農空間リアル・インタビュー (川上地区ほ場整備事業推進委員会 峯垣内 勇さん)

更新日:2017年5月19日

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農空間リアル・インタビュー 川上地区ほ場整備事業推進委員会 峯垣内 勇さん 

事業推進委員会の皆さま

峯垣内さんと役員の皆さん(写真右から3番目が峯垣内さん) 

 河内長野市小深・太井・鳩原(奥田井)で、大阪府が事業主体としてほ場整備事業を実施しています。峯垣内勇さんは、その事業の参加者で組織する「川上地区ほ場整備事業推進委員会」の代表として、事業開始の平成19年度から現在に至るまで9年の長きにわたり、ご活躍を頂いています。また、ほ場整備事業終了後、整備した道路、水路、イノシシ柵を管理していくための組織、農事組合法人錦川の郷の代表理事でもあります。

 ほ場整備事業を推進するにあたり、工事に関すること、換地計画に関すること、営農に関することなど、多岐にわたる調整を行って頂き、地区の皆さんをけん引されてこられています。今回、事業推進する上での苦労話、事業参加してよかったこと、また今後の抱負などをお伺いしました。

平成28年2月25日

−−−川上地区は、自然豊かな地域です。また古くから観心寺の荘園として拓かれてきた歴史もあります。地区のよいところなど、ご紹介をお願いします。

峯垣内会長)

 『自然』というと、ひとの手を加えていないものをイメージしますが、ここ川上地区は山、川など、地の利を活かし、先人たちが暮らしてきた地域です。

 昔のひとたちが山から木材を切り出し、農地を切り開き、そういう努力によってできた地区です。

 そして、それを私たちの世代も含め、それを次の代へ、さらにその次の代へと受け継いでいきたいと願っています。

川上地区の春の様子

−−−棚田が残る地区では、その景観を保全しようという動きになり、手を加えることに抵抗がある場合もあります。実際にそういうお考えの方も中にはいらっしゃったかと思いますが、昔ながらの田園風景が残るここ川上地区でほ場整備工事を実施しようと思われたのはなぜですか。きっかけなどお伺いできますか。

峯垣内会長)

 昔ながらの活動、営みを残していこうという考えも確かにあります。しかし、地区の将来を考えたとき、それから後継者の問題を考えたとき、ほ場整備をしておくべきだと思いました。

 特に、後継者の問題は難しく、子供さんが後を継いでくれるところもあれば、そうでない家もあります。そうなると、例えば集落の中で代わりに保全管理をしたり、あるいは農地の貸し借りをしたりというところも出てきます。

 いずれにしても、水路も道路も整備されていないような農地では、それもままならないのかなと感じていました。ですから、私自身、 「後継者がいないからこそやる!」 という強い気持ちで取り組みましたし、地区の皆さんを口説きました。

 田園風景を保全するという側に立った意見も地区内にはありましたが、コンクリートで農地を固めてしまうわけではなく、ほ場整備は土でやりますので、そういう意見の方も含めて最後はやろうという方向でした。

 正直、営農を続けていくには昔ながらの畔や石積みなどは限界に来ていたと思います。本当によい機会でした。川上地区のような棚田でもできる、ということを広くお示しできたのではないかなと思います。

小深整備前

小深工区整備前

太井整備前

太井工区整備前

奥田井整備前

奥田井工区整備前

小深整備後

小深工区整備後(2枚の田を1枚に・・・)

太井整備後

太井工区整備後(不整形だった田が整形され・・・)

奥田井整備後

奥田井工区整備後(棚田地形は活かし景観に配慮・・)

−−−ほ場整備事業は、地区で一体となって実施していかなければなりませんが、地区の皆さんの最初の反応はどうでしたか。

峯垣内会長)

 実は、平成18年頃にほ場整備の説明会がありました。市内の別の集落でほ場整備をしていて、他にも参加する集落はないかということで、府、市で声掛けをされていた時期です。ほ場整備の話を聞いたのは、それが最初です。私は話を聞いて、ぜひやりたいなと。

 ただ、ほ場整備は関係する法律や、国の事業がわかりにくく、地区の皆さん全員が理解できるように伝えるのは難しく、いま振り返ると、多少強引に地区内をまとめたところもあったかもしれません。この電車に乗り遅れたら次の電車はないよ、これが最終電車だからとりあえず乗って欲しい、というような・・・しかし、地区の皆さん、「ほ場整備やるなら一緒にやるよ」と言ってくれる方が多かったなという印象です。

 地区をまとめるときに意識したのは、できるだけ平等に、オープンにということ。そして、整備のイメージを伝えること。そのために、府には平面図を作ってもらって、それを持って何度も足を運んで説得しました。しかし、『換地(かんち)』の説明は大変でした。換地は難しかった。

 また、『工事』による営農のメリットだけではなく、『換地』で土地の権利関係が整理できることもほ場整備のよいところで、それも説明しました。

 事前に、能勢町の事例も見学しました。担当の方や地区の方から直接事業の説明を聞いたり、田んぼを見せてもらったりしました。それがとても役立ちました。

 

−−−役員の皆さんにもお伺いします。峯垣内会長からほ場整備のお話を聞かれたとき、どう思われましたか。最初から賛成で、一緒にやろう!というかんじでしたか。

役員 木戸さん)

 正直、最初はイメージがわきませんでした。地区の皆さんが参加するのなら・・・というところもあったように思います。でも、話を聞いているうちに、やってみようと思いました。今は整備したことで、後をお願いするときの心配が少しなくなりました。

役員 井之上さん)

 ぜひやりたいと思いました。もともとやりたかったけど、段々畑だからできないと思ってあきらめていましたので。それに、周辺の状況から、やらないと潰れる一方だと危機感がありました。何もせず潰すのは簡単だけど、継続していくのは難しいですし。年を取って衰えていくのは事実だけど、整備をして地区のみんなの元気が出てきているのは事実だと思います。色々あったけど、みんなもやってよかったって思っていると思います。

役員 奥野さん)

 私もできるだけやりやすいようにしとかないとと思って、真っ先に手を挙げました。農業はたくさん機械を使います。機械が入れたら負担が随分違います。たとえ後継者がいなくても自分たちが営農しやすいように、あるいは地区の方にやってもらうことになったり、外部にお願いすることになったりしても大丈夫なようにできると思いました。ほ場整備のイメージは平地の大区画の整備です。しかし、ここの地区は違います。ですから、こういった山間部の農地、地域を守っていくひとつのモデルになったと思っています。今では事業をやったから、もっと頑張ろうと思っています。

会議の様子現地立会の様子保全活動の様子


野菜づくりの様子

−−−最後に、今年度でようやく換地処分も終わりました。ひとまず事業としては終了しますが、今後の目標、展望を教えていただけますか。整備後の農地で熱心に野菜づくりに取り組まれておられる奥様方にもお話をお伺いしたいと思います。

峯垣内会長)

 実は、あと10年早くほ場整備をやっていれば・・・という想いがあります。今は、消費者が良質のものを求めているような気がしますので、周辺の施設を使って直販をやったり、喫茶店で提供したり・・・それに向けて、地区内で共同作業、共同出荷ができたのかなと。今後、さらに高齢化が進む中で、地区の農地をどう守っていくか、難しさを感じているところもあります。

お米づくりの様子

役員 井之上さん)

 私は逆で、次の10年と捉えたいと思っています。一歩踏み出したらいいと思います。会長の話を初めて聞いたけど、一回検討してみようと思います。

役員 奥野さん)

 井之上さんのところもそうですが、私のところも夫婦二人で協力しあって営農しています。

奥様方お二人)

 たくさんではありませんが、直売所にも出荷しています。販売状況がメールで送られてきますが、それをとても楽しみにしています。つくりがいを感じています。

峯垣内会長)

 営農していて思うけど、百姓はやっぱり1人よりも2人ですね。奥さんと二人。

役員 井之上さん)

 私のところもそうです。私のところは奥さんが農園の園長です。それから、農作業は手先を使った色んな作業があって、健康づくりにもよいですよ。

 インタビュー後、市農林課さんから即席の営農ミニ勉強会をしていただきました。地区の風土に合わせて栽培時期をずらして消費者に提供する工夫や、お米を共同出荷されたりしている他地区の事例など、お話を伺いました。その中で、ほ場整備の推進委員会が解散する前に次の策を考えることの重要性もアドバイスいただきました。

 皆さん熱心にお話を聞かれていて、今年の作付けから取り組めるものは取り組んでみようと意気込んでおられました。

 実現したら、川上地区内のどこかで皆さんの野菜やお米が買えるかもしれませんね^ ^

営農ミニ勉強会直売所の様子

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このページの作成所属
環境農林水産部 南河内農と緑の総合事務所 耕地課

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