わが国の景気は、このところ足踏み状態となっており、また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。府内の経済動向も、景気動向指数は平成21年3月以降緩やかではあるが改善傾向にあり、統計的には徐々に景気が回復しつつあることを示しているものの、府内の失業率は依然として高水準で推移しており、このような状況を背景に、法人二税を中心に府税収入は引き続き低迷が見込まれる。
本府の財政状況としては、「今後の財政収支の見通し(粗い試算(8月改訂版))」で示したとおり、財政健全化団体にならないための減債基金の復元等を含め、平成23年度から25年度までの間は毎年600億円程度、また、平成26年度から28年度の間も相当程度の収支改善が必要となり、非常に厳しい見通しである。
一方で、府民の負託に応えるためには、府政の喫緊の課題には的確に対応しなければならない。そのため、先般、策定した「財政構造改革プラン(案)」(以下「改革プラン(案)」という。)で掲げた改革を着実に実行するとともに、部局長マネジメントの一層の発揮により事務事業の積極的な見直しを行い、全庁の歳出削減等により生み出した財源の一部を活用して重要課題に対する「選択と集中」をすすめ、戦略的な財源の重点配分を行わなければならない。
このような状況を踏まえてとりまとめた「府政運営の基本方針2011」(以下「基本方針」という。)に基づき、平成23年度当初予算は、下記の要領により編成するものとする。
予算編成作業にあたっては、作業の簡素効率化に努めること。
また、予算編成過程においては、府民利益の最大化や将来世代の負担を見極め、府としての役割について、責任ある徹底した議論を行う。
通年予算として、年間を通じた所要額を要求すること。
なお、所要額の積算にあたっては、各経費の平成21年度決算額や22年度決算見通し等も参考とし、適正な額を見積もること。
各部局は、部局長のマネジメントにより、基本方針等を踏まえた「部局予算要求方針」を作成した上で要求すること。なお、同方針の作成にあたっては、基準財政需要額の算入状況や他府県の事業水準との比較を行うとともに、人件費や公債費を含むフルコストの視点を踏まえること。
基本方針において、今後とりまとめることとしている「知事重点事業」や各部局の主要事業については、事業ごとに可能な限り定量化した指標による「事業目標」を設定するとともに、目標を達成するなど一定の条件を満たした場合や、目標が達成される見込みがないと判断される場合には事業を終了させるといった、「撤退ルール」を設定すること。
改革プラン(案)で掲げた歳出改革(400事業の評価・点検、主要分析事業等)、歳入確保(財産・債権管理等)の考え方に沿った改革を着実に実行するとともに、厳しい財政制約を踏まえ、すべての事務事業について、受益と負担のあり方やより効率的・効果的な事業手法など十分点検を行うとともに、施策の選択と集中をすすめ、予算全体を通じて府政の当面の政策課題への重点化を推進し、平成23年度の事業実施が真に必要なものに限定して要求すること。
監査委員が行う各種監査、外部監査人が行う外部監査により受けた指摘・意見については、その改善内容を要求に反映させること。
要求書の内容は、予算編成過程公表サイトを通じ広く公表されることを前提に、府民にとってわかりやすいものとするよう留意すること。また、新公会計制度の導入に向けて、予算における事業の単位を新公会計制度における管理事業単位に統一したうえで要求すること。
部局横断的な行政課題については、関係する担当部局間においてあらかじめ十分に協議を行い、施策の効果的・効率的な実施を図ること。
大阪府基金条例等の一部を改正する条例(平成22年大阪府条例第66号)により、一般財源をもとに積立てを行う基金は、原則、財政調整基金、減債基金及び公共施設等整備基金に限定しているので留意すること。
市町村との関係については、改革プラン(案)に掲げた役割分担の視点から点検を行い、特に、政令指定都市との関係においては、二重行政の解消・防止を図るため、事業の共同化、連携強化、権限移譲の可能性を精査すること。
出資法人及び公の施設については、改革プラン(案)に掲げた方向性に沿って着実に見直しをすすめ、徹底したコスト縮減や本府の財政支出の抑制等を図ること。また、府が出捐を行い多額の基本財産等を有する出資法人については、引き続き府への寄附を求めていくとともに、今後、新たな出捐は原則行わないこと。
国において種々の抜本的な制度改正が行われることが見込まれるため、常に国の動向を注視し、機敏に対応していくとともに、地方税財源の充実や国と地方の経費負担の適正化など地域主権の実現に必要な地方行財政関連制度の改正を国に強く働きかけること。
人員体制に関連する予算の取扱いについては、別途通知方針を踏まえて適切に対応すること。
税制改正や府内の景気動向等を的確に把握するとともに、課税客体、課税標準の精査により、適正な額を見積もること。
また、より一層の課税調査の推進、納期内納税や滞納整理の促進を図り、収入歩合の向上に努めること。
なお、減税や増税などの政策税制については、事前に税務室と調整のうえ、予算編成過程で取扱いを決定することとしたので留意すること。
国庫支出金については、国の制度改正や予算編成の動向等を十分勘案するとともに、府として主体性を持って厳しく選択を行うこと。
なお、超過負担が生じているものについては、実態を十分に把握した上で、関係省庁に是正を働きかけるなど、その解消に努めること。
府債については、「将来世代に負担を先送りしない」観点から、実質府債残高倍率を平成27年度に2.0以内とすることを目途に、23年度当初予算では前年度以下とすることをめざす。通常債については、世代間の負担公平の観点から建設事業等の財源として活用するが、活用する事業そのものの必要性については厳しく精査すること。
義務的経費については、関連する制度の改正等に十分注意するとともに、平成23年度に真に必要な額を精査し、要求にあたっては特に以下に留意すること。
経常的経費及び政策的経費については、財政規律を堅持しつつ、府政の喫緊の課題に的確に対応するため、以下により要求すること。
設置の趣旨を十分に踏まえつつ、一般会計に準じ、事業の必要性、緊急性及び効率性等を十分に踏まえた上で、改革プラン(案)に沿って、平成23年度に真に必要な額を要求すること。
特に企業会計については、経済性の発揮を基本に、経営状況や今後の事業見通し等について十分検討を加え、経営改善に向け、まず徹底した内部努力を行うこと。
また、一般会計との間の経費の負担区分に従い、安易に一般会計からの繰出し等は行わないこと。
さらに、府全体としての財政の健全性を確保する観点から経営の改善に計画的に取り組むこと。
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財務部 財政課 財政企画グループ
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