海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成8年法律第77号)第4条第7項の規定により大阪府の海洋生物資源の保存及び管理に関する計画(平成8年大阪府告示第1979号)の全部を次のように改正する。
令和元年12月26日
大阪府知事
1 大阪湾は古くから「茅渟(ちぬ)の海」と呼ばれ、魚介類が豊富で様々な漁業が盛んに営まれてきた。
高度経済成長期以後は、沿岸域の開発により、魚介類の産卵や稚魚の成育の場となる藻場や干潟が減少するなど、漁場環境が大きく変化し、漁獲量は減少したが、多種多様な魚介類が水揚げされ、現在も大都市近郊に位置するという立地条件を活かした都市型漁業が活発に行われている。
2 我が国周辺水域における海洋生物資源水準の推移については、国の資源評価結果によると、高位又は中位水準にあるものが半数を占めているものの、残りの半数は依然として低位水準にとどまっていると評価されている。
このような状況の中、本府水産業を取り巻く状況は、一部の資源で回復しているものの漁場環境の変化などによる海洋生物資源の低水準、減少傾向がみられ、依然として厳しい状況である。
3 今後とも、本府水産業の発展を図っていくためには、漁場環境の保全及び改善を推進しつつ海洋生物資源を適切に管理し、合理的に利用していくことが必要である。
このため、本府は、漁業者の自主的な資源管理型漁業の推進や、栽培漁業を通じ種々の保存管理措置を講じてきたところである。
この結果、地先の資源を主体として多くの海洋生物資源の保存管理が図られるようになってきているが、更に資源の適切な保存及び管理を行うため、「海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画」により決定された第一種特定海洋生物資源の採捕実績及び第二種特定海洋生物資源の漁獲努力量を的確に把握し、適切な管理措置を講じるように努めることとする。
4 本府に定められた第一種及び第二種特定海洋生物資源を適切に管理していくためには、これら第一種及び第二種特定海洋生物資源の分布、回遊状況、資源の内容、その他の当該海洋資源を取り巻く環境等について、より詳細な科学的データ及び知見が必要である。
このため、大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術センターを中心とし、第一種及び第二種特定海洋生物資源について国又は関係県との連携の下、当該データ及び知見の蓄積に努めることとする。
5 その他の海洋生物資源についても、資源の保存及び管理をより一層推進するために、より詳細かつ正確な資源状況の把握が必要であることから、漁業情報を的確に把握するように努めることとする。
なお、くろまぐろについては、別に定める。
また、従来からの関係県間及び関係漁業者間における操業秩序を維持しつつ、資源管理型漁業を推進するとともに、より一層の資源管理意識の高揚に努めることとする。
第一種特定海洋生物資源の管理の対象となる期間及び知事管理量は以下のとおりである。
第一種特定海洋生物資源 | 平成31年 | 令和2年 | ||
管理期間 | 管理量 | 管理期間 | 管理量 | |
まいわし | 1月から12月 | 若干 | 1月から12月 | 若干 |
まあじ | 1月から12月 | 若干 | 1月から12月 | 若干 |
※くろまぐろについては、別に定める。
【まいわし】
中型まき網漁業については、現状の漁獲努力量を増加させず、許可隻数についても現状どおりとし、さらに従来の操業規制に基づいて操業することとする。
この結果、漁獲実績が前年の漁獲実績程度となるように努めることとする。
【まあじ】
中型まき網漁業及び小型機船底びき網漁業については、現状の漁獲努力量を増加させず、許可隻数についても現状どおりとし、さらに従来の操業規制に基づいて操業することとする。
この結果、漁獲実績が前年の漁獲実績程度となるように努めることとする。
【くろまぐろ】
別に定める。
【さわら】
採捕の種類 | 期 間 | 漁獲努力可能量(隻日) |
さわら流し網漁業 | 令和2年 9月1日から 令和2年11月30日まで | 5,135 |
【さわら】
採捕の種類 | 期 間 | 漁獲努力可能量(隻日) |
流し網漁業のうち さわら流し網漁業 | 令和2年 9月1日から 令和2年11月30日まで | 5,135 |
【さわら】
大阪府のさわらの資源回復を図るため、「大阪府資源管理指針」に基づく資源管理措置の着実な実施を推進するとともに、瀬戸内海広域漁業調整委員会指示による操業制限等により操業することとする。
知事管理努力量に係る知事への漁獲努力量等の報告に係る迅速な整備を進めることとする。
(第4管理期間)
平成31年4月1日公表
第1 くろまぐろの保存及び管理に関する方針
1 本府においては、くろまぐろは、釣り漁業や曳き縄漁業、桝網等により漁獲されるが、資源状況がこれまでの最低水準となっていることから、同資源の保存及び管理を通じて、安定的で持続的な利用を図る観点から、国の基本計画により決定された漁獲可能量のうち、本府の知事管理量について本府の漁業の実態に応じた適切な管理措置を講じることとする。
2 また、本府の知事管理量を適切に管理するためには、くろまぐろの採捕の数量を的確に把握する必要があることから、採捕の数量の報告体制を整備し、適切な報告がなされるよう漁業者等の指導・確認を行うものとする。併せて、採捕の数量が積み上がり本府の知事管理量に近づいた場合はこの旨を直ちに公表するとともに、早期是正措置を講じるものとする。
3 さらに、適切な管理を行っていくためには、くろまぐろの分布、回遊状況、当該資源を取り巻く環境等についてのより詳細な科学的データ又は知見が必要であり、当該データの蓄積又は知見の進展を図るため、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所水産研究部を中心とし、国又は関係都道府県との連携の下、資源調査体制の充実強化を図ることとする。
4 これらのほか、本府の知事管理量の遵守を図る観点から、漁業者協定の締結等を促進し、本府の管理措置と相まった漁業者による自主的な漁獲管理の取組みを行うものとする。
第2 くろまぐろの漁獲可能量について大阪府の知事管理量に関する事項
くろまぐろ30キログラム未満の小型魚(以下「小型魚」という。) | 0.1トン | 平成31年4月から平成32年3月 |
くろまぐろ30キログラム以上の大型魚(以下、「大型魚」という。) | 1.0トン | 平成31年4月から平成32年3月 |
1 本府は、漁船漁業等の広域管理に参加する。
2 他の都道府県の採捕の数量により、当該都道府県の漁船漁業等の当初割当量が変化した場合には、本府の知事管理量も変化するものとする。
3 我が国全体の小型魚又は大型魚の漁獲可能量を超えるおそれが著しく大きいと認めて、農林水産大臣が当該採捕の数量を公表した場合は、本府の漁船漁業等の広域管理量が消化されていない場合であっても、その時点における本府の採捕の数量をもって、本府の漁船漁業等の割当量とする。
第3 くろまぐろの知事管理量について、採捕の種類別、海域別又は期間別の数量に関する事項
定めなし
第4 くろまぐろの知事管理量に関し実施すべき施策に関する事項
1 緊急報告体制について
(1) 各漁業協同組合は急激な採捕の数量の積上げに備え、以下に該当する場合は速やかに本府に一報の上、採捕の数量報告を行うものとする。
漁業協同組合 | 漁業種類 | 報告基準 |
管内の全漁業協同組合 | 釣り漁業、曳き縄漁業 | 1隻/操業当たり10キログラムを超える量の採捕 |
管内の関係漁業協同組合 | 桝網 | 1か統/日当たり10キログラムを超える量の採捕 |
(2) (1)の本府への一報は以下の体制により行うものとする。
漁業協同組合 | 漁業者の段階 | 漁業協同組合の段階 | 本府 |
管内の全漁業協同組合 | 各漁業者は、組合長に電話連絡 | 組合長は、漁協担当者へ電話連絡 | ・漁協担当者は本府水産課にメール又はファックス通信 ・本府は送信者に受信連絡 |
※ 各漁業協同組合は、上表の漁業者と漁業協同組合間の連絡網を整備するものとする。
※ 本府は、上表の各漁業協同組合と本府間の連絡網(土日祝祭日、年末年始等の閉庁時の連絡網を含む)を別に定めるものとする。
(3) (1)の緊急報告がなされる急激な採捕があった場合に直ちに当該漁業者が取り組む緊急の管理措置は以下のとおりとする。また、本府は当該採捕の数量報告を受けた際に、以下の緊急の管理措置が実施されているか確認し、必要な指導を行うものとする。
漁業種類 | 緊急の管理措置 |
釣り、曳き縄 | ・当該漁業協同組合は所属組合員に対し、大量漁獲があった旨の緊急連絡。 ・府の残枠が判明するまでの間は、当面、くろまぐろの目的操業の自粛、混獲時の生存個体の放流、漁業協同組合の荷受け自粛。 |
桝網 | ・当該漁業協同組合は所属組合員に対し、大量入網があった旨の緊急連絡。 ・府の残枠が判明するまでの間は、当面、生存個体の放流、くろまぐろの入網判明時の網の開放や臨時休漁、漁業協同組合の荷受け自粛。 |
(4) 本府は、1日50キログラムを超える採捕の数量報告があった場合は、速やかに当該採捕の数量を国に報告する。
2 採捕の数量の公表等について
(1) 本府は法第8条第2項の規定に基づき、本府の採捕の数量が知事管理量を超えるおそれがあると認める場合として、本府の第2の7割を超え、又はそのおそれがあると認める時点で、当該採捕の数量を公表するものとする。
(2) また、採捕の数量が我が国全体の小型魚若しくは大型魚別の漁獲可能量の7割を超え、又はそのおそれがあると認める時点で農林水産大臣から当該採捕の数量が公表される。この際、当該公表がされた時点で本府の(1)の公表がされていない場合は、農林水産大臣の当該採捕の数量の公表をもって本府の(1)の公表とする。
3 早期是正措置
本府は、前述の採捕の数量の公表後、速やかに法第9条第2項の規定に基づく助言、指導又は勧告を内容とする早期是正措置を管内の漁業者等に対し講じるものとする。
・くろまぐろを獲ることを目的とした操業は自粛する。
・生存個体は全て放流する。
・くろまぐろの採捕はやむを得ない混獲のみとし、超過を確実に避けるために1日1人1尾、混獲採捕の時点で、当該日の操業は切り上げ、以後3日間は休漁する。
・これらの措置の実施を勧告する。併せて、所属漁業協同組合に当該措置の履行確認を依頼する。
※小型魚、大型魚ともに同じ対応を行う。
第5 その他くろまぐろの保存及び管理に関する重要事項について
1 遊漁(遊漁者及び遊漁船業者)の管理について
(1) 本府は管内の漁業者へ管理の取組を指導した場合は管内の遊漁船業者に対しても同様の指導を行うものとする。この場合、本府は国に対し当該指導内容を速やかに報告するものとする。
(2) 特にプレジャーボート等を利用した採捕の実態が必ずしも明らかでないことから、本府は国と協力しつつ、釣り団体の各ホームページ等の媒体を通じてくろまぐろの管理状況や漁業者の取組への理解と協力の呼びかけを行うものとする。
第6 その他海洋生物資源の保存及び管理に関する重要事項について
1 本府の採捕の数量が第2の知事管理量の9割を超える時点で、法第10条第2項の規定に基づく採捕の停止命令をする。
2 我が国全体の小型魚若しくは大型魚別の漁獲可能量、漁船漁業等の広域管理量を超える恐れが著しく大きいと認めて農林水産大臣が当該採捕の数量を公表した場合は、その時点における本府の数量をもって知事管理量となることから、当該公表の時点で、法第10条第2項の規定に基づく採捕の停止命令をする。
3 遊漁者による採捕の数量は知事管理量に含まれるため、本府知事の採捕停止命令(法第10条関係)が出された場合、大阪府地先海面での遊漁者も命令対象者であり、管内の漁業者に対し管理の取組を指導した際は、同様の指導を行う。
このページの作成所属
環境農林水産部 水産課 指導・調整グループ
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