今月の事例解説(R2.12)

更新日:令和3年2月12日

今月の労働相談事例解説(Q&A)

Q1 労働者から、配置転換に関する相談

  私は、1年ほど前に育児休業から復帰し、現在の部署で働いています。先日、職場の上司から、他部署への配転命令を告げられました。育児と仕事を両立させながら、現在の仕事にちょうど慣れてきたところだったため、急に他部署への異動は納得がいかない部分があります。会社からの異動命令には、必ず従わなければならないのでしょうか。

 会社が、配置転換を行うためには、労働契約上、配転命令権の根拠があり、当該配転命令がその配転命令権の範囲内であることが必要です。
 
次に、配転について個別合意がない場合、就業規則等に定められている「業務上の必要がある場合、配置転換を命じることができる」などの包括的な規定を根拠としています。
 
また、労働契約法では「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」と定められています(労働契約法第3条第5項)。
ここでの「権利の濫用」とは、「業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令(配転命令)が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等の特段の事情が存する場合」をさします(東亜ペイント事件 最二小判 昭61.7.14)。
 
以上のことから、配転命令が1.業務上の必要があるものか、2.不当な動機・目的をもって行われたものではないか、3.労働者に著しく不利益を負わせるものではないかを会社と話し合う必要があります。これらの条件を満たした配転命令であれば、労働者はそれに従わなければなりません。

Q2 労働者から、雇用保険に関する相談

  私は正社員として働いています。会社から、「雇用保険には入れない」と言われました。
 
雇用保険に加入することはできないのでしょうか。



  労働者を1人でも雇用する事業は、その業種や事業規模のいかんを問わず、すべて適用事業となります。ただし、個人経営による農林水産の事業のうち一部の事業は、当分の間、任意適用事業(暫定任意適用事業)とされています。
 
会社が該当するかどうか確認してください。
 
次に、使用者が雇用保険に加入していなかった場合、労働者は使用者に加入を求め、過去に遡って加入することができます(原則、時効は2年)。ただし、雇用保険料が給料から天引きされていたことが明らかである場合は、2年を超えて遡って雇用保険の加入手続きができます。
 
使用者がこれを受け入れない場合、労働者本人が事業所の所在地を管轄するハローワークに申し出て、加入の手続きを進めてもらうことになります。
 
なお、雇用保険の加入手続が適正に行われているかについて、労働者が自ら所轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格届確認照会票」を提出することで確認することができます。

Q3 使用者から、振替休日に関する相談

  会社の就業規則で「休日出勤になる場合あり(振替休日有)」と規定していますが、割増賃金が発生しないような振替休日の設定の仕方を教えてください。

  あらかじめ特定されていた休日を、事前に他の日を特定して振り替えた場合に限り、もともと設定されていた日は休日でなくなるため、労働させるに当たり、36協定も休日割増賃金の支払いも必要がありません。ただし、振り替えたことにより当該週において週の法定労働時間を超える場合は、時間外労働として割増賃金の支払いが必要となります(昭22.11.27 基発401号、昭63.3.14基発150号)。
  
一方で、事前の振替を行わず、あらかじめ特定されていた休日に労働させ、後日、代わりの休日(「代休」)を与える場合、労働を命じた休日が法定休日であれば、その前提として36協定の締結が必要であり、休日割増賃金の支払いも必要となります。
 
いずれの取扱いについても労働契約上の根拠(就業規則の規定等や労働者の個別の同意)がある場合に認められるものと考えられています。
  
以上のことから、振替休日で割増賃金が発生しないようにするためには、労働者と合意のうえ、1.事前の振替休日の設定、2.当該週において週の法定労働時間を超えないようにすることが必要です。  

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 相談グループ

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