麻薬小売業者の手引き

更新日:2023年5月15日

−はじめに−
 麻薬は、医薬の進歩した今日においても、他の薬の遠く及ばない優れた鎮痛効果を持ち、医療上欠くことのできない医薬品として広く活用され、人類の福祉に大いに役立っているものですが、ひとたび乱用されると、単に、個人の健康上の問題にとどまらず、社会秩序を破壊し、社会を崩壊に導くものであることは、すでにご承知のとおりです。
 このようなことから、麻薬については、麻薬及び向精神薬取締法により、麻薬の乱用による保健衛生上の危害を防止し、公共の福祉の増進を図るため、輸出入、製造、譲渡、譲受等の取り扱いについて、その適正な管理と使用が規制されています。
 この手引きにおいて、麻薬取り扱いの実務上の留意点をまとめましたので、麻薬小売業者の方々の日頃の業務の一助として活用されることを願うものです。

目次

第1章 麻薬小売業者の手引き

第1 免許
第2 譲受
第3 譲渡
第4 保管・管理
第5 廃棄
第6 記録
第7 業務廃止
第8 事故
第9 年間報告(年間届)
第10 麻薬小売業者間譲渡許可を得て行う譲渡・譲受
第11 その他

第1 免許

 麻薬を取り扱う場合には必ず免許が必要です。

 厚生労働大臣の免許を必要とする者は、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者です。
 知事の免許を必要とする者は、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者、麻薬研究者です。

1.麻薬小売業者(麻薬及び向精神薬取締法(以下「法」という。)第2条、第3条)
  薬局は、業務所(薬局)ごとに麻薬小売業者の免許を受けなければ、麻薬処方せんにより麻薬を調剤し、調剤した麻薬を患者に譲り渡すことはできません。

麻薬処方せん:処方内容に麻薬が記載された処方せん。麻薬施用者でなければ麻薬処方せんを発行できません。
麻薬施用者 :知事の免許を受けて、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用し、若しくは施用のために交付し、又は麻薬処方せんを交付する者をいう。

2.免許の有効期間(法第4条、5条)

  免許の有効期間は、免許を受けた日から翌々年の12月31日までです。
  免許証を他人に譲渡し、又は貸与することはできません。
  引き続き、業務を行う場合、申請をしなければなりません。

3.免許証の返納(法第8条)

  免許証の有効期間が満了したとき、又は免許を取り消されたときは、15日以内に「免許証返納届」により免許証を返納しなければなりません。

4.免許証の記載事項変更届(法第9条)

  免許証に記載されている次の事項に変更が生じたときは、15日以内に「免許証記載事項変更届」に免許証を添えて届け出て、免許証の書き換えを受けてください。
   ・薬局の名称
   ・開設者の住所
   ・開設者の氏名(ただし、開設者が変わる場合は新たに免許を受ける必要があります。)

5.免許証の再交付(法第10条)

  免許証を紛失したり、き損したときは、その理由を記載して、15日以内に再交付の申請をして下さい。き損したときは、その免許証を添えて下さい。
  なお、免許証の再交付を受けた後で紛失した免許証を発見したときは、15日以内に発見した免許証を返納しなければなりません。

6.免許の役員変更届(法施行規則(以下「規則」という。)第1条の4)

  法人又は団体である場合、その業務を行う役員に変更があったときは、「役員変更届」による届出が必要です。

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第2 譲受

1.譲受(法第24条、第26条)

  麻薬小売業者が麻薬を譲り受けるときは、大阪府内の麻薬卸売業者から直接譲り受けてください。
  たとえ開設者が同一であっても、別の薬局等から麻薬を譲り受けることはできません。
  (第7業務廃止(3)1)、第10麻薬小売業者間譲渡許可を得て行う譲渡・譲受(7)の場合を除く)

2.麻薬譲受証、麻薬譲渡証(法第32条)

(1)麻薬譲受証、麻薬譲渡証

  麻薬を譲り受ける場合、麻薬小売業者は麻薬譲受証を麻薬卸売業者からは麻薬譲渡証を相互に交換して下さい。
  (麻薬譲受証の押印は、法人薬局の場合には代表者印又は代表者印に代わる麻薬専用印を用いてください。)
  特に注意して頂きたいことは、麻薬譲受証をあらかじめ麻薬卸売業者に交付するか、あるいは同時交換でなければ麻薬を受け取ることができません。

   【麻薬専用印の例】
     ○株式会社△薬局大阪店

        麻薬専用印の具体例

   【麻薬・覚醒剤原料専用印の例】
     ○株式会社△薬局大阪店

        麻薬・覚醒剤原料専用印の具体例

(2)譲受け時の確認

  麻薬を譲り受ける場合は、麻薬卸売業者の立会いの下に麻薬が開封されていないか、品名・数量・製品番号、麻薬譲渡証の押印等に間違いがないか、内容に異常がないか等を確認してください。
  麻薬卸売業者の立会いなく譲り受けた後に、破損等の事故が発見された場合は、麻薬小売業者から、麻薬事故届を提出してください。

(3)麻薬譲渡証の保存等(法第32条)

  麻薬譲渡証は2年間保存してください。
   (注)麻薬譲渡証をき損し、又は亡失したときは、その事由を記載した文書(き損した場合は麻薬譲渡証を添付)を取引きのあった麻薬卸売業者に提出し、
    再交付を受けてください。

(4)緊急時等の対応

  緊急時等やむを得ない場合、麻薬卸売業者の業務所へ直接出向いて麻薬を購入することも可とします。この場合、必ず互いに麻薬取扱者免許証等を提示して身分確認を行ってください。

3.患者等からの返却(法第24条第1項)

 麻薬の交付を受けた患者が死亡した場合等において、その遺族(相続人等)から残余麻薬の返却の申し出があった場合は、譲り受け、麻薬帳簿に記載のうえ、当該施設で廃棄してください。
 また、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を提出してください。(麻薬帳簿記載例1参照)

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第3 譲渡

1.譲渡(法第24条、第25条)

  麻薬施用者が疾病治療の目的で患者に交付した「麻薬処方せん」によらなければ、麻薬を調剤し、調剤した麻薬を患者に譲り渡すことはできません。
  また、原則として麻薬卸売業者へ返品することはできません。
  (注)薬局、病院、診療所との貸し借りは絶対にしてはいけません。
     譲渡・譲受違反となります。(同一開設者が開設する薬局間についても同様です)
     (第7業務廃止(3)1)、第10麻薬小売業者間譲渡許可を得て行う譲渡・譲受(7)の場合を除く)

*調剤にあたっての注意事項

(1)麻薬処方せん(法第27条)

  次の事項が記載されていることを確認して下さい。
  1)患者の氏名・年齢(生年月日)
  2)患者の住所
  3)麻薬の品名・分量・用法用量(投与日数を含む)
  4)処方せんの使用期間(有効期間)
  5)処方せんの発行年月日
  6)麻薬施用者の記名・押印(署名でも可)
  7)麻薬施用者の免許証番号
  8)麻薬診療施設の名称及び所在地
  ※2)患者の住所及び7)麻薬施用者の免許証番号については、一般の処方せんにはない項目ですので、麻薬処方せんに必ず当該項目が記載されていることを確認してください。

(2)不備又は不審な処方せんの取扱い(薬剤師法第24条)

  処方せんに疑義がある場合、処方せんを交付した医師等に問い合わせて疑義を確認した後でなければ調剤できません。麻薬処方せんに麻薬施用者免許証番号が未記載の場合、当該麻薬処方せんを発行した医師等が、麻薬施用者免許を取得していない可能性があります。
  その場合、麻薬を調剤し交付できませんので、特に注意してください。

(3)ファクシミリによる処方せんの取扱いについて

  ファクシミリにより送信された麻薬処方せんの内容に基づき、麻薬の調製等を開始することは差し支えありません。
  【留意事項】
  1)麻薬処方せんの原本を受領後、麻薬を交付してください。
  2)患者が取りに来ない場合、調剤前の麻薬として再利用可能です。
  3)液剤等で再利用できない場合、あらかじめ麻薬廃棄届を提出し、都道府県職員の立会いの下に廃棄してください。
  【麻薬帳簿記載例(ファクシミリによる調製)参照】

(4)麻薬処方せんの保存(薬剤師法第27条)

  調剤済となった日から3年間保存してください。

(5)予製剤の調製

  頻繁に処方される処方内容については、予製剤として予め調製することができます。(水剤、倍散)
  ただし、予製した麻薬についても他の麻薬と同様の取扱いが必要です。(予製された1%のコデインリン酸塩散やジヒドロコデインリン酸塩散を除く。)

(6)患者又は患者の家族以外の下記の者についても、麻薬を交付することができます。

  【患者又は患者の家族以外の対象者】
  患者又はその看護に当たる家族等の意を受けた看護又は介護に当たる以下の者
   ア)看護師  イ)ホームヘルパー  ウ)ボランティア等
  【留意事項】
  1)上記ア) イ) ウ)の者に麻薬を手渡すことができるのは、麻薬施用者が、患者の病状等の事情により、患者が麻薬を受領することが困難と認める場合
  2)不正流通等防止のため、当該者が患者又はその看護に当たる家族等の意を受けた者であることを書面、電話等で確認し、患者が指示どおり麻薬を服薬している
   ことを患者、患者家族等から随時確認すること。

(7)麻薬注射剤の交付については、以下の場合に限り可とする。

  1)患者又はその看護に当たる家族に連続注入器に入った麻薬注射剤(*)を交付する場合
    (*)交付できる連続注入器に入った麻薬注射剤とは
      薬液を取り出せない構造で、麻薬施用者が指示した注入速度(患者が痛みの程度に応じた追加投与を選択できる「レスキュードーズ」として注入できる
      設定も含む)を変更できないものに限ります。
  2)麻薬施用者の指示・監督の下、看護師が患者宅で麻薬注射剤の施用を補助する場合
  3)麻薬小売業者が患者宅へ麻薬注射剤を持参し、麻薬施用者の指示を受けた看護師に手渡す場合
    2) 3)についてはアンプルのまま麻薬注射剤を交付することは差し支えありません。

  なお、麻薬小売業者が患者の意を受けさらに麻薬施用者の指示を受けた看護師に手渡した時点で、患者へ麻薬を交付したことになります。

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第4 保管・管理

1.保管・管理(法第34条)

(1)管理

  薬局での麻薬の管理(譲受、保管、払出等)は、薬剤師である麻薬小売業者(薬局開設者)自ら若しくは管理薬剤師が責任を持って行う必要があります。

(2)保管

  麻薬は、薬局(調剤室)内に堅固な保管設備(麻薬専用金庫)を設け、その中に鍵をかけて保管してください。
   (注)「鍵をかけた堅固な設備」とは、麻薬専用の固定した金庫又は容易に移動できない金庫(重量金庫)で施錠設備のあるものをいいます。
     (スチール製のロッカー、事務机の引出し等は麻薬の保管庫にはなりません。)
  麻薬の保管設備の中には麻薬以外の医薬品、麻薬帳簿又はその他の物品を入れることはできません。

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第5 廃棄

1.不必要な麻薬の廃棄(法第29条)

  古くなったり、不用になった麻薬、調剤ミス、又は業務廃止、開設者死亡等により使用できなくなった又は使用の見込みがなくなった麻薬を廃棄しようとするときは、
  あらかじめ麻薬廃棄届を提出し、麻薬取締員、法第50条の38職員の立会いの下に廃棄しなければなりません。
  ※麻薬廃棄届を提出する前に麻薬を廃棄した場合、法違反となりますので十分注意してください。
    空箱を捨てる際にも、誤って麻薬を廃棄しないように中身を確認の上、空箱を破るなどしてから廃棄してください。

2.施用又は施用のため交付された麻薬の廃棄(法第29条、35条第2項)

  麻薬処方せんにより調剤された後、患者等から返却された麻薬は、管理薬剤師が他の薬剤師等職員の立会いの下で希釈等の回収が困難な方法により廃棄し、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を提出してください。
  連続注入器に麻薬注射剤を調剤した後、在宅患者へ交付できなかった場合もこの方法で廃棄を行ってください。(麻薬帳簿記載例5 注3参照)
  なお、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を提出して下さい。

3.在宅患者へ交付された麻薬注射液の廃棄

  使用済み又は未使用で不要となった連続注入器は、麻薬注射液の残液の有無に関わらず返却するよう患者に指導してください。
  なお、返却された麻薬については、管理薬剤師が、他の薬剤師等の立会いの下で希釈等の回収が困難な方法で廃棄してください。
  この場合は、届出の必要はありませんが、麻薬帳簿の備考欄に廃棄数量、立会者の記名・押印(署名でも可)の記載が必要です。(麻薬帳簿記載例5 注2参照)

 *なお、麻薬注射液の交付については、第3譲渡1.(7)を参照してください。

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第6 記録

1.麻薬帳簿(法第38条)

(1)記載事項

  麻薬帳簿を備え、次の事項を記載して下さい。
  1)譲り受け又は廃棄した麻薬の品名、数量、その年月日
  2)調剤した麻薬の品名、数量、その年月日
    ただし、コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ(ジオニン)及びこれらの塩類については、譲り受けの事項のみを記載すればよいことになっています。
  3)事故により届け出た麻薬の品名、数量、その年月日
  4)廃棄した麻薬については、次のことを記載してください。
   (麻薬帳簿記載例1 注1・2、麻薬帳簿記載例(補助簿)参照)
    ・麻薬廃棄届の場合:廃棄した麻薬の品名、数量、年月日、備考欄に届出年月日を記載、さらに、立会者(麻薬取締員等)により記名押印
    ・調剤済麻薬廃棄届の場合:廃棄した麻薬の品名、数量、患者等から返却された年月日、備考欄に患者の氏名、廃棄年月日、届出年月日を記載し、
                      さらに、立会者(他の薬剤師等の職員)により記名・押印(署名でも可)

(2)記載上の注意事項

  1)帳簿は品目別に記載して下さい。また、同じ品目のものでも剤型、含有量が異なれば必ず別口座を設け記載して下さい。(麻薬帳簿記載例2、3参照)
   例:麻薬の原末から10倍散を予製した場合には、10倍散の口座を作成する必要があります。
  2)古くなったり、不用となった麻薬はあらかじめ麻薬廃棄届を提出し、麻薬取締員又は法第50条の38職員の立会いの下で廃棄した後、備考欄に麻薬廃棄届の
   提出日を記載し、麻薬取締員又は法第50条の38職員の立会いの上で当該職員の記名・押印を受けてください。(麻薬帳簿記載例1、注1参照)
  3)患者氏名を備考欄に記載して下さい。(麻薬帳簿記載例1、注3参照)
  4)麻薬の受入の年月日は、譲渡側の麻薬卸売業者が作成した麻薬譲渡証に記載された年月日として下さい。麻薬譲渡証の日付と納品日が異なる場合は、
   備考欄に実際の納品日を記載して下さい。
    このほか、「備考欄」には、譲渡側の麻薬卸売業者の名称、麻薬の製品番号等を記載してください。(麻薬帳簿記載例1、注4参照)
  5)アヘンチンキの自然減量及び末、倍散の秤量誤差については、他の薬剤師等の職員の立ち会いのもとに確認の上、帳簿にその旨を記載し、備考欄に立会者が
   記名・押印(署名でも可)してください。(麻薬帳簿記載例2、例4参照)
  6)破損等の事故が起きた場合は、すみやかに事故届を提出し、届出日を備考欄に記載して下さい。(麻薬帳簿記載例3、注1参照)
  7)定期的に在庫現品と帳簿残高を照合し、在庫の確認を行ってください。
  8)長期間にわたり麻薬の使用がない場合でも、毎年9月30日現在の残量を確認し、帳簿に記載してください(麻薬帳簿記載例3、注2参照)
  9)帳簿の訂正には、訂正すべき事項を二本線等により判読可能なように抹消し、その脇に正しい数字等を記載し、訂正した箇所に管理薬剤師等の訂正印を押印
    して下さい。修正液や修正テープ等は使用しないで下さい。

(3)患者等からの返却

  患者死亡等の理由により、患者の家族から返却された麻薬についても品名、数量、年月日を麻薬帳簿に記載若しくは補助簿を作成して記載してください。この場合、
 返却してきた患者等の氏名を「備考欄」に記載してください。また、同じ日に複数の患者から返却があった場合は、個々に返却された数量が判るようにしてください。
  返却された麻薬を廃棄する場合は、その調剤済麻薬廃棄届提出年月日、廃棄年月日、の記載、及び立会者の記名・押印(署名でも可)を行って下さい。
  (麻薬帳簿記載例1 注2、麻薬帳簿記載例(補助簿)参照)

(4)麻薬注射剤(アンプル及びアンプルから調製した輸液等に限る:第8 事故 1.参照)について

  1)麻薬注射剤の破損等事故が発生した場合、麻薬事故届を提出してください。回収できた麻薬については、他の薬剤師等の職員1名以上の立会の下に廃棄し、
   備考欄にその旨を記載し、立会者が記名・押印(署名でも可)してください。(麻薬帳簿記載例5 注1参照)
  2)患者へ交付後、麻薬注射液の残液が残った状態で返却された麻薬については、他の薬剤師等の職員の立会いの下に廃棄したうえ、帳簿にその旨を記載し、
   備考欄に立会者が記名・押印(署名でも可)してください。(麻薬帳簿記載例5 注2参照)
  3)麻薬注射剤を調剤した後、在宅患者へ交付できなかった場合、他の薬剤師等の職員の立会いの下で廃棄したうえ、帳簿にその旨を記載し、立会者が記名・押印
   (署名でも可)してください。なお、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を提出して下さい。(麻薬帳簿記載例5 注3参照)

(5)ファクシミリによる薬剤の調製

  ファクシミリにより送信された麻薬処方せんに基づき麻薬を調製出来ますが、その際、帳簿に必要事項を記入してください。
  (麻薬帳簿記載例(ファクシミリによる調製)参照)

(6)帳簿の保存

  帳簿は、最終記載の日から2年間保存してください。

◎麻薬帳簿記載例

例1

例2

例3

例4

例5

◎麻薬帳簿記載例(補助簿)

1

◎麻薬帳簿記載例(ファクシミリによる調製)

1

2

3

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第7 業務廃止

1.業務廃止届(法第7条)

  免許の有効期間中に麻薬に関する業務を廃止したとき、又は薬局の廃止をしたときは、免許証を添えて「業務廃止届」により15日以内に届け出てください。
  また、開設者が死亡、又は法人が解散した場合の「業務廃止届」は、相続人等届出義務者が届け出なければなりません。

2.現有量届(法第36条第1項)

  薬局が麻薬業務所でなくなった時(業務廃止をした時)は、15日以内にそのとき所有していた麻薬の品名、数量を届け出てください。なお、麻薬を所有していない
 場合もその旨を届け出てください。

3.業務廃止時における現有麻薬の処置(法第36条第2項、第3項)

  業務を廃止する時は、次の(1)又は(2)の方法により、所有する麻薬を処理してください。
   (注)業務廃止後50日をこえて麻薬を所持すると「不法所持」となります。

(1)業務廃止に伴う麻薬の譲渡

  業務廃止後50日以内に限って大阪府内の他の麻薬営業者(麻薬卸売業者、麻薬小売業者など)、麻薬診療施設の開設者に譲り渡すことができます。この場合、
 譲り渡した日から15日以内に次の事項を届け出てください。
   ・譲り渡した麻薬の品名、数量
   ・麻薬を譲り渡した年月日
   ・麻薬を譲り受けた者の氏名、住所

(2)麻薬廃棄届

  譲り渡さない場合は、業務廃止後50日以内に廃棄手続き(第5を参照)を行ってください。

4.死亡等による業務廃止(法第7条)

  麻薬小売業者(薬局開設者)が死亡(法人にあっては解散)した時は、法定相続人が15日以内に前記1.、2.の手続きをしてください。
  
また、現有麻薬がある場合は、同時に前記3.の麻薬の譲渡又は廃棄手続きをしてください。

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第8 事故

1.事故届(法第35条第1項)

  麻薬小売業者は、所有し又は管理している麻薬について滅失、流失、盗取、所在不明等の事故が生じたときは、速やかに「麻薬事故届」により次の事項を届け出て
 ください。
  また、事故届を提出した場合には、麻薬帳簿にその旨を記載し、事故届の写しを保管しておいてください。
   ・麻薬の品名、数量
   ・事故の発生した日時
   ・その他、事故の発生状況を明らかにするための必要事項
   (注)麻薬を盗取された場合は、速やかに警察署にも届け出てください。
   (注)アンプル(プレフィルドシリンジを含む)及びアンプルから調製した輸液等の破損により一部回収できた場合については医療上再利用できないものであること
     から、
       ・回収できなかった麻薬:麻薬事故届を提出して下さい。
       ・一部回収できた麻薬:麻薬小売業者(薬局)の他の職員1名以上の立会いの下に廃棄し、麻薬帳簿にその旨を記載してください。
        麻薬事故届には、その経過を詳細に記載することで、麻薬廃棄届や調剤済麻薬廃棄届の提出は不要です。(麻薬帳簿記載例5 注1参照)

 * アンプルの麻薬注射剤以外の麻薬(散剤、液剤、バイアル等)については従来通り、
     回収できなかった麻薬:麻薬事故届
     回収できた麻薬:麻薬廃棄届又は調剤済麻薬廃棄届をそれぞれ提出してください。

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第9 年間報告

1.年間届(法第47条)

(1)記載事項

  麻薬小売業者は、毎年11月30日までに、次の事項について届け出てください。
  1)前年の10月1日に当該薬局で所有していた麻薬の品名、数量
  2)前年の10月1日からその年の9月30日までの間に当該薬局で譲り受けた麻薬及び同期間内に譲り渡した麻薬の品名、数量
  3)その年の9月30日に当該薬局で所有した麻薬の品名、数量

(2)記載上の注意事項

  1)同じ品目のものでも含有量が異なれば、別品目として記載してください。
  2)自家予製剤の倍散、倍液は原末に換算することなく、それぞれ別品目として記載してください。
  3)麻薬廃棄届により廃棄した麻薬の数量並びに事故のあった麻薬の数量を備考欄に記載してください。
  4)調剤済麻薬廃棄届を提出した麻薬については、記載する必要はありません。

(3)届出対象期間中に麻薬を所有しなかった場合であっても届け出る必要があります。 

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第10 麻薬小売業者間譲渡許可を得て行う譲渡・譲受  

1.麻薬小売業者間譲渡許可申請(法第24条第12項第1号、規則第9条の2)
  麻薬小売業者の数、各麻薬小売業者の麻薬業務所間を移動する際に要する時間等に制限はありませんが、
  許可後、麻薬小売業者間譲渡許可の変更届(後述)等必要な手続きを行うのに、無理のない範囲で申請してください。

  ※同時期に2以上の麻薬小売間譲渡許可を受けることはできません。
    また、いずれの麻薬小売業者も、当該免許にかかる麻薬業務所の所在地が大阪府内である必要があります。

2.麻薬小売業者間譲渡許可の有効期間(規則第9条の2第4項)
  許可の有効期間は、許可を受けた日から翌々年の12月31日までです。
  引き続き、業務を行う場合、申請をしなければなりません。 

3.麻薬小売業者間譲渡許可の変更(規則第9条の2第6項)
  許可の有効期間内に、次の事項に該当するときは、速やかに「麻薬小売業者間譲渡許可変更届」に麻薬小売業者間譲渡許可書を
  添えて届け出て、麻薬小売業者間譲渡許可書の書き換えを受けてください。

    ・許可を受けた麻薬小売業者のうち、いずれかの麻薬小売業者の免許が効力を失ったとき。
     
(移転、経営者変更等により業務を廃止し、新たに免許をとり直した場合も含む。)
    ・許可を受けた麻薬小売業者のうち、いずれかの麻薬小売業者が他の麻薬小売業者に麻薬を譲り渡さないこととしたとき。
    ・許可を受けた麻薬小売業者のうち、いずれかの麻薬小売業者の氏名(法人にあっては名称)、住所(法人にあっては、主たる事務所の所在地)、
     麻薬業務所の名称等に変更を生じたとき。
    ・麻薬小売業者間譲渡許可申請を行う麻薬小売業者を代表する者(代表者)に変更が生じたとき。
     (許可の有効期間中に新たに代表者を置く場合及び代表者を置かないこととした場合も含む。)

4.麻薬小売業者間譲渡許可の追加(規則第9条の2第7項、第8項)
  許可の有効期間内に、当該許可業者以外の麻薬小売業者を新たに加えるときは、事前に「麻薬小売業者間譲渡許可申請者追加届」に
  麻薬小売業者間譲渡許可書を添えて届け出て、麻薬小売業者間譲渡許可書の書き換えを受けてください。

5.麻薬小売業者間譲渡許可の再交付(規則第9条の2第10項)
  許可書を紛失したり、き損したときは、その理由を記載して、速やかに再交付の申請をしてください。き損したときは、その許可書を添えてください。
  なお、許可書の再交付を受けた後で紛失した許可書を発見したときは、発見した許可書を返納しなければなりません。

6.麻薬小売業者間譲渡許可の返納(規則第9条の2第11項)
  次の事項に該当するときは、速やかに「麻薬小売業者間譲渡許可返納届」に麻薬小売業者間譲渡許可書を添えて届け出て、
  麻薬小売業者間譲渡許可書を返還してください。
  なお、届出窓口で「無効」の旨の押印をし、許可書はお返ししますので、許可を受けた日から5年間保管してください。

    ・全ての許可業者が麻薬小売業者間譲渡を行わなくなったとき
    ・全ての許可業者の麻薬小売業者の免許が失効したとき

    ※有効期間の満了により、効力を失った麻薬小売業者間譲渡許可書は返納する必要はありません。
      許可を受けた日から5年間保管してください。

7.譲渡・譲受
  次の条件において、譲渡・譲受が可能です。
   イ)在庫不足のため、調剤ができない場合
    ※不足分を上回る譲渡はできません。
   ロ)麻薬卸売業者から譲り受けた麻薬であり、最終の日から90日を経過したもの
    ※一部を調剤により譲渡した場合は、その日から90日の経過が必要です。
    ※1つの品名で、新たに麻薬卸売業者より譲り受けた場合、90日の起算日は、その日になります。
    ※同日で複数の麻薬小売業者に分割して規則第9条の2第1項第1号ロに基づく譲渡は出来ません。
  一度、イ)、ロ)及び法第36条第2項(麻薬小売業者の廃止に伴う譲渡)の条件で譲り受けた麻薬は、イ)によってのみ、他の麻薬小売業者に譲渡することが可能です。

  麻薬小売業者間譲渡許可を受けた麻薬小売業者は、許可業者間で麻薬の譲渡・譲受を行う場合、次の事項にご留意ください。
    (1) 他の麻薬小売業者に麻薬を譲り渡す場合には、麻薬処方せんの写し(麻薬の在庫不足により、急な麻薬処方せんに対応できない場合の譲渡・譲受に限る。)
       及び譲受人が作成した譲受確認書の交付を受けた後、又はこれと引換えに麻薬を交付し、同時に、自らが作成した譲渡確認書を麻薬の譲受人に交付してく
       ださい。
       
譲渡(譲受)確認書の備考欄には、規則第9条の2第1項第1号イ又はロのいずれに該当する譲渡・譲受であるか、製品番号を記載してください。
       
なお、使用期限及び最終受払年月日も記載することが望ましいです。
       (麻薬譲渡確認書の記載例)
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    (2) (1)により交付を受けた麻薬処方せんの写し及び譲受確認書又は譲渡確認書は、交付を受けた日から2年間保管してください。
    (3) 譲渡・譲受を行う場所は、事故の未然防止の観点から、適切と考えられる場所で行ってください。
    (4) 麻薬の運搬については、それぞれの管理薬剤師又はその管理の下で業務に従事する者が行うこととし、
       配送業者や麻薬卸売業者等が行うことのないようにしてください。
    (5) 麻薬の交付を行う際は、譲渡側・譲受側の許可業者の双方が立ち会い、品名・数量、破損等の有無を直接確認してください。
         (6) 麻薬の交付時までに破損等が確認された場合は、譲渡側の許可業者において事故届を提出してください。
       また、交付後に破損等が確認された場合は、譲受側の許可業者において事故届を提出してください。
         (7) 譲渡側の許可業者は、譲受側の許可業者が受領した麻薬処方せんに基づく予製行為を行うことはできません。
    (8) 麻薬小売業者間譲渡により譲り受けた麻薬については、麻薬卸売業者から譲り受けた麻薬と区別して保管する等、識別ができる状態にしてください。 

8.記録
  許可業者間で麻薬の譲渡・譲受を行った場合は、その年月日、品名、数量等について、麻薬帳簿に記載してください。また、「備考欄」に譲渡・譲受の相手方の名称、規則第9条の2第1項第1号イ又はロのいずれに該当する譲渡・譲受であるか、製品番号を併せて記載してください。なお、使用期限も記載することが望ましいです。

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9.報告
  許可業者間で麻薬の譲渡・譲受を行った場合は、その品名、数量について、年間届(法第47条第2号)の
  「譲り渡し、又は譲り受けた麻薬の品名及び数量」として、毎年11月30日までに届け出てください。
  なお、数量は、許可業者間で麻薬の譲渡・譲受にかかる数量の合計を、合計欄に内数として括弧書きで併記してください。

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 第11 その他

1.麻薬の携帯輸出入(法第13条、第17条)

  患者は自己の疾病の治療の目的で厚生労働大臣の許可を受けて麻薬を携帯して出国又は入国することができます。
  この際、麻薬携帯輸出入許可申請書に疾病名、治療経過及び麻薬の施用を必要とする旨を記載した医師の診断書を添える必要があります。
  なお、携帯輸出入の許可申請は、近畿厚生局麻薬取締部へ直接申請してください。

2.麻薬の流通経路

  麻薬を譲り渡す場合の経路(流通経路)は、下の図のとおり定められておりますが、これによらない場合は、その都度厚生労働大臣の許可が必要ですから、
 注意してください。

麻薬の流通経路
* 患者等からの譲受については第2 譲受の3.参照

 立入検査を行う職員は、身分証を携帯していますので、必ず検査の前に提示を求めて確認してください。

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〔参考〕麻薬小売業者(薬局)の手続きについて

1.薬局の開設者が、株式会社A から 株式会社B (別法人)に変わる

 【株式会社B】
  ・麻薬小売業者免許申請書・・・事前申請

 【株式会社A】
  ・麻薬小売業者業務廃止届・・・15日以内
  ・麻薬現有量届・・・15日以内
  ・免許失効に伴う麻薬譲渡届・・・廃止後50日以内に譲渡し、譲渡した日から15日以内

2.薬局の開設者が、個人 から 法人 に変わる

 【法人】
  ・麻薬小売業者免許申請書・・・法人化する前

 【個人】
  ・麻薬小売業者業務廃止届・・・15日以内
  ・麻薬現有量届・・・15日以内
  ・免許失効に伴う麻薬譲渡届・・・廃止後50日以内に譲渡し、譲渡した日から15日以内

3.薬局を移転する

 【移転先の薬局】
  ・麻薬小売業者免許申請書・・・事前申請

 【移転前の薬局】
  ・麻薬小売業者業務廃止届・・・15日以内
  ・麻薬現有量届・・・15日以内
  ・免許失効に伴う麻薬譲渡届・・・廃止後50日以内に譲渡し、譲渡した日から15日以内

4.薬局の開設者の法人名称が変わる(株式会社A→株式会社A’)

 【株式会社A’】
  ・麻薬小売業者免許証記載事項変更届・・・変更後15日以内

5.薬局の名称が変わる

  麻薬小売業者免許証記載事項変更届・・・変更後15日以内

6.開設者の住所が変わる

  麻薬小売業者免許証記載事項変更届・・・変更後15日以内

7.業務を行う役員が変わる(法人のみ)

  麻薬小売業者役員変更届・・・変更後

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このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室薬務課 麻薬毒劇物グループ

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