農空間リアル・インタビュー (青崩棚田保存会)

更新日:2017年5月19日

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農空間リアル・インタビュー  青崩棚田保存会 会長 谷口正輝さん

 

 

棚田青崩棚田保存会(幼稚園児の芋ほり)

写真 青崩棚田保存会の活動の様子(幼稚園児との芋ほりの様子)    

                                                              
 南河内郡河南町の棚田、青崩(あおげ)地区を拠点に活動をされている「青崩棚田保存会」。
条件の厳しい棚田という環境で活動され、幼稚園児の農業体験や近隣の都市住民との協力などを通じて、地区全体の活性化に取り組まれています。今回は代表して、会長の谷口さんに活動の内容や将来への想いなど、お話をお伺いしました。

 (平成29年3月6日)

  −−− 青崩地区で活動を始められたきっかけやその当時の状況を教えてください。                                                                         
 

 自分が住んでいるところが青崩で、山間地の棚田ばっかりやったということが一番大きいですよね。
 それと、河南町
役場の方から『棚田の保全』という内容で活動をされたらというアドバイスをもらっ青崩地区の棚田たんです。それも後押しになりました

 どこも一緒やと思うんですけど、会を発足の話が出た頃、青崩地区の住民もみんな高齢化してきて、田んぼができなくなっているところが増えてきていました。 実際に、
自分では田んぼができないからやって欲しいという声もあったんです。やっぱり自分で田んぼができないいという人が増えてきているんですよね。高齢とか、後継者がいないとか。
 条件の面でも厳しくて、青崩地区で農業で生活するって難しいんです。田んぼ自体は小さくて大きなトラクターも入らないし、高冷地で寒いというのもあります。
 
 青崩地区で農業をする人が少なくなってきて、遊休化しているところも増えている・・・そんな中で、保存会としてどんなことができるか。ちょっと難しいところはあるんやけど、遊休化しているところをできるだけ解消できるような形で持って行きたいなぁと思いました。

 

写真 青崩地区の棚田

  −−- 青崩棚田保存会の組織構成を教えてください。


 現在は、地元の農家7名の他に、近くのさくら坂という住宅地のグループが一緒に活動しています。
 地元の農家は70代がほとんどで、60代が2、3人ですね。60代の方は外に働きに行っているので、なかなか農業にずっと従事するっていうのは難しいですよね。

 実は、会の発足当時は、若い力に期待して
大学生を活動に引き込んだんです。幼児教育を学んでいるグループで、幼児たちを呼んできて自分たちの作った畑のお芋さんで一緒に芋ほりしたいという大きい目標を持っておられました。
 2年ほど活動をしてくれていましたが、残念ながらその間で子供たちを呼ぶことはできなかったんです。
その後、そのグループのリーダーも卒業してしまって・・・今は活動は終わってしまいました。残念でした。

 会を発足した時から、とにかく我々農家だけでは人手が足りなくて、一緒に活動してくれるグループを探して声を掛けていて、今でも学生さんにはいろいろ声をかけさせてもらっています。

水を張った田んぼ水路と農地の石積石積の残る青崩の棚田

写真 里山の風景(左から夏の風景、石積と水路、昔ながらの石積の残る棚田)

 

−− 今でも声を掛けられているということですが、学生さんにどのような期待を寄せますか? 


 これをして、あれをしてと、こちらが細かく活動内容を指定するのではなくて、学生さんのやってみたいことを好きなように取り組んでもらったらと思います。自分たちの活動のフィールドとして青崩地区を活用してもらえたらと思います。ですので、とにかく一度来てもらいたいですね。
 そもそも、住民が増えることはなかなかないので、人手不足の問題を解決するには、地区の外の方の力も借りたい。外から来てくれる人の力がどれくらいになるかによって、この地区の活動が大きくなるか、小さくなるか分かれると思っています。やはり、自分たちだけでは青崩の棚田を守っていくのは厳しいので。田んぼとつくし
 
 ただ一方で、地区内の農家の中には、外部から来られた方に自分の農地の維持管理をしてもらうことに抵抗のある方もいるので、そのあたりは我々でフォローできたらと思っています。まずは、学生さんや、学生さんに限らずその他一緒に活動をしてくれる方たちの活動を見てもらって、将来的には「ぜひ、うちの農地でもやってほしい・・・」というように輪が広がればいいなと感じます。

 実際に、自分以外の人に草刈りをやらせたくないとおっしゃる方もいて、ただ、そのような方でも自分の食べる分だけ田んぼを作るので、その他手が回らないところは学生さんとかに使ってもらってもいいよと言ってくれてもいますので、まずはぜひ一度来てもらいたいなと・・・

                                                          

写真 春の田んぼ(つくしと田んぼ)

 

−−− きっかけ、組織構成、を教えて頂きましたので、活動内容をお伺いしたいと思います。

 そうですね、イメージとしては『農家の一年』みたいなかんじですね。
 春先に井路ほり(いじほり)と言う、水路の掃除をします。それに、草刈りは年中やりますね。あと、田植えのために、事前に田に水を入れて代掻きという作業ですね。もちろん、稲が生育するまでのお世話も。

 一昨年から、幼稚園の子供たちを呼んで田植えと稲刈り、そして芋ほりをやっています。
 先ほどお話ししましたが、近くのさくら坂という住宅街のグループの方にもお手伝いをお願いして、子供たち、それから都市住民の方も、みんな一緒に楽しんでもらっています。

 とても良い活動になったなと思っていて、これからも続けていきたいのですが、河南町内の幼稚園の統廃合があるので、もしかしたら今年予定している活動が最後かもしれません。残念に感じているのですが、今年で最後ならちょっと盛大にいきたいなと思っています。

 幼稚園の田植えは面白い。本当に面白いですよ。
 子供たちに田植えをしてもらいやすいようにと、ひもを買ってきてそれに沿ってまっすぐ植えてもらおうと思って、準備万端で意気込んでいたんです。
 ところが、田植えがスタートしたら、もうぐちゃぐちゃ。田んぼの中を、あっち行き、こっち行き。
 それで自分の足元しか植えないもんだから・・・もうあきらめて、「みんな、好きなとこに植えろー」って感じです。幼稚園児の田植え
 最後はただの泥遊び・・・結局大人がしっかり植え直しましたね。

 それから、これは私も初めて知ったんですけど、幼稚園児の稲刈りはハサミで穂 先だけ切って収穫するんです。チョキン、チョキンて。
 これがまたすごくって・・・端から順番にいってくれたらいいのですが、おかまいなしに真ん中の方まで行ってプチプチ切って、またこっち来てプチプチ切って、そしたら田んぼの中をイノシシが走ったような道がついて。その後ろをまた何人も続いて歩いて行くので、ほんとの獣道のようで。ほんとに面白いですよ。ちなみに、収穫したお米は、おにぎりにしてみんなに食べてもらいました。

 そんなこんなで、まだ経験が浅いながらも自分たちで青崩地区の棚田を守る活動を頑張っていますが、他の活動団体さんがどんなふうに活動をされているのかはすごく知りたいです。
 今は自分のところで手いっぱいで他の地域に行くのは難しいのですが、すごく興味はあります。機会があれば、ぜひ行って参考にしたいですね。

写真 幼稚園児の田植えの様子

−− 最後に、今この地区をどうしていきたいとお考えですか。 

 冒頭に、河南町からアドバイスをもらって・・・とお話ししましたが、実は、現在は河南町側のエリアで活動しているんです。
 青崩地区というのは実際は千早赤阪村にもまたがっていて、私自身は河南町側と千早赤阪村側合わさって青崩地区、という思いを強く持っています。
 ですので、目標は大きいですが、青崩地区全体を保存会として、地区の住民全員が保存会の会員になって、みんなで協働で活動していきたいんです。
 繰り返しになりますが、今の活動は行政区分上、河南町で行っていますが、将来的には青崩地区全体で、農地の保全活動を通じて地区全体の活性化につなげていけたらと思っています。
 農地の保全活動というのも、広い目で里山保全というように、田んぼや畑以外に、例えば、栗畑とか、柿畑とか、地区にある資源を活用してやっていけたらなと思っています。

 そのためにも、我々農家だけでなく、地区の外からの大きな力も借りて、大きな活動になるよう取り組んでいくのが目標です。

ありがとうございました。


 

 



 

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このページの作成所属
環境農林水産部 南河内農と緑の総合事務所 耕地課

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