第4章

更新日:平成23年12月20日

 4 基本構想策定の背景
(1) 社会経済情勢の変化
ア 経済の停滞
 日本の経済は、バブル経済崩壊後、10年もの長きにわたり低迷を続けてきました。平成11年初からの回復は短命に終わり、企業の過剰債務、過剰設備、過剰人員の整理や不良債権の処理など金融システムの建て直しがまだ途上にあることや、産業構造の変革が思うように進まず新しい産業が十分に育っていないことなどから、現在、景気は悪化を続けています。
 国においては、こうした状況を乗り越えるため、国民1人1人が自らの個性と能力を十分に発揮し、新たな創造を行うことを可能にする経済社会の構築を目指しています。
 これからは、「人」は新たな付加価値を生み出す競争力の源泉であるとの認識に立って、経済成長を担う人材育成に努めていく必要があります。

イ 厳しい雇用情勢
 大阪産業の構造転換の遅れなどによる雇用吸収力の低下や、労働力需給のミスマッチの拡大による構造的な失業の増加などから、平成13年の府域の失業率は7.2%まで上昇しています。こうした厳しい雇用失業情勢の改善に向け、今般大阪雇用対策会議において、官民一体となって進める75のアクションプランを盛り込んだ「12万人緊急雇用創出プラン」を取りまとめたところです。その中でも、雇用のミスマッチ解消に向けた重要な取り組みの1つとして、職業能力開発の充実が掲げられています。

ウ 少子高齢化の進展
 我が国においては、平均寿命の伸長、出生率の低下等を背景に、諸外国に例をみない速さで高齢化が進んでおり、特に、大阪府においては、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、全国を上回るスピードで拡大し、平成27(2015)年には、府民の4人に1人が高齢者となる見込みです。
 こうした人口構成の急激な変化を踏まえて、労働力の有効利用や長期の職業生活における雇用の安定のため、労働者が継続的に職業能力の蓄積を図っていく機会を確保していくことが極めて重要になってきています。

エ 民間における教育訓練の拡大
 職業能力開発の分野において、専修学校・各種学校等民間教育訓練機関の専門性や、企業や事業主団体の実践的なノウハウを活かしていこうとする動きが広がっています。さらに、即戦力となる人材や高度職業専門人を求める企業ニーズに対応して、大学や大学院といった学校教育機関においても職業教育の分野への進出がみられるなど、職業に関する知識、技術、技能を学ぶ場は、今後一層広がっていくものと予想されます。
 こうした状況の中で多様な訓練ニーズに対応していくためには、公共職業訓練機関内での連携はもとより、民間教育訓練機関等との適切な役割分担やその活用により、総合的に職業能力開発を進めていくことが求められています。

オ 雇用施策における地方分権の進展
 平成12年の雇用対策法の改正により、「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じて、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。」という規定(第5条中)が追加され、大阪府はもちろんのこと、市町村も雇用施策の実施主体として位置づけられました。これにより、大阪府内では、身近な行政である市町村が就職困難者等の雇用・就労を支援する「地域就労支援事業」を実施しています。
 職業能力開発面でも、市町村が地域のニーズに応じたきめ細かな施策を実施できるよう、商工会議所等地域に密着した他の機関との連携も一層強化しながら、市町村を支援していく必要があります。

(2) 産業施策と労働施策の一体的な展開
ア 産業構造の転換
 大阪経済は、消費や設備投資の低迷、生産の減少、雇用情勢の悪化にみられるように依然厳しい状況が続いています。このような中、大阪の産業を再生していくためには、中小企業を中心に、その独自性・機動性と、大阪ならではの進取の気風を活かし、高付加価値型の産業構造への転換を進めていくことが求められています。
 大阪府では、こうした観点から、平成12年9月に「大阪産業再生プログラム(案)」を策定し、新たな産業の創出や新技術の開発に向けて各種施策を実施していますが、大阪産業のさらなる構造転換に向けて、より高度の技能・知識の習得を目指した職業能力開発を進めていく必要があります。

イ 産業クラスターの形成
 「創都・大阪の再生」に向けた産業再生プログラム(案)関連の施策の推進に加えて、大阪府では、北大阪地域におけるライフサイエンス拠点、東大阪地域におけるものづくり支援拠点、南大阪地域におけるハイテク拠点など、産業クラスター形成に向けた取り組みを進めています。
 今後は、職業能力開発施策などの労働施策と産業施策とが連携を図りつつ、施策を一体的・効果的に展開していくことが必要です。

(3) 企業や労働者のニーズ
 大阪府では、企業の人材ニーズや労働者個人の能力開発ニーズなどを把握するため調査をしております。ここでは、これらの調査結果をもとに、企業や労働者のニーズを整理することにします。

ア 産業界の人材ニーズ
(職業能力開発のニーズに関する調査)(12年)
・「専門的・技術的職種」(特に建築・土木関係や情報関係など)で資格を重視する企業が多い(全体の6割)。
・能力・技能の重視度では、「業務分野の実務経験」、「業務分野の基礎技術・技能の学習経験」、「業務分野の専門技術・技能の学習経験」など、即戦力となる具体的な技術を重視している。
・具体的に企業がどのような技術を求めているかということについては、一般事務や経理など汎用性の高いもののほか、情報関係やCAD、機械設備メンテナンスといった技術が比較的多くなっている。
(製造業の技能労働者に関するアンケート調査)(14年)
・製造業のものづくりの現場で特に重要な技術、今後強化したい技術は、工程管理や品質管理をあげる割合が高い。
・企業が具体的にどのような技術者を求めているかという点では、1つの技術のみでなく、工程管理、設計・製図、メンテナンス、OA関係など幅広い能力を持った技術者という像をあげる企業が多い。
(経営革新や人材ニーズ等に関する調査)(14年)
・正社員の採用にあたって、思ったとおりの人材が確保できていない企業 22.6%
・企業がよりよい人材を確保するための重要な対策として、求職者の能力開発をあげる企業 61.5% 

イ 労働者の職業能力開発ニーズ
(職業能力開発のニーズに関する調査)(12年)
・技術専門校において今後充実すべきこととしては、「現在の科目の訓練内容をもっと高度で専門的なものにする」の割合が高く、年齢の高い層では、中高年向け訓練の充実への期待が大きい。

(4) 大阪府の財政状況
 大阪府の財政は、府税収入の大幅な落ち込みによって全国都道府県の中でも最も厳しい状況が続いています。こうした直面する財政危機を乗り越えるため、施策・組織構造、行政運営システムなど、これまでの府政の殻を打ち破り、府政の全面的な構造改革、府政の再生に向け、昨年9月、大阪府行財政計画(案)をとりまとめました。
 技術専門校の再編にあたっては、行財政計画(案)のさらなる推進に取り組むとともに、限られた財源のもとで真に必要な府民サービスは何かを改めて問い直し、技術専門校の効率的・効果的運営に向け検討していく必要があります。

 私 た ち は 職 業 能 力 開 発 と 人 材 育 成 に 取 り 組 ん で い ま す

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室人材育成課 

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