平成26年12月委員会会議会議録

更新日:2015年1月21日

大阪府教育委員会会議会議録

 1 会議開催の日時

   平成26年12月22日(月曜日) 午前9時34分 開会

                  午前11時38分 閉会

2 会議の場所

   大阪府公館 

3 会議に出席した者

委員長隂山 英男
委員長職務代理者小河 勝
委員立川 さおり
委員井上 貴弘
教育長中原 徹
教育監津田 仁
教育次長橋本 正司
教育センター所長和田 良彦
教育総務企画課長見浪 陽一
人権教育企画課長松本 昇
教育振興室長丸岡 俊之
高等学校課長橋本 光能
高校再編整備課長土佐 邦之
支援教育課長水守 勝裕
保健体育課長植山 勝秀
市町村教育室長吉美 学
小中学校課長浦嶋 敏之
地域教育振興課長津田 清
教職員室長中野 伸一
教職員企画課長白居 裕介
教職員人事課長後藤 克己

4 会議に付した案件等

議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について

議題2 知事からの意見聴取について

議題3 府立学校技能労務職員の給与に関する規則の一部を改正する規則について

議題4 平成27年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について

議題5 府立箕面高等学校の学科改編について

議題6 南河内地域における中高一貫校の設置について

報告事項1 「教職員の評価・育成システム」の改定について

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定

   立川委員を指定した。

(2) 前回の会議録について

   全員異議なく承認した。

(3) 議題の審議等

(隂山委員長) 会議に先立ち一言申し上げる。11月の会議はイレギュラーな運営をさせていただいたが、今月の教育委員会会議については、第三者委員の調査、特に立川委員に関する件について、調査報告が届いており、我々の確認待ちである。私達としては教育行政を遅滞なく進めていくことを第一に考えて進めてきたが、その条件が整ったのかと思う。今日の会議においては、調査のことを気になさる方もあるとは思うが、それはそれとして、あくまで本務である教育行政の推進ということで、皆様方のご協力をよろしくお願いしたい。事前に教育長及び立川委員にはその旨を伝えて了承いただいている。改めて申し上げるが、私達の基本線は、大阪府の教育行政が円滑に進んでいくことを旨としており、そのことがプライオリティーの一番であり、府民、報道機関の皆様にはご協力を頂ければと思っているところ。

 

◎ 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について

【議案の趣旨説明(教育総務企画課長)】

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成26年9月定例府議会に提出された次の議案(平成26年12月4日追加提出分)について、本来であれば、教育委員会の議決により意見を決定すべきものである。しかし、知事への回答期限が短く、教育委員会会議を開催するいとまがなかったことから、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき教育長が代決により異議がない旨を回答した。この代決を、大阪府教育委員会事務決裁規則第7条第2項に基づき承認する件である。

○予算案

 1 平成26年度大阪府一般会計補正予算(第4号)の件(教育委員会関係分)

○事件議決案

 1 指定管理者の指定の件(教育委員会所管施設)

○条例案

 1 職員の配偶者同行休業に関する条例制定の件

 2 職員の育児休業等に関する条例及び技能労務職員の給与の種類及び基準に関する条例一部改正の件

 3 職員の給与に関する条例等一部改正の件

 

◎ 議題2 知事からの意見聴取について

【議案の趣旨説明(教育総務企画課長)】

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成26年9月定例府議会に追加提出される次の議案については、異議がないものと決定する件である。

○条例案

 大阪府教育委員会の教育長の給与等に関する条例一部改正の件

 

◎ 議題3 府立学校技能労務職員の給与に関する規則の一部を改正する規則について

【議案の趣旨説明(教職員企画課長)】

府立学校技能労務職員の給与に関する規則の一部を改正する規則について、行政職給料表の改定率に準じ、決定する件である。

ただし、行政職給料表の改定は、平成26年9月定例府議会に上程中の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例により行われることから、同条例が原案通り可決された場合に、本規則の改正を行うものとする。

 

【委員の質問及び意見】

(小河委員長職務代理者) 議題2の教育長の給与等に関する条例一部改正の件は、他の部局との関係から改正するということか。

(中原教育長) 絶対的なルールではないと思うが、慣例上、知事、副知事、教育長、部長と順番になっている。知事、副知事が上げずに頑張っている中、同様に上げないようリクエストしたが、部長と金額が入れ替わってしまうということで、バランスを図るために了承してほしいということであった。

(隂山委員長) 資料に記載されているとおり、教育長は一般職となるのか。

(見浪教育総務企画課長) 教育長は、教育委員としての特別職の身分と、教育長としての一般職の身分がある。

(隂山委員長) 議題3については上がるという話なのか。

(白居教職員企画課長) 3−3ページの資料は平成23年度に給与改定した際に設けた経過措置の改正となる。今回の給料表の改定については、3−4ページ以降となり、改定内容は一般職員と同じ内容となっている。給与改定で平均1.8%上がり、来年の4月からは給与の総合的見直しに伴い、平均2%下がるというもの。

(隂山委員長) 増額と減額が続いてやってくる改定で分かりにくいものになっている。民間の給料を上げ、公務員の給料を下げると受けが良いが、一方で、公務員の給料が上がりにくければ民間の給料も上がりにくいという側面もある。民間でも公務員でも給料が上がって、お金が循環していくことが大切であると思っている。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 

◎ 議題4 平成27年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について

【議案の趣旨説明(高等学校課長)】

平成27年度府立学校に対する指示事項及び平成27年度市町村教育委員会に対する指導・助言事項の取組みの重点を決定する件である。

なお、取組みの重点以外の内容については、今回決定する取組みの重点を踏まえた上で、1月の委員会会議において決定を行う予定である。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) この3週間フィリピンに行き、英語学習を見てきた。欧米にならった学習であり、日本の教育と決定的に異なったのは、プレゼン力である。当時の橋下知事と韓国の高校に視察へ行った際に英語の授業を見たが、ギリシャ哲学についての議論を英語で行っていた。そのようなことがグローバルの世界では常識となっている。日本人であれば日本のハイレベルな事象を語れなければならない。指導要領の関係から一気に変えていくことは難しいが、先行実験的に導入していくことが必要ではないかと感じた。今回も私の無茶苦茶な英語が伝わったことから、英語力は内容が重要であることを身に染みて感じた。今後留学等グローバルに海外と直接触れ合う高校生がその点で面食らうことがないようにしなければならないのではないか。

(橋本高等学校課長) 我々もそのような観点で教育を進めていかなければならないと感じている。議題5の学科改編においても同趣旨での学科改編となっている。

(中原教育長) グローバルリーダーズハイスクールで生徒が研究を発表することを、文理科だけでなく普通科にも拡大していく動きもあり、箕面高校でもディスカッション形式の授業を導入していき、エンパワメントスクールでも正解が一つでない授業に時間を割き、こころの再生府民運動の一環として今までと異なる切り口での道徳の補完教材を入れる予定もある。

(立川委員) 4−7ページの中退防止について、今年度から全生徒に対して高校生活支援カードを活用されているとの報告を中退防止フォーラムで受けたが、それについての記述はどこに出てくるのか。学校独自に生徒や保護者向けにアレンジしているところもあり、その共有化があってもよいのではないか。高校生活支援カードは非常に有効であるとの認識があるので、その記述についてお願いしたい。

(橋本高等学校課長) 今年度から全校で高校生活支援カードを導入しており、非常に有効であると考えている。中退防止以外にも発達障がいなど把握しにくい状況もいち早く把握して高校生活の定着につなげていると聞いている。どの場所に記載するかは検討させていただく。

(隂山委員長) フィリピンでもう一つ感じたことは、英語に関して言うと、日本の英語教育と海外の英語教育は説明が英語になっている以外は基本的に同じである。日本の学校の英語を学習してもしゃべれないのでダメであるというのはデマ情報である。きちんと学校の英語学習に取り組んでいないと、海外に出た時に効率が悪くなる。日本の持っている良さを認識していないと、日本の若者の学力は良くならないのではないか。21世紀に入ってからの日本のノーベル賞受賞者は世界第2位である。戦後で見ても日本は世界第5位である。戦後教育は個性を奪って、詰め込みだけでクリエイティブでない人間を育ててきたと言われているが、少なくともノーベル賞のデータを見る限りそれは当たらない。もう一度基礎教育の良さを認識した上で、どこが良いのかを考え、大阪の教育を見直していかなければならないのではないか。その他として、校長先生が学校現場で何が行われているのかを把握するよう指導しておいてほしい。学校で習った漢字以外使ってはいけないという指導を大阪府内で受けたというクレームを聞いた。ゆとり教育是正の中で小学校1年生であっても指導要領の枠を超えてルビを振れば使用できるとなっている。基礎基本の充実という点で府内の学校現場で認識が甘いところがあるのではないか。また、学校で子ども達の様子を写メ等で撮っており、現段階では犯罪等に至ることはないが非常に危惧しているという話も聞いた。それについては府教委にお伝えして解決したと聞いたが、そのようなことを校長先生が知りませんでしたということではダメである。府民の信託に応える教育内容になっているように、校長先生には各現場の指導、見回りを定期的にしていただきたい。

(見浪教育総務企画課長) 先ほど立川委員からご指摘のあった高校生活支援カードの記載については、お任せいただくということでよいか。

(隂山委員長) もちろんそれでよい。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 

◎ 議題5 府立箕面高等学校の学科改編について

【議案の趣旨説明(高等学校課長)】

平成28年度より、府立箕面高等学校の学科について、改編することを決定する件である。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) グローバル化が進む中で、海外に子ども達が出ていくときに、海外で実際にどのような教育がなされているかを分かっていなければならない。例えば、海外の教科書は有償であり高額であるため、海外で行われている教育を認識することは意外と難しく、文科省もできていない。アメリカの教科書をどこで見ることができるのか思いつかない。日本の若者がアメリカの大学に行って、アメリカの学生と話をして初めてどのような勉強をしてきたのかに気づくのである。海外の教育事情を調べ、情報を共有し、蓄積していくことが必要ではないか。

(和田教育センター所長) 日本の教科書については小学校から高校までそろえているが、海外の教科書についてはそろえていない。

(隂山委員長) もう一つ、国会でも議論されている18歳の選挙権も考えておかねばならない。高校卒業とともに投票することとなるが、社会科はじめ様々なところに影響を与えるだろうが、時代の変化をとらえた研究をお願いしたい。

(小河委員長職務代理者) グローバルという先端のテーマにスポットが当たっているが、先ほど委員長が指摘された日本の教育をどうとらえるのかという点で、日本の教育は世界的に見ても非常に優れており、根幹を否定するような構えで臨むと良いものを壊しかねない危険性がある。先日、福井の教育委員会を視察させていただいたが、地域文化に根差した公教育の体系が作り上げられていた。先ほどあったノーベル賞の話は60代前後の方々が受賞されているが、これは戦後の日本教育の成果である。教育の現代化と言われる68年の指導要領の改訂以前の教育課程は非常に優れていたことを証明しているのではと思っている。この時に、小学校低学年の学習課程が3倍スピードアップされ、落ちこぼれる子ども達が多く発生したのである。小学校低学年までの段階を鍛えることが重要である。習熟プログラムを大阪府が独自に考察し強化していくことが必要ではないか。そのうえで新しい時代の方向性と並行して考えていかなければならない。先日の新聞に出ていたが、小学校英語を主張してこられた大学の先生が、それは必ずしも正しくないとおっしゃっていた。結局小学校英語で成果が上がった例がほとんど見られず、むしろ問題が生じている例が多いと統計的にまとめていた。何が悪いのかはまだわからないが、そのような方向で進めていくことが良いのかという警鐘を鳴らしている。私がこれまでも主張している国語の重要性と裏表の問題ではないかと考えている。

(井上委員) 小河委員の発言について3点質問がある。1点目は、日本の教育が素晴らしいというのは何と比べて素晴らしいのか。2点目は、落ちこぼれが増えたということと日本の教育が素晴らしいというのは矛盾するのではないか。3点目は、小学校で英語教育を進めるのは良くないということなのか。

(小河委員長職務代理者) この話は時間がかかるが、結論的に申すと私自身が外国の教育を見てきた中で、日本の教育にはアクティブラーニングの側面は深くないが、体系化を重視した系統だった学習プログラムは非常に優れていることが各所に見られるということである。2点目は71年から実施された指導要領であるが、日本で荒れる中学校が70年代後半に広がっている。71年に小学校に入った子ども達が77年に中学校に入ってくるが、ここで校内暴力が爆発し、そのような時代が数年続いた。3点目の英語教育については、確かに時代が要請する側面はあるが、それをどうするかは慎重に考えていくべきである。ただ単純に小学校から英語の時間を増やすというのではなく、例えば耳を育てるなど、過度に授業時間を増やすのではなく、遊びとして小学校段階で英語に触れ合う機会を増やすというものもある。色々な見地から工夫を加えた慎重な対応が必要である。

(井上委員) 教育とは常に批判的な目を持って制度を改定していかねばならないと考えていることもあり、日本の公教育はダメだとは思わないが、あえて批判的なことを申し上げる。私も小学校から高校まで公教育を体験した。アメリカの大学院に留学した時に衝撃を受けたことは、英語が話せない以前に議論することが全くできなかったことである。基礎学力というところでは小学校の低学年時に色々なことを学校の先生に教えられ、その場で様々な積み重ねで身についたところはあるが、常に見直していくことは大切である。先ほどの落ちこぼれの子供が急に増えたということについてはしっかり考えていかなければならないし、ノーベル賞受賞者がどのような教育を受けてきたのかも考えていかなければならない。もしかすると、ノーベル賞受賞者の中にも、中学校や高校で私学や国立に通って、特別な教育を受けていたことも考えられる。そうであれば、そのこともしっかり調べてフィードバックしていかなければならない。議論を一般化しすぎるのではなく細分化して常に改善を見出していく必要があると思う。私は英語を早く学習すべきと考えているが、もちろん国語も大事であると考えている。よく言われるのは小学校2年生以降に英語を学ぶことは拷問に近いという意見もある。本当の答えが何なのかは我々も詰めていかなければならない。

(隂山委員長) この件について重要であるのは、アプローチの仕方であり、批判から入っていくと失敗する事例が多いということである。うまくいく事例はそれなりの理由があり応用性がある。そのことからもグローバルリーダーズハイスクールに求められることは、他の高校にも広げられるような成功事例を作っていただきたいということである。良い事例をきちんと積み重ねることが必要であるが、何故か教育は批判から入り無駄な回り道をしているように感じる。そのことからも箕面高校では、成功事例を作ることをミッションとして取り組んでいただきたい。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 

◎ 議題6 南河内地域における中高一貫校の設置について

【議案の趣旨説明(高校再編整備課長)】

南河内地域における中高一貫校の設置について、決定する件である。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) 中学校の通学区域を府内全域としているが、一方で「南河内の誇りを胸に抱き」となっており、制度的な要請と学校側の思いが微妙にずれてしまうことにならないか。

(土佐高校再編整備課長) 南河内で学ぶことに誇りを抱いていただき、南河内地域を中心とした大阪、関西について学ぶことと考えており、生徒の通学範囲との齟齬はないと考える。

(立川委員) 当初府内で初めてのコミュニティースクールを目指していると聞いていたが、その点はどうなったのか。

(土佐高校再編整備課長) 学校としてもコミュニティースクールを目指す考えは変わっていないが、教育課程を決めてから外部の方にどのようにお手伝いいただくかの議論をしていきたいと考えている。

(井上委員) それはここで並んでいる項目と比べて大事なことなのか。

(立川委員) コミュニティースクールは学校運営について地域住民が人事などに対して意見をするということであったがそれが柔軟化されている。文科省はコミュニティースクールを進めたいという思いがあるが大阪府内にはコミュニティースクールが少ない。大阪府には学校協議会という組織が独自にあり、すべてがコミュニティースクールであると言ってもよい状態であるが、コミュニティースクールとしてなぜエントリーしていないのかが分からない。今回、中高一貫校がそれを進めるということであったが抜けていたため質問したもの。

(井上委員) 短い時間でうまくまとめていただいたものと思っている。コミュニティースクールを入れるか入れないかは手法の問題であり、地域に根差して地域の特徴を生かして教育を進めていくということであれば広義の意味でコミュニティースクールであり、特段この段階で記載されていないことをもって地域の視点に欠けているとは思わない。

(立川委員) 大阪府内に初めてコミュニティースクールを設置する先行事例になるのかと思っていたので私は重要視していた。私の中ではプライオリティーが高かったものである。

(井上委員) コミュニティースクールとは地域に根差した学校という意味であると思っているが、この段階では今回まとめていただいたもので良いかと思う。ここにコミュニティースクールという項目を新たに入れていくことはそれほど重要ではないのではないか。

(隂山委員長) コミュニティースクールとは教職員の人事に対して意見を言えるということぐらいである。地域に開かれた教育を推進しようとする教育委員会は積極的に取り入れようとするが、学校教育は教育委員会に任せてほしいというところは控えめであるという特徴がある。プラス面もあれば難しさもある。府立の高校からすると積極的に進めたいのかどうか。

(中原教育長) コミュニティースクールの定義は大きく分けて4つある。1番遠いのが、学校協議会もなくPTAだけがあり、正式な手続きの外側から意見を言うだけである。2つ目は我々が全校で行っている学校協議会であり、年に何回か意見を言う機会があり、そこでの意見を無視できないが拘束力はないというものである。3つ目がコミュニティースクールは人事に関して意見を言えるが正式に拘束力は定められていないというもの。4つ目が公設民営の所謂チャータースクールであり、学校経営を地域の人にしてもらうというものである。この話は拘束力をどこまで持たせるかという中身の話である。地域の声を反映させるということでコミュニティースクールという名前を出していたが、現時点ではどの程度の拘束力を持たせるのかが固まっていない状態である。

(隂山委員長) 文科省が法的に規定しているコミュニティースクールと地域参加の概念が異なることから、コミュニティースクールという言葉を使う場合に注意しなければならない。その点での配慮が必要であると思っている。

 

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 

◎ 報告事項1 「教職員の評価・育成システム」の改定について

【議案の趣旨説明(教職員企画課長)】

平成27年度から、「教職員の評価・育成システム」を改定するに当たり、委員会に意見を求める件である。

 

【委員の質問及び意見】

(小河委員長職務代理者) 絶対値を3.5以上、2.5以下としている数値はどのように算出されたのか。

(白居教職員企画課長) 授業アンケートの結果は1点から4点で数値化されるが、1点は否定的であり4点は肯定的として数値化を図っている。3点の状態は回答した生徒がまあまあそう思うということで肯定的な答えをしている状態となることから、3点を標準点と考え、3.5とはその状態から"良い"と"まあまあ良い"とする意見が半々の状態であり「特段高い」のボーダーラインとした。反対に「特段に低い」は"まあまあ良い"と"やや否定的"が半々の状態から、"やや否定的"な生徒がクラスの半分を超える状態となる2.5をボーダーラインとしたもの。

(小河委員長職務代理者) 調査項目は何項目か。

(白居教職員企画課長) 小中学校は原則5項目、府立高校は9項目となる。

(小河委員長職務代理者) 生徒アンケートが客観的に表れてくるデータとなり、それに対して校長の全体としての評価が別途行われるという2本立てとなるのか。

(白居教職員企画課長) 1−3ページで評価の流れを図式化しているが、授業アンケートの結果というのは3段階であり、実際に校長先生が授業力を評価する際は、授業アンケートの結果を踏まえて、自身の目で授業観察を行い、日ごろの職務行動を観察して、授業力を評価するものである。

(小河委員長職務代理者) 現場の教師としての経験から気になるのは、いったん相対評価という案が出たが、この実施には反対した。これがもし実施されたならば教育上大混乱が起こるということが身にしみてわかる。教師の中で相対評価が施行されると誰かを最低ランクにしなければならなくなる。そうすると、教師間の連携が完全に壊れてしまう。校内暴力等で荒れていると連携が壊れるとどうしようもなくなる。教師が生徒と掴み合いとなった時、今ならみんなが止めに行くが、関わりたくないということで避ける教師が出てくる。向こうで生徒と教師のぶつかり合う声が聞こえると関わり合いになりたくない為反対側の階段を降りるような動きになる。教師とは校内研修等で交流し合って高めあうことが重要であるが、自分の工夫した良い方法を隠すこととなる。教師間の足の引っ張り合いが起こる。相対評価は現場になじまない。もし、今回の評価がそちらの方へ移行していくこととなるのであれば問題である。確かに教師に向いてない人はおり、その人には改善していく指導が必要であるが、全体のやる気や意欲を守られる方向性を保持していただきたい。生徒アンケート調査の活用は正しい方向で活かしていただき現場の管理職が使いやすいようにしていただきたい。

(井上委員) 今の話に違和感を感じた。相対評価だと誰かを低い評価に貶めようとするようなことは教員の世界だからなのか。その考え方は異なると思う。民間企業でも絶対評価もあれば相対評価もある。仕事をしていくプロであれば相対評価の制度であっても自分の持っているスキルを出さない等のことは起きないと思う。そのような考え方で仕事をしているのは、制度以前の問題である。

(小河委員長職務代理者) 相対評価にしてしまうと、最低評価の枠が何%か決まってしまい、そこに誰かは入ることとなる。

(井上委員) 私は具体的な制度のことを言っているのではなく、なぜ学校なら横の連携がなくなるのかを聞いているのである。民間企業では相対評価であってもチームで仕事をしている。教員の現場ではなぜできないのか疑問である。

(小河委員長職務代理者) そこはまさに教育の世界で。

(井上委員) いつも教員の世界ではという話になるが、本当にそうなのか。

(小河委員長職務代理者) それは実際現場に入ってお話していきたい。

(井上委員) 誤解してほしくないのは、私は相対評価の良し悪しを言っているのではなく、意識の持ち方の話をしているのである。評価制度により自分の良いものを出さないとなるのはプロ意識に欠けていると思う。完全に公正な人事制度などない中で、仕事を一生懸命するということがまずあるのではないのか。

(隂山委員長) 今は相対評価ではなく、絶対評価である。すごく大事なことだが、批判から入ると間違ってしまう。絶対でうまくいったら別に相対の話をする必要はない。私は別の件で考えているものがあるが、子ども達の指導は授業時間だけでなく、教材がすごく重要である。子ども達は先生の助言を得ながら教材に取り組むが、子ども達が伸びるかどうかはその学校がどのような教材を提供できているのかにかかっている。授業力はあるが子どもを伸ばせない先生がおり、それは宿題を出さない先生である。授業中の生徒のアンケートは、信頼されていない先生がいて、授業の中で典型的に表れるので、そのような先生をピックアップするためにあるもの。いずれ先生がちゃんと授業をするようになれば、次には、授業力評価ではなく、教材作りや研究に対する取り組みなどの学習指導力評価を検討していきたいと思っている。

(井上委員) ここで言う授業力というのは、きちんと宿題が出せるとか、教材を開発する力を含め、子ども達を伸ばす力ではないのか。

(白居教職員企画課長) 補足させていただくが、授業アンケートそのものは授業に対する子ども達の受け止めであるが、それを踏まえて校長が行う授業力評価は教材研究能力等を含め総合的に判断していくもの。

(井上委員) 授業力について、みんなの理解が異なっていたことが問題である。授業力とは授業がちゃんとできて宿題も出せて教材も開発でき、子ども達の力を伸ばせる力ということでよいのか。

(隂山委員長) もちろんである。そうはいっても、生徒たちの授業アンケートは数値で出てくるのでここから離れて校長先生が評価することは難しくなる。

(井上委員) 私の理解は宿題や教材開発力を含めたものであると思っていたので、授業だけうまい先生というのは授業力がないという理解であるがそれでよいのか。

(隂山委員長) 校長先生の判断の中にはそれが入っている。

(井上委員) 企業で言えば、プレゼンも資料作成も上手いが、きちんとクロージングができないと契約は取れないものであり、その場合には、営業力があると言えない。営業マンにおける「営業力」と同様に、先生の「授業力」の定義をしっかりしておかなければならない。

(隂山委員長) 学校現場では、子ども達の学力がどの程度伸びたかではなく、授業がどのようにうまく組まれたかにより評価されることが多い。

(井上委員) それは、校長先生が、それも見つつ子ども達の学力も見つつ評価するのではないか。

(隂山委員長) 教師の世界では、授業の評価イコール教師力となりがちな傾向がある。

(小河委員長職務代理者) 授業力という言葉をもう少し膨らませ、教育指導力というようなトータルな概念に拡大しておけばよいのではないか。

(井上委員) 現場の先生の評価が決まることでありしっかり決めておかなければならない。授業力という言葉の定義や校長先生の尺度を明確にしておかないと、毎日一生懸命取り組んでいる先生に失礼である。

(白居教職員企画課長) 現在の評価制度は絶対評価で行っており、評価基準は評価者共通の物差しでなければならない。そのため、共通の評価基準を策定しており、その中で授業力を評価していくにあたっての着眼点を掲げている。また求められる行動パターンを具体的に示しており、教材研究を工夫している等も具体的に提示している。全教職員にオープンにしており、皆様に理解されているものと考えている。

(隂山委員長) 授業アンケートの重みを高めたものと理解したがそうなのか。

(白居教職員企画課長) そうではなく、これまで判定を校長の総合的判断に委ねていたが、基準を設定することで客観的に自動的に出るという仕組みにしたもので授業アンケートの性質そのものに変更はない。

(立川委員) 授業アンケートについて、1点から4点まで肯定と否定で半々であるが、どちらでもない等の中間点を設けてはどうか。

(白居教職員企画課長) 小学校は保護者の方に書いていただくため「分からない」という選択肢が一つ増える。中学生高校生は、中間点を設けないことによって、より鮮明にするという趣旨がある。

(立川委員) 授業力を改善することを、最大の目的にしていると思うが、授業力がどのように改善するのか。

(中野教職員室長) 授業力アンケートの結果により、授業力が高いのか低いのかを客観的に判断できるようにしたもの。そこで低い判断が出たからといって人事評価が必ず低くなるというのではなく、そのような方については、校長に記録を付けていただき、指導育成に生かしていただくことになる。

 

(隂山委員長) 冒頭にも申し上げたが、調査報告書の扱いについては、報告は受けた状態ではあるが、その後のことについては、まだ未定である。委員3人で議論した上で、なんらかのご報告をさせていただくのでよろしくお願いしたい。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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