊べ、家族や友人との共通の思い出や記念になる遊園地に対する需要は減少していないとみている。今後も、季節ごとのイベントに工夫を凝らし、安近短のレジャーとして利用してもらえるよう努めたいとしている。

大阪府の消費に関する経済指標                                     (単位:百万円、台、%)

20年21年
10月11月12月1月2月3月
大型小売店計販売額150,239165,130198,266157,141130,178144,189
(前年同月比)(-4.4)(-3.9)(-6.9)(-5.8)(-10.6)(-11.6)
うち百貨店販売額76,56287,992106,69879,89564,32372,166
(前年同月比)(-7.2)(-8.1)(-10.6)(-9.2)(-14.4)(-17.8)
うちスーパー販売額73,67677,13891,56877,24765,85572,023
(前年同月比)(-1.1)(1.7)(-1.9)(-1.7)(-6.2)(-4.1)
コンビニエンス・ストア販売額(近畿)販売額104,19199,300105,40494,87788,296100,380
(前年同月比 既存店ベース)(10.5)(9.4)(7.9)(9.2)(4.9)(6.3)
(前年同月比 全店ベース)(13.0)(11.3)(9.9)(11.5)(7.2)(8.7)
乗用車新車販売台数16,06414,90314,42612,98117,42323,408
(前年同月比)(-10.4)(-23.0)(-14.6)(-22.8)(-27.3)(-23.9)
家電販売(近畿)(前年同月比)(3.7)(14.1)(-3.6)(1.8)(3.1)・・・

資料:大型小売店販売額                  近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整  済の値。   3月は速報。
    コンビニエンス・ストア販売額  近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
    乗用車新車販売台数       (社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
    家電販売額            近畿経済局「近畿経済の動向」。  





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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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