農空間リアル・インタビュー『山道章義さん』(「今池の整備委員会」)

更新日:2022年3月29日

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農空間リアル・インタビュー  山道章義さん(「今池の整備委員会」) 

【概要】

大阪府では、平成31年度より松原市の農業用ため池である別所今池を整備する事業を実施しています。別所今池の整備を開始するきっかけや今後の活動等について、「今池の整備委員会」委員長の山道章義さんに伺いました。

山道氏

「今池の整備委員会」委員長 山道章義さん

 

 リアルインタビュー

Q1 山道さんは現在、「今池の整備委員会」委員長のほか、別所連合町会長・松原市別所自主防災会長を務められており、過去には水利組合役員、財産区管理会会長を歴任されていると伺っています。ご自身の経歴等についてお教えいただけますでしょうか。

A1 私の出身は鹿児島県で、この地区には婿養子として来ました。元々はサラリーマンをしていたのですが、義父が体調を崩したことをきっかけに、55歳から農業を始めました。
 それまでは地域との交流というものがあまりなかったのですが、農業を始めてからはどんどんと交流が増えまして、水利組合長や財産区の会長などをさせてもらいました。よそから来たからかもしれませんが、40年近く住んできたこの地域に恩返しできればとの思いがあり、現在も連合町会長などを務めさせてもらっています。「今池の整備委員会」委員長も、その一環です。


Q2 別所地区は、国道309号線もほど近く、市街地といった印象を受けますが、本地区の営農状況や本地区ならではの特徴、苦労等があれば教えてください。

A2 本地区の主な水源は、現在工事している別所今池と阿弥陀池という2池です。昔に比べて、休耕している方もおり水利用は少なくなっています。農地も減ってきていて、大きな道路に接道している土地は開発が進み、接道していない奥まった土地が農地として残っている状況です。住宅や工場に囲まれてしまっているため、道とつなげたり、大規模な整備なども難しいと思っています。この農地で、今後どう営農を続けていくかを考える必要があると思っています。

 個人的には、松原市の特産物などを真剣に考える必要があると思っていて、水がそんなに必要なく、雑草が生えにくいソバなどはどうかな、と考えています。それ以外でも、何かいろいろな農産物の産地化について検討できればと思っていて、ここ最近では、自分の畑で丹波の黒豆や山の芋などの栽培にチャレンジしています。

別所地区 農地の様子

農地1

農地2

農地3

 道路や住宅に囲まれた農地が主です。



Q3 別所今池は現在改修事業を行っているところです。この池にはどのような問題があり、事業を実施することになったのでしょうか。

A3 地元の方から、夏場の池の臭いがひどい、という苦情と、漏水しているんじゃないかという相談があったため、何とかできないか検討を始めました。
 最初は、自分たちで対応できないかと思い、まず池の調査をしてもらおうと見積をしてみたのですが、費用が高く、とても対応できなかったので、松原市、大阪府に相談しました。そこで、堤体安全性の確保や防災広場造成のために、池底のヘドロを浚渫し、活用する防災事業の形であれば、国の補助を受けて事業化できると教えてもらい、今回の改修事業をすることにいたりました。池底のヘドロがなくなれば水質や水の臭いも改善するし、事業の中で漏水対策もできるし、防災広場もできるし、そういう防災の取組を行うきっかけもできるし、といろいろな効果を期待しました。

 余談ですが、この地区は老人が多いので、地域交流の場所になるよう、池の周りに盛り立てをして遊歩道などを整備したいな、とも考えていたのですが、それは補助事業の対象外だということで、現在の事業内容になりました。

池の様子と施工の状況

池全景1

池全景2

施工の様子1

施工の様子2

住宅街の中にあるため池です。水を抜いて、工事を行います。



Q4 事業での防災広場造成に伴い、地域では自主防災会を立ち上げられました。この自主防災会とは、どんな組織でしょうか。また、これまでの取組について教えてください。

A4 自主防災会は2019年の12月に結成しました。この地区の別所連合町会を母体としており、本部役員20名の他、元々町会の中で組織されていた婦人会や子ども会などの団体にも入っていただいて、総数としては70名程度の組織です。また別所地区には、もうひとつ別の町会があるのですが、そちらの方にも入っていただいて、別所地区全体として防災活動に取り組んでいます。
 地域全体の高齢化の問題もあり、自主防災組織の構成員も60歳代から70歳代が多いです。できる限り若い人に活動を任せていく必要がありますが、そんな状況ですので、どんな活動も「無理なく」していくのが必要かと考えています。

 また、私が防災の取組の中で一番大事だと考えているのは、実地訓練です。非常時の行動計画なども色々検討はしているのですが、まだ机上の空論になっている部分も多いというのが現状です。
 コロナの影響もあり、なかなか訓練ができなかったのですが、昨年10月にようやく電気、ガス、水道が止まった状態を想定した炊き出しの模擬訓練を実施できました。そのほか毎月一回の会議や、月次レポートの回覧による防災意識の啓発活動を行っています。また役員に防災士の資格を取ってもらったりもしました。

防災訓練の様子1

防災訓練の様子2

 令和3年10月実施 炊き出し訓練の様子



Q5 事業が完了したあとの取組みや展望について、教えてください。

A5 事業完了後は、どれだけ綺麗な池を維持できるかが課題と考えています。実際にできるかはわかりませんが、毎年池の水を抜いて、美化運動などできたらいいと思っています。

 また、防災広場の活用方法についてはこれから検討を進めることになりますが、防災倉庫などを設置できたらよいかと考えています。別所今池には中学校が隣接していて、そこが地域の避難場所になっているので、倉庫と行き来できるような形にできたらと思っています。

 ほかにも、防災目的だけでなく、地域のお年寄りの交流の場として、普通の公園のような用途もできないかと考えています。地域のため、いろいろと活用の仕方を考えていきます。



ありがとうございました。


関連事業はこちら

大規模災害時における農業用水を活用した防災活動に関する協定 (耕地課)

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このページの作成所属
環境農林水産部 南河内農と緑の総合事務所 耕地課

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