平成26年9月臨時委員会会議会議録

更新日:2014年11月5日

大阪府教育委員会会議会議録

 1 会議開催の日時

   平成26年9月3日(水曜日) 午前9時29分 開会

                   午前11時13分 閉会

2 会議の場所

   大阪府公館 

3 会議に出席した者

委員長隂山 英男
委員長職務代理者小河 勝
委員立川 さおり
委員木村 知明
委員井上 貴弘
教育長中原 徹
教育監津田 仁
教育次長橋本 正司
教育センター所長和田 良彦
教育総務企画課長見浪 陽一
教育振興室長丸岡 俊之
高等学校課長橋本 光能
高校再編整備課長土佐 邦之
市町村教育室長吉美 学
教職員室長中野 伸一
 

4 会議に付した案件等

議題1 平成25年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について

議題2 大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく平成26年度実施対象校(案)について

 

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定

立川委員を指定した。

(2) 議題の審議等

 

◎ 議題1 平成25年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について

【議案の趣旨説明(教育総務企画課長)】

大阪府教育振興基本計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)の進捗状況に関する点検及び評価の結果並びに教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況に関する点検及び評価の結果の報告について決定する件である。なお、大阪府教育行政基本条例第6条第1項及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項の規定により、教育行政に係る点検及び評価報告書を平成26年9月定例府議会に提出する。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) 62ページの指標43、44において、24年度に73%程度であったものの、目標値が70%であり、実績が74%程度となっている中で、点検結果が◎となっているが少し違和感がある。

(見浪教育総務企画課長) 計画作成段階では24年度の指標が調査中で出ていなかったため、先に目標を作成した。もう少し低い数値だろうということで目標値を作成したが、実は24年度の数値が高かったというもの。そういうことで、※印により「今後、目標値の上方修正を検討」と記載しており、来年度以降修正させていただく予定であり、今年度については、形式的ではあるが、目標値を越えているということで◎とさせていただいている。

(隂山委員長) ○でも良いのではないか。

(見浪教育総務企画課長) 同じような項目が他にもあるので、事務局の方で教育長に相談の上、表記を検討させていただく。

(井上委員) 評価審議会からの指摘に対する結果は、どこかで公表するのか。

(見浪教育総務企画課長) 来年度の予算にどのように反映させるかにより、来年度の点検評価の自己評価の中で、指摘に対する反映状況を記載することとなる。

(中原教育長) 審議会については、そもそも教育委員会が審議会であって、屋上屋を重ねるという指摘もあるが、色々な視点からご意見を頂くことも重要だということで審議いただいている。膨大な結果であり、データの中にも重要度の差があり、予算との関係もあるので、まずは、情報編集力が我々に問われていると思っている。数字を見て、上手くいっているプロジェクトと課題のあるプロジェクトに分けて、どのテーマに力を入れていくのかを読み解く資料である。ここに書かれたコメントや結果について全て対応することは無理があるので、何のためにこのデータを調べているのかを府民の皆さんに理解していただけるような編集力が問われていると思っている。

(隂山委員長) 全国学力・学習状況調査において沖縄が上がっているが、県教委が相当学校に入り込んでいっている。結果はストレートに評価すべきことだが、本来の趣旨から言って、それが適切なのかどうか。私の課題意識を言うと、初め私が委員に就任した時に直接校長先生に向けて相当厳しいことを申し上げたが、ある種確信犯であり、越権行為であるがひどい状況を放っておけないということで非常事態宣言を出した。子ども達の学力を上げるために異常な多忙感があったり、成績が上がったが問題行動が増えたり、先生達の鬱病が増えたりしないよう、それほど無理しなくても指導法の改善により子ども達の学力が上がることを分かっていただき、市町村の方に課題をお返ししても自立的に続けていけるようになることを期待していたが、そのようになっていないと感じられる。市町村に責任転嫁するのでなく、私達の見方が甘かったということである。市町村が完全に自立的にできるまで市町村に対する支援をしていく必要であったのではないか。地域の子ども達に責任のある市町村に自立的自覚的な教育向上をしていただく必要がある。そもそも市町村の事を都道府県ごとに発表していることは基本的な制度設計に課題がある。文科省の方でも市町村の成績公開を審議会の答申を受けながら出していくという方向になっており、市町村の判断により学校の数値を出すこともあり得るということになっている。我々としては今後、市町村に対する支援・指導を行っていくが、基本を押さえた支援をしていかなければならず、支援が終了すると落ちるということでは駄目である。私も色々調べてみたが、学力が上がっている所は、基本的には当初大阪が行ったことと同じことを行っている。その辺のマネジメントを適切に間違いなく行われるよう考えていかねばならない。

(中原教育長) ある程度入らざるを得ない。昨年の話では非常事態宣言から小学校が上がってきており、ノウハウが浸透しており大丈夫だろうということで、小学校には特に予算を付けずにやることとなったが、加速して落ちている。もちろん学力テストで一喜一憂し、それが全てとは、府民の方も我々も思っていないが、府民の方々も何とかしてほしいはずである。我々は出来る権限の範囲で何かしないと言い訳できない状況である。

(隂山委員長) 府立の方はどのような感じなのか。

(中原教育長) 府立はこの間グローバルリーダーズハイスクールを作り、学区を撤廃して選択肢を増やし、昔の平等概念を壊してきた。校長の裁量権を強くして予算を付けてきた全体的な成果を、近々にまとめてお知らせしようと思っている。

(隂山委員長) 私の感覚で府立は良くなっているように感じる。全体を通して気になったのは、府内における地域的な課題を抱えている子ども達の所への支援がまだ重いと感じたことである。その点は福祉と連携して、子ども達の貧困率等も視野に入れとかなければならない結果ではないか。

(中原教育長) 福祉との連携ということでは、具体的に何を行えば良いのか。

(隂山委員長) 一つ思っていることは、他府県にあって大阪府にないものとして、地域の方々に学校に入ってもらうことである。初めは学校に対してプレッシャーをかけることとなるが、学校が抱える課題を地域の課題として共有していただける場となる。福祉と言う観点かどうかは別問題として、それが地域での声掛け活動などにつながっていく呼び水になっていく。地域の中で困っている家庭への援助が進んでいくきっかけを、教育委員会で出来ないかと思ったところ。

(中原教育長) 各学校でどんどん保護者の方に入っていただく努力はしていくべきだが、ある市町村に話を聞くと、一番来てほしい人たちは来てくれないという現状がある。福祉との連携という入口の所では皆が一致しているが、いくらのお金をどのように使うかということには解決策が見えない。生活保護等の整理をセットで進めなければ難しい。

(隂山委員長) 地域の中で困っている家庭への支援がどんな形でも進めば良い。確かに学校を公開しても来てほしい人は来てくれないが、より少しでも多くの人達に来てもらうことで、地域や学校での課題を共有できる人が増えてくる。今の学校協議会の形では、代表の方は来ていただけるが、既に選ばれた人達である。それぞれの色々な思いなどを学校に来ていただいて、地域で学校の課題を共有していただけるきっかけになればと思っている。

(中原教育長) 地域の保護者の中で同じ悩みを抱えている人達を集め、インストラクターも交えて解決策を探る親学習はしている。内容もより身近でリアリティーのあるテーマにして、答えを押し付けるのではなく、色々な選択肢を考えてもらう仕組みの改善もしたところ。市町村も是非やってほしいということで頑張ってもらっている。エンパワメントスクールでは子どもが頑張ろうと思った時のチャンスを作り、就職支援コーディネーターは財政ではゼロ査定であったが、最終的に約6,000万円の予算を付けてもらいサポートもしている。しかし、小学校や中学校で、ご家庭が学校に出てきてくれない、子どもに勉強は大切だと声掛けしてくれない、子どもも頑張ろうと思えない、と言うような負のスパイラルに陥っている所がある。そこへの突破口が教育委員会だけでは難しく他部局と定期的に会合を持って考えていくような大きな仕掛けをしなければ中々解決しない。

(木村委員) バランスが大切である。地域・保護者・教育委員会・行政でしっかり連携しなければならない。現場で同じ先生が固まっている地域では活性化しにくいのでその見直しも必要かもしれない。全国学力・学習状況調査の状況も改善されなかったので、教育委員会が先陣切って議論していく必要がある。また、体罰がゼロにならなかったことは問題意識を持っており、そのようなことも含めて一年間の総括をして前に進んでいきたい。

(立川委員) 私はキャリア教育に関わるとともに地域の教育コミュニティーですこやかネットにボランティアとして関わり、読書推進を虐待防止の観点からすすめてきたが、キャリア教育の視点でいくと、就学前の子ども達の意欲についてあまり強化されていないように感じる。読書推進の支援者の育成は増強されてきているが、本を読み聞かせてもらっていない子ども達がまだまだいているため、読書推進の強化が今後も必要であると考えている。学校の公開は地域により様々な取組みがあるが、中々広がらないという現状がある。高校はあまり公開していないが、地域の方々に開放したことで、地域の方々に学校の実態を理解して頂けたという話も聞いた。開かれた学校づくりは地域において子ども達を見守る人たちを増やすこととなり大切である。指標の8と49で学校情報の公表状況が記載されているが、100%を達成できない理由がなぜなのか分からない。

(橋本高等学校課長) 各学校にホームページで公表するよう指導しているが、ホームページの更新ができていないなど、結論から言うと徹底できていない。来年度に向けて必ず公表するように徹底する。

(小河委員長職務代理者) 現場に学力を向上していこうと呼びかけることは大切であるが、現場の状況も掴んでおかなければならない。中学校現場で考えると、学区撤廃があり、進路指導の体系の確立が大変になっている。我々がしていく課題は行政的に応援するということで予算を付けることが大切である。配置されていた先生がいなくなると全体へ負担がいき、手が回らなくなる。その辺の現場の状況を踏まえながら話を進めていくことが大事である。また、子ども達が躓いている状況の実態把握が大切である。事実に基づいた合理的な手を打っていかなければ、精神主義で進めていくと潰れていく。

(中原教育長) 全くの精神主義ではない。事実に基づいて把握する方法で足りないところがあれば提案していただきたい。精神主義ではないからこそ非常事態宣言から成績が上がってきた。当時の教育委員がお金をかけて小学校に定着させると説明して予算を付けてもらったが、定着していなかった。また同じような名目では予算はつかない。別の切り口で別の効果があるとしなければ予算はつかない。未来永劫予算を付け続けることは不可能であり、教育委員も中に入って具体的な提案をしていただきたいと思っている。

(隂山委員長) 小学校の予算は主にどのような予算を削ったのか。

(吉美市町村教育室長) 21年度から22年度にかけて、小中学校の約7割に対して、1年で70万円、2年で150万円近くの支援をさせていただいた。併せて学校の組織体制を作ったり、加配の教員を入れたり、学習ツールなどの様々なものを提供してきた。一方で環境を作っていくということで少人数学級などの継続的な施策は行ってきた。時限的に行ったのは21、22年度であり、学力が少し向上してきたことから23年度から中学校へシフトしていった。

(隂山委員長) 府単独の加配教員云々というのではなく、指導主事で見て回ることを止めたことが要因ではないのか。要するに教材もある程度できているのであり、緩みと言うのは、きちんと使われていないのではないかと言うことである。だからこそ自覚してやって頂く必要がある。

(中原教育長) 一律にこの手立てを打てば全ての市町村が良くなるというものではない。きちんとしているが、たまたま結果が出なかった所はそのまま頑張っていただき、隂山委員長がおっしゃるように、ノウハウはあるが気持ちが緩んでいた所は気持ちを引き締めてもらい、ノウハウがまだない所にはノウハウを提供することが必要である。ノウハウはあるが生徒指導などで勉強に集中できる環境にないという所については、生徒指導の為に特別に加配が必要なのか、生徒指導のアドバイスが必要なのかをそれぞれ見極めて、個別に市町村と面談しながら動いている。

(隂山委員長) 一つ一つ紐解いていくと、ある程度の原因を客観的に捉えることが出来ると思う。念頭に置かなければならないのは、財政でも、マンパワーでも、十分なものを当てることはできないということである。しかし、教職員の給与が改善された年にこの結果であるのは辛い。給与が戻って成績も上がっていれば良かったが、財政の方も努力しながら様々な待遇を元に戻したということを、現場の先生方には感じていてほしかったという残念な気持ちがある。

(立川委員) 知事の権限部分については網掛け表記としているが、この冊子はこのまま議会に送られることとなるのか。

(見浪教育総務企画課長) 本日は議論の対象ではないということで網掛けとしているが、最終的には網掛けも外した形で完成版となる。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 

◎ 議題2 大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく平成26年度実施対象校(案)について

【議案の趣旨説明(高校再編整備課長)】

大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく平成26年度実施対象校(案)について、以下のとおり方針を示し周知を行うことを決定する件である。その上で、様々な意見を踏まえ、11月の教育委員会会議において最終決定する。

     ○募集停止を行う学校

      ・池田北高校

      ・咲洲高校

     ○エンパワメントスクールへの改編

      ・成城高校

      ・岬高校

     ○普通科総合選択制から普通科専門コース設置校への改編

      ・豊島高校

      ・北かわち皐が丘高校

      ・みどり清朋高校

      ・懐風館高校 

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) 生徒数が減少している中でどんなに頑張っても相対的に条件の悪いところは生徒が減ってしまうというもの。学校関係者にとっては重い判断となるが、これらの学校が努力不足と言うものではなく、どこかでこのような判断をせざるを得ないという結果ということでよいか。

(中原教育長) 本日臨時校長会があり、同じ趣旨のことを申し上げるつもり。人口が減る中で、3校を募集停止すべきと言う厳しい意見もあるが、現時点では出来るだけ少なくということで2校としている。人口が減少したことによるやむを得ない措置であることを説明させていただこうと思っている。

(隂山委員長) 改編する学校についても、それぞれの学校の特性を理解しつつそれを活かすという方向での改編ということでよいか。

(中原教育長) 補足であるが、総合学科や普通科総合選択制、普通科専門コース、普通科と言われても分からない人が大半であると思う。大雑把に言うと、学習指導要領があり、必履修科目があり、学校設定科目として自分たちで好きな授業が作れることになっているが、その枠の大小により加配の有る無しがある。エンパワメントスクールは総合学科であり大胆に既存カリキュラムを変更でき、加配もある。普通科の中での普通科総合選択制と普通科専門コースでは違いはそれほどない。福祉の専門コースと言っても専門学校で学ぶことが早めに学習できるのかと言うとそうでもない。多くのコースや学科では基礎学力がキッチリできていない生徒が入学している。大きな方向としては、エンパワメントの動向を見つつ、学び直しに対応したカリキュラムを作り、学び直しをしながら専門性を身に付ける時間をとっていく。福祉の専門コースなら卒業時には基礎学力は身に付き、専門学校の1年目で学ぶべき専門知識は学び終わっている状態にするなど、特色を明確にした方が良いのではないかと議論しているところである。

(隂山委員長) 一般社会が認識している高校の概念と現状の高校が大きく異なっている。子ども達の能力に応じて様々な高校があり、同じ数学でも全く次元の異なる教科を学習していることを認識しなければならない。最終的に社会的に自立することが必要であり、その部分の課題を克服するための仕掛けであることを府民の皆さんにご理解していただかなければならない。

(中原教育長) フィンランドでは小学校や中学校ではトップ層を伸ばすのではなく、十分に習熟していない子どもを作らないようにしているが、中学卒業後は、大学を目指す高校と職業高校に分かれ、全て自分で決定する事を迫られる。真似する必要はないが、専門コースとするからには専門性を高めてあげなければならない。

(隂山委員長) ヨーロッパの方では、職業ごとの社会的なイメージの違いがあまり無いが、アジア圏では大学や偏差値により決まってくる傾向が強い。元々日本でも職人のように技能で身を立てていく人が尊敬されてきたが、それも社会的に失われてきている。

(小河委員長職務代理者) その辺については、むしろ教育委員会こそマイスターをしっかり育てていかなければならない。それが新しい社会の基盤となる。日本の強みは職人的な敏感さや凄まじい技術を発揮できる人が多くいることである。そのような社会を大切にしていく自己認識を普及していく必要がある。

(隂山委員長) 若い世代は自分のキャリアに自信を持って世界的に活躍している人もいるが、どうしても保護者が大学の方に向かってしまっている。

(中原教育長) 高齢化社会が進んで医療・福祉・看護分野は需要が上がってくるが、普通科を卒業した者が1、2か月で追いつくようなものではなく、普通科を卒業した者がすぐには追いつけないほど、高校で知識・経験を積ませてあげられるカリキュラムを組めるようにしていきたい。

(小河委員長職務代理者) エンパワメントスクールについて、我々としては未来志向で次の社会を支えていく柱となる人材を作り出していく、挑戦的なビジョンで作っている。そこを社会に訴えていく馬力が必要である。従来型と同じで、行くところが無い場合に行くところと捉えられると、狙いとは外れた施策になる。ある企業が中国に出て行って、これまで30年間秘密にしてきた技術をオープンにするかどうか悩んだ末にオープンにした事例がある。オープンに踏み切った理由としては、実際にコアとなる秘密技術を製品化する技術は職人技術であり、そう簡単に職人は育たず、最低2、30年かかる教育体制の問題となることから、日本ならいざ知らず、外国ではそう簡単に作り出すことはできないと考えて踏み切ったということである。日本はそのような力に支えられている素晴らしい国である。この国を更に発展させる重要なポイントをついた施策を我々が打ち出そうとしている中で、我々もそれを自覚して挑戦的に宣伝していく必要があると考えている。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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