大阪エコエリア構想7/9

更新日:2020年12月9日

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第5章 民間事業者によるリサイクル施設等整備の促進

 

5−1 民間事業者からの事業計画策定経緯

(1)事業計画提案の募集

 大阪府におけるリサイクル施設整備促進のための構想策定手法としては、前章に示した「(1)民間事業者を主体とした施設整備とする。」「(2)特定の立地候補地を想定せず、府域全域を対象に民間の参画意向を把握する。」「(3)特定の廃棄物種を想定せず、民間の参画意向を把握する。」という方法が最適であるとの考え方に基づき、平成14年5月15日から6月21日の約1ヶ月間、民間事業者から大阪府域へのリサイクル施設整備の事業提案を募集した。募集の結果、100事業の提案があった。

 

(事業提案募集の概要)

1) 基本スキーム

 ・ リサイクル施設の整備(インフラ整備も含む。)は、民間事業者が主体的に行っていただくもの。

 ・ リサイクル施設の整備に当たっては、ベイエリア・内陸ゾーンの遊休地や既存の工業団地等を利活用することとする。

 ・ 府は、国及び地元市町村との調整、廃棄物の動向についての情報提供、用地選定に当たっての情報提供・斡旋・調整に努める。

2) 提案の留意点

 ・ 関係法令・条例等の遵守    ・ 資源循環型社会の構築に寄与

 ・ 安全性・信頼性の確保     ・ 環境への配慮

 ・ 府民、地元等への対応     ・ 情報公開及び施設の一般公開

 ・ 事業推進体制(経済性、既存産業との連携)の確立 

3) 募集期間:平成14年5月15日木曜日から平成14年6月21日金曜日

4) エコタウン計画の策定

 ・ 検討委員会における事業計画案の評価の結果を踏まえ、府は国のエコタウン事業の承認を受けるためのエコタウン計画を策定する。

 

※ 「検討委員会」とは、民間事業者を主体としたリサイクル施設整備の検討を目的として設置された大阪エコエリア構想推進検討委員会であり、学識経験者、民間団体及び行政機関の関係者で構成する。事業提案募集についても事前に同委員会において募集要綱の審査を行った。         (「大阪エコエリア構想推進検討委員会設置要綱」巻末資料1参照) 

 

(2)民間研究会における検討

8月には、対象とする廃棄物の種類等により12の民間研究会を設置し、事業計画の具体化・共同事業化等について検討が行われた。

 

(民間研究会)

 1) 廃プラスチックリサイクル事業研究会            (8事業で構成)

 2) RPF・RDF・FRP等燃料化・原料化リサイクル事業研究会(17事業で構成)

 3) 建設廃棄物:廃木材等リサイクル事業研究会         (10事業で構成)

 4) 建設廃棄物:建設汚泥・コンクリートがら・発生土等建設資材リサイクル事業研究会 (6事業で構成)

 5) 建設混合廃棄物:総合リサイクルセンター事業        (5事業で構成)

 6) 建設混合廃棄物等廃棄物発電事業研究会           (8事業で構成)

 7) 汚染土壌リサイクル事業研究会               (6事業で構成)

 8) 有害廃棄物等溶融処理事業研究会              (12事業で構成)

 9) 食品残渣リサイクル事業研究会               (8事業で構成)

 10) 適正処理リサイクル事業研究会               (8事業で構成)

 11) 廃棄物処理:総合リサイクルセンター事業研究会       (6事業で構成)

 12) 実証研究開発事業研究会                  (6事業で構成)

 

研究会における検討の過程で、事業計画の具体化とともに共同事業化が進み、経済性等の事業性の向上があった。

 

(3)検討委員会における事業計画の評価

11月以降、順次事業計画の中間報告が提出され、最終39事業を数えた。これらの事業計画(中間報告)に対し、検討委員会及びその下に設置した事業化検討会において、専門的な立場から事業の技術面・経済面等に関する指摘がなされた。その後、事業者により、更に事業計画の精査がなされ、最終32事業について事業計画の提出があり、これらについて、検討委員会により課題の整理と評価が行われた。

(「大阪エコエリア構想・提出された事業計画」巻末資料2参照)

− 大阪エコエリア構想推進検討委員会による事業計画の検討結果−

■ 事業計画については、次の事項で事業性の評価をした。

 <計画内容の評価> 

事業可能性、技術先進性を主に、環境配慮や地域貢献などを加え、事業性を評価した。

 1) 事業における施設整備の先進性、先導性などモデルに関すること。

 2) 原料調達の確保、リサイクル品の販売利用の確実性等、事業採算性に関すること。

 3) 排ガスや排水等の処理対策及び交通量対策など環境配慮に関すること。

 4) 地域への積極的な情報公開による信頼性の確保や地元雇用など地域との連携並びに既存産業との協力関係に関すること。

 

<社会的な評価>

 社会的な緊急性、施設等への要請を主に、地域特性、安全性の確保や処理施設の必要性などを鑑み、事業性を評価した。 

1)大阪府廃棄物処理計画等の主要施策の目標達成に関すること。

2)食品・建設リサイクル法等の法規制の推進に関すること。

3)有害廃棄物等の安全・適正処理の推進に関すること。

4)地域に密着した施設計画に関すること。

※ 「大阪エコエリア構想推進検討委員会における事業計画の評価事項」は参考資料3参照

 

■ 事業計画の評価

<総合評価>

・ 原料の調達は、事業性の確保に最も重要であることから、確実に調達できるなどの状況確認が必要である。なお、提出された事業計画には、対象廃棄物が同種のものが少なからず提案されており、対象物の確保難による事業性の低下が懸念されることから、事業者間の調整が必要である。

・ リサイクル製品の用途と用途先の確定も不可欠であることから、その確認が必要である。

・ 事業計画は、エコタウン等補助制度の活用を前提とするケ−スが多いため、リサイクル施設に技術的な先導性等が認められない場合には、他の補助制度の活用や事業内容の見直しなど、事業計画の再検討が必要である。

・ 環境への影響については、場内対策等は高度処理技術の導入などで地域環境の保全を盛り込んでいるものが多いが、自動車等交通対策など場外の方策の検討が必要である。

・ 事業化を進めるに当っては、既存の資源回収業、廃棄物処理業などの事業者の実績・ノウハウを活かす協力体制を図るとともに、事業への参加や連携を得ることも必要である。

・ 事業計画は、事業性が確立されているもの、実証研究において事業性を確認するもの、現状では原料面等事業性に課題が残されているものなど、熟度差があり、大阪エコエリア構想のリサイクル事業計画のとりまとめにおいては、区分すべきである。

・ 事業化にあたっては、事業採算性がもっとも大切であり、健全な運営が確保される計画とする必要がある。

 ・ 事業にあたっては、地域環境の保全や地球温暖化対策等を視野に入れ、事業間での廃棄物利用や相互エネルギ−利用の可能性など、事業者間の協力連携を図られるよう調整に努める必要がある。

 

<個別事業評価>

事業計画ごとの評価等については、計画内容に評価される事項及び事業性など計画への課題等の検討を必要とする事項等を記述した。

 

※「リサイクル事業計画の個別評価」は巻末資料4参照

5−2 事業計画の位置付け  

検討委員会による課題の整理と評価の結果をもとに、前章で定義した「当面整備が必要なリサイクル施設」の考え方に照らし、提案事業計画を「当面整備が望ましいリサイクル・適正処理施設」と「将来にわたり整備されることが望まれるリサイクル・適正処理施設」に分類し、また、その事業内容から「先進的な技術を用いており、更に実証研究を進めるべき施設」を別に分類し、本構想に位置付けることとする。

なお、土壌汚染の処理・リサイクル施設については、廃棄物ではないが、前章に示したとおり、新たに法制度が制定されたものであることから別に分類することとする。

 

■ 当面整備が望ましいリサイクル・適正処理施設

   提出された事業計画のうち、対象とする廃棄物種、事業の技術的先進性及び経済性等の事業性などから府域における事業化が必要であると考えられる事業は次のとおり。なお、主に対象とする廃棄物種別に分類し記述しているが、分類した以外の廃棄物種も併せて処理・リサイクルするという事業計画もある。   

□ 建設(建設リサイクル法対象)廃棄物リサイクル施設     

  ・ 木質系廃棄物によるバイオマス発電            (木材廃材処理研究会)

    木材事業者・ハウスメーカー・中間処理業者・建設事業者の連携により廃木材を集荷し、CCA難処理材を含んだ木質系廃棄物の高効率サーマルリサイクル、難処理木材の安全処理を行う。

  ・ 建設廃棄物の高度選別リサイクル事業              (新日本製鐵(株))

    建設廃棄物や現場分別廃棄物を高度機械選別し、搬入物の92%をリサイクル可能にする総合的建設廃棄物の資源化処理を行う。

    ・ 混合廃棄物リサイクリングアソートセンター事業      (関西環境保全事業(協))

破砕・選別等の効率的な前処理(アソート)を集約的に行うことにより、廃棄物物流の効率性を高め、リサイクル原料の安定供給を実現する。

 

□ 容器包装リサイクル法対象廃棄物リサイクル施設

  ・ 廃プラスチックを利用したマテリアルリサイクル事業 

(大阪東部リサイクル事業(協)/(株)小松製作所)

北河内地区で分別収集し、分別基準適合物化されるその他プラスチック製容器包装を中心原料として、地場産業で利用するペレットを生産し、地域内の資源循環と地域活性化を実現する。  

  ・ 廃プラスチックケミカルリサイクル製造事業           (OCR研究会)

    廃プラスチックを原料に、水素を主成分としたガス化を行い工業原料として再利用する。

 ・ 使用済み飲料缶有効利用事業                  ((株)栗本鐵工所)

    地域から排出される使用済みスチール飲料缶の90%を占める胴体部分の鉄と、10%を占めるアルミを、溶融処理で高純度に分離・回収し、再商品化を行う。 

    ・ 難処理紙廃棄物の循環マテリアルリサイクル事業          (大和板紙(株))

   機密性書類、酒パックや牛乳パックなどの紙製飲料容器、ビニール・アルミホイル引き加工紙等、現在廃棄処理されている難処理紙ごみの再生化を行う。

  ・ 未利用廃ガラスリサイクル事業          (ダイソーエンジニアリング(株))

    リサイクルに回らず、埋立処分されているワインびん残渣等の混みカレット類や蛍光管などを、粉砕・混練・成形等の無焼成の工程を経て、路盤材等の高機能なリサイクル製品の原料として有効利用する。

 

□ 食品リサイクル法対象廃棄物リサイクル施設

・ 食品残渣の飼・肥料化及び廃プラスチック等原燃料化事業      (太誠産業(株))

  外食産業・スーパー等から排出される食品残渣や容器包装廃棄物のリサイクル推進のため、肥料・飼料及び廃プラスチック類の原燃料化商品の製造を行う。

・ 木質系・食品系廃棄物総合リサイクル事業  (NPO法人エコデザインネットワーク)

バイオマス(食品系廃棄物、木質系廃棄物)の有効利用を目的に、熱分解炭化や燃料化処理を行い、主に炭化生成物のリサイクル・再資源化を実施する。 

 

□ 有害廃棄物適正処理施設

  ・ 建設廃棄物等による廃棄物発電施設及び有害廃棄物等の溶融処理事業

                              (なにわエコ21グループ)

    資源化されない建設廃棄物等を主とした高効率発電を行うとともに、マテリアルリサイクルが困難な廃棄物や焼却灰、有害廃棄物などを溶融し、適正・安全に処理しエネルギーやスラグなどにリサイクルする。

・ 都市型製鐵所における廃棄物適正処理リサイクル事業 

(中山クリーンリサイクル事業検討グループ)

鉄スクラップ、鉄含有廃棄物及び回転炉床炉で製鉄ダストから回収した還元鉄を原料とし、また廃棄物(廃プラ、紙等)の成型品を還元剤・熱源として、強度の高い細粒鋼を製造する。同時にシュッレッダーダスト、医療廃棄物などの処理困難物を溶融処理するとともに、発電・熱回収を行う。

 

  これらの施設の整備にあたっては、臨海部における廃棄物最終処分場跡地や民間所有地を含む遊休地、地域エコタウン計画を策定するなどリサイクル施設の立地を計画的に進めている地域などへの立地が想定される。

■ 先進的な技術を用いており、更に実証研究を進めるべき施設

   提出された事業計画のうち、技術的先進性が高く将来の事業化に向けて、実証段階の研究をさらに進めるべき事業は次のとおり。

  ・ 建設廃木材によるバイオマスエタノール製造事業

                         (バイオエタノール製造事業化研究会)

   ・ 亜臨界水反応を利用した廃棄物リサイクル事業       (亜臨界プロジェクト)

 

■ 将来にわたり整備されることが望まれるリサイクル・適正処理施設

    大都市を形成する大阪府域において、循環型社会を構築していくためには、各事業ごとの諸課題を克服し、将来にわたり整備されることが望まれる事業は次のとおり。

・ 廃ガラスびん混合による建設残土リサイクル事業          (藤野興業(株))

・ 大阪南総合リサイクル事業(大阪泉大津エコ・エネルギー資源化センター)

(大阪南産廃事業(協))

・ 廃石膏ボ−ドリサイクル事業                (大阪産廃事業(協))

・ ガス化ミニ高炉による廃棄物無害化処理事業        (国際総合企画グループ)

・ 下水汚泥・石屑を利用した都市型エンドレスリサイクル再結晶(人造)石製造事業((株)ギダテック)

・ 廃棄物を利用した環境対策品リサイクル事業     (関西建設資材販売事業(協))

・ バイオマス発電事業                  (バイオマス発電研究会)

・ 関西総合リサイクルセンタ−事業                ((株)テラボンド)

・ 石油精製副産物資源化事業             (大阪府循環型環境事業(協))

・ 有機性汚泥資源化・汚染土壌浄化リサイクル事業   (大阪府循環型環境事業(協))

・ 建設廃材クリーニングプランリサイクル事業          ((株)よしひろ商店)

・ 廃タイヤ等の粉末原料化マテリアルリサイクル事業  ((株)C.R.T/日本リクエストサービス(株))

・ エコクリーンリサイクル事業                     ((株)森組)

・ バイオマス資源・エネルギー化センター事業     (大阪府循環型環境事業(協))

・ 高品位RPF燃料供給事業                   (川崎重工業(株))

・ 廃プラスチック・廃タイヤ等の高効率マテリアルリサイクル事業   (KIY企画)

 

■ 汚染土壌の処理施設

  廃棄物ではないが、土壌汚染による人への健康影響を防止することを目的に新たな法規制の枠組みが示されたことから事業化が必要と評価される汚染土壌の処理施設は次のとおり。

・ 建設汚泥の完全リサイクル・汚染土壌の無害化事業〔汚染土壌処理の部分〕

(大阪ベントナイト事業(協))

・ 汚染土壌洗浄リサイクル事業                  ((株)栗本鐵工所)

 

 

なお、施設立地にあたっては、同種の廃棄物を対象とする施設間の立地・事業調整や廃棄物処理の際に生じる熱エネルギーの有効利用促進などの観点からの調整が、今後の重要な課題である。

 

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室資源循環課 施設整備グループ

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